2014-05-19 (Mon)✎
『日本百景』 春 第118回 丹後半島 〔京都府〕
覗くような視線
経ヶ岬灯台
関西圏で最もきれいな海・若狭湾を抱く丹後半島は、広域に渡って見どころがたくさんある。
美しい海岸風景と柱状摂理の断崖がそびえる経ヶ岬から、全国的に有名な『天ノ橋立』と舞鶴の海水浴場・・、そして美しい白砂の浜と澄みきった海が印象的な高浜海岸、そしてこの海岸をより美しく引き立てる“若桜富士”・青葉山 699メートル など、素晴らしい景観が続いている。
丹後半島 地図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
福知山市街より車(1:40)→経ヶ岬(0:45)→伊根浦の舟屋(0:30)→府中・篭神社よりリフト
(0:10)→傘松公園(0:10)→府中より天ノ橋立を歩く・智恩寺まで所要1時間
(0:40)→由良川橋梁(0:45)→福知山市街
今回の旅は、《丹後半島》の美しき海岸と日の出を撮影するのを主に、《天ノ橋立》や《丹後半島》の名所をめぐってみよう。 この行程では、《丹後半島》を往来するので、車は必需品となる。
それでは出発しよう。
若狭湾からの美しい日の出
美しい海原から朝日が昇るのを撮影するなら、必然的に前夜のアプローチが必要となる。
前夜は狭く苦しい車中泊となるが、美しい朝日を撮影する為に“ひたすら我慢”である。
かまや海岸での夜明け
朝日を撮るならば《経ヶ岬》の高台からか、その付近の海岸べりがいいだろう。
また、印象的な作品に仕上げるなら、《新井崎》付近の断崖の上にある千枚田を逆光で狙うのも面白い。
また、印象的な作品に仕上げるなら、《新井崎》付近の断崖の上にある千枚田を逆光で狙うのも面白い。
桜の木をシルエットに
朝日を演出してみた
掲載した日の出の写真は《経ヶ岬》の少し手前にある《かまや海岸》で撮ったものだが、この場所も当然、日の出撮影のお薦め場所となろう。
海原が黄金色に染まる中
大海に船出する
さて、朝日を撮ったならば、朝を追いかけるように《経ヶ岬》へ向かう。 《経ヶ岬》は《丹後半島》、そして近畿地方の最北端に位置する岬である。 岬前の駐車場で車を止めて、大海原を見下ろす展望台へ登ってみよう。 この展望台を経て白亜の《経ヶ岬》灯台がある。
この展望台まではかなり急な階段で約300段あり、ひと汗をかかされる。 しかし、登りきった高台の上からは、日本海の大海原と山陰地方の海岸線が美しく望むことができる。 そして、足下の断崖絶壁の上には、白亜の灯台がたたずんでいる。 さぁ、あの白亜の灯台に行ってみよう。
美しい白亜の灯台が立つ経ヶ岬
《経ヶ岬》灯台は明治初期に富国政策の一環として、海運事業の強化を目的に建造されたとの事である。 建造にあたっては西洋の技術を大いに取り入れた、歴史的に意義のある灯台であるとの事だ。
白亜の灯台の基礎建築様式にも、西洋を受け入れ始めた文明開化のロマンが息づいている。
そして、この灯台は明治時代より1日も絶やす事なく、行き交う船舶に一条の光を届けてきたのである。 岬の断崖に突き出た灯台の上で海原に秘めた明治時代のロマンを胸に強く感じたなら、この岬を後にしよう。
岬より西に続く海岸線
《経ヶ岬》から先は、リアス式の海岸風景が多くなる。 《丹後松島》・《立岩》・《間人 たいざ 海岸》などに代表される景勝地は、いずれも断崖と岩礁が波を洗う迫力のある眺めを魅せている。
時間があれば、めぐってみたい所である。
丹後半島の北に続く海岸線
《丹後半島》の北海岸を望んだなら、次は東海岸の景勝地を訪ねてみよう。
まずは、《巌門》。 《泊海岸》の入江に、断崖絶壁の大岩が門のようにそびえている。
港に漁船をつなげてのんびりした周りの雰囲気と、断崖絶壁の対比が面白い。
次に遣唐使の先駆けとして歴史の場ともなった、徐福上陸の地・《新井崎》にいってみよう。
この辺りの海岸は最も水が澄んでいて、エメラルド色の海水と岩礁が美しくマッチしている。
また、この近くには狭い海岸端の土地を上手く利用した『千枚田』が多く見られる。
朝、逆光を上手に取り入れれば、影絵のような美しい情景を撮影できるだろう。
心なごむ漁村風景
伊根浦の舟屋にて
伊根浦の舟屋にて
撮影の名所はまだまだある。 その1つに挙げられるのは、《伊根浦》の舟屋であろう。
素朴な漁村風景を望むなら、ここがイチ押しである。 海岸沿いをゆく毎に景勝地が現れるが、前夜発の日帰りの行程ゆえに、この他の景勝地は次回まわしとしよう。
後ろ髪をひかれる思いで《丹後半島》の海岸線を離れて、『日本三景』の1つ・《天ノ橋立》に向かう。
《天ノ橋立》は、両岸の高台にある《傘松公園》と《文殊山公園》から“股のぞき”で望むことで有名である。 股から望むと天と地がひっくり返り、あたかも天架ける橋のように見えることから《天ノ橋立》との名がついたそうである。 なお、《傘松公園》からの眺めを《斜め一文字》といい、対岸の《文殊山公園》からの眺めは《縦一文字》と呼ばれている。
《天ノ橋立》は、両岸の高台にある《傘松公園》と《文殊山公園》から“股のぞき”で望むことで有名である。 股から望むと天と地がひっくり返り、あたかも天架ける橋のように見えることから《天ノ橋立》との名がついたそうである。 なお、《傘松公園》からの眺めを《斜め一文字》といい、対岸の《文殊山公園》からの眺めは《縦一文字》と呼ばれている。
桃の花咲く傘松公園より望む
『斜め・一文字』
『斜め・一文字』
“股のぞき”で1ショット
ちなみに、《横一文字》は少し離れた《栗田峠》からとの事であるが、こちらは前者に比べて人気度で落ちる。 行程では、《傘松公園》からの《斜め一文字》を取り上げてみたのであるが、どこを行くかは各人の好みで選んで頂きたい。 “股のぞき”でクラクラした頭で望んだ《天ノ橋立》を、今度は実際に歩いてみよう。
天橋立に続く松並木の道
《傘松公園》、あるいは《文殊山公園》からから下って、《宮津湾》を横切る全長3.6kmの松並木と砂浜からなる《天ノ橋立》を歩く。 《天ノ橋立》に仕切られた《阿蘇海》は、あくまでも穏やかで波一つこない。 水鳥も悠々と泳いでいる姿がのどかだ。
天ノ橋立は美しい砂浜の連なりだ
一方、外海の《宮津湾》側はマリンスポーツのメッカで、様々なセールボートが湾内を飾っている。
また波もあり、砂浜からの風と匂いは正に潮の香りであった。 中は美しい松並木の道で、『街道百選』にも選ばれている。 レンタサイクルで伝うも良し、歩いて伝うも良し、海上からモーターボートで眺めるのもいいだろう。 この『日本百景』では歩く事が基本なので、歩いて伝う事にしよう。
三人よれば文殊の知恵”
でおなじみの知恩寺
約1時間で渡り終えると、“日本三大文殊”で有名な《智恩寺》がある。 この寺は、“三人よれば文殊の知恵”の諺の語源発祥の地である。 ここは、“いい旅を創る知恵を授かりに”とお参りして、天ノ橋立めぐりを終えよう。 帰りは、湾内を水上ボートで行くのもいいだろう。
由良川の船着場にて
そして最後は、由良川橋梁に立ち寄ってみよう。 今は周囲の風景に合わないズングリムックリのハイデッカータイプの車両になっているが、国鉄時代はスラっとした車体のキハ58がツートンの美しさを魅せていた。 これらの写真を見る度に、「何でもっと撮っておかなかったのだろう」との悔いが頭にもたげてくるのである。
大河・由良川を渡る
在りし日の急行【丹後】号
帰りは福知山に戻って高速に乗るも良し、下道をゆっくり帰るも良しである。
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