2014-08-03 (Sun)✎
名峰次選の山々 第110回 『124 森吉山』 秋田県
アプローチ JR大曲駅より車(2:00)→『道の駅・阿仁』(0:30)→戸鳥内コース登山口
『道の駅・阿仁』には、午後8時半頃に到着。 そのまま寝入って、目覚めたのが予定より早い深夜2時前。 車寝は一度目が覚めるとなかなか二度寝は難しいので、早速トイレなどの所用を済ませて登山口へ直行する。
道はほとんど傾斜のない歩き良い山道で、ともすれば「ほんとに山に登っているのかな?」と疑問に思うほどに平坦であった。 約30分程歩いていくと、カンテラなしでも周囲が見渡せる程に明るくなってくる。 やがて、『キャンプ場(登山口)より1.7km』の道標と水場が現れる。
肌寒さに耐えきれなくなって、5分程休憩しただけで出発。 このゴンドラ駅から5分程登ると、絶好の朝景色が広がるテラスの上に出る。 まだ5時半過ぎ。 思う存分に朝の風景を楽しもう。
シャキシャキ行けば登りでも2時間を切るコースであるので、下りとなると更に所要時間が短くなる。
下り始めは夏の終わりを飾る花々を愛でながらの歩行であったが、《石森》を過ぎると目にするモノも立ち寄る所もなく1時間を切るペースで下りきる。 でも、スキー場からのゴンドラ・・、夏でも運行しているのね。 高いだろうなぁ、料金。
独立峰(森吉山県立自然公園) 1454m コース難度 ★ 体力度 ★
標高以上の貫録を示す森吉山
秋田駒ヶ岳よりの遠望
森吉山 もりよしやま 1454m (森吉山県立自然公園)
森吉山はその名称の通り森林の宝庫で、独立峰を据える周囲の裾野には貴重なブナ林を中心とした広葉樹林帯が広がる。 また標高1000mを越える頂稜域ではオオシラビソの原生林野が広がる。
このように優良な森林の宝庫は清らかな水を育み、イヌワシやクマゲラ、ニホンカモシカやツキノワグマなどの希少な野生動物の楽園となる。
また山頂付近には、1500mに満たない標高を凌駕するほどの高山植物帯が広がる。 そして、先述の山で育まれた清らかな水は神秘の滝の数々を創造する。 安ノ滝、幸兵衛ノ滝、桃胴滝、茶釜ノ滝・・など、登山の後の秘滝めぐりもこの山域の楽しみの一つである。
森吉山・戸鳥内登山コース 行程表
アプローチ JR大曲駅より車(2:00)→『道の駅・阿仁』(0:30)→戸鳥内コース登山口
行程表 戸鳥内コース登山口(1:10)→阿仁町避難小屋(0:40)→森吉山
(1:30)→戸鳥内コース登山口より車(1:00)→阿仁前田駅(温泉)
(1:30)→戸鳥内コース登山口より車(1:00)→阿仁前田駅(温泉)
この山を訪れた理由は、『日本の滝100選』の中でも最も探訪が困難と云われる《茶釜ノ滝》めぐりの『ついで』だった。 従って、始めは《茶釜ノ滝》の想定のみで森吉山は頭の中にはなかった。
でも厳しい行程の“メイン”に備えるべく、『体づくり』をせねばならない。 そこで、山頂を往復しても所要が5時間足らずの森吉山が体づくりの“うってつけ”となったのである。
レンタカーの出発地点である大曲より、前日の夜までに『道の駅・阿仁』までアプローチする。
距離的には大曲から80km程度なので、2時間もあれば到着する。 このまま登山口までアプローチしても良かったのだか、トイレや飲料水の事などを考えると、全ての設備が整った『道の駅』を仮眠の場とする方が望ましい・・と考えたのである。
でも厳しい行程の“メイン”に備えるべく、『体づくり』をせねばならない。 そこで、山頂を往復しても所要が5時間足らずの森吉山が体づくりの“うってつけ”となったのである。
レンタカーの出発地点である大曲より、前日の夜までに『道の駅・阿仁』までアプローチする。
距離的には大曲から80km程度なので、2時間もあれば到着する。 このまま登山口までアプローチしても良かったのだか、トイレや飲料水の事などを考えると、全ての設備が整った『道の駅』を仮眠の場とする方が望ましい・・と考えたのである。
朝日を浴びるミズギボシ
『道の駅・阿仁』には、午後8時半頃に到着。 そのまま寝入って、目覚めたのが予定より早い深夜2時前。 車寝は一度目が覚めるとなかなか二度寝は難しいので、早速トイレなどの所用を済ませて登山口へ直行する。
でも、深夜の街灯が全くない森の中、そして途中からダート道となる中を平気で走る事のできるワテって、やはりどこか変なのだろう・。 真夜中の森の中へ車を走らせると、通ってきた林道が行き止まりっぽい地形で寸断され、その周囲に設けられた駐車場前に着く。 時間は午前3時前。
車のライトで大きな立て看板を照らして見ると『森吉山・ブナ帯キャンプ場』と示してあり、どうやらここが登山口のようである。 看板の奥の暗闇に、ボヤ~っとトイレと思しき櫓が建っている。
まぁ、ゴンドラがあり、向こう側の登山口には有人の《こめつが山荘》があって、しかも往復5時間足らずの山でキャンプを張る人間はまずいないだろう。 その通り、このキャンプ場はとっくの昔に閉鎖に追い込まれたようである。
さて、5時頃まで仮眠・・と思っていたが、羽虫が車内に入り込んで車内環境が最悪となったので、カンテラを引き出して登山をスタートする。 現在の時間は4時ちょっと過ぎ。 「歩いている内に夜が明けるだろう」と、黙々と山道を進んでいく。 心なしか、空の縁が白み掛かってきたようだ。 だが、初めての登山道で道もよく把握していないのに深夜登山するワテの精神力もなかなかのものである。
さて、5時頃まで仮眠・・と思っていたが、羽虫が車内に入り込んで車内環境が最悪となったので、カンテラを引き出して登山をスタートする。 現在の時間は4時ちょっと過ぎ。 「歩いている内に夜が明けるだろう」と、黙々と山道を進んでいく。 心なしか、空の縁が白み掛かってきたようだ。 だが、初めての登山道で道もよく把握していないのに深夜登山するワテの精神力もなかなかのものである。
えっ、アホっ? お粗末でした。
過ぎ行く夏の朝
心なしか薄紫の花も寂しげだ
心なしか薄紫の花も寂しげだ
ここは『道の駅』の便所で汲んだ水より自然の水って事で、ポリタンの水を汲み直す。 これより、やや傾斜が増して行き、徐々に明けていく朝の雰囲気と相俟って心地良い負担が身体にかかってくる。
傾斜が増したといっても大した事はなく、ハイペースで登っていく。 すると、先程の水場より30分少々でゴンドラの頂上駅の広場横に着く。 ここは、開けたゴンドラ駅前の広場に降りて小休止する事にしよう。 開けた所の方が風も爽やかで、朝の山の展望も広がるのである。 小休止すると結構な汗をかいている。 風にそよがれると肌寒い位だ。 「これ位の登り坂は何ともない」と思えたのだが、やはりまだ身体は出来ていないようである。
朝の光を浴びて大地が目覚める瞬間
肌寒さに耐えきれなくなって、5分程休憩しただけで出発。 このゴンドラ駅から5分程登ると、絶好の朝景色が広がるテラスの上に出る。 まだ5時半過ぎ。 思う存分に朝の風景を楽しもう。
カメラを首に下げて、写真を撮りながら歩いていこう。 山を楽しみながら歩いていくと、やがて木道の上を歩くようになる。 稜線上に出たようだ。
《石森》という稜線上の小突起の前は、《こめつが山荘》への道と《森吉山頂》への分岐となる『三叉路』だ。 もちろん、進路は《森吉山頂》だ。 ちょっと先に避難小屋と思しき建物と、その背後に豊かな森林に覆われた《森吉山》が鎮座している。 この《石森》からは、お花畑に囲まれたフラワーロードとなる。
《石森》という稜線上の小突起の前は、《こめつが山荘》への道と《森吉山頂》への分岐となる『三叉路』だ。 もちろん、進路は《森吉山頂》だ。 ちょっと先に避難小屋と思しき建物と、その背後に豊かな森林に覆われた《森吉山》が鎮座している。 この《石森》からは、お花畑に囲まれたフラワーロードとなる。
朝日を浴びて輝くコオニユリ
コオニユリ・ミズキボシ・イワイチョウ・ツリガネシャジン・チングルマの実など、晩夏の山を飾る花々が咲き競う。 囲まれた花を愛でながら歩いていくと、あっという間に避難小屋の建物の前に出る。
この避難小屋は阿仁町管理の建物であるのだが、トイレも屋内にあり建付けも最高級といっていい位の避難小屋だ。
この避難小屋は阿仁町管理の建物であるのだが、トイレも屋内にあり建付けも最高級といっていい位の避難小屋だ。
利用の機会を考えると
疑問符がつく程に立派な
阿仁町管理の避難小屋
水場有無の確認はしていないが、水場へ向けての指示をした道標も立っていた。 山頂まで片道2時間チョイ・・では利用の機会がないと思えるが、建物は完璧ですごく“使える”のである。
山上には池塘が多数点在する
避難小屋から《森吉山頂》までは、ちょうど1km。 つづら折りのガレ場を緩やかに登りつめれはいい。 麓の登山口からゆっくりゆっくり歩いて2時間半、『森吉山 1454m』と刻まれた誇らしげな頂上標柱の傍に立つと、一等三角点が示す通りに 360°の大展望が広がる。
立派な頂上標柱の傍らに立って
眼下を見下ろす至福の瞬間
今まで歩いてきた草原が、眼下に果てしなく広がるのだ。 その草原の丘の高台に、ドイツのお菓子箱のような避難小屋が点在する優しい山容の風景を魅せてくれる。
ドイツのお菓子箱のような
森吉町管理の避難小屋
こちらもかなり立派な建物のようで
こちらもかなり立派な建物のようで
また、過ぎゆく夏を惜しむかのように淡い紫色の花が風になびく姿は、情感深い光景をかもし出してくれる。 しばし、この贅沢で情感深い過ぎゆく夏の朝を味わおう。
過ぎ行く夏を惜しむかのように
涼しき晩夏の風にそよぐシャジンの花
涼しき晩夏の風にそよぐシャジンの花
空の色が朝の眩い光から、鋭い夏の輝きに変るその一歩手前の瞬間まで。 心ゆくまで楽しんだなら、また花を愛でながらゆっくりと下っていく事にしよう。 晩夏を象徴するアザミのトゲトゲした花に、過ぎ行く夏の哀愁を重ね合わせつつ。
晩夏ともなると
秋の花・アザミが花開く
シャキシャキ行けば登りでも2時間を切るコースであるので、下りとなると更に所要時間が短くなる。
下り始めは夏の終わりを飾る花々を愛でながらの歩行であったが、《石森》を過ぎると目にするモノも立ち寄る所もなく1時間を切るペースで下りきる。 でも、スキー場からのゴンドラ・・、夏でも運行しているのね。 高いだろうなぁ、料金。
ちなみに、登り始めに語った登山口一帯のキャンプ場だが、予想通りに跡形もなく整地されていた。
周囲にこだまするヒグラシの鳴き声が、過ぎ行く時の無常と残酷さを代弁していた。
周囲にこだまするヒグラシの鳴き声が、過ぎ行く時の無常と残酷さを代弁していた。
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No title * by 風来梨
たけしさん、こんにちは。
東北の山の避難小屋は中央高地の山荘顔負けですね。
この森吉山の避難小屋も、確実に水晶小屋や農鳥小屋に勝ってる!
この他、秋田駒の登山口の小屋、八甲田の毛無岱の小屋、朝日の狐穴小屋、飯豊の朳差小屋などもすごく設備が整ってます。 これらはいずれも無料です。
東北で避難小屋らしいのは、会津朝日の避難小屋位かな・・。
でも、十分使えますよ。
東北の山の避難小屋は中央高地の山荘顔負けですね。
この森吉山の避難小屋も、確実に水晶小屋や農鳥小屋に勝ってる!
この他、秋田駒の登山口の小屋、八甲田の毛無岱の小屋、朝日の狐穴小屋、飯豊の朳差小屋などもすごく設備が整ってます。 これらはいずれも無料です。
東北で避難小屋らしいのは、会津朝日の避難小屋位かな・・。
でも、十分使えますよ。
八甲田山、裏岩手連邦縦走路にあるのも遠方から見ると営業中かと思えるほどです。