風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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名峰次選の山々 第113回  恵那山 その2

名峰次選の山々 第113回  『174 恵那山』  岐阜県・長野県 
木曽山系(中央アルプス県立自然公園) 2191m  コース難度 ★  体力度 ★★
 

恵那山の頂上標
 
  恵那山 えなさん (中央アルプス県立自然公園)
中央アルプスの最南端にそびえる恵那山 2191メートル は、中央アルプスの山々の多くが抱く険しさではなく、草原や豊富な樹林帯が魅せる優しく包容力のある山容が魅力の山だ。 
中央高地のような高さはないが、そのぶん森林が豊富で、秋の紅葉時は山肌を鮮やかな紅葉が埋め尽くすのである。

登山であるが、東西南北に4つの登山ルートが設けられ、玄人向けのルート、展望のルート、最短ルートと技量に応じてルート選択ができる山である。 また山上に立派な避難小屋があるので、日にちをかけてゆったりと山を楽しむのもいいだろう。
 

 

恵那山・広河原ルート 行程図

   行程表         駐車場・トイレ・山小屋情報
飯田市街より車利用(0:50)→神坂峠林道車止(0:40)→広河原登山口
(1:40)→五合目・1716m高点(1:40)→恵那山
  ※ 帰路は往路の通り戻る・所要2:40 広河原林道車止より車(0:50)→飯田市街

さて今回は、最短ルートの《広河原ルート》を使って、前夜発の日帰りで恵那山を踏破してみよう。
ガイドの前に、その他の3つのルートも軽く解説しておこう。 まず、古くから知られている登山道が《神坂峠ルート》だ。 このルートは《神坂峠》の標高が1569mと高いものの、アップダウンが数回あり、また途中に水場がない上に距離が長い事が難点である。 だが、展望は4つのルート随一である。

次に《黒井沢ルート》であるが、距離はそれ程でもなく水場もあり、いざと言う時にビバークできる休憩舎もあるが、アプローチの林道の状態が悪い事と展望が全くない事が難点であろう。

最後に《前宮ルート》があるが、これは距離・獲得標高差・所要時間ともにかなり大きいので、じっくりこの山を味わう事を望む玄人向けのルートである。 難点は、前述の如く距離・1400m以上の獲得標高差、登頂まで6~7時間という所要時間と水場がない事である。 まぁ、条件的に著しく不利であまり使われていないだろうから、道が荒れている懸念もある。
 

山肌には斜光を浴びた
美しい紅葉樹林が林立していた

他の3つの登山ルートの概要を記したのは、今回選択した最短ルートの《広河原ルート》と比較する為である。 それは、筆者が当初は《神坂峠ルート》を考えていたが、神坂峠林道のゲートに阻まれた事で“偶然”に《広河原ルート》となってしまった事と、その“偶然”のルートが他の3つに比べて最も良かったと感じた事が挙げられる。
 
それは、距離が短い事と、最も新しく開設された登山道で歩き良い事、水場も沢水を汲めば良く、また展望や紅葉も楽しめるルートである事が挙げられる。 欠点といえば、林道の状況があまり良くない事と、荒天時は沢を渡るので増水の危険がある事だが、荒天はどのコースでも避けるべきなので、欠点が最も少ないルートと言えるだろう。
 

林道越しに
紅葉の絶景が広がる

それでは、その《広河原ルート》を使って恵那山に登ってみよう。 さて、アプローチであるが、林道ゲート前の駐車場は30台ほどの車が駐車できるが、トイレは仮設トイレ(工事現場にあるトイレ)が1基だけで後は何にもない所なので、一夜を過ごすのはちょっと避けたいだろう。 ここは少し遠いが、付近の『道の駅』よりアフローチするのがベターかもしれない。
 

斑模様にに色づいて

なお、私は30km離れた『道の駅・下条』を夜間停泊地としたのだが。 この『道の駅』の隣は温泉クアハウスなので、早く着くと温泉も入れるのでその点でも良いだろう。 その『道の駅・下条』を5時半に出ると、6時半には《広河原》のゲート前に着く事ができる。
 

紅葉を陽にかざしてみた

さて、《広河原》のゲート前は休日の好天日であれば、6時半ともなれば30台の駐車枠の中には入り込めないかもしれない。 そうなったら、脇の雑草地に10台ほど止めるスベースがあるので、そこに止めて行くしかないだろう。 ゲート前に車を止めたら、林道ゲートを通り抜けて出発だ。
 

素晴らしい紅葉に
頂上に着く前に
フイルムが切れてしまいそう
 
これより痛んで舗装がめくれ上がった所が目立つ林道を2kmほどゆく。 周囲は朝の光を浴びた山肌の紅葉が美しく輝いている。 林道歩きはあまり楽しくないものだが、ここは紅葉の眺めが素晴らしいので、楽しくさえある。 紅葉を愛でながらゆくと、あっという間に《広河原》ルートの登山口の標識前に着く。

この標識の指示に従って沢に下りて、木を2本で縛ったものを渡した桟道橋で沢を渡る。 この沢が、「先程増水したら危険」と述べた沢渡渉点だ。 沢が増水して氾濫すると、こんな『渡し橋』は一発で流されるだろうし、増水した沢で流されたら、すぐ近くに砂防ダムがあるので転落して『さよなら』となるだろう。 現にそういう事例が最近あったそうである。
 

丸太二本を縛った桟橋で沢を渡る
 

先程歩いた林道が
視界から消えるまで登っていく

これを渡ると、先程に林道より紅葉を愛でていた山肌をジグザクを切って登っていく。 傾斜はかなり急だ。 展望は尾根に上がるまでないが、朝の光に輝く紅葉は十分に急登で滅入る心を和らげてくれる。
 
なお、この急登が終わる尾根上までだが、木にパウチされた紙が巻きつけられ、1/10、2/10などと書き示された『合目道標』の『4/10』を過ぎて少し登った所が尾根上となる。 そこまではひたすら登っていこう。 沢を渡って登り始めてから、ちょうど1時間で尾根上に立つ位だろうか。 尾根上に出ると道は平坦となり、眼前に恵那山のピークが見えてくる。


見上げれば青い空と紅葉
これを見ればキツイ登りも辛くない
 
15分ほど平坦な樹林帯を通過すると開けた草原状となり、恵那山のピークに向かってこの草原の山肌を登っていく。 草原帯は展望も良く、またそよ風に草がそよぐ様は気持ちが良い。
 

五合目の尾根上に出ると
青空が広がっていた
 
この草原帯を登っていくと潅木のトンネルに入ると、すぐに木に『7/10』のパウチ紙が巻かれている《七合目》だ。 そのまま潅木の急傾斜を詰めて国境稜線まで詰めると《八合目》である。
 

六合目からは尾根に取り付く
 

見下ろすと
まだら模様の紅葉に色着く山肌が
 

尾根を登っていく最中に
ガスが掛かりだした
 
《七合目》で潅木のトンネルに入ってからは森の中を行くので、ほとんど展望はなくなる。
こうなれば、後は頂上までのラストスパートだ。
 

パウチされた9/10(九合目)道標が
木に巻きつけられている
 
国境稜線上の傾斜を詰めていくと、例の木に巻きつけたパウチ紙の道標以外に何もない《九合目》を越えて、程なく恵那山の頂上に着く。 恵那山の頂上は成長した木々に囲まれて展望は乏しく、展望櫓は建っているものの、その上からでも成長した木々が邪魔で展望は悪い。 取り敢えず、山頂をに着いた事だけを示す『アリバイ写真』を土産に、じっくりと休憩したなら往路を戻る。
 

恵那山神社の祠
 

頂上は木々に囲まれて展望無し
 
復路は頂上で残念だった展望を得るべく、《七合目》下から続く好展望の草原帯をカメラ片手にゆっくりと下っていこう。
 

頂上では得られなかった展望を
堪能しながら下りていく
 
また、バタ足ついて快速に下る人が多いが、《四合目》からの下りは急なので足首や膝を痛めないように注意しよう。 僅か20分や30分の早い帰着を求めて、そのリスクで足首や膝を痛めて山に登れなくなる方が愚かであろうから。
 

四合目まで下ると紅葉の世界だ
 

豪華絢爛絵巻もいいし
しっとりとした紅葉を狙うのもいい

登りで3時間(私の登りの所要時間)と行程時間的には余裕があるので、ゆっくりと山肌の紅葉を愛でながら下っていくといいだろう。 ゆっくり下っても、恐らく14時位までには下山できるだろうから。

最後の林道は紅葉狩りで
グラデーションとなった紅葉

黄葉・・紅葉・・
それぞれが調和を魅せる


真っ赤に燃えて

己の最大の魅せ場を
悟っているかのような

それはやがて
散る事を知って・・
なのかな


紅葉が燃える紅から
黄葉に変わって
 

「もうすぐこの山行が終わる」って
事を教えてくれた
 
車の所まで戻ったなら、後は温泉だ。 登山口のある阿智村には、《昼神温泉郷》という名の知れ渡った温泉郷がある。 登山口に最も近い《月川温泉》でもいいし、《昼神温泉》のハシゴもいいだろう。

帰りは、関西・名古屋方面なら『中央道』の《園原IC》が近いのでアクセスも便利だ。 なお、長野・東京方面は、通行無料の『三遠南信自動車道』がある為に進入禁止となっているので、こちら方面へは飯田のインター利用となるので念の為。

  ※ 詳しくはメインサイトより『恵那山』を御覧下さい。
 
 

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No title * by 散位 アナリスト杢兵衛
紅葉や青空の時系列でのグラデーション変化が見事で大好きです。
ナイス

No title * by 風来梨
アナリスト杢兵衛さん、こんばんは。
見て頂いて有り難うございます。

秋の山の情景は素晴らしいですね。 四季折々の情景が楽しめる日本に生まれてよかったなぁ・・と思います。

コメント






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No title

紅葉や青空の時系列でのグラデーション変化が見事で大好きです。
ナイス
2014-10-06 * 散位 アナリスト杢兵衛 [ 編集 ]

No title

アナリスト杢兵衛さん、こんばんは。
見て頂いて有り難うございます。

秋の山の情景は素晴らしいですね。 四季折々の情景が楽しめる日本に生まれてよかったなぁ・・と思います。
2014-10-06 * 風来梨 [ 編集 ]