2015-09-27 (Sun)✎
『日本百景』 秋 第201回 守門岳 〔新潟県〕
美しい山容を魅せる
奥越後の名峰・守門岳
この項目では、浅草岳の西にそびえ立つもう一つの名峰・守門岳に登ってみよう。 守門岳への登山路は概ね2ヶ所ある。 一つは旧栃尾市(現 長岡市)側から入る保久礼小屋経由の登山ルートで、もう一つが守門岳への最短ルートの大白川ルートである。
奥深さを魅せる
越後の名峰に登ってみよう
守門岳は3つの峰からなり、3つの峰をめぐるとなれば、保久礼小屋ルートより登るといいだろう。
だが、このルートの難点は、登山口までのアプローチ道がかなり“ややこしい”との事である。
また、距離の長い周回ルートであるので、山での余裕を求めるなら保久礼小屋で一泊する事が必要となる。
それと比較して、守門岳主峰への直登ルートは距離が短く、日帰り登山にはうってつけのルートである。 また、この山系に訪れるなら是非とも目にしたい布引ノ滝も、滝前を通るルートがあって堪能する事が適う。 難点といえば、直登ルートであるので全般的に傾斜が急であるという事であろうか。
この地域に居住していない事も加味してこの2つのルートを比べると、やはり、日帰り+滝めぐりを選択してしまうのである。 それでは、選択した最短ルートの大白川ルートを取って守門岳に登る事にしよう。
守門岳 大白川ルート行程図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
魚沼市・入広瀬より車(0:30)→大白川・大原登山口(1:00)→布引ノ滝・上の分岐
(1:10)→三ノ芝(1:00)→守門岳(0:45)→三ノ芝(0:45)→布引ノ滝・上の分岐
(1:10)→布引ノ滝(0:20)→布引ノ滝・下の分岐(0:05)→大白川・大原登山口より車
(0:30)→魚沼市・入広瀬
(0:30)→魚沼市・入広瀬
このコースの登山口は、関越国際大原スキー場の最上段にある。 登山口には何もなく、車が15台ほど駐車できる砂利の空地があるだけの所だ。 当然トイレもないので、前夜はそれらの設備が全て備わる《道の駅・入広瀬》で車中泊するのがベターではなかろうか。 《道の駅・入広瀬》より登山口まで距離にして12km足らずなので、朝5時に起きて車をまわしても30分ほどで着く事ができる。
なお水は、道の駅で汲んでおくのがベターだろう。
登山口に到着したら駐車スペースの砂利敷に車を止めて、駐車スペースの目の前にある登山口に入っていく。 始めは朽ちた木道だが、すぐに山道となって森の中に突っ込んでいく。 森に入ると程なく『守門岳 3時間30分↑、布引ノ滝 20分→』という道標が見えてくる。 滝は下山時に見る事にして、ここは道標の指示通りに上に登っていこう。
登山口に到着したら駐車スペースの砂利敷に車を止めて、駐車スペースの目の前にある登山口に入っていく。 始めは朽ちた木道だが、すぐに山道となって森の中に突っ込んでいく。 森に入ると程なく『守門岳 3時間30分↑、布引ノ滝 20分→』という道標が見えてくる。 滝は下山時に見る事にして、ここは道標の指示通りに上に登っていこう。
まだ紅葉には
いっとき早かったみたいだ
登り始めると、すぐさまふくら脛の突っ張る急登が待ち受けている。 周囲はブナが立ち並ぶ鬱蒼とした森で、空が曇天で光を差さぬ時などは「カンテラが必要なのではないか?」と思う位に薄暗い。
約1時間この急登を凌ぐと、先程に分岐した《滝見道》と合流して稜線上に出る。 稜線に出ると、今まで薄暗い森の中を歩いていただけに、太陽の光が眩く視野に差し込んでくる。 そして守門岳が、緑豊かなライトグリーンの山体を魅せてくれるだろう。
苦しい登りを乗り越えると
守門岳が眼前に迫力ある姿で迫り出る
守門岳が眼前に迫力ある姿で迫り出る
漸く、写真が撮れる情景となったので、カメラを取り出してひと息着くとしよう。 これよりは、山を見ながらの稜線歩きだ。 なお、稜線上は右側の大雲沢側が切れ立った痩せ尾根なので、足元には注意していこう。 この片側痩せ尾根を小烏帽子の山体で阻まれるまで突き進むと、小烏帽子の左側を巻くように進み、やがて潅木の中に潜って登山口の手前の沢・上祝沢の源頭に出る。 ここは冷たい沢水が流れる良い水場である。
この沢を渡り、沢の右岸(左側)の階段状となった河原を登り詰めていくと、沢の流水は消えてライトグリーンの草原が視界に眩しく広がってくる。 《三ノ芝》の草原帯である。 小烏帽子からの緩やかな傾斜に沿って、吹く風にそよいで獣の毛なみのように艶やかな姿を魅せる草原は絶好のカメラアングルとなる。 それでは、拙いデキではあるがその絵姿をごろうじろ。
山上を舞う強い風が
草原を獣の毛なみのように踊らせて
草原を獣の毛なみのように踊らせて
草原の絵姿を堪能したなら、先に進もう。 《三ノ芝》の草原を越えて、小烏帽子の頭に出る。
頭といっても潅木に囲まれた見通しのあまり良くない所である。 ここで『登山道が崩壊している為、通行止』との立て札が立ち、廃道扱いとなっている藤平山からのコースと合流する。
二ノ芝の草原と
尾瀬・燧ヶ岳の2つの
この分岐を過ぎて少し進むと、小さい池塘が見られる《二ノ芝》の草原に出る。 ここは広い尾根の草原となっているが、《三ノ芝》の傾斜草原と比べると今イチ勢いはない。 やがて広い尾根が少しづつ狭まって、草原帯の打止めである《一ノ芝》を過ぎると、再び守門岳を望む痩せ尾根となってくる。
稜線に出た直後との違いは、言うまでもなく眼前にそびえる守門岳の大きさだろう。
眼前にそびえる守門岳への
最後の急登が始まる
痩せ尾根で大きくなった守門岳の山体を見たら、潅木帯に潜って山体に取付く。 近くにそびえ“もうちょっと”との思いを抱くが、このカヤトの尾根はなかなか長く、《一ノ芝》からだと40分程かかる。
傾斜もそれなりにキツく、最後の踏ん張り所だ。 この急坂を登り詰めると、カヤトからパッと飛び出て頂上に出る。
奥越後の名峰・守門岳の頂上標
頂上は《一ノ芝》から望んだイメージとは違い、狭い頂上だ。 その狭い頂上に、地域信仰で信奉されている山らしく、所狭しと石祠がいくつも奉られている。
尾瀬の山々と隠れ里のように
山間にひっそりとたたずむ
大白川の集落
そして、山の眺望は・・というと、残念ながら頂上のみガスで巻かれ、眺望は皆無だった。
また、天気は好天なるも、朝から台風並の強烈な風が吹き荒ぶ状況だったのでガスった頂上は寒く、滞在時間15分程で切り上げる。 帰路は《滝見道》までは往路と同じである。
奥の深い山なみに魅せられて
頂上以外は日差しに恵まれたので、浅草岳や会津朝日岳・越後三山などを眺めながらカメラ片手にのんびりと下っていく。 唯一、台風並の強風に足がふらつかないように気をつけながら・・。
入広瀬の集落と国境の山々
さて、順調に“のんびり”と下っていくと、1時間半ほどで尾根筋の端にある《滝見道・上の分岐》に着く。 ここから道標通りに《滝見道》を下っていく。 だがこの《滝見道》の傾斜は半端なく急で、垂らされてあるゼブラロープをつかみながらの下降となる。 ともすれば、登り時の急登よりも体力的に負荷のかかる下りだ。 従って、この区間は登りよりも所要時間を多く取ってある(実際、登りルートより時間がかかった)。
この明らかに滝のある大雲沢へ向けてストレートに下る急傾斜を乗り切ると、『滝展望台へ50m』の道標がポツンと立っている分岐に出る。 しかし、この道標は眉唾モノで、滝展望台までは実際には200m位はありそうだ。 『50mとは、もしかして標高差!?』といぶかりながら行くと、《布引ノ滝》が見えてくる。
布引ノ滝
守門岳から続く大岩盤に
絹のように細い白布が掛けられていた
絹のように細い白布が掛けられていた
対岸の垂直のルンゼ状の崖を、見た目100m近くの落差で垂直な枝垂れを魅せている。
その姿は関西・大峰山の名瀑・双門ノ滝を彷彿させる滝である。 だが、地元では落差30mなんだそうである。 到底そうは思えないのだが。 少なくとも50~60mはあるのではないだろうか・・と思う。
この白絹をどうにか
美しく表現したくて
縦位置、横位置、切り取り・・と
色々足掻いてみたが
思う存分に滝を眺めたら、下山の途に着こう。 《布引ノ滝》の展望台より例の『50m道標』まで、標高差50m!?で丸太段を登る事10分って所だ。 後は、簡単な鎖場を経て《滝見道・下の分岐》を越えて、程なく車を駐車してある登山口に着く。 今回の山行であるが、朝6時登山開始で上り所要3:05・下り《布引ノ滝》経由で所要3:10で、昼の12時半位に下山できた。 日帰りの山行としては理想的な時間配分であったと思う。
後は、『山の後の温泉』だろう。 大白川の近くにはクアハウス施設の《寿和温泉》があるが、思ったよりは温泉の少ない所である。 なお、『SL温泉』で(その手の方に)知れ渡っている《守門温泉》は、シーズン以外は閉鎖しているようだ。 まぁ、ちょっと車を飛ばして福島の《只見郷》や《湯之谷温泉郷》に出張るのもいいかもしれない。
後は、『山の後の温泉』だろう。 大白川の近くにはクアハウス施設の《寿和温泉》があるが、思ったよりは温泉の少ない所である。 なお、『SL温泉』で(その手の方に)知れ渡っている《守門温泉》は、シーズン以外は閉鎖しているようだ。 まぁ、ちょっと車を飛ばして福島の《只見郷》や《湯之谷温泉郷》に出張るのもいいかもしれない。
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