2014-11-24 (Mon)✎
日本の滝を訪ねて 第116回 風折滝 〔三重県〕
風に靡く・・
優雅な姿の滝が潜んでいた
風折滝 かざおれたき 落差 80m 三重県松阪市(旧 飯高町)
落水が風になびく様から名づけられた《風折滝》。 紅葉をまとって風になびくその姿は繊細で優雅で、何か触れ難いものを感じるのである。 今回は、知名度が低いが為にほとんど知られていない渓谷に潜む優雅な滝を御紹介しよう。
奥香肌峡・宮ノ谷峡谷 遡行図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
橿原市街より車(2:00)→蓮峡・宮ノ谷林道終点(1:00)→水越谷出合(1:30)→風折(1:20)→水越谷出合(1:00)→蓮峡・宮ノ谷林道終点より車(2:00)→橿原市街
※ 風折滝へは踏跡不明瞭な沢歩きとなる
この滝を探勝するに当たって、準備とある覚悟が必要となる。 それは、“水に入る”、“沢を渡る”といった覚悟と、沢を渡る為に必要な“道具”が必要だという事である。 “覚悟”という意味をあり丁寧にいうと、完全に“濡れる”という事だ。
衣服が濡れていく事によって生じる気力の低下や疲労感、体温の低下などの全てを把握せねばならない。 そうなれば、“濡れてもいい物”が必要となるだろう。 それが徒渉靴であり、徒渉時に体を支えるピッケルであるのだ。 これらの専門道具を使いこなして、幽谷にひそむ名瀑を訪ねてみよう。
衣服が濡れていく事によって生じる気力の低下や疲労感、体温の低下などの全てを把握せねばならない。 そうなれば、“濡れてもいい物”が必要となるだろう。 それが徒渉靴であり、徒渉時に体を支えるピッケルであるのだ。 これらの専門道具を使いこなして、幽谷にひそむ名瀑を訪ねてみよう。
沢には何とも
毒々しい花が咲いていた
この《宮ノ谷峡》を今回の行程表通りに探勝するには、ほぼ1日かかってしまうのである。
従って、前夜に林道終点まで、マイカーでアプローチする事が絶対条件となるだろう。
ただ、灯りの全くない山峡の懐で一夜を過すというのは、それ相当の度胸が必要なのである。
ここは美しい滝を望む為の試練として、ひたすら我慢しよう。 翌朝、目覚めたなら、すぐの出発だ。
渓谷入口からしばらくは、細い“犬走り”状の道を伝っていく。 この道を下り気味に進むと、上下二股に分かれた分岐に出る。 上の道が探勝路、下が景勝《犬飛び》への展望台への通路だ。 《犬飛び》は、分岐からすぐにあるので立ち寄ってみよう。 ここは両岸が5m程までに接近している景勝だ。
従って、前夜に林道終点まで、マイカーでアプローチする事が絶対条件となるだろう。
ただ、灯りの全くない山峡の懐で一夜を過すというのは、それ相当の度胸が必要なのである。
ここは美しい滝を望む為の試練として、ひたすら我慢しよう。 翌朝、目覚めたなら、すぐの出発だ。
渓谷入口からしばらくは、細い“犬走り”状の道を伝っていく。 この道を下り気味に進むと、上下二股に分かれた分岐に出る。 上の道が探勝路、下が景勝《犬飛び》への展望台への通路だ。 《犬飛び》は、分岐からすぐにあるので立ち寄ってみよう。 ここは両岸が5m程までに接近している景勝だ。
秋・・ 豊かな彩りにつつまれる渓谷
いい伝えによれば、大蛇に追い詰められて八方塞がりとなった猟師が、猟犬がこの間を飛び越えたのを見て覚悟を決めて自らも飛んだが下の淵に飲み込まれた・・という。 この事で、『犬飛べるが・・』が《犬飛び》となったらしい。
《犬飛び》の眺めを楽しんだなら探勝路に戻り、更に奥へ進んでいこう。 探勝路は、朽ちた鉄ハシゴや溝敷用の鉄版を岩に打ち込んだだけの半分穴の空いた桟橋が、岩のヘツリにへばりつく感じで続いている。 これは、いつ落ちるか判らぬ“ロンドン橋落ちた”状態でかなりおっかない。
《犬飛び》の眺めを楽しんだなら探勝路に戻り、更に奥へ進んでいこう。 探勝路は、朽ちた鉄ハシゴや溝敷用の鉄版を岩に打ち込んだだけの半分穴の空いた桟橋が、岩のヘツリにへばりつく感じで続いている。 これは、いつ落ちるか判らぬ“ロンドン橋落ちた”状態でかなりおっかない。
しばらくこれを伝っていくと、『この桟橋は落下の危険があるため通行禁止』との立て札があり、その下に『これより先は沢を歩く』とあった。 やはり、行政の観光課も、この惨状に整備を放棄したようである。 とどのつまり、“あまり人も訪れないし、ほったらかしにしておけ”なのである(近年、遊歩道が取り替えられたようだ)。
さて、これよりは、様々な思惑も重なって沢歩きとなる。 だが、まだ河原の上を伝うのが主で、上手に沢を跳び越せば水に浸からずに進んでいける。 進んでいく内に沢の流れが早くなってきて、再び右岸の大岩に切られたヘツリに上がり、大きな沢を細い一枚鉄板の桟橋で渡る。 渡った所が《二股》である。
ここは《風折滝》のひそむ《水越谷》と、本谷である《高滝谷》の合流点である。
険悪な沢伝いを強いられる水越谷
ここから始まる《水越谷》は、完全な沢登りである。 一般のハイカー装備では、まず入渓はできない。
その証拠に、この分岐に《水越谷》での遭難を記した石碑が祀っているのである。 その横にある『風折滝→40分』の看板は頂けないが。
その証拠に、この分岐に《水越谷》での遭難を記した石碑が祀っているのである。 その横にある『風折滝→40分』の看板は頂けないが。
ともかく、その道標の通り左の谷へ進んでいくと、いきなり道が途切れる。この先は沢に入って岩間の滑滝や大岩を“中央突破”するか、山肌に取り付いて“道なき道を切り開く”が如く、枯草とブッシュを掻き分けるしか手がなさそうである。
ワテの所感ではあるが、後者の“道なき”の方が幾分楽に切り抜ける事がてきそうである。 これを切り抜けると、沢は函状を成してきて、ますます幽谷の趣となってくる。 当然、このほとんど足場の切られていない函崖を、トラバースで伝っていかねばならない。
風折滝までは険悪な沢伝いだ
進んでいくとこれとて途切れてしまい、いよいよ沢の水際へと追いつめられる。 そして、大きな岩が前方に隔たった淵の前に出る。 登りの時は何とかこれよじ登る事ができるが、下りはこの大岩が淵に浮かぶ島のようになっていて、その高さもあってちょっと飛び降りるには躊躇してしまう。 どうしても、“もし、着地にしくじったら”という考えが頭を過るのである。
下りは覚悟を決めて、滑滝となっている伏流の流れを直接下って、淵を迂回するしかなさそうだ。
たぶんここまでで、あの看板に記してあった『40分』は十分経過している事だろう。 この厄介な淵を乗り越えると、今度は沢滝を避けるべく滝の横にある岩の隙間から上へ這い上がる難所が待ち受けている。
これは、滝の直接登りよりはましなものの、滝の伏流水が岩間から滴り落ちるのを浴びながらくぐり抜けねばならない。 この岩の“くぐり抜け”を越えると、いったん函状の幽谷から抜け出て、明るい日差しを浴びた沢がキラキラと輝く絶好の休憩場所に出る。 2つの難関を突破して少し疲れ気味であろうから、しばし休息を取ろう。
光を当てるだけで“芸術”となる
水の流れを見てちょっと一服
この先も道らしき道はなく、この開けた沢筋を伝っていくのだが、この沢筋にしても崖から崩れ落ちた岩がゴロゴロと転がる歩きにくい河原である。 やがて急激に両岸が狭まり、大きな瀑音が山峡に響く15m位の滝の前に出る。 この滝は、《風折滝》の釜から流れ出る水が岩盤を削り取った“後発滝”のようである。 そして、その横にロープを垂らしてある。
風折滝が創造した後発滝
ロープを手にこれの直登りだ
滝の素性はどうであれ、この滝の横を“直に登る”事に間違いはなさそうである。
もう、これは“滝しぶき”どころか、滝の落水をもろに浴びながら登らねばならない。
それに足場は濡れたツルツルの岩盤で、沢靴でなければ踏ん張りが効かず登りきれないだろう。
これを越えると、山峡の果ての幽谷に滔々と白布を掛ける《風折滝》が見えてくる。
山峡を吹き抜ける風にその姿をなびかせる
私を放心状態にさせた
神秘の滝の情景がそこにあった
この白布はその名の如く、山峡に吹き抜ける風にその姿をたなびかせる神秘的な情景を示していた。
何と魅せられる情景だろう。 しばし、この神秘的な白布の前に呆然と立ち尽くす。
そして、周りを囲む幽谷の趣が、この白布を望む事のできた感動を更に盛り上げてくれる。
風に靡く優雅な滝をごろうじろ
幽谷の果てにある神秘の滝
滝の上部をクローズアップ
やや強い風が
渓谷内を抜けて
その風に滝の落水が
靡いていた
なんと優雅な滝よ
ここは山峡の“袋小路”。 つまり“山峡の果て”なのだ。 その思いで胸が一杯になったなら、往路を下るとしよう。 下りは、上りで困難だった地点が更に苦難となる所もある。 滑ったりせぬよう、細心の注意を払っていこう。
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No title * by テンちゃん
本当に優雅で綺麗な滝ですね。
No title * by 風来梨
ten*un1**5さん、こんばんは。
私的には、関西圏で最も優雅な滝ですね。
でも、訪れるには結構な困難が伴う沢遡行で、とても一般向けではないですね。
私的には、関西圏で最も優雅な滝ですね。
でも、訪れるには結構な困難が伴う沢遡行で、とても一般向けではないですね。