風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

TOP >  路線の思い出 >  路線の思い出 101~150 >  路線の思い出   第113回  予讃本線・高松駅

路線の思い出   第113回  予讃本線・高松駅

路線の思い出   第113回  予讃本線・高松駅  〔香川県〕


『四国の旅』の入口だった頃の高松駅
あの頃は活気と熱気があった
※ グーグル画像より拝借

《路線データ》
予讃本線
      営業区間と営業キロ         輸送密度 / 営業係数 (’15)
    高松~宇和島 297.5km         6471  /  124
 向井原~内子・新谷~伊予大洲 39.4km
運行本数
            松山方面 特急【いしづち】上下とも毎時1本
            高知方面 特急【しまんと】 5往復
        徳島より岡山直通 特急【うずしお】 2往復
            岡山方面 快速〔マリンライナー〕上下とも毎時2本
           多度津方面 快速〔サンポート〕上下とも毎時1~2本
           多度津方面 普通  上下とも毎時2~3本

高徳本線
       営業区間と営業キロ         輸送密度 / 営業係数(’15)
       高松~徳島 74.5km         4295  /  142
運行本数
            徳島方面 特急【うずしお】上下とも毎時1本
            徳島方面 普通 上下とも毎時1~2本

高松駅(たかまつえき)は、香川県高松市浜ノ町にあるJR四国・JR貨物の駅である。  4面9線の頭端式ホームを持つ駅で、高松港に隣接する。 現在の駅は、2001年に0.3km宇和島・徳島方に移転したものである。 その為に0キロポストはなく、0.3kmから始まっている。 なお、このキロポストは5番線ホームの下にある。 また、港を控えた頭端式の駅である為、駅周辺の道路や駅前広場からホームまでの段差が一切なく、バリアフリー構造となっている。

予讃線を所属線とし、高徳線を加えた2路線が乗り入れている。 どちらの路線も、当駅が起点となっている。 この他、予讃線経由で土讃線・本四備讃線の列車が乗り入れてくる。 本四備讃線の系統については予讃線区間も含めて『瀬戸大橋線』の愛称がつけられており、当駅はその四国側の起点としても扱われている。 2015年の1日平均乗車人員は12721人との事。

香川県の県庁所在地である高松市の玄関口であり、高松市の代表駅かつ、ターミナル駅である。
徳島・松山・高知といった四国地方の全県庁所在地を結ぶ特急列車が発着する当駅は、80年間にわたり四国と本州を結ぶ鉄道連絡船『宇高連絡船』の接続駅であった為、その名残で線路が全て当駅で行き止まりになる終着駅構造になっている。 その為、ホームは全て頭端式ホームであり、駅前広場からホームまで全く段差のない構造になっている。

一部のホームは乗降ステップのない車両へ乗降する際の段差が少なく、JR四国の管轄駅では当駅が唯一の事例である。 ホーム上には待合所が設置されている。 長らく空調設備がなかったが、現在は全てのホームにエアコンが設置されている。

なお、当駅発着の切符には、駅名が「(讃)高松」と印字されているが、これはJR西日本七尾線にある高松駅と区別する為である。


 
駅を語る上で最も今昔のギャップが大きいのが、今回取り上げる高松駅だろう。 以前の宇高連絡船在りし時は、『四国への玄関口』を担う駅であった。 筆者であるワテにとっても、馴染みがあり深い思い出を抱くのは、この頃の駅として「輝いていた」高松駅である。


この頃の鉄道は確かに輝いていた

その記憶を頭の隅に残して最近のある時に高松駅を訪ねたなら、その違いのギャップに愕然となったのを憶えている。 駅の造りは採光好しくのガラス張りの建物に作り替えられていたが、かつてあった活気や連絡船に向かうべくの妙な熱気は消え失せて、採光好しく人もそこそこいるのに閑散感が漂う薄暗い雰囲気を漂わしていた。


ガラス張りで採光抜群の近代的建物だが
何故か閑散とした暗い雰囲気を漂わす現在の高松駅
※ グーグル画像より拝借

そう・・、かつての高松駅は、四国に入るべくの玄関口として『四国旅の入口』の情景を漂わしていたのである。 だが、瀬戸大橋の開通によって宇高連絡船が本四往来の任を解かれると同時に、高松駅も『四国の玄関口』としての役目を解かれたのである。

『四国の玄関口』の役目を解かれた高松駅は、優等列車の本数が新たな玄関口となった坂出駅からの岡山への増便と相対して半減し、全都道府県レベルで比較すると県庁所在地の駅としてはかなりショボイ雰囲気に落ちてしまったのである。


規格統一された駅パーテーションが
更に没個性を助長させる
※ グーグル画像より拝借

その高松駅の失った『熱気』とは、もちろん宇高連絡船への乗り継ぎをめぐる熱き躍動であった。
宇高航路への乗り継ぎがあった頃は、連絡船から列車へ、到着した列車から連絡船へと、荷物を抱えた旅人の往来が活発に行われていたのだ。


時の急行はグリーン車を指定席に
窪川行きの夜行快速に至っては無料開放していた
この座席争奪戦が『四国三大走り』の根源だ

それは夜行列車限定ではあったが、無料開放のグリーン車への座席確保を目指した若き旅人によって桟橋から駅ホームまでの全力疾走が繰り広げられ、その光景は『四国三大走り』として高松駅の風物となっていたのである。


高級感や清潔感と引き換えに
熱気の感じられない薄ら寒い光景に陥ってしまった
※ グーグル画像より拝借

・・でも、今のガラス張りの明るい採光の高松駅からは、明るいものの熱気の感じられない冬の様な光が差し込むだけだった。 今のテナント化した駅うどん店も、かつての全力疾走で座席を確保した旅人達か空きっ腹を満たすべくうどんをすすった立ち食いうどん屋のあの熱気に遠く及ばない。


完全にテナント化した
現在の駅うどん『店』


かつてはうどんを無心にすする客が見えた
真に『立ち食いうどん屋』だった
※ 2枚ともグーグル画像より拝借

旅においてのシンカンセンやデジタルカメラ・・。 手間いらずで目的を素早く達成できるようにはなったが、同時に大切な旅の味わいや写真を撮る醍醐味をポロポロと落としてきたのである。
それはこの高松駅の変わり様と同じく、常に完成良品や目的に則したモノ突き付けられる「当たり前」が繰り広げられる無味乾燥のつまらぬ光景となってしまったのである。


不便が「当たり前」の頃は
そのモノに対して愛着が持てたのだが

そう・・、『心をときめかす熱きモノを失った」という直感を、新たな高松駅に漂う雰囲気からヒシヒシと感じたのが、ワテがこの駅の光景を目にして愕然となった理由だと思う。

    ※ 『四国三大走り』については、『魅惑の鉄道写真集』より『宇高航路』を御覧下さい。










関連記事
スポンサーサイト



No title * by 風旅記
こんにちは。
高松駅、私は瀬戸大橋ができてからしか知りませんが、旧駅舎の思い出はかろうじて残っています。
四国に行く機会自体がなく、長いこと空けて高松に訪ねた時、この新しい駅舎と駅前広場には、本当に驚きました。駅が変わったことを知らなかったため、無言で四方を確認したのを覚えています。
古いものがそのまま残っていることの幸せ、新しいものに置き換えられたメリット、それぞれあると思いますが、記憶と現実が断絶した瞬間、人は固まるものですね。
モノへの愛着、私は割と強く感じる方だと、自分では思っていますが、デジタル一眼レフ、常に旅を共にしているので人一倍思い入れを持っています。
この後に何世代新しい後継機種が出たかも分からないくらいに古いカメラですし、色調や高感度域の性能も今のものと比べたら明らかにお粗末な時代遅れのカメラ。それでも好きで使っていますし、これからも致命的に壊れなければ使い続けたいと思っています。買い換えたいと羨望することもなくなりますね。
今後とも、宜しくお願い致します。
風旅記: http://kazetabiki.blog41.fc2.com/?pc

No title * by 風来梨
風旅記さん、こんばんは。

今、私が思う事は、始めて触ったカメラが、時代が・・、フイルムで良かったって事ですね。 もし、デジタルだったら、ここまで写真を撮る情熱を抱けなかっただろうし、自分でも思うこんな壮大な旅体験もなかったろうなぁ・・って思います。

何か、思いが込められないんですよね~、デジタルってのは・・。
正直言うと、こんな思いを込められないモノで自分を育ててくれた写真を語りたくないし、山にも持ち込みたくない。

ちょっと反論じみてしまいましたが、これは私が抱く本音ですので悪しからず。

No title * by 風旅記
こんにちは。
おそらく近い世代ではないでしょうか。
私が初めて使ったのはワンタッチのフィルムカメラ、その後きちんとカメラの構造を理解したのは、ニコンのFM10という安い完全マニュアルの一眼レフでした。
金もなかったので、一枚一枚に真剣でしたね。安い暗いレンズでしたが、絞ってシャープな写真にしたくて、手持ちでブレたり、開放で遠近感を出そうとして飛んでしまったり、失敗ばかりしていました。
使いこなせなくとも白黒など、試しました。懐かしいです。
今となっては貴重な列車も撮れていたはずなのですが…まともな写真が少なく、さらにフィルムをケチっていましたので、今となってはもっと撮っておけば良かったと悔やむ気持ちもあります。
でも、これで良かったんだと思っています。
フィルムを知らない世代が増えているのですよね。とにかくシャッターさえ押せば撮れる、ということが幸せだとは思えない自分、これは間違いなくFM10のおかげです。
今後とも、宜しくお願い致します。
風旅記: http://kazetabiki.blog41.fc2.com/?pc

No title * by 風来梨
風旅記さん、こんにちは。

>おそらく近い世代ではないでしょうか。

そのようですね。 でも私のカメラとの出会いは特殊でして、最初に使ったのが家にあったレンジファインダー式のカメラで、測光機能一切ナシ、ピントは元よりシャッタースピードや絞りといった撮影条件は全て自己決定というツワモノでした。 これを9歳のガキが使ったのですから、ほとんどマンガの世界です。

しかし、この全てが自己決定でないと撮れないカメラが、写真の知識を身に沁み込ませてくれました。 だから、齢食ってもこんなに偏固なのかも・・。

コメント






管理者にだけ表示を許可

No title

こんにちは。
高松駅、私は瀬戸大橋ができてからしか知りませんが、旧駅舎の思い出はかろうじて残っています。
四国に行く機会自体がなく、長いこと空けて高松に訪ねた時、この新しい駅舎と駅前広場には、本当に驚きました。駅が変わったことを知らなかったため、無言で四方を確認したのを覚えています。
古いものがそのまま残っていることの幸せ、新しいものに置き換えられたメリット、それぞれあると思いますが、記憶と現実が断絶した瞬間、人は固まるものですね。
モノへの愛着、私は割と強く感じる方だと、自分では思っていますが、デジタル一眼レフ、常に旅を共にしているので人一倍思い入れを持っています。
この後に何世代新しい後継機種が出たかも分からないくらいに古いカメラですし、色調や高感度域の性能も今のものと比べたら明らかにお粗末な時代遅れのカメラ。それでも好きで使っていますし、これからも致命的に壊れなければ使い続けたいと思っています。買い換えたいと羨望することもなくなりますね。
今後とも、宜しくお願い致します。
風旅記: http://kazetabiki.blog41.fc2.com/?pc
2015-10-02 * 風旅記 [ 編集 ]

No title

風旅記さん、こんばんは。

今、私が思う事は、始めて触ったカメラが、時代が・・、フイルムで良かったって事ですね。 もし、デジタルだったら、ここまで写真を撮る情熱を抱けなかっただろうし、自分でも思うこんな壮大な旅体験もなかったろうなぁ・・って思います。

何か、思いが込められないんですよね~、デジタルってのは・・。
正直言うと、こんな思いを込められないモノで自分を育ててくれた写真を語りたくないし、山にも持ち込みたくない。

ちょっと反論じみてしまいましたが、これは私が抱く本音ですので悪しからず。
2015-10-02 * 風来梨 [ 編集 ]

No title

こんにちは。
おそらく近い世代ではないでしょうか。
私が初めて使ったのはワンタッチのフィルムカメラ、その後きちんとカメラの構造を理解したのは、ニコンのFM10という安い完全マニュアルの一眼レフでした。
金もなかったので、一枚一枚に真剣でしたね。安い暗いレンズでしたが、絞ってシャープな写真にしたくて、手持ちでブレたり、開放で遠近感を出そうとして飛んでしまったり、失敗ばかりしていました。
使いこなせなくとも白黒など、試しました。懐かしいです。
今となっては貴重な列車も撮れていたはずなのですが…まともな写真が少なく、さらにフィルムをケチっていましたので、今となってはもっと撮っておけば良かったと悔やむ気持ちもあります。
でも、これで良かったんだと思っています。
フィルムを知らない世代が増えているのですよね。とにかくシャッターさえ押せば撮れる、ということが幸せだとは思えない自分、これは間違いなくFM10のおかげです。
今後とも、宜しくお願い致します。
風旅記: http://kazetabiki.blog41.fc2.com/?pc
2015-10-03 * 風旅記 [ 編集 ]

No title

風旅記さん、こんにちは。

>おそらく近い世代ではないでしょうか。

そのようですね。 でも私のカメラとの出会いは特殊でして、最初に使ったのが家にあったレンジファインダー式のカメラで、測光機能一切ナシ、ピントは元よりシャッタースピードや絞りといった撮影条件は全て自己決定というツワモノでした。 これを9歳のガキが使ったのですから、ほとんどマンガの世界です。

しかし、この全てが自己決定でないと撮れないカメラが、写真の知識を身に沁み込ませてくれました。 だから、齢食ってもこんなに偏固なのかも・・。
2015-10-03 * 風来梨 [ 編集 ]