風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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名峰百選の山々 第15回  赤石岳

名峰百選の山々 第15回  『80 赤石岳』 静岡県 赤石山系(南アルプス国立公園) 3120m 
コース難度 ★★  体力度 ★★★
 

湧き立つ雲を露払いに
威風堂々と
 
   行程表             駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 静岡市街より車(2:30)→畑薙第一ダム(4:40)→椹島
《2日目》 椹島(3:20)→蕨段(2:00)→千枚小屋、千枚岳へは往復1時間20分
《3日目》 千枚小屋(0:45)→千枚岳(1:30)→悪沢岳(1:30)→荒川中岳(0:25)→荒川前岳
     (1:10)→荒川小屋
《4日目》 荒川小屋(0:40)→大聖寺平(1:45)→赤石岳(2:00)→百間平 
     (0:50)→百間洞露営地
《5日目》 百間洞露営地(1:30)→大沢岳(2:00)→兎岳(2:30)→聖岳、奥聖岳へは片道20分
     (1:50)→聖平
《6日目》 聖平(2:20)→上河内岳(1:30)→茶臼小屋(1:45)→柿窪沢小屋 
     (1:00)→ウソッコ沢小屋(1:30)→畑薙大吊橋(0:50)→畑薙第一ダムより車 
     (2:30)→静岡市街
   ※ 前回の《3日目》『名峰百選 第14回 荒川前岳』からの続き
 

お花畑の大斜面と赤石岳
 
  《4日目》 赤石岳を越えて百間洞露営地へ
今日は、南アルプスの盟主・赤石岳に登ってみよう。 今日は短い行程だが早発は山の鉄則なので、早く出発するに限る。 荒川小屋を出ると、砂礫帯の大斜面の縁をトラバース気味に平行移動していく。約40分程歩くと、《大聖寺平》というだだっ広い砂礫地の丘の上に出る。 

ここは荒天の場合、方位を見失って“リングワンダリング”に陥る危険があるので注意が必要だ。 
進行方向は、やや左向きに真っすぐ進む感じだろう。 道が正しければ、《位久光霊神》の碑が道脇にあるので、憶えておくと便利だ。 
 

ダマシノ平から望む赤石岳

《大聖寺平》から砂礫帯の丘に向かってジグザグに登っていくと、先程の眺めとよく似たただっ広い丘の上に登り着く。 もし、荒天時に全く地理感なしに登ったなら、ここも“リングワンダリング”に陥ったと思うかもしれない。 それもそのはず、この丘はよく《大聖寺平》と見誤る為、通称“ダマシノ平”と呼ばれているのだ。 この2つの丘の“差”は、《ダマシノ平》がハイマツの庭園状を成していて、やや花が多いみたいである。 
 

この時はエーデルワイス
(ヒナウスユキ)が満開だった

ワテの登った日はあいにくの荒天だったので、この地形の弊害である“道に迷いやすい”ということを重点的に述べたが、好天時には小赤石岳・赤石岳・《百間平》・大沢岳が美しい稜線を魅せる高山的な雰囲気満点の眺めである。 こういう時は意のままにならぬ天気を恨めしく思うが、それは仕方あるまい。
山に入ると3~4日に1日は天気が悪いので、荒天時の心得も必要だ。

さて、《ダマシノ平》から、左にそびえる岩礫の急斜面をジグザグに登っていく。 見た目には滑りやすそうで、高低差もかなりあり嫌な感じだが、登ってみると30分もかからずに割りとあっさりと登り着く。 この急登を登りきったなら、小赤石岳の肩。 ここからは、展望の素晴らしき3000mの稜線歩きが続く。 振り向けば、荒川三山が高山美あふれる山容を魅せていることだろう。 

“肩”の丘から、広潤な雰囲気いっぱいの“3000mの稜線”を楽しみながら歩いていこう。
岩の突起を3~4つ越えると、小赤石岳 3081メートル の頂上だ。 本邦第14位の標高を誇る山なのだが、その扱いは“粗末”なもので、頂上を示すものは“シャモジ大”のプラカードが指してあるのみである。
小赤石岳からは、カール地形を見下ろしながら右に緩やかに反る様な方向に進む。 

緩やかな登り降りを繰り返し、《赤石小屋》への分岐を分けて登っていくと、石剣やケルンの乱立するカールバンドの上に出る。 ここまでくればもうひと息だ。 カールバンドを頂までつめていくと、三角点や測量やぐらや石柱の展望案内板がある赤石岳 3120メートル の頂上だ。
 

この頃は馬力があった
心なしか顔も精悍に見えたりして(涙)
 
頂上からの展望は、素晴らしいのひとことに尽きる。 特にキザギサとに尖った悪沢岳の眺めとカールバンド上に延々と立ち並ぶ石剣越しに望む富士山は、絵心をくすぐられる素晴らしき情景だ。 
盟主たる頂上の大展望を満喫したなら、下り始めよう。
 

赤石岳頂上より
悪沢岳を望む
 
なお、赤石岳の頂上直下の窪地に《赤石岳避難小屋》がある。 窓は壊れ、中は荒れているようだが、使えなくはなさそうだ。 もし、頂上で雷にでも襲われたなら、利用価値はあろう(現在は、檜造りのロッジタイプの小屋が建っていて、食事付の有人小屋となっている。 時代は変わったものだ)。 
 

朝の空に浮かぶ
間ノ岳と荒川三山

また、朝に赤石岳の頂上にいち早く立ちたいと思うならば、ここでの宿泊もいいだろう。 水は下から持ち上げなくてはならないが、自分だけの贅沢な山行を演出するのも楽しいだろう(かつては、これができたのだ。 現在は便利となったが、一抹の寂しさを感じる)。
 

赤石岳頂上丘より南方を望む
左下の青い屋根は旧赤石避難小屋

・・さて、赤石岳の頂上からは、山頂を形成する小さなピークを2つ程越えてから、赤茶けてゴロゴロした石の堆積する急斜面を下っていく。 赤石岳という山名は、この山を構成する赤茶けた岩石よりきている。 このゴロゴロした赤い岩石群の積み重なる光景は見た目には何とも重々しく、特に日差しがキツい時などは熱波を吸収して、その放射熱で“蒸し焼き”にされるだろう。 
 

赤石岳の名前の由来となった
赤茶けた岩石帯
 
この天然の“焼け火鉢”ゾーンを通過しても、続いて白い堆積岩帯のトラバースとなり、岩に密着して通過するので照り返しがキツく、今度は“照り焼き”の目に遭うだろう。 このダブルパンチは、体に相当こたえるのである。 この2つの灼熱地獄を越えて尾根上の小ピーク上に立ったなら、そよ風が顔に当たる心地よさに思わずヘタり込むだろう。 今日は時間的には余裕のある行程なので、大沢岳から聖岳へ続く山なみを見ながらしばし休憩しよう。
 
尾根上に出ると進路を右に巻くように取り、脆いガラ場の下りとなる。 やがてガレた尾根筋を下っていくと、やがて広々としたハイマツ交じりのだだっ広い丘の上に下ってくる。 ここは《百間平》といい、ハイマツと砂礫地に咲く花々とがおりなす庭園を形成している。 だが、横に広々と広がったいるので進路が判りにくく、ともすれば“リングワンダリング”に陥る危険もあろう。 道標も、漠然と西方向を指しているのみで判り辛い。 
 

砂礫の花
トウヤクリンドウ
 
なおコースは、ハイマツ帯を左に横切って、丘の尽きる所から急下降していくようにつけられている。 
ここから《百間洞》までは、行程差250mをイッキに下っていく。 そして明日は、大沢岳に向かって350mを登り返す『愛の六連発』の序曲が待っているのだ。 
前方にそびえる大沢岳を見るにつけ、250mを下ることの口惜しさをひしひしと感じる事だろう。
 
下りきった所が《百間洞》の露営地で、展場のそばを清らかな沢が流れる絶好のキャンプ場だ。
すぐそばにもまだ真新しい《百間洞山ノ家》が建っていて、“ゴージャスな夕食が出る”と評判も上々である。 少し早いが、今日はここでストップとする。 なお、今日の行程は、歩行5時間少々と比較的楽に取ってある。
 

荒川・赤石・聖・上河内の名峰揃い踏み
南ア・光岳・イザルヶ岳より
 
それは明日以降の『愛の六連発』を含む厳しい行程に備えて、あえて設定したものだ。 明日は、累計標高差1500mづつのアップダウンがあるこのコース最大の難関・『愛の六連発』が待ち受けている。
今日は早めに就寝して疲れを癒し、鋭気を養おう。
 
   ※ 続き《5日目》は、『名峰次選 第15回 大沢岳・中盛丸山・兎岳』にて・・
 
  ※ 詳細はメインサイトより、『南アルプス南部大縦走』を御覧下さい

 
 
 
 
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No title * by makirin
いつも 素敵な写真ですね。.:♪*:・'(*⌒―⌒*))) スペシャルスマイル

山に登られるのですね 私にはその元気はないですwww

No title * by 風来梨
makirinさん、こんばんは。
見て頂いてありがとうございます。

山はいいですよ。 春夏秋冬素晴らしい風景を魅せてくれます。
でも、冬と春は雪中だから、ちょっと経験が要りますが・・。

これから、山や滝の写真をドンドンアップしていきますね。
時折、覗いて見てください。

No title * by オータ
赤石岳も行きたくて、ガイドブックを眺めてはため息をついていました… 素晴らしいですね。
尺度で安易に比べるのも失礼かもしれませんが、北部の白根三山が有名なのに比べて、荒川三山+赤石岳のコースに魅力を感じていました。とてもタイヘンな行程ですが、こんな贅沢な山旅はないと思っています。

No title * by 風来梨
オータ様、いっぱいの書き込み有難うございます。
コメントは閑古鳥が鳴き気味ですので、大変嬉しいです。

赤石岳や荒川三山は、今でこそアプローチが良くなりました(・・と言っても、アプローチの難しい山である事に変わりなし)が、昔はマムシが潜む転付峠越えで命を落とす事も考えられたし、私のように大井川東俣林道を15km歩かされるような、大変アプローチの難しい山でした。

未開の山、厳しい山、困難なルートの山を踏破した時の心の高揚感は、何にも変えがたいモノがあります。 だから、魅力を感じるんですね。 北海道の日高も、これが当てはまります。

でも、安易な気持ちで行くと、自然は牙をむいて襲ってきます。
その一例が、トムラウシの山岳事故でしょう。
一つの判断で生死が分かれるのですから・・。

コメント






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No title

いつも 素敵な写真ですね。.:♪*:・'(*⌒―⌒*))) スペシャルスマイル

山に登られるのですね 私にはその元気はないですwww
2011-03-04 * makirin [ 編集 ]

No title

makirinさん、こんばんは。
見て頂いてありがとうございます。

山はいいですよ。 春夏秋冬素晴らしい風景を魅せてくれます。
でも、冬と春は雪中だから、ちょっと経験が要りますが・・。

これから、山や滝の写真をドンドンアップしていきますね。
時折、覗いて見てください。
2011-03-04 * 風来梨 [ 編集 ]

No title

赤石岳も行きたくて、ガイドブックを眺めてはため息をついていました… 素晴らしいですね。
尺度で安易に比べるのも失礼かもしれませんが、北部の白根三山が有名なのに比べて、荒川三山+赤石岳のコースに魅力を感じていました。とてもタイヘンな行程ですが、こんな贅沢な山旅はないと思っています。
2011-03-06 * オータ [ 編集 ]

No title

オータ様、いっぱいの書き込み有難うございます。
コメントは閑古鳥が鳴き気味ですので、大変嬉しいです。

赤石岳や荒川三山は、今でこそアプローチが良くなりました(・・と言っても、アプローチの難しい山である事に変わりなし)が、昔はマムシが潜む転付峠越えで命を落とす事も考えられたし、私のように大井川東俣林道を15km歩かされるような、大変アプローチの難しい山でした。

未開の山、厳しい山、困難なルートの山を踏破した時の心の高揚感は、何にも変えがたいモノがあります。 だから、魅力を感じるんですね。 北海道の日高も、これが当てはまります。

でも、安易な気持ちで行くと、自然は牙をむいて襲ってきます。
その一例が、トムラウシの山岳事故でしょう。
一つの判断で生死が分かれるのですから・・。
2011-03-06 * 風来梨 [ 編集 ]