風来梨のブログ

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路線の思い出   第89回 士幌線・幌加駅(タウシュベツ)

路線の思い出   第89回  士幌線・幌加駅(タウシュベツ) 〔北海道〕


タウシュベツの露出部分と
朝に染まる東大雪の山なみ

《路線データ》
  営業区間と営業キロ  輸送密度(’79) / 営業係数(’83) 廃止年月日  転換処置
帯広~十勝三股 78.3km   359   /    1743            ’87/ 3/23      十勝バス
 
廃止時運行本数
         帯広~十勝三股 4往復《糠平~十勝三股 バス代行運転》
         帯広~糠平   1往復
         帯広~上士幌  下り1本

幌加駅(ほろかえき)は、かつて北海道河東郡上士幌町字幌加にあった旧国鉄・士幌線である。
士幌線の廃止に伴い、1987年(昭和62年)3月23日に廃駅となった。 駅名の由来は所在地名からで、アイヌ語の「ホㇿカナイ」(逆戻りする・川)に由来し、近隣を流れる現在の幌加音更川の大きく曲がった流路を表現した地名との事である。

駅舎は構内の東側に設置され、旅客用の島状の単式ホーム1面1線と、糠平方から分岐し駅舎横の貨物ホームにつながる貨物線を有し、駅裏側に貨物積卸用の副本線を有していた。 駅舎側の貨物線からはさらに、北側に広がる営林署のストックヤード(貯木場)への専用線が伸びていた。 無人化後は貨物線・専用線は撤去されたが副本線は撤去されずに残り、廃止までこの配線であった。

1978年(昭和53年)12月20日 の貨物取り扱い全面廃止に続き、その5日後の12月25日 には糠平~十勝三股間の列車運転が休止され、この日より上士幌タクシー受託のマイクロバスによる代行輸送となった。

この時点で民家は、駅前商店「船戸商店」など数軒が残るのみとなっていた。
休止後も同区間は名目上は鉄道路線として存続しており、幌加駅・十勝三股駅共に駅として国鉄の時刻表にも引き続き掲載されていた。 しかし、列車が発着する事はなく、事実上は廃駅となっていた。

1987年(昭和62年)3月23日の士幌線の全線廃止に伴い、当駅も廃駅となる。
同線はバス路線に転換され、引き続いて上士幌タクシーのマイクロバスが運行される。
廃止後に駅舎は取り壊されたが、ホーム(旅客用・貨物用共)及びポイントを含む線路が残っている。
また、保存団体によりレプリカの駅名標が設置された。

駅跡の敷地には、北海道開発局帯広開発建設部の幌加除雪ステーションの建物と除雪車の車庫が設けられて、国道273号の除雪拠点となっている。


路線廃止後の上士幌タクシーによる代替バスは、沿線の極端な過疎化(糠平地区以外はほぼ無人化)によって2003年9月いっぱいで廃止され、同年10月より帯広〜糠平~旭川間の高速バス〔ノースライナーみくに号〕が十勝三股停留所を新設し、幌加温泉入口停留所と糠平方面の乗降も可能として代替しているが、当駅跡周辺には停留所は設置されていない。


そのノースライナーみくに号〕も、同区間の過疎化で乗降客皆無の状態が続き、定期停車扱いから予約乗車及び申告下車に乗降扱いの変更がなされている。




   幻の橋・再訪・・へ
糠平には一般で言う夕方6時過ぎに着いた。 恐らく都会では、どの放送局も『6時のニュース』を放映して、まだ夕食の段階でもない位だろう。 でも、ここの6時は、深夜にドップリとハマった雰囲気だった。 店の全ては閉店し、ホテルも豆球のような補助灯のような光を出している。
人は全く出歩かず(まぁ、氷点下14℃で出歩く奴もどうかしていると思うが)、車も峠を越えてきたトラックが疾走するだけ。

それに加えて、「コンビニの一つも・・」というアテが外れて、途端に夕飯に干上がってしまった状況。
これで、前回のように完全に人里離れたタウシュベツへの林道まで車を回送してそこで寝るっつ~のは、かなりリスクが高いよな・・と思えてきた。


今回に挙げた幌加駅は
『最寄駅』というだけだったりして

それで、糠平の観光用の駐車場で寝る事にした。 ここは目の前がトイレだし、トイレは暖房が効いて温かいし・・である。 で、何もする事ないし、外出ると寒いし、食料もなくてひもじいので、7時過ぎには寝た。 この前は氷点下4℃位だった。 だが今年は、前日停泊場所の『スワン44・ねむろ』で氷点下9℃まで下がっていた。 やはり、今回の方が寒いのだろうか。


前回に訪れた時は
辛うじて橋の下に入れましたが

で、寒さで何回か小用を催して起きたが、AM1:20の時点で、車の中が氷点下14.0℃まで落ちてやんの。 ダウンジャケットを着てシュラフに包まり、首に毛糸の服を巻きつけたらそんなに寒くは感じなかったけど、山でのテントで味わった氷点下20℃や、旧天北線・松音知の氷点下26℃に匹敵する温度だ。


今回はどうでしょうか
帰りに撮った旧線の路盤跡

さすがに「少しヤバめ」と感じてエンジンをかける。 なぜエンジンをかけたかと言うと、朝にエンジンがかからなかったらジエンドだからである。 どこまで気温が下がるとエンジンがかからなくなるかは解らんが、とにかくここで10分ほどエンジンをかけて冷却水を暖めておいた方が無難か・・と思ったので始動キーをひねる。

幸いエンジンは一発でかかり、「さすがは寒冷地仕様の車だ」と感心する。 
10分でエンジンを止めて再び就寝。 この後、4:25まで3時間グッスリ寝る。 氷点下14℃の中で、都合7.5時間寝たよ。
でも、車の中では風に煽られる事も、結露で濡れる事もないから、テントで山の中での氷点下3℃(この時です)よりも体感温度は暖かいのである。

さて、風に煽られぬとはいえ、車内温度は-14℃。 2リットルボトルの伊藤園「お~い、お茶」は、至凍園「おぉ・・氷茶(こおちゃ)」になっとるがね。 まぁ、天北線の松音知の膨張氷結よりはマシだがね。 でも、近ごろ滅多に味わえないものすごく美味な茶になっていた。 この茶があれば、朝飯のひもじさも耐えられる!?

今回は雪が少なく歩きやすかった
※ 帰りに撮影

さて、ここからタウシュベツの入口である糠平湖東岸林道まで10km。 パリパリに凍ったアイスバーンなので30km/hでゆくと30分以上かかる。 出発は5時前で、到着は5時半頃。 着いてすぐに林道に繰り出す。

車を止めた所は前と同じだったが、今回はゲートが設けられて施錠されていた。 施錠されたゲートの脇をすり抜けて、林道を歩いていく。 今回はゲートで車を締め出していたので轍がなかったが、前回より道が広く感じたし、思ったより歩きやすかった。 どうやら、雪は少ないみたいだ。 それに一度歩いた強みからか、周囲の状況が思ったよりも目に入ってきた。

前回は轍を見つめて必死に歩いた感があったが、今回は空の縁が徐々に明けて紫色からオレンジ色に変りゆくのを目にできた。 また、糠平湖が湛える氷も視認できた。 そして、ちょうど1時間の6時40分、空がおぼろげに明るくなった頃にタウシュベツの前に着く。


夜明け前の素晴らしき情景だった
が・・橋はほぼ雪に埋もれていた

で・・、そのタウシュベツは、御覧のようにこの前よりも更に埋もれてた。 橋のアーチ部分が完全に雪に埋もれてる。 でも、天気は雲一つない快晴で、その分放射冷却も凄く、時計についてる温度計は氷点下18.5℃まで落ちていた。 昨日、耳ワッカ買っといて良かったよ。 さすがに氷点下18.5℃まで落ちると、耳アテ無しではキツいし。


夜明けのタウシュベツ

でも、周囲の山は朝日に程よく染まって美しい。 また7:20頃には、御来光が氷に埋まった橋のやや左後ろという絶好のポジションから橋と氷上を金色に染め上げながら上がっていく。 これだけでも、夜明け前から歩いてきた甲斐があったというものだ。


美味しい事に
最も望まれる所から朝日が昇り


雪に埋もれた朽ちた橋は朝の光を浴びて
湖から現われる金の龍の如くキラキラと輝き始めた


屏風山とウケケサンペ山と


まるで御神渡しのような

ただの氷に埋もれた橋が、氷の湖から現れる金の龍の如くキラキラと輝いている。
我を忘れて写真を撮りまくった。 やがて、その黄金のショーも終わって、朝の情景も一段落する。
こうなると、そろそろに引き上げ時たろう。


タウシュベツへの足跡を残して


ハッキリと視認できた旧線路盤跡
旧線はここから直線的に幌加へ通じていた

帰りは、黄金のおりなす情景に興奮も醒めやらなかったので、あっという間にゲートまで戻りきる。
車に戻って、今朝におっかなびっくり通ったアイスバーンを戻っていくが、途中に士幌線付け替え線のアーチ橋がいくつか見えてくる。


士幌線のアーチ橋群
タウシュベツと共に北海道文化遺産である

「一応、これも撮っておこうか」と、車を止めて写真を撮る。 「これも撮っておこうか」と評したこの橋梁たちは、今やこの糠平郷の主観光資源となっていて、駐車を止めて観覧するスペースが国道沿いにいくつもある。 遊歩道として渡れる橋もある程である。


遊歩道として渡れる『観光橋』もあった

だが、タウシュベツのような『オーラ』の漂う橋は残念ながら見当たらないが・・。
まぁ、湖水の中に晒されて65年の年季が入ってるタウシュベツは、もはや魂が宿っているかのさえの錯覚を覚えるので、比べるだけ無駄なのかも。


だがコイツのように
魂が宿るようなオーラは感じられなかった
※ 前回訪問時の割と露出したタウシュベツ

    ※ 詳細は『撮影旅行記集』の『地球遺産と鉄道の旅』の4日目》を御覧下さい。
      






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No title * by 散位 アナリスト杢兵衛
想像を絶する寒さですね。
朝日は素晴らしいです。、

No title * by 風来梨
アナリスト杢兵衛さん、こんにちは。

氷点下10℃以下になると、『寒い』という感覚より『痛い』という感覚を感じますね。 でも、神秘的な朝の情景を魅たなら、興奮してそんな事は忘れちゃいますよ。

No title * by たけし
一日のうちで一番気温の低いのが夜明け前。
冬の北海道で雪の中、だからこそきれいな写真がとれるのですね!
実に素晴らしい!!

ナイス!

No title * by 風来梨
たけしさん、こんばんは。

夜明け前から御来光までの情景は、目にすると興奮に打ち奮えます。
そして、前にオーラが漂う幻の橋(湖の水位で水没する)なら尚更ですね。

これを魅たいが為に、ちょっとムリしちゃいますね。

No title * by tom
こんばんは
タウシュベツには行ってみたいですが、冬はごめんですね。しかし苦労されただけあって見事な画像ですね。

しかし天北線の-26度とは、・・貴殿のようなプロでなければ間違えなく死んでますね。ご経験のすごさに感服します。

No title * by 風来梨
tomさん、こんばんは。

普段はかなりの物臭さで、外に出るのも面倒臭いと思う性質何ですけど、趣味にだけはかなり入れ込んで「イケイケ」の無茶をしてしまいますね。

振り返れば、これで自己満写真と一夜でも語れる(聞く方は迷惑かも)体験を得る事ができたので、よかったと思ってます。

コメント






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No title

想像を絶する寒さですね。
朝日は素晴らしいです。、
2015-02-23 * 散位 アナリスト杢兵衛 [ 編集 ]

No title

アナリスト杢兵衛さん、こんにちは。

氷点下10℃以下になると、『寒い』という感覚より『痛い』という感覚を感じますね。 でも、神秘的な朝の情景を魅たなら、興奮してそんな事は忘れちゃいますよ。
2015-02-23 * 風来梨 [ 編集 ]

No title

一日のうちで一番気温の低いのが夜明け前。
冬の北海道で雪の中、だからこそきれいな写真がとれるのですね!
実に素晴らしい!!

ナイス!
2015-02-23 * たけし [ 編集 ]

No title

たけしさん、こんばんは。

夜明け前から御来光までの情景は、目にすると興奮に打ち奮えます。
そして、前にオーラが漂う幻の橋(湖の水位で水没する)なら尚更ですね。

これを魅たいが為に、ちょっとムリしちゃいますね。
2015-02-24 * 風来梨 [ 編集 ]

No title

こんばんは
タウシュベツには行ってみたいですが、冬はごめんですね。しかし苦労されただけあって見事な画像ですね。

しかし天北線の-26度とは、・・貴殿のようなプロでなければ間違えなく死んでますね。ご経験のすごさに感服します。
2015-02-24 * tom [ 編集 ]

No title

tomさん、こんばんは。

普段はかなりの物臭さで、外に出るのも面倒臭いと思う性質何ですけど、趣味にだけはかなり入れ込んで「イケイケ」の無茶をしてしまいますね。

振り返れば、これで自己満写真と一夜でも語れる(聞く方は迷惑かも)体験を得る事ができたので、よかったと思ってます。
2015-02-25 * 風来梨 [ 編集 ]