風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第144回  谷川連峰・秋

『日本百景』  秋  第144回  谷川連峰・秋  〔群馬県・新潟県〕
 

白雪をまとうマチガ沢より
谷川岳の岩稜を望む
 
  谷川岳 たにがわたけ (上信越高原国立公園)
群馬・新潟県境にそびえる谷川岳 1977メートル は嶮しい山容を示し、ロッククライミングのメッカとなっているが、その一方で遭難者も多く“魔の山”としても知られている。 
この山は、山頂部に三角点のある“トマの耳”と、その北に最高点の“オキの耳”の2つのピークを持つ双耳峰で、山麓から仰ぎ見ても、この『耳二ツ』はよく目立つ。 

群馬県側の東斜面は雪崩・豪雨などの浸食作用で嶮しい谷を刻み、中でも一ノ倉沢の谷は容易に人を寄せつけず、クライマー達の初登攀 とはん 争いの舞台ともなった。 
山頂からは、燧ケ岳・越後三山・苗場山などの眺望が素晴らしい。
 

 

谷川連峰縦走路 行程図
 
    行程表            駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR越後湯沢駅より鉄道利用(0:30)→土合駅(1:00)→巌剛新道入口
     (3:40)→肩ノ小屋分岐(0:05)→谷川岳・トマの耳(0:15)→谷川岳・オキの耳
     (0:20)→肩ノ小屋(2:00)→大障子避難小屋
《2日目》 大障子避難小屋(1:20)→万太郎山(2:30)→エビス大黒ノ頭(1:30)→仙ノ倉山
     (0:50)→平標山(0:40)→平標山ノ家(1:40)→平標登山口よりバス
     (0:40)→JR越後湯沢駅
 

秋の紅葉と
マチガ沢出合にて
 
  《1日目》 巌剛新道を使って谷川連峰・国境稜線縦走路へ
さて、この項目では、谷川連峰を縦走して越後の国へ抜ける山旅を御紹介しよう。 それも、紅葉美しい《一ノ倉沢》や《マチガ沢》を望み、初冠雪をまとった美しい峰々を目指す最も贅沢な時を選んで登ってみようと思う。 このプレミアムステージを目指すには、やはりそれ相当の準備が必要だ。
 

冠雪の谷川岳主稜線を望む
 
初冠雪とはいえ、雪である。 当然、夏とは全く違う条件となるのだ。 登頂に要する時間や稜線を歩く所要時間も、夏のようにはいかないのである。 その点を十分に留意して楽しんで頂きたい。
 

かつては登山急行も停車していた
谷川岳の玄関口・土合
 
さて、今回も前項目と同じく鉄道利用の形としたが、JR上越線の土合駅発着本数は1日上下5本づつと、とても使えたものではない。 従って、前日に登山口にアプローチするのは当然の事であるが、どうせ登山口で一夜を明かすなら、思い切って《一ノ倉沢出合》まで進んでいくのはどうだろう。
紅葉に彩られた素晴らしい情景を・・、それも夕景と夜明けの空との両方を味わう事ができるのだ。 

また、《一ノ倉沢出合》はテント場・避難小屋・トイレ・水場・駐車場(シーズン中は一般車通行規制あり)と全てが整備されているので、寒さ対策さえしっかりすれば(これから冠雪の山に登るので、その位の準備は万全であろう)テントなしでも一夜が明かせるのである。 
前おきが長くなったが、それでは登山を始めよう。
 

一ノ倉沢・秋景色
華麗なる情景は是非とも見ておきたい

朝、夜明け前に《一ノ倉沢出合》に立とう。 紅葉真っ盛りである10月中~下旬の日の出時間は、6:00過ぎであろう。 日の出前の瞬間を《一ノ倉沢》で味わって、日の光が輝く瞬間を《マチガ沢》で味わうという少々欲張りな計画を立ててしまったので、一ノ倉沢は6時前の出発となる。 
当然、いつでも出発できるように準備をしておこう。 《一ノ倉沢出合》から『巌剛新道』の登山口である《マチガ沢出合》までは30分位の距離である。
 

これから雪に輝く
あの美しい峰を目指そう

《マチガ沢》で雪をまとった岩稜が輝く様を望んだなら、登高開始だ。 
『巌剛新道』の登山口をくぐると、しばらく石畳みの道が続く。 やがて、前項目で述べた『マチガ沢登攀コース』との分岐であった所に出る。 だが、今はこちらのルートは廃道となったようで、ロープで進入を防いでいた。
これを越えると石畳みの道は終わり、山道らしい急傾斜となってくる。 そして、この傾斜を急登で登っていくと、チラホラと根雪が現れてくる事だろう。 

登るごとにこの根雪が増えてきて、やがて完全に地面が雪で覆われる程までになると、《見晴台》と呼ばれる展望地に着く。 《マチガ沢大滝》と雪をまとった東面の荒々しい岩稜が、美しい情景を魅せている。 そろそろ疲れも出る頃だろうから、ここで素晴らしい景色を眺めてリフレッシュしよう。
 

谷川岳主稜線と
マチ沢大滝を望む
 
この《見晴台》は、谷川岳の頂上までの約半分・・といった所であろうか。 《見晴台》より30分ばかり登ると、《西黒尾根》の岩稜に取り付く。 ここは、前項目でも述べた通り鎖場となっている。
レベルとしては簡単なものだが、今は“雪つき”の条件であるので難度は比べ物にならない程に高まる。
もし、下山でこのルートを通るなら、それなりの雪山技術が必要であろう。
 

振り返れば白毛門が
美しい三角錐を魅せる

この鎖場を乗り越えると、《西黒尾根》の稜線上に出る。 この稜線上からの展望はすごぶる良く、東面の《マチガ沢》の荒々しい尖峰群に加え、前面に谷川岳本峰が迫力を持って押し迫ってくる。 
また左側は、ロープウェイの駅と《天神尾根》の登路を登るハイカー達も見渡せる。
 
なお、こちらの《天神尾根》は雪もほとんどなく傾斜も緩やかなので、この時期に谷川岳のみを目指す方はこちらのコースを使うのが賢明であろう。 実際、ハイカーと思しき軽装備の登山者は全てこちらを利用しているようだ。
 

稜線上に出ると谷川本峰の大岩壁が
眼前に立ちはばかる
美しくも“そそる”情景だ

迫力ある谷川岳の大岩壁を望んだなら、この大岩壁に取り付こう。 岩ガレが積み重なったような岩壁を登っていくが、岩に根雪が絡んで踏ん張りが利かないので登りにくい。 
この岩稜を直登気味に登っていくと、《氷河の跡》という一枚岩のV字溝を通る。
 
この時期のV字溝は完全に雪で埋まり、あまり感覚はないかもしれない。 これを越えると傾斜は緩くなり、西側から寄り添ってきた『天神尾根』直下の台地よりトラバース気味に雪田をつめると、稜線上の《肩ノ広場》に出る。 

荷物を《肩ノ広場》の石塔の一角にデポしての軽い身なりで、谷川岳の『耳二ツ』を踏んでこよう。 
三角点頂上のトマの耳へはものの5分、最高点のオキの耳へは20分位で登り着くだろう。
 

谷川岳・オキの耳と
谷川岳主稜線
 

谷川岳よりこれより伝う
国境稜線の山々を望む
 
トマの耳では、明らかに“ロープウェイで来ました”という軽装備のハイカーが弁当を広げてたむろっている。 なお、オキの耳への痩せた吊尾根は雪が少し乗っているので、往来には注意が必要だ。
 

うねるが如く連なる
谷川連峰・国境稜線
 
谷川岳の『耳二ツ』で素晴らしい眺めを満喫したなら、荷物をデポった所まで戻って縦走を開始しよう。 今日は、谷川連峰の主稜線を1/4ほど行った《大障子避難小屋》までの道程だ。 《肩ノ小屋》は10月の最終土日位までは開いているので、ひと息着いていくのもいいだろう。
 

国境稜線に
刻まれた一条の縦走路

さて、《肩ノ小屋》からは西に延びる国境稜線を伝っていくのだが、こちらは見事な程に人は通らず、山が抱く本来の魅力の“静けさ”が戻ってくる。 《肩ノ小屋》を出ると、《中ゴー尾根分岐》まで約200m急下降する。 
 
この鞍部は吹き抜ける風で飛ばされるのか雪はほとんどなく、枯れササが斜面全体を覆っている。 
振り返ると、通ってきた道程を顧みる事ができて感慨深い。 ルート上には《肩ノ小屋》からのキロポストがあって、正確な距離(あくまでも、この標示を信用しての事だか)も確認できていい。 

この枯れササ帯を下りきると、《中ゴー尾根分岐》だ。 この鞍部からは、道の状況は一変する。 
始めのうちは同じような枯れササの草原だが、徐々に尾根の幅が狭くなり、やがてハイマツの突き出る痩せた岩稜の痩せ尾根へと変わっていくのだ。
 
夏ならば大した事もないレベルの岩稜だが、それが災いしてか鎖などの設置はなく、凍った一枚岩のトラバースなどはハイマツと岩角にしがみついて乗り越えなければならない。 また、《谷川本谷》側は完全に切れ落ちて、高度感はかなりある。 線上での難所はここだけなので、気を引き締めていこう。

この難所を登りきると、《オジカ沢ノ頭》だ。 ここからの情景は、春と見まがうような美しいライトグリーンの草原が広がる。 この稜線は典型的な雪食地形のようである。 雪の乗る東面は先程のものを含めて、浸食により削られて荒々しい痩せ尾根を魅せている。 一方、季節風の影響を受けない西面は雪による浸食を受けず、限りなく穏やかな・・春を思わせるような情景が広がるのだ。
 

オジカ沢ノ頭より
谷川岳本峰を望む

この頂の上に着いたなら、これらのギャップに少し困惑するだろう。 つい先程まで、岩角にしがみつきながらの難所越えをしてきたのだから。 このため息さえ出る情景の変化に対して気持ちを落ち着かせるべく、ちょっと小休止しよう。 渇いた喉を癒す事で、随分と気持ちが落ち着くはずである。
 

草原の踏跡の先に爼嵓が
立派な山体ゆえルート取りに戸惑う
 
さて、ここからは進路を右手に変え、春のようなライトグリーンの大草原の中を下っていく。 
なお、《オジカ沢ノ頭》より直進する踏跡があるが、これは爼嵓 まないたぐら への踏跡で、《谷川本谷》の沢を遡行をしたクライマーの踏跡なので入り込まないようにしたい。 
天気のいい日ならよもや間違える事はないだろうが、爼が立派な山体を魅せているだけに目標を誤りやすく、ガスに巻かれた時などは注意が必要だ。
 

谷川連峰の名物!?
“高床式”ドラムカン

《オジカ沢ノ頭》の頂上直下に避難小屋があるが、これは写真のような造りのドラムカン(前項目の《一ノ倉避難小屋》が“高床式”になったようなもの。 さしずめバキュームカーのタンクといった所か)に毛が生えたようなもので、ちょっと使う気にはなれない。 なぜ、こんなことを記したのかというと、“これより向かう今日の宿泊場・《大障子避難小屋》もこのようなものだったら嫌だな”と脳裏に過った為である。 

草原を標高差200m大下りして対面の丘に緩やかに登り返すと、注目!?の《大障子避難小屋》が見えてくる。 形はドラムカンだが、下地の基礎がしっかりしていて見た目はまともそうだ。 どちらにせよ、この場所以外に宿泊適地はないので、小屋に向かって進んでいこう。

ちなみに、《大障子避難小屋》であるが、中は6畳位のスペースがあり、中はスノコが敷かれてあった。 
また、誰かが置き忘れたのが銀マットもあって、小屋の中にテントを張らなくても凌げそうである(私は、初めて行く所は必ずテントを所持している。 避難小屋利用の場合、“外れた”時の苦難!?を考えると『保険』は必要だろう)。 ただ、屋根に穴が開いているらしく、雨漏りはしていたが(次訪れた時は、天井の内側を塩ビの波板で覆う補修をされてたよ)。 

さて、小屋に荷物を置いて宿泊の手続き!?(シュラフを敷くなど。 どうせ誰もこないのでちょっと贅沢にスペースを取ろう)を済ましたなら、水を汲みに行こう。 水場は小屋の群馬県側の斜面を10分程下った所に、《赤谷川本谷》の源流沢がある。 二度も汲みにいくのは面倒なので、明日の行動水の分も汲んでおこう。
 
なお、この国境稜線上で確実に水を得れる所はこの場所以外にはなく、この稜線を縦走する場合の宿泊場はこの場所で設定する他にないだろう。
 

赤く染まる谷川岳本峰

小屋の中は侘しいが、誰もいないこの場所からの夕景色はまた格別であった。 こんな夕景だと翌日はたいがい雨になるのだが、今はそんな負の面の事は考えずに、この素晴らしい夕暮れ空を心ゆくまで味わおう。

国境稜線の暮れ

大障子ノ頭が赤く染まる
 

この日の空は美しくも
不吉な予兆の空であった
 

赤谷川本谷と爼を望む
 

 
  《2日目》 国境稜線を伝って越後湯沢へ
稜線の他の小屋と比べればまとも・・とはいえ、やはり“ドラムカン”。 強い風が吹くと嫌な揺れが・・、みぞれが降ると甲高い嫌な音が・・。 ここで言いたい事は、どのような状況であれ眠れる強い精神力!?が必要という事である。 冗談ぽく述べたが、眠れなければ明日しんどい思いをするのは自身の事である。 しっかり睡眠を取るように配慮して頂きたい。

・・さて、今日は行程時間9時間近くと、かなりの長丁場だ。 また、想像以上にキツいアップダウンがあり、かなり体力も必要だ。 それを踏まえてガイドしていきたいと思う。 
長丁場であるという事を踏まえて、極力早くの出発を心掛けよう。 この時期(10月下旬)の日の出は6時過ぎだ。 日の出と伴では、少々出発が遅すぎる。 空が明るくなり視界が利く5時半には小屋を出たいものである。 

さて、私の訪れた時は、昨日の空からの予想通りみぞれ混じりの荒天であった。 防寒をしっかりして(特に手)、出発しよう。 小屋を出ると、眼前にそびえる《大障子ノ頭》に向かって登っていく。
この登りはそれほど大した事はなく、むしろ起きがけで冷えている体を暖めるためには都合がいい登りである。 だが、緩やかなのはここだけで、これを越えてなおかつある万太郎山の登りは、日頃の運動不足を嫌という程に思い知らされる急登となる。 

荒天ゆえに何も見えぬままひたすら登ると、万太郎山 1954メートル の頂上に着く。 万太郎山は国境稜線のほぼ中央に位置し、谷川岳とも程よく離れているので、晴れていれば360°の絶景が見渡せる事だろう。 だが、残念な事に今日は白霧の世界で、立ち止まれば寒いだけなので早々に通過する。
なお、この頂より《土樽》へのエスケープルート『吾策新道』が分岐しているので、体調不良時の備えとして把握しておこう。 

万太郎山からは両側にササが密生する長ったるい下りで、本日のように荒天しきり・・の時は少々ストレスが溜まる。 これを下りきるだけで30~40分はかかるであろう。
 

コレがそのドラムカン
 
下りきると《毛渡乗越》という鞍部に出るが、その手前に《オジカ沢の頭》の避難小屋と全く同規格の“高床式ドラムカン”もとい避難小屋が建っている。 この避難小屋、地図表記では「’96年に建て替えられた」との事なので、これを目にすると“建て替えてこれか!?”という印象を強く抱いてしまう。

さて、このササ道を下りきった《毛渡乗越》からが、この稜線最大の登高となる。 狭いスペースにある《毛渡乗越》で『川古温泉』への下山路(このルートは長く徒渉点もあるので、エスケープルートには不向き)を分けて、《エビス大黒ノ頭》へ向けて直登気味に登っていく。
 
《毛渡乗越》が稜線上の最低点で標高は1568mであるから、実に320mのイッキ登りとなるのだ。
時には直登、時にはジグザクのつづら折りを交えての息も着かせぬ急登を、1時間以上耐えねばならない。

私は、谷川連峰は東面の峻険な谷以外は総じてなだらかな草原をイメージしていたので、この急登はイメージとのギャップでかなりキツく感じたのであるが。  また、《エビス大黒ノ頭》までは数度のコブがあり、このコブに近づくごとにあらぬ期待を抱いてしまうので、“外れた”時の精神的ダメージも大きい。
なお、この日は荒天で気づかなかったが、この登路中の群馬県側は切り立った崖となっているので、縁に寄り過ぎぬように注意しよう。 

やっとのことで登りついた《エビス大黒ノ頭》からも荒天ゆえに何も見えず、古びた道標の錆びた鉄柱を利用した“ベンチ”でひと息とため息を着くしかなかった。 ここも、晴れていれば絶景を見渡せるとの事なので、返す返す残念な事である。
 

見た目は“カワイイ”が中身はカワイくない
エビス大黒のドラムカン
※リンク先・・夏の画像でっす

さて、《エビス大黒ノ頭》からは、再び枯れササの覆う道となる。 これは《エビス大黒避難小屋》の建つ所で終わり(この小屋は、少しおしゃれなドラムカンであった。 いうなれば、《大障子避難小屋》の“小型版”といった所か)、これより谷川連峰の最高峰・仙ノ倉山に向けての最後の急登となる。
標高差で約250m。 《エビス大黒ノ頭》への登りのような鋭さはないが、かなりヘタっているふくら脛にはかなりコタえる登りだ。
 

天気が急速に回復して
山を登る喜びを得る事ができた

仙ノ倉岳の東面の登りは今までの岩稜とは打って変わって、草付きのストレート斜面をつづら折りで急登していく。 たぶんこれは、この斜面の方角がやや南に振れている為に完全な雪食を受けなかったからあろう。 坂の状況はどうあれ、キツい急登には変わりない。 ただ、唯一の救いは、この辺りから天候が急速に回復して青空も見られるようになった事である。 

青空に突き上げる峰に向かってつめていくと、両側が白い柵で仕切られた頂上台地上に出る。 
後はウイニングランの如く、白い柵に仕切られた“プレミアムロード”をつめると、谷川連峰の最高峰にして唯一2000mを越える仙ノ倉山 2026メートル の頂上だ。
 

荒天ゆえに侘しさ漂う
谷川連峰最高峰・仙ノ倉山頂上
 
仙ノ倉山の頂上は広く、また整備されていた。 おそらく、ここまでは一般のハイカーも多数やってくるのであろう。 頂上に着いた時は再び曇天となったので、《アリバイ写真》もそこそこに出発する。 
だが、この仙ノ倉山も、晴れていれば連峰でもトップクラスの展望が広がるとの事である。 
これを望めなかったのは、返す返す残念な事である。

さて、仙ノ倉山からは今までの状況から一変して、全ての通路に木道が敷かれたハイキングコースとなる。 そして、仙ノ倉山へ向かうハイカーのいでたちを見ると、縦走装備でデカいザックを背負った私は完全な“場違い”となる。
 
仙ノ倉山から平標山の間は広い草原地帯となる。 夏ならば、きっとお花畑が群生している事だろう。 
この木道上で唯一唯一気をつける事があるとしたなら、それは木道が濡れている・・、または氷が付着している事であろう。
 

平標山へは広い草原帯をゆく
木道は滑り易く要注意だ

この上に足を乗せると、見事な位ハデに転倒する。 転んだ本人が言うのだから、他山の石として留意して頂きたい。 木道で尾根上の広い草原を突っ切って鞍部まで下ると、平標山への登り返しが始まる。
この登りは完全に整備された石段の道で、《エビス大黒ノ頭》や仙ノ倉山のキツい登りを顧みると、少し腹立たしくも感じる。 この石段をつめると平標山 1984メートル の頂上だ。
 

平標山から三国峠方向を望む
 
平標山の頂上では、再び青空が広がってきて、ようやく念願の山景色を頂の上から堪能する事ができた。 ただ心残りは、この平標山からは仙ノ倉山に隠されて谷川岳の主脈が望めないという事である。
だが、この頂からの眺めも捨てたものではない。
 

平標山からは
美しい草原を眺めながら下っていこう
 

絶景に思わず“ヤッホー”
 
南方は、三国峠へ向けてライトグリーンの大草原がうねりとなって連なる絶景が望めるのである。
そして、その草原をめぐって一段づつ木道を下っていく高揚感は、この山の最大の魅力となろう。
遙か下の小高い台地に建つ《平標山ノ家》までの高原ロードを、カメラを片手にゆっくりと下っていこう。

約40分一般のトレッキングハイカーに混じって下っていくと、《平標山ノ家》である。 山の展望はここで終わりなので、心ゆくまで素晴らしい山岳風景を楽しもう。 後は、完全にハイキングコースとなった『平元新道』を下っていく。
 

麓から紅葉の平標山を望む
 
今度の魅せ場は、麓の紅葉だ。 美しく染まる木々の紅葉を楽しみながら、ゆっくりと下っていこう。
これを下りきると、《上信越自然歩道》となる林道に出る。 後は紅葉を愛でながら歩いていこう。
 

美しく色づく紅葉

やがて舗装道路となり別荘地が見え出して下界に近づいている印象が濃くなる。 そして、舗装道が国道と合流する所が、この山旅のゴールである《平標登山口》のバス停だ。 
後は、バスに乗って上越新幹線の乗車駅であるJR越後湯沢駅に戻ればいい。
 
バスは1日8本あるので、15:45発のバスに乗ることができればその日の内に帰る事ができる。 
こんな素晴らしい紅葉があるのに、せせこましくバスの時間に追われる事はない。 カメラ片手にゆっくりと歩こうではないか。
 

美しい紅葉並木を見ながら
ゆっくりと歩いていこう

   ※ 詳しくは、メインサイトより『谷川連峰<2>』を御覧下さい。
 
 
 
 
 
 
 
 

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No title * by テンちゃん
こんにちは。綺麗な写真、満載で、とても楽しめました。

No title * by 風来梨
ten*un1**5さん、こんばんは。
見て頂いて有難うございます。

雪を浅く冠した谷川岳は、それはもう素晴らしい眺めですよ。
また、麓の紅葉との対比も素晴らしいし・・。

この季節は、1度に2つの季節が味わえますね。

コメント






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No title

こんにちは。綺麗な写真、満載で、とても楽しめました。
2014-11-09 * テンちゃん [ 編集 ]

No title

ten*un1**5さん、こんばんは。
見て頂いて有難うございます。

雪を浅く冠した谷川岳は、それはもう素晴らしい眺めですよ。
また、麓の紅葉との対比も素晴らしいし・・。

この季節は、1度に2つの季節が味わえますね。
2014-11-09 * 風来梨 [ 編集 ]