2015-04-05 (Sun)✎
路線の思い出 第96回 三木鉄道・三木駅 〔兵庫県〕
旧国鉄の駅舎を
そのまま使用していた三木駅
《路線データ》
営業区間と営業キロ 廃止年月日 転換処置
厄神~三木 6.8km ’08/ 4/ 1 神姫バス
(旧国鉄・三木線からの第三セクター移管線)
廃止時運行本数
19往復(土・休日は17往復)
三木駅(みきえき)は、かつて兵庫県三木市福井2丁目にあった三木鉄道三木線の駅で、三木線の終着駅となっていた。 2008年3月末の三木鉄道の廃線に伴い廃駅となった。
駅舎に接して単式ホーム1面1線のある構造であったが、高木側に切欠きホームがある為に実質は1面2線となっていた。 この切欠ホームは元は貨物用で、1999年に列車を増発する際に新しく線路を敷き直して増設されたものである。 単式ホームが1番線、切欠ホームが2番線が割り振られていたが、切欠ホームの2番線は朝の列車1本のみの使用となっていた。
その他車両留置用の側線1本をもち、これは構内の手前で本線から分岐し、構内奥にある車庫に至っていた。 夜間滞泊も設定されていて、週1回の間隔で2番線の車両は停車場へと移動し、給油と車両清掃を実施していた。 月1回の間隔で、ミキ300-103,104,105の車両入れ替えを行っていた。
うち1車両は、車庫へと回送されていた。
駅舎は木造瓦葺平屋建ての開業当時からのもので、内部の旅客が立ち入る事のできる部分には広い待合所のほか出札口があった。 当駅は三木鉄道で唯一の直営駅であった。 三木鉄道では普通運賃の収受は基本的に車内での精算によるものとされ、当駅の出札口では入場券、定期券、回数券、記念乗車券および鉄道向けアイドルのCD等を販売していたが、鉄道線内の片道及び往復乗車券は廃止直前まで販売していなかった。
駅名で三木を名乗ってはいるが、三木市の中心部は神戸電鉄粟生線にある同名の三木駅の付近にあり、この駅の周りは町外れといった風情である。 三木市役所はいずれの三木駅からも近くなく最寄り駅は神戸電鉄粟生線の三木上の丸駅となっている。 当駅から神戸電鉄の三木駅までは徒歩15分ほどの距離である。
旧国鉄線からの第3セクター線の挫折を端的に表したのが、この三木鉄道だと思う。
路線のあるローケーションは、兵庫県の県都・神戸の衛星都市である三木市で、人口も流動もそれなりにある。 だがこの鉄道は、その街の流動である県都・神戸とは真逆の加古川方向へ敷設されたのである。
国鉄時代の入場券
そして路線距離も6.8kmと短く、第三セクター鉄道として残す意味の薄い路線であった。
だが、国鉄転換時の『第三セクター神話』に乗った勢いと、「鉄道のない街」というレッテルを避けるため為だけに第三セクター運営に踏み切った路線であった。
広い田畑の奥に住宅地
状況としては過疎地ではないのだが
それでも鉄道は成り立たない
だが、運行経費は元より、バス路線並みの営業キロであるにも関わらず、鉄道は駅へ行かねば利用ができないなどバスに比べての利便性が著しく劣り、結局路線廃止へと追い込まれたのである。
いや、マイカーの普及によって三木鉄道は元より、三木市より神戸市内に至る準大手私鉄の神戸電鉄の三木線ですら、路線廃止が議題に上げられたのである。 要するに、地域の『鉄道神話』は完全に無に帰したようなのである。
「ありがとう三木鉄道」記念乗車券
この路線は、そんな地域の鉄道の存廃が取りざたされていた春の一日に訪ねたのである。
三木市で行なわれた市長選挙で、“市財政再建の為に三木鉄道の廃止”を公約に掲げる候補が当選し、『廃止表明を公約に掲げた市長がこの鉄道会社の社長に就任する』という異常事態となったのである。
廃止2日前・夜の三木駅
バイク・ツーリングの帰りに立ち寄って
早速、就任早々に公約通り路線廃止を表明し、市の定例議会でも“廃止は止むなし”と正式承認された・・というゴタゴタな経緯の最中であった。 このような訳で、まだ廃止の日時とかは確定していないが「遅かれ早かれ廃止される事が確実」となっていたので、『最後の春』を撮るべく早めの『葬式鉄』を敢行したのである。 なぜなら廃止の日時が確定すると、その翌日から鬱陶しい『葬式鉄』の本職どもが押し寄せてきて『春の良き一日』は蹴散らされてしまうからである。
まぁ、『葬式鉄』との奴らと違う所は、「前夜から出張ってきた」という事であろうか。 でも『鉄』からしたら、車でやってきたワテは『慮外者』なのだろうけど。 ・・で、予想通り、好天が期待される春の一日なのに、前夜の三木駅には『鉄』の姿は無かったよ。
耕畑とニュータウン化した民家がおりなす
“現代の田舎風景”の中をゆく
“現代の田舎風景”の中をゆく
一夜を車の中で仮眠して明かすと、翌朝は予報通りいい天気だった。 早速、沿線に繰り出して、「春を感じるイメージ」の撮影場所を探す。 写真撮り(といっても、ナンチャッテな写真床だけど)には、この時間が最も楽しい時間帯ですね。
だ・か・ら・・、ワテは『事前のロケハンはしない主義』なのですね。 事前にそれをやってしまうと、今この時感じている『楽しみ』が帳消しになっちまうし。 それ故、撮り逃しや撮り忘れなどのオチャメが多い=ナンチャッテな『写真床』なのですな。 まぁ、ワテの人生の訓は、「その場凌ぎ」・「ドンブリ勘定」・「行き当たりバッタリ」・「出たとこ勝負」・「結果オーライ」・「成り行きまかせ」と『ロクデナシ路線』の王道をゆくのだから。
荒地となった耕地に
春のいぶきが芽吹いて
細々と咲く観賞用の
桜の枝を配してみましたが
桜満開には少し早いので細々と咲く枝桜を配してみたり、荒地に芽吹くタンポポの花を入れてみたり、御前10時頃の閑散とした駅でひと息着く気動車を捉えてみたり・・と、その場で思い浮かんだ発想をアングルに取り込む楽しさであふれかえっていた。
通勤時を終えて閑散とした駅で
気動車がつかの間の休息を取っていた
気動車がつかの間の休息を取っていた
これって、「念密な下調べとロケハンという下見」という『撮り鉄撮影』のセオリー通りにすると、ほとんどが『予定通り』という概念によってかき消されて、新たなるサプライズが起こりにくいなぁ・・と端的に思ったのである。 あぁ・・、「写真のセオリーなんぞクソ喰らえ!」の『ロクデナシ』な『写真床』で本当に良かったと思うよ。
・・で、昼近くなって、日の光が眩くなってきたなら、「コレがいいかな」なんて思って狙ってみる。
それは「眩い光線に眩い花」という、この時に瞬間で思いついた発想である。 その成果は、コレですね。
昼下がりの停留所では
眩いばかりに春が謳歌していた
後は途中駅の石野駅に立ち寄り、木造の朽ちた駅舎と放置された自転車のおりなす『昭和』にタイムスリップしたかのような駅情景を納めて、次の撮影地に向かう。
この黄色い自転車
効いてるねぇ
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No title * by 散位 アナリスト杢兵衛
のどかですね。
No title * by 風来梨
殿下・・、久々の御来訪、有難きめいわ・・もとい、幸せにございます。 この喜びにて、落涙を禁じ得ませぬ。
ぢ・つ・わ・・、ワテもこの時まで殿下と同じく、「いつでも落とせる」とタガを括っておりましたです、ハイ。
神鉄の三木線は、毎年10億円の赤字補填の仕分けで行政体同士が揉めているらしいですな。 神戸市内に入っているといっても、新開地での乗り換えが利用客に嫌われているようですな。 でも、そんな事言ってたら足退化するぞ!
また、神鉄が出した行政体に設備売却の上での上下分離経営案も、神鉄の「(下げ渡した設備を)タダで使わせろ」というのが行政体の逆鱗に触れ、交渉は決裂した模様。
で、今は問題を棚上げの放置プレイで推移しているよ~です。
さて、どうなりますことやら・・。
ぢ・つ・わ・・、ワテもこの時まで殿下と同じく、「いつでも落とせる」とタガを括っておりましたです、ハイ。
神鉄の三木線は、毎年10億円の赤字補填の仕分けで行政体同士が揉めているらしいですな。 神戸市内に入っているといっても、新開地での乗り換えが利用客に嫌われているようですな。 でも、そんな事言ってたら足退化するぞ!
また、神鉄が出した行政体に設備売却の上での上下分離経営案も、神鉄の「(下げ渡した設備を)タダで使わせろ」というのが行政体の逆鱗に触れ、交渉は決裂した模様。
で、今は問題を棚上げの放置プレイで推移しているよ~です。
さて、どうなりますことやら・・。
No title * by 風来梨
アナリスト杢兵衛さん、こんばんは。
ほんと、長閑でしたよ。
こういう何気ない長閑な風景が減ってきているのは、残念な事ですね。
ほんと、長閑でしたよ。
こういう何気ない長閑な風景が減ってきているのは、残念な事ですね。
ここは国鉄時代に乗って以降一度も訪れないまま廃止になってしまいました。いつでも行ける、なんて呑気に構えていたら無くなっていたという・・・。神鉄のほうも微妙だそうですが、どうなるのでしょうか。