風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第135回  巻機山の秋

『日本百景』  秋  第135回  巻機山の秋  〔新潟県・群馬県〕
 

巻機山域に広がる素晴らしき紅葉風景
 
    巻機山の秋より・・
 《1日目》 井戸尾根を登って巻機山頂へ
登山口へのアプローチの日は雨だった。 それでも、テント幕営以外に宿営する手を持ち合わせていないので、仕方なく雨の中テントを張る。 雨は夜半過ぎから本降りとなって、テントの中が浸水してくる始末。 それでも、ゴキブリ並の精神力でぐっすり8時間寝る。 翌朝、目覚めてテントより這い出たなら、降るとも降らないとも予想がつかぬ重苦しい曇天であった。

“今年もハズレか?”と思いながら、とにかくテントを撤収して出発。 登山口に入ってすぐにある沢コースとの分岐は、迷わず“初心者ルート”の《井戸尾根》に向かう右手の道を選択する。

このルートは下山ルートで歩いた事があるので、“どこに何があるか”をある程度把握している。
確か、5合目の《焼松》という滝見台までは、鬱蒼とした樹林帯を進んでいった記憶がある。 
日頃の怠惰を端的に現した“我が身体”は、4合目位まではタダをコネずにいてくれた。 
でも、5合目を越えた所位から、“タダ”をコネだしたのである。
 

七合目付近は割引岳から連なる
紅葉に染まる尾根を
見ながらの
楽しい道程だ

そこで、一考を案じた。 その結論としては、“しんどくなれば、所構わず座って休憩を取ろう”という事だ。 この目論みは大成功!?で、所構わずヘタるみすぼらしさ・・はあるものの最後まで息が上がる事はなく、そしてアレだけ怠惰なる休息を繰り返したにも拘わらず、テント一式を担いだ状態でコースタイムの4:30より30分オーバーの5:00で小屋まで登りついたのである。
 
まぁ、かつてのコースタイム6:30のルートを4:15で登りきるようなブリバリ体力は消えうせたものの、登高に関しては良好な結果だと思う。 途中、七合目付近の展望の利く場所では、尾根全体が赤く染まった秋風景を堪能しながら登ってゆける。 惜しむべくは、この日が重苦しい曇天だったという事である。 
 
ちなみに写真は、下り時の絶好の天気の下で撮ったものである。 《井戸尾根》は初心者ルートというだけあって、八合目付近からは丸太の階段が敷設されていた。 八合目からの丸太の段をつめていくと、程なく“ニセ巻機”と呼ばれる前巻機山 1861メートル の頂に出る。
 

ニセ巻機(前巻機山)から望む
割引岳と巻機山への道程
 
この頂の上に立ては、巻機山本峰 1967メートル は元より巻機山塊を成す割引岳 1931メートル や、山塊の端に牛が寝そべるようにノッペリと横たわる牛ヶ岳 1962メートル など山岳パノラマ風景を目にする事ができる。 そして、この頂より少し下れば、今日の宿となる《巻機山避難小屋》である。

この小屋はバイオトイレ付の近代的な小屋で、収容人員も40名位はいけるだろう。 
前回は“雨から吹雪”というどうしょうもない天候だった事もあり利用者は私ひとりであったが、今回は午後になると徐々に利用者が到着して二階が満杯となる盛況ぶりだった。 そして水の入手(前回はナベに雨水を溜めて使った)も、テント場の先の踏跡を下ると《焼松》で滝となっていた米子沢の源頭沢が流れている。
 

なだらかな容姿を魅せる巻機山

小屋で昼寝をしてから巻機山上に登り、牛ヶ岳までの散策路を周遊したのだが、これらのレポートは絶好の日和となった明日に全てを語ろうと思う。 後の心配は、小屋の同宿者が騒いだりする連中ではないだろうか・・という事だけである。 まぁ、酒盛りして騒ぐような連中だったとしても、最悪外に出てテント幕営をすればいいだけ・・なので、それ程に煮詰まってもいなかったが。
 

 
最も贅沢な風景  山の朝

山肌が赤く染まって
 

少しずつ影が光に変わってゆき
 

山上湿原も朝もやで
幻想的に彩られ
 
 《2日目》 巻機山頂に遊び下山
昨日、薄っすらと日差しが差した事もあり、また天気予報でも“天候が回復傾向”との事で、密かに期待を抱いていた。 朝起きたら、濃いキリの真っ只中。 “やはり甘かったか”と落胆しながら、昨日登った頂上までの木道を伝う。 だが、登っていく内にキリが薄くなり、幻想的な朝もやへと変わってきた。
「これは逃してはならぬ」と必死になって丸太の段を駆け上って、山頂直下にある池塘の前に立つ。
 

濃いキリで始めは
落胆したのだが
 

キリが朝もやとなり
幻想的な雰囲気をかもし出す
 
濃いキリから幻想的な朝もやに変わり、そしてそれが途切れると山が赤く染まりだす。 贅沢極まる極上の山の朝を堪能できそうである。 朝露が周囲の草木に潤いを与え、そして朝が来たのを祝うが如く、ほのかに染まるかぎろい色の光が秋の山肌を包み込む。 この光に誘われて、頂へと登りつめる。
そこには、言葉で表現しきれない絶景が広がっていた。
 

朝の山風景と秋の情景と
 

まるで獣の毛並みのように
美しく流れる大地
 

ミルク色の朝の下に広がる
雄大な谷川連峰
 

今まで大地を閉ざしていた濃いキリが
瞬く間に散ってゆき
 
木段を登りつめると、『百名山』用の頂上である《御機屋》に出る。 ここはアリバイ写真用の頂上で、山名を記す道標が多く立てかけられるなど、この素晴らしい朝風景に水を差す所だ。
ここは素早く通り過ぎて、山上湿原に遊びにいこう。
 
《御機屋》を出て進路を右手に取ると、緩やかに登って巻機山の最高点を「通過する」。
なぜ「通過する」と記したかというと、あれだけ多くの山名標が立ち並んだ《御機屋》に比べて最高点は道標すらなく、これ見よがしにケルンが1つ積まれているだけであった。 何とも寂しい『最高点』である。
 

宝石が無造作に散りばめられ
山の贅沢 ここに極めたり

この粗末な扱いの“最高点”を越えると、いよいよ山上湿原の代名詞・池塘がポツポツと現れだす。 
吸い込まれかねないような幻想的で危険な濃紺の水を湛え、風景にマッチした不思議な池が宝石のように散りばめられているのである。 山を映し、たなびく朝もやを水面にたなびかせる濃紺の水鏡の撮影に夢中となる。 やはりこれは、この“濃紺の水鏡”に心を吸い込まれてしまったからなのだろうか。
 

巻機山の山上に点在する池塘
透き通った濃紺が
異世界へ誘っているようだ
 

心を惑わすが如く濃い蒼の水鏡が
色々な情景を映しだして
 
この山上湿原は歩いて40分程度の牛ヶ岳 1962メートル まで続いており、周遊範囲としては“長すぎず短すぎず”の最適なる範囲であろう。 取り敢えず牛ヶ岳まで散策して、今度は反対側の割引岳方向を歩いてみよう。
 

早朝の朝は誰一人おらず
絶好の“我一人のパラダイス”となる
 

朝もやに包まれる牛ヶ岳
 
ちなみに牛ヶ岳は、半分以上判読不能な位にボロボロに朽ちた山名標の“棒きれ”が、サークルに一本立てかけられているだけの所である。 その先は《裏巻機》へ続く旧道らしく、通る者もなく荒れ果てていた。
 

左を望むとピラミタルな割引岳に向かって
一筋の道が刻まれている
 

仲良く峰を立てる
越後駒と中ノ岳の兄弟峰
 
池塘などを楽しみつつ、往路を戻っていく。 《御機屋》に戻り、今度は左手に進路を取る。 
木段のアップダウンをこなすと、見た目の距離ほど時間も食わずに割引岳の山域に入る。 
《御機屋》から20分少々・・って所だろう。 割引岳直下の鞍部には前回に通った沢ルートが、谷底から這い上がるように合流する。 合流口には、『下山禁止』を記した立札がある。
 

谷に向かって
紅葉が駆け下っていた
 

ピラミタルな山容の割引岳に向かって
一筋の道が連なる
 
下の沢へ目をやると、割引岳から《ヌクビ沢》の谷底へ向かって紅葉が一気に駆け下りているのが望まれる。 “前回はこの沢を喘ぎ登ったのだな”と、回想から思い出に変わって蘇る。 しかし、前年の紅葉は限りなく貧相だったのだな・・とも思う。
 
前回もほぼ同じ時期(10/20頃)に訪れたのだが、前回は全く紅葉の記憶がないのである。 
あるのは、雨が吹雪に変わり、一夜にして50cm以上の雪が積もってラッセルするハメとなった事と、色づきの悪い紅葉に雪が乗って『雪紅葉』となっていた事くらいである。

割引岳 1931メートル へは、やや不安定なガラ場を10分少々直登すればいい。 
美しいピラミタルの山容で、山塊から離れた所にあるこの峰の展望は、山域随一であるといっても過言ではないだろう。
360°遮るもののない欲しいままの展望を持つこの峰は、この山域になくてはならぬ峰であろう。
 
展望を司る峰・割引岳から

雲海が尾根を越えて
新たなるシーンを創り出す
 

骨太い谷川連峰の峰々が
 

越後一郎(中ノ岳)二郎(越後駒ヶ岳)
姿を現して
 
欲しいままの展望に時を忘れていつまでもたたずんでいたい所だが、程よく切り上げて帰路に向かうとしよう。 “あぁ、あの先はどのような景色が広がっているのだろう”と、引き返す自らと反対方向にある『未知なる道の険しさを警告する』立て札に後ろ髪を引かれる感情を抱きつつ・・。
 

『この先は玄人向け』と
宣言する小さな立て札

下りは、もちろん往路を戻ろう。 山の頂から自らの辿ってきたルートが一望できるのは壮観だ。 
これが一望できる位だから、今日は滅多にない程に最高の天気に恵まれたようだ。 
こういう時、下るのが苦手(すごぶる遅い)な自らが得した気になる。 長い間、この素晴らしい情景を見下ろしながら下れるのだから。
 

朝もやが立った
あの池塘を見下ろして
 

昨日お世話になった
小屋が小さく見えて
 

絢爛たる絵巻模様が
下界のすぐ近くまで付き添ってくれる
 
そして下りの道中も、豪華絢爛たる絵巻模様が下りの苦行を癒してくれるだろう。 ともすれば、下山後の予定が頭から消し飛んでしまう程に。 確かにあの時は、時を忘れてカメラ片手にはしゃぐ自分がいた・・と思う。 これだから、山はやめられない。 それでは最後に、豪華絢爛たる絵巻模様の一端をごろうじろ。
 

シャドゥと順光の帯が連なって
 

大自然のキャンバスに
艶やかな色彩が散りばめられ
 

鮮やかな色彩と
木々の白い肢体が見事に調和して
 

この情景に
時を忘れてはしゃいでしまったよ

     ※ 詳しくはメインサイトの『撮影旅行記』より『巻機山の秋』を御覧下さい。
 
 
 


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No title * by tom
こんばんは
美しい風景、堪能させて頂きました。業務上、連休が取れず日帰り登山に甘んじています。巻機、皇海は近くなのに登る機会がありません。

でも行きたいなぁ。

No title * by 越後「写・楽」
巻機は隣の市ですが
沢のルートしか登っていません
たまに裏巻から登ろうと誘われますが尾根は敬遠しています

越後一郎、二郎という名称は地元でも使用していませんので
調べてみたいと思いました
世代が変わり藪尾根歩きは徐々に廃れていくようで
維持管理だけが大変だと嘆いているのが地元です

No title * by 風来梨
tomさん、こんにちは。

かつては夏になれば放浪山旅をしていましたが、今はそういう事は
絶対無理ですね。 私も翌週夜勤で休日時間の長い週末を使って『夜討ち朝駆け』の山行ができるのみです。 この山行も、土日を使ってのモノです。

これをした後の週明けは、2~3日猛烈な筋肉痛に見舞われます。

No title * by 風来梨
越後『写・楽』さん、こんにちは。

私も、この山の最初は沢ルートから登りましたよ。
沢ルートはアイガメの滝の所が滑りやすく危険なので、一般ルートとしては敬遠されているみたいです。 私が沢ルートに行った時は、サワルートが曇りで、下山に井戸尾根を下った時は雪に変わって、一晩で50cm積る雪中行軍となりました。 沢ルートと雪中行軍のその様子は、またの機会に。

今回の井戸尾根は、完璧に整備された登山コースとなっています。
お気楽に紅葉を楽しむなら、お薦めのルートですよ。

コメント






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No title

こんばんは
美しい風景、堪能させて頂きました。業務上、連休が取れず日帰り登山に甘んじています。巻機、皇海は近くなのに登る機会がありません。

でも行きたいなぁ。
2014-10-04 * tom [ 編集 ]

No title

巻機は隣の市ですが
沢のルートしか登っていません
たまに裏巻から登ろうと誘われますが尾根は敬遠しています

越後一郎、二郎という名称は地元でも使用していませんので
調べてみたいと思いました
世代が変わり藪尾根歩きは徐々に廃れていくようで
維持管理だけが大変だと嘆いているのが地元です
2014-10-05 * 越後「写・楽」 [ 編集 ]

No title

tomさん、こんにちは。

かつては夏になれば放浪山旅をしていましたが、今はそういう事は
絶対無理ですね。 私も翌週夜勤で休日時間の長い週末を使って『夜討ち朝駆け』の山行ができるのみです。 この山行も、土日を使ってのモノです。

これをした後の週明けは、2~3日猛烈な筋肉痛に見舞われます。
2014-10-05 * 風来梨 [ 編集 ]

No title

越後『写・楽』さん、こんにちは。

私も、この山の最初は沢ルートから登りましたよ。
沢ルートはアイガメの滝の所が滑りやすく危険なので、一般ルートとしては敬遠されているみたいです。 私が沢ルートに行った時は、サワルートが曇りで、下山に井戸尾根を下った時は雪に変わって、一晩で50cm積る雪中行軍となりました。 沢ルートと雪中行軍のその様子は、またの機会に。

今回の井戸尾根は、完璧に整備された登山コースとなっています。
お気楽に紅葉を楽しむなら、お薦めのルートですよ。
2014-10-05 * 風来梨 [ 編集 ]