風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第127回  塩見岳と蝙蝠岳  その1

『日本百景』  晩夏  第127回  塩見岳と蝙蝠岳  その1  〔長野県・静岡県〕
 

まるで乳房のように
緩やかな膨らみを魅せる蝙蝠岳
 
今回の山・蝙蝠岳は稜線ルート上から離れた“孤峰”であるので、この峰に立ちたいのならキツめの行程は避けられないのである。 それは稜線上で幕営するなら、『水担ぎの大技』がほぼ義務付けられるのである。
 
地図上で『水場がある』と示されていたとしても、それがもし枯れていたりしたならエライ事となるのだ。 また、担げる水の量は自ずとから限られてくる。 なぜなら、1㍑は1kgだからだ。
また行動水はこれとは別に持たねばならないし、更には翌日の水補給の可能地点に到着までの水使用量もシビアに計算せねばならないのである。 その事を踏まえて、南アの秘峰にアタックしてみよう。
 

塩見岳・蝙蝠岳 登頂ルート 行程図
 
   行程記録  ※ 今回実際にかかった時間ですけど・・、何か?  
《1日目》 JR・伊那大島駅よりバス(1:50)→鳥倉登山口(2:50)→三伏峠
《2日目》 三伏峠(1:20)→本谷山(1:50)→塩見小屋(1:30)→塩見岳(0:35)→蝙蝠岳分岐

《3日目》 蝙蝠岳分岐より蝙蝠岳往復、所要・片道2時間(0:45)→塩見岳(1:05)→塩見小屋
《4日目》 塩見小屋(1:30)→本谷山(1:20)→三伏峠(2:00)→鳥倉登山口よりバス 
     (1:50)→JR・伊那大島駅
 
 
 《1日目》 三伏峠まで・・
今回は、盆休みを使っての山行となる。 日数の少ない労働者の盆休みを有効に使うべく、そして(稼ぎが少ないので)極力交通費などの費用を押えたいと思う。 ・・となると、昨今のガソリン高では、時間的にも費用的にも、そして疲労度を考えてもマイカーは完全に不利であろう。

『マイカー』という選択肢を捨てると、残る方法は『公共交通機関』の利用となる。
『公共交通機関』、つまり鉄道やバスを使うなると、シビアに時刻を合わせねばならない。 
そして、最も時刻をすり合わせないといけないのが、1日に2便しかない『登山口』行きのバスである。
このバスの発車時刻は、朝の6時台と昼の12時台。

朝の便は、それこそ飯田市内にでも停泊しない限り無理である。 そして12時の便も、大阪直通のバスと接続していないのである。 同じバス会社の便(高速バスは共同運用であるが)としては、これはかなりお粗末なのではあるまいか。
 

チシマフウロ
もう盆なので花は期待薄
 
・・となると、名古屋までは『鉄道』という事になる。 心情としては料金2/3の近鉄を使いたい所であるが、時間にシビアな面があるので、ここは泣く泣く高額の新幹線利用である。 さて、登山バスが発車する伊那大島駅には定刻通りに到着。 松川ICで東京方面からの登山客で満杯となった登山バスは、定刻よりやや遅れて到着。 これに乗っていく。

先程に「東京方面からの登山客で満杯」と記したが、バスの中で爆睡していると半分以下に減っている。 どうやら、鹿塩温泉の湯治客が乗客の半数を占めていたようである。 
まぁ、どうでもいい事なのであるのだが。 バスは、14:15の定刻より10分程早く着く。 バス停前が登山口だ.。
 

花の名前知らないけれど
道中はこんなのが
いっぱい咲いていた
 
登り始めの鹿の食害対策のビニールをグルグル巻きにした植樹帯は、ハイペースで登っていく。
本来なら『午後から登山』などセオリーとしては“もっての他”なのであるが、今日は《三伏峠》までの3時間程度の登りのみなので、今回は“セオリー無視”を許してネ。

今日はカメラを取り出す事もないし、また暗くなる前の17時半位には着いておきたい。 いつもなら植樹帯の登りを抜けた時点で“ヘタっている”ハズなのだが、ノンストップでゆく。 半月前の山行の体力的な『遺産』があったからなのか、《三伏峠》まで残り700mの《塩川分岐》までヘタる事なくやってこれた。 この残り700mは、いつもの如くヘタっていたけどネ。
 

コオニユリ  
三伏峠小屋管理の高山植物養成区
で一輪だけ咲いていた

・・で、《三伏峠》到着は、17時3分前。 小屋でテントの受付をして、テントを設営する。
水は小屋で買うか、往復30分の旧《三伏沢小屋》の手前まで汲みに行かねばならない。 旧《三伏沢小屋》前のテント場は、遠の昔に閉鎖されちゃったんだって。 条件的には、あちらのテント場の方が良かったんだけどね。 離れていると管理が大変なのと、監視がいないと場が荒れるので仕方がないか。

さて、夕食であるが、着くのが遅くなってしまう事も想定して、火を使う事をやめて『コンビニ・おにぎり』を持ち込んでいた。 そして、飲み水は登ってきた時の飲料水の残りで事足りる。
最悪、小屋で買ってもいいのだし。
 
こうすれば、『午後から登山』のマイナス面をカバーできる。 水は翌日の登り始める前に汲む事として、とっとと『コンビニ・おにぎり』を食って寝に入る。 空は暗くなり始めた18時位より、雨がしたたり落ちてきた。 この雨が夜半中にやむ事を願って就寝する。
 

 

隣にいた人が
『ホシ何たら・・』と言ってたな
ホシガラスかな?
野鳥の名前には疎いもんで
 
 《2日目》 塩見岳を経て、南ア・最後の未踏峰の懐へ・・
昨日、テント受付時に小屋で聞いた事なのだが、塩見岳奥の《雪投沢》は原則的に幕営禁止になっているのだそうで。 そして、ホントかウソか解らないが、「《雪投沢》の水場もかなり下の沢筋まで下らねば水は得れない」と聞く。 これを聞いて、計画の修正の必要が出てくる。 
なぜなら、『水がない』のはその場所での幕営が困難となるからだ。

当初の計画では飲料水のみを持ち、登路での補給は《塩見小屋》でジュースでも飲んで、今夜と明日の2日間の生活・行動水は《雪投沢》で補給する・・というものだった。 今の体力ではキツい事が予想される塩見岳への登りは、『水』という荷を最小にして楽に挑む・・という腹づもりであった。

だが、「《雪投沢》の水場が遠くて確保の成否が不透明」と知らされたなら、最悪の事を考えると見送らざるを得ないのである。 となると、別の手を考えねばならなくなる。 まずは、《塩見小屋》に連泊しての空身での蝙蝠岳往復だが、これは『金がかかり過ぎる』のである。 しかも、幕営を見越してあまり所持金を持ってきていなかったので、“物理的”に不可能(つまり、持ち金が足りん!って事ですね)であった。
 

仙丈ヶ岳
薄っすらと頂上に抱く
カールも見渡せる

前案が『ボツ』となると、後は根性論か撤退論しかなくなるのである。 天気が悪い訳(夜半過ぎの雨は上がって薄日が射している)でもないので、“撤退”というのは有り得ないだろう。 
となると、“根性”を出して水を担ぎ上げるか、《雪投沢》に水がある事を信じる“博打”に出るか・・である。

“博打”は外れた場合の痛手が今回の山行の目的である『蝙蝠岳踏破』の断念につながりかねないので、これは先程いったように“見送り”であろう。 そうなると、選択肢は水を担ぐ“根性”論しかなくなるのである。
 
だが、今は御存知!?のように“根性”があまりない。 なので、2泊分の水を担ぐ事も不可能だ。
それに、2日分の水を持ち運ぶ水筒も持っていないしね。 でもかつては、5㍑の水と幕営用具一式を担いで中部日高へ挑む位の“猛者”だったのよ。 今の自分を見てると、自分自身でも信じられないけど。

・・という訳で半分の2.5㍑を担ぎ、とりあえず1泊を水のない稜線で凌ぎ、次の日は様子見で柔軟に対応しよう・・という計画にした。 この持参水には手を着けずに、途中の行動水の補給は“《塩見小屋》でジュース”でいいだろう。 これで今日の幕営と、明日の蝙蝠岳往復の行動水は確保できた訳である。
 

南アの『戦艦大和』
巨大峰・間ノ岳

さあ、出発だ。 小屋へ行って“簡易水筒”を得るべく、ペットボトルのジュースを買って朝食のパンと共に飲む。 そして、登山道の途中から分岐している水場までいって、荷物をデポって水を2.5㍑汲んできてから“スタート”だ。 水を汲んで、今の荷は23㎏位。 担ぐだけなら、そんなに苦もない重さだ。
だが、これを担いで総計標高差900mを登るとなると、後ほどにジワジワと効いてくるのである。

幸い、空は雨上がりの朝で曇りがちだった事で暑くはなかったので、荷を担いでるにしてはハイペースで歩いていく。 程なく、三伏山という地図上に標高の記載のないピークを越える。 
頂上は《三伏峠小屋》の展望台で、正面に塩見岳がデカデカと見渡せる。 だが、出発した小屋もデカデカと見えて、まだ少しも進んでいない事を思い知らされる。
 

鳳凰三山と熊ノ平へと続く稜線

ここから潅木の中を緩やかに下っていく。 この下りがダラダラと長く、かなりもったいない印象を与える。 約20~30分下って通行禁止看板とゼブラロープで進入を拒絶している旧《三伏沢小屋》への分岐を見やると、本谷山への登り返しだ。 この登りも基本的にはダラダラとしていて、あまり登り甲斐のない道だ。 お花畑もあるものの、もうピークを過ぎた秋の花で、足を止める程の感慨も湧かなかった。
まぁ、これは帰りにでも撮るか。

登りでペースは落ちたものの、初回山行の荒川三山よりはいい“手応え”で登っていく。
いい“手応え”とは、登っている最中に途中でダレて立ち止まる事はなかったのである。
立ち止まらないものだから、遅くても確実に進んでいく。 そして、体力がないのは重々承知している事なので、“ゆっくり、ゆっくり・・”と呟きながら、立ち止まるまでに息が上がらぬように歩いていく。
 

間ノ岳の背後に北岳も・・

これを登りつめると本谷山 2658メートル だ。 でも、この時間帯がこの日で最も“曇っていた”状態で、頂上では塩見岳も見えない位だった。 だが、登りでこれだけ涼しいと身体への負担が軽減されて好都合なので、「状況的にはベストかな」って思える。

今で7:30・・。 ここまでの所要は、1時間と15分位か。 それ程の疲れもなく少し暑くなった程度だったので、防寒着代りのカッパを脱いで出発。 ここからは、またダラダラとした下りが始まる。
本谷山へ登った分をそのまま下り、鞍部の水はけの悪いヌタ場に出る。 水はけは悪そうなものの、平らな所が多くビバーク地点としては使えそうなので、一応“もしか”の時の為にチェックを入れておく。

この鞍部のヌタ場を抜けると、しばらく平坦な道が続いてから《塩見小屋》の建つ塩見岳の肩への急登となる。 ツガなのだろうか、ボロボロと皮が剥がれ落ちる樹々が囲む樹林帯をジグザクを切りながら登っていく。
 
登った感想だが、それ程にキツいとは思わなかったのだが。 もしかして、“復活”!?。 この急登を大方登りつめると、角柱の南ア固有の道標が現れる。 「こんな樹林帯の中で何か目ぼしい基点があったかな?」と、その角柱の前にいく。 その角柱には、『塩見新道分岐』とあった。

その角柱の前で地図を出し、現在位置を確認する。 これが“ヒット”だった。 
「おぉ、小屋までもうちょっとだ」と気力が増して、気分上々で出発。 この角柱から少し登ると、稜線上に出て展望がワッと開ける。 本谷山では雨が落ちてきそうな様相であった空は、『快晴一歩手前』までに回復していた。
塩見岳は元より、間ノ岳や仙丈ケ岳、甲斐駒ヶ岳・・、振り返れば荒川三山も雲に覆われがちだったが姿を魅せてくれた。
 

見上げると
天狗岩はまだあんなに遠く
 
稜線上に出て山々を見渡すと、程なく《塩見小屋》に着く。 9:15。 なかなかの好タイムだ。
この小屋で朝に計画を立てた通りに、担ぎ上げた水には手を着けずにジュースを購入する。 
でも、便利になったもんだよ、山小屋は。 『10年ひと昔』というが、10年ちょっと前は「売るのはビール1本のみ」、「寝袋さえももってこんような奴は山にくるな」、「米を持ってきたら飯を炊いてやる」というのが通る世界だったんだけどね。

ジュース片手に、小屋番の兄さん(気さくな兄さんだった)と談笑する。 
話題のネタは、《雪投沢》の水場の事である。 ぶっちゃけの「《雪投沢》に水はある?」という質問に、小屋番の兄さんは「あるけど、小屋関係者ならば『ない』と答えますよ」と言う。 なぜなら、小屋管理元の《東海フォレスト》より、《雪投沢》を始めとする稜線の水場での幕営禁止が通達されているからだそうである。

小屋番の兄さんいわく、「《雪投沢》のゴミや糞の処理は《東海フォレスト》が自費でやっていたんですよ。 でも、《東海フォレスト》自身が辛抱たまらなくなってしまったんですね」というのが理由だそうだ。 《雪投沢》のテント禁止の原因が幕営登山者だというのは、自分で自分の首を絞める事である。
 
そして、このような事を引き起こすから、人間失格者たる『犬連れ登山』の輩に「人間はどうなんだ」との醜聞たる屁理屈を与える口実となってしまうのだ。 登山者自身も大いに襟を正さねばならないだろう。 もちろん、ワテ自身も含めて。

 
下手な絵でスミマセン
パソコンで絵を描くような技術は
持っていませんので・・

まぁ、この言葉は「~もやってるではないか! なぜ自分だけダメなんだ!」と言っているに過ぎず、他の例に当てはめると如何に人間としてクズなのかが解るだろう。
 
「ヒトを複数殺した奴もいる それに比べたら、野生動物を殺す位は“屁”でもないだろう」やら、「余計なちょっかいを出した奴が噛まれるだけだし、噛まれたらそいつが悪い」、「規制する奴らが“生態系に影響がある”との虚偽を口にするだけでその証拠はなく、あったとしてもオレの犬が野生動物を殺した訳ではない」、「人だって糞するだろうが、人は良くてなぜ犬はダメなんだ」などと言ってるのと同じだって事である。

しかし、登山道へのペットの連れ歩きは不特定多数のすれ違う相手に恐怖を抱かせる恐れが多々あり、実際にケガを負わせた実例もある。 最悪の事例となる『死亡事故』はまだ発生していないが、このまま放置するといつ起こっても不思議ではないのである。 「吠え掛かる犬に驚いて足を滑らせて滑落」って事も十分ありえるのだ。 現に「犬に驚きハシゴから落ちた」とか、「犬が上から落ちてきた」という、一歩間違えば大惨事という『ニアミス』が発生しているのである。

また、自然生態系の破壊は後々に人類に災禍を及ぼす事であるし、現に野生動物のコロニーが犬からの病原菌の蔓延で死滅している報告もされている。 そして、証拠や根拠がないのではない。
人間のクズ共が自らの私欲を満たしたいが為だけに、不利な証拠・根拠を難癖をつけて認めようとしないだけなのだ。 そして、そんな救い様のないクズな性質を問いただすと、『逆ギレ』を起こすのである。 飲酒運転で人を殺し、裁判で「被害者も居眠り運転をしていた」などと言い逃れをする、あの容疑者と同じである。

「人間はどうなんだ」という自らの『人間』を否定する言葉の他にも、「愛犬(自分)の望むままの行動をします それが犬を家族として受け入れた証です」、「犬嫌いは『マナー』や『生態系』に託けて犬連れを非難するが、オマエはどうなんだ!」、「ウチの犬は吠えたり噛んだりしません、そういう事を言うのは犬嫌いの妄想です」、「犬が嫌いなら近づかなければいいだろ」、「我々を非難する者は犬が嫌いなだけ・・ こんな可愛い犬を嫌うあんた達は人間じゃない!」、「犬が自然破壊したという証拠をみせろ!」、「法律で決まってないだろ」、「(『犬がライチョウのヒナを噛み殺した』などの犬連れ登山が引き起こした悪害を示しても)それは、我々を締め出そうとするオマエらの作り事だ」、「犬を制限する前に人間を制限しろ!」などとほざいているのである。

人間のクズ共のHPなどにはこんな反論が掲載されているが、常人ならば恥ずかしくて1つたりとも載せられない言葉だろう。 真に、『人間を辞めた出来損ない』の文言である。 試しに、これらのHPを一度見てみるといいだろう。 恐らく、ごく普通の知識・感情を持つ人間ならば、嫌悪感でヘドが出る思いがして即効退散する事だろう。 この事に関しては、このクズ共の行為を『天罰を受けるべき生物全てへの反逆』と捉えているので、ついついエキサイトしてしまうなぁ。

話は脱線してしまったが、小屋番の兄さんはこう続けた。 「今は黙認ですよ。 但し、もう《東海フォレスト》がゴミや糞の処理をする事はないので、利用者の心がけがないとすぐに荒れてしまいますよ。
だから、“極力糞はしない事”と、止むを得ず“した”ならば、キチンと埋めておくという『お約束』を徹底して欲しいですね。 私たちも、小屋泊まりよりも幕営山行の方が面白いと思うんですけどね」と気さくに語りかけてくれた。

休憩での談笑ではあったが、とても重要な話である。 「自然にローインパクトであるべく・・を心掛けている」と自負してはいるが、それでも今までの自らを省みる必要があるだろう。 
今日は、これから幕営をする予定である。 この事への対応がモロに当てはまる行為をしようとしているのだ。
水の事だけではない。 この『自然に対してのローインパクト』も重々考慮せねばならないな。
 

真に『漆黒の鉄兜』との
呼称が相応しい塩見岳

さて、塩見岳の最後の登りにアタックしよう。 「そういえば、この塩見岳へは12~13年前の“最盛期”に登ったきりだなぁ」などと思いながら登っていく。 当然、あの時のようには行くはずもない。
 
最後の岩場への入口となる《天狗岩》までのつづら折りの登りで「こんなに長かったっけ」との疑問を拭い去れなかったり(単に足が遅くなって時間がかかっただけだが)、最後の岩場で座りやすい岩を見つけては腰を下ろしたり(ほぼ50m置きに)、「標高差150mがこんなに長い訳ねえだろ」と悪態を着いたりと、またもや『酔っ払いオヤジ』モードに突入してしまった。
 
でも最近は、山の急登では“クダ”を巻かねば登れんなぁ。 コマッたものである。 『酔っ払いオヤジ』モードが最高潮に達した時、塩見岳の頂上標柱が現れる。 まぁ、これで現れんかったら延々“クダ”を巻き続けなきゃならんし、最悪「“クダ”巻きに疲れてフテ寝しちゃった」って事もありえるしィ~(真剣にフテ寝しかねないのが、筆者の大物(アホ)たる所以)。
 

塩見岳の最高点・東峰より
三角点のある西峰を望む

頂上到着は10:50。 周囲は何とか見渡せるものの、午後に決まって湧き上がるガスがたなびいて来て情景的には“今イチ”であった。 また、かつてと違って“クダ”を巻いた直後なので、気分も爽快とまではいかなかった。 いゃあ・・、体力と天候如何は、頂上では重要なファクターとなるのですねぇ。

とりあえず頂上で30分ほど休憩し、ペットボトルに持参した粉ジュースを入れて半分飲む・・などして疲れが取れたなら、先に進む事にする。 水と幕営用具一式を担いで来た・・にしては身体は疲れてはいなかったが、大元の“気力”が萎えはじめていたのである。
 
この状況を詳しく述べると、体と心が「もう歩きたくないよ、早くお昼寝しようよ」と言い出したのである。 思想に相反してわがまま放題のコマッた身体である。 でも、このわがままを聞く宿主も宿主なのであるが、筆者自体が“ダメっ子”なので仕方がないだろう。

・・で、その欲求に基づいた結論が、「水持っている事だし、何も《雪投沢》まで行かなくてもいいか」という事に落ち着いたのである。 塩見岳から30分(気力が『お昼寝』を要求しだしてからは、この30分とて途方もなく長かった)ほど下って、《蝙蝠岳分岐》に着く。 見渡すと道標脇と分岐から少し進んだ窪地の底に、それぞれ1張りほどのスペースがあった。

ここは、稜線の風の影響を考慮して、三方を潅木と土手に囲まれた窪地の底にする。 
早速テントを立てて、身体の欲するまま昼寝。 16時前まで熟睡する。 「こんなに寝て夜寝れるのか?」と自身でも思ったが、根が“物臭さ”なので夜もよく寝れた。
 
だが、さすがに標高2900m超の稜線上、三方を遮る事のできた窪地でも風は強い。 夜通しテントがバタついていた。 もう一つのスペースならヤバかったかも。 ちなみに、上には大きめのテントが設営されていた。
 

明日踏破予定の
蝙蝠岳へのルートを望む
 
   続きは次回の『塩見岳・蝙蝠岳 その2』にて
 
   ※ 詳しくは、メインサイト旅行記より『南ア・最後の未踏区へ・・ その2』を御覧下さい。

 


 
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No title * by 華実
初めまして。調べ物をしていて目につきましたのでお邪魔しました。
すごい強行軍で、びっくりです!
好天に恵まれて絶景の連続ですね。
ところで、白い花はカラマツソウの仲間ではないでしょうか?
葉っぱを見れば確認できますが、カラマツソウそのものかも……

No title * by 風来梨
華実さん、こんばんは。
見て頂いて、有難うございます。

カラマツソウの花の名を教えて頂き有難うございます。

この花が朝日を浴びて輝くと美しい宝石となりますね。 いつもは高山植物の中でも目立たぬ花なのですが・・。

花は山の記事で取り上げてますので、宜しければご覧下さいね。

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No title

初めまして。調べ物をしていて目につきましたのでお邪魔しました。
すごい強行軍で、びっくりです!
好天に恵まれて絶景の連続ですね。
ところで、白い花はカラマツソウの仲間ではないでしょうか?
葉っぱを見れば確認できますが、カラマツソウそのものかも……
2014-08-18 * 華実 [ 編集 ]

No title

華実さん、こんばんは。
見て頂いて、有難うございます。

カラマツソウの花の名を教えて頂き有難うございます。

この花が朝日を浴びて輝くと美しい宝石となりますね。 いつもは高山植物の中でも目立たぬ花なのですが・・。

花は山の記事で取り上げてますので、宜しければご覧下さいね。
2014-08-19 * 風来梨 [ 編集 ]