2015-10-14 (Wed)✎
日本の滝を訪ねて 第134回 西沢渓谷の滝 その2 〔山梨県〕
西沢渓谷を代表する瀑布
七ッ釜・五段ノ滝
七ッ釜・五段ノ滝
西沢渓谷 にしざわけいこく (秩父多摩国立公園)
奥秩父を源に壮大なスケールの渓谷を魅せるのが、東沢渓谷と西沢渓谷である。 だが、東沢渓谷は、登山ルートが設定(登山の創世期は登山道だったというが・・)されておらず立入禁止となっている。
奥秩父を源に壮大なスケールの渓谷を魅せるのが、東沢渓谷と西沢渓谷である。 だが、東沢渓谷は、登山ルートが設定(登山の創世期は登山道だったというが・・)されておらず立入禁止となっている。
それ故に、沢登りを主とする限られた者の領域となっている。
一方、西沢渓谷は遊歩道が整備され、一般行楽客にも開放されている。 また、《三重ノ滝》や《七ッ釜・五段ノ滝》などの秀麗な滝があり、中でも澄みきった蒼い釜淵を魅せる《七ッ釜・五段ノ滝》は『日本の滝100選』に選出されている。
西沢渓谷探勝ルート 行程図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
甲府市街より車利用(1:00)→西沢渓谷入口(0:20)→西沢山荘(0:35)→三重ノ滝
(0:55)→七ッ釜・五段ノ滝(0:15)→渓谷探勝道終点(0:10)→七ッ釜・五段ノ滝俯瞰地点
(0:30)→大久保沢(0:30)→子酉橋(0:20)→西沢渓谷入口より車利用(1:00)→甲府市街
※ 前回『日本の滝を訪ねて 第77回 西沢渓谷の滝 その1』からの続き
貞泉ノ滝 落差10m
周囲が暗く今イチですね
周囲が暗く今イチですね
この先には、《恋糸ノ滝》という対岸に枝垂れる枝垂れ滝と《貞泉ノ滝》という滝が続くが、《恋糸の滝》は水量が細い上に木々に邪魔されて見通しが悪いし、《貞泉ノ滝》は釜淵が一つしかなく、《西沢渓谷》の滝としては平凡な滝のようである。 まぁ、“大トリ”の《七ッ釜・五段ノ滝》が近づいてきているので、それにはやる心もあってこのように感じたのかもしれないが。
貞泉ノ滝の上流は
河原状となっていた
《貞泉ノ滝》を過ぎると函状に迫った岩盤の間を抜けて、再び日差しが戻る小さな河原状の所に出る。
あったかい日差しが降り注ぐ河原で、弁当を広げるにはちょうどいい所である。
ナメ状の段瀑が現れた
渓谷もクライマックスに向かっていく
渓谷もクライマックスに向かっていく
この河原を越えて《カエル岩》などの奇岩を見やると、再び両岸がせり出してきて《方杖橋》という真新しい木橋で右岸(左側)に渡り、右の岩盤を急登気味(一般行楽客レベルであるが)に登っていく。
紅葉を愛でるべく
一服しようか
これより人の流れが悪くなり、人の渋滞となっていく。 なぜなら、この上が《七ッ釜・五段ノ滝》だからである。 さて、その《七ッ釜・五段ノ滝》であるが、ヘツり道を渡す木橋からが眺望スポットであるのだが、思ったより見通しが悪いのである。 これは長望遠級の長玉(レンズの事)がなければ、思い描く写真は無理のようである。
遊歩道は大渋滞で
ワテはこのような狭い景勝地に、超望遠級の長玉(レンズの事です)やそれを使うに当たって必要となる大型三脚の持込み否定派なので、手持ちが可能の中望遠しか持ち合わせてはいない(三脚も小型しか持ち歩かない)。
じっくり撮る余裕など無かったよ
従って、残念ながらこの滝に関しては、今回は思い描くような写真は撮れず終いになってしまった。
だからであろうか、この滝を前にして前評判程の感慨は湧かなかったのである。 滝の最上部の見通しが。生い茂る樹木で邪魔されて全くダメだった事もあるし。
七ッ釜・五段ノ滝の上部は
雑木林に覆われていて
雑木林に覆われていて
見通しが悪かった
《七ッ釜・五段ノ滝》の渋滞も重なって、思ったほどに写真が撮れなかった事に落胆しつつ、この渓谷の終点である《森林軌道跡》の通称“トロッコ道”の起点に向かう。 ここまでは200段ほどの階段となっているので、予想外に汗をかかされる事だろう。
昇りきった林道の終点は休憩所となっており、簡易トイレが設置されている。 また、このトイレの先は、乾徳山 2031メートル への縦走路が続いているが、遠回りルートのようで通る人はあまりないようである。 ここで持ち込んだパンなどを口にして、ひと息入れたら帰路に着こう。
昇りきった林道の終点は休憩所となっており、簡易トイレが設置されている。 また、このトイレの先は、乾徳山 2031メートル への縦走路が続いているが、遠回りルートのようで通る人はあまりないようである。 ここで持ち込んだパンなどを口にして、ひと息入れたら帰路に着こう。
真っ赤に燃える紅葉を
味わいながら歩いていこう
なお、この渓谷一帯は一周の一方通行路になっているので、滝道を引き返すのは避けた方が無難だろう。 無理に引き返せば、狭い渓谷道で押し寄せる上りの行楽客の全てとすれ違う事になるので、トラブルになる可能性が高いだろうから。
周囲の山々は
紅葉の十二単を纏っていた
この《森林軌道跡》は、このあたりの森林を伐採して運ぶ林業のトロ軌道跡で、所々にレールが残っている。 また、剥がしたレールで土盛りをしたり、崩れ止めに供したりしている。 このレールを見ながら歩いていくが、「よくぞレールを敷いたな」と感心する程に、岩盤絶壁の縁を刳り貫いてレールが敷かれてある。
色着く紅葉を引き寄せて
ともすれば、「トロとはいえ曲がることができるのか?」といぶかる程の軌道曲線の所もある。
こういうのを見ながら左に見渡せる《西沢渓谷》の紅葉を堪能できるので、この“トロッコ道”に関しては、予想以上に面白い道と感じたのである。
七ッ釜・五段ノ滝は
断然コチラから俯瞰する方がいい
断然コチラから俯瞰する方がいい
それに加えて、この“トロッコ道”から俯瞰する紅葉に包まれた《七ッ釜・五段ノ滝》の情景は、先程の低評価を完全に打ち消してくれたのである。
奇怪な頂稜を魅せる鶏冠山
登ってみたいけど体力と技量が
登ってみたいけど体力と技量が
気分も上々となって、奇怪な岩峰に紅葉をまとう鶏冠山など山の紅葉を存分味わい、時に紅葉を逆光でかざして遊びつつ下っていくと、4kmのトロ道はあっという間に過ぎ去り、往路との合流点・《子酉橋》に出る。 ここからは、舗装道を伝って入口まで向かうだけだ。 20分もあれば、駐車場まで戻り着けるだろう。
楽しかった紅葉に色づくトロッコ道
最後の写真は“立ち去り難し”
最後の写真は“立ち去り難し”
という思いを撮ってみました
後は温泉だ。 付近は、《三富温泉郷》や《笛吹温泉郷》があり、旅館もあれば掛け流しの湯もある結構な温泉郷である。 クアハウスの設備を持つ市営(三富村は山梨市に編入されている)の温泉もあるようなので、立ち寄りの一見さんでも安心だ。
渓谷探勝で所要4~5時間かかるが、甲府より1時間程度の所なので、十分甲府発の日帰りが可能な行楽地である。 それ加えて、素晴らしい景観を魅せてくれる事が大人気の観光スポットの所以だろう。
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