2014-06-29 (Sun)✎
『日本百景』 夏 第122回 焼石岳 〔岩手県〕
上沼と周りを飾るお花畑
焼石岳 やけいしたけ (栗駒国定公園)
主峰に焼石岳を据える焼石連峰は奥羽山脈上に噴出した火山群で、焼石岳 1548メートル を中心に経塚山 1373メートル ・牛形山 1340メートル など数峰を連ねている。 これらの山はいずれも火山活動が古く侵食が進んでいる為、火山特有の荒々しい地形は見られず、なだらかな山容を魅せている。
・・焼石連峰の魅力は、いくつもの美しい沼々と湿性高山植物の花々であろう。 雪解けの後の湿原を彩るミズバショウをはじめ、山頂付近のお花畑を彩るハクサンイチゲ・ユキワリコザクラなどの群落はとりわけ美しい。
主峰に焼石岳を据える焼石連峰は奥羽山脈上に噴出した火山群で、焼石岳 1548メートル を中心に経塚山 1373メートル ・牛形山 1340メートル など数峰を連ねている。 これらの山はいずれも火山活動が古く侵食が進んでいる為、火山特有の荒々しい地形は見られず、なだらかな山容を魅せている。
・・焼石連峰の魅力は、いくつもの美しい沼々と湿性高山植物の花々であろう。 雪解けの後の湿原を彩るミズバショウをはじめ、山頂付近のお花畑を彩るハクサンイチゲ・ユキワリコザクラなどの群落はとりわけ美しい。
焼石岳・中沼ルート 詳細図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
水沢市街より車(1:10)→中沼登山口(0:40)→中沼(1:30)→銀明水(1:10)→焼石岳
(1:00)→銀明水(1:00)→中沼(0:30)→中沼登山口より車(1:10)→水沢市街
焼石連峰山域は美しい沼や様々な花が咲き乱れる湿原を抱く魅力いっぱいの山なのに、どういう訳かあまり注目を浴びず、いつも閑散としている。 あまり人の訪れる事のない地域なので登山基地となる《石渕ダム》までのバス便がなく、アプローチは大変である。 だが裏を返せば、この美しい景観の山域を静かに心ゆくまで味わえるのである。
水沢市街より車(1:10)→中沼登山口(0:40)→中沼(1:30)→銀明水(1:10)→焼石岳
(1:00)→銀明水(1:00)→中沼(0:30)→中沼登山口より車(1:10)→水沢市街
山頂直下に咲く
ハクサンイチゲ
前述の通りにアプローチが厄介であるので、ここはレンタカーかマイカーで前日までに《石渕ダム》まで入っておこう。 《石渕ダム》より2km先の《ツブ沼》は無料のキャンプ場となっているので、利用するといいだろう。 なお、《ツブ沼》からも、焼石岳への登山ルートがある。
・・さて、魅力いっぱいの焼石岳に登ってみよう。 《中沼登山口》までは車で入ることができるが、登山口まで延びる『尿前林道』がかなりの悪路なので、車の床下を大いに擦る事は覚悟せねばなるまい。
登山する前に、林道の運転で冷や汗をいっぱいかいて登山口に着く。 《中沼登山口》を示す標柱をくぐり、登山開始だ。
・・さて、魅力いっぱいの焼石岳に登ってみよう。 《中沼登山口》までは車で入ることができるが、登山口まで延びる『尿前林道』がかなりの悪路なので、車の床下を大いに擦る事は覚悟せねばなるまい。
登山する前に、林道の運転で冷や汗をいっぱいかいて登山口に着く。 《中沼登山口》を示す標柱をくぐり、登山開始だ。
始めは木道だが、徐々に岩コロの転がる急登となっていく。
この急登にひと汗かいた頃、ブナ林に囲まれた静かな沼・《中沼》が現れる。
このコース最初の景勝・中沼
ここから《中沼》を半周まわるように木道が敷かれている。 この木道が途切れるあたりから、いよいよ待望のお花畑の湿原が広がりだす。 ヒオウギアヤメ・ニッコウキスゲ・コバイケイソウ・チョウノスケソウなどが花開く中を歩いていく。
沼の周りは湿性高山植物の宝庫だ
ヒオウギアヤメ ミズギボシ コオニユリ
もし、この山の名花・ユキワリコザクラを愛でるなら、6月下旬から7月上旬がいいだろう。
可憐なピンク色の花々が、この湿原を染め尽くすのである。 この湿原を足元を気にしながら歩いていくと《上沼》に出る。 ここは背景に焼石連峰の山々を従え、周りは湿性のお花畑の宝庫となっている。
ただ残念な事に、私が登った時は荒天で景観は全くなかったのだが。
この《上沼》を越えると樹林帯に入り、《上沼》に注ぐ小沢に沿って再び急登となる。
足元を水が流れて、ぬかるみ状となっていて歩き辛い。 この樹林帯を抜けると、再び湿原に飛び出る。 この湿原からは木道が敷かれているのだが、この木道が“クセ者”である。
なぜなら、この湿原はかなりの傾斜地にあって、この木道は上部の沢からの流水でいつも濡れているのである。 そういう訳で、ツルツルと滑るのだ。 木道で転ぶと、衝撃はかなりキツいのである。
この厄介な木道の坂を登りきると湿原上部の沢を渡って、なおも続くぬかるみの道を登っていく。
しばらく続くぬかるみの登りを乗りきると、銘水・『銀明水』の湧出する《銀明水避難小屋》に着く。
この《上沼》を越えると樹林帯に入り、《上沼》に注ぐ小沢に沿って再び急登となる。
足元を水が流れて、ぬかるみ状となっていて歩き辛い。 この樹林帯を抜けると、再び湿原に飛び出る。 この湿原からは木道が敷かれているのだが、この木道が“クセ者”である。
なぜなら、この湿原はかなりの傾斜地にあって、この木道は上部の沢からの流水でいつも濡れているのである。 そういう訳で、ツルツルと滑るのだ。 木道で転ぶと、衝撃はかなりキツいのである。
この厄介な木道の坂を登りきると湿原上部の沢を渡って、なおも続くぬかるみの道を登っていく。
しばらく続くぬかるみの登りを乗りきると、銘水・『銀明水』の湧出する《銀明水避難小屋》に着く。
銀明水周囲のお花畑にて
眩いばかりのキンバイソウ群落 ハクサイチゲの亜種
『銀明水』は銘水の称号を得ているだけあって、清らかな泉が湧出している。 疲れた体を、乾いた喉を潤す名水だ。 この泉の少し上にある石垣の上に、避難小屋が建っている。 この避難小屋は建付けが良く、キャンピングガスの器具や砂糖・塩といった調味料、ランプの油などが備えてあった。 ただ、どういう訳か、トイレは見当たらなかったが。 この小屋でしばし休憩して、再び頂上を目指して登山開始しよう。
《銀明水避難小屋》からは、眼前にそびえる急斜面の山肌をジグザグに登っていく。 この斜面一帯はキンバイソウの大群落となっていて、眩いばかりの黄色が斜面を覆っている。 このジグザグの斜面を登りきるとハイマツ帯に入って、花もハクサンフウロ・イワイチョウ・ハクサンイチゲ・・などの高山性の花々が姿を魅せるようになってくる。 花を見ながらハイマツ帯の中につけられた小道を歩いていくと、周囲が開けた岩礫地の広場に出る。
ここは《姥石平》といい、この山域でも屈指のお花畑で、《仙水沼》と呼ばれる池塘の辺りはちょっとした庭園状となり、もし晴天ならば素晴らしい情景が広がることだろう。 《姥石平》から砂利道を緩やかに登っていき、亜種のハクサンイチゲが咲き乱れる斜面をつめると、剣や鉾が立ち並ぶ焼石岳 1548メートル の頂上に着く。
荒天で荒涼しきりの ハクサンイチゲの亜種
焼石岳山頂 花びらの形が尖状となっている
晴天ならば、飯豊・朝日・鳥海・早池峰といった東北の名峰の眺めを欲しいままだが、あいにく私が登った日は一日天気が荒れ狂う白霧の世界で眺望は全くなかった。 このような訳で、この山の魅力を十分伝えられなかったのが残念である。
帰りは往路を戻るが、帰りの足がフリーなら、このまま《夏油温泉》に向かって焼石連峰を縦走するのもいいだろう。 その場合は、途中の《金明水》にある避難小屋を使っての1泊2日の行程となろう。
なお、《夏油温泉》は東北屈指の名湯である。 縦走の疲れを癒すにはうってつけであろう。
なお、《夏油温泉》は東北屈指の名湯である。 縦走の疲れを癒すにはうってつけであろう。
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