風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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日本の滝を訪ねて 第15回  神話の里・高千穂に潜む滝

日本の滝を訪ねて 第15回 神話の里・高千穂に潜む滝 〔宮崎県〕
 
今回は、神話の里・高千穂に潜む2つの滝の冬の姿を御紹介しよう。 この滝のある高千穂は、町全体が標高250~400mの高原にあり、冬は内陸性の寒冷気候となる町だ。 従って冬季には、九州では貴重な氷瀑が見られるのである。
 

冬の白滝は
九州では貴重な氷瀑となる

   白滝 しろたき 落差60m 宮崎県・五ヶ瀬町


白布が絹糸のように美しい
竜ヶ岩ノ滝
 
   竜ヶ岩ノ滝 たつがいわのたき 落差60m 宮崎県・高千穂町

《高千穂》市街より、国道218号線を『九州山地縦断国道』として名高い国道265号線との分岐まで進む。 もちろん、この先は国道265号線に入っていくのである。

ひと昔前は『九州縦断酷道』と陰口を叩かれる位に劣悪だった国道265号線もかなり手が入ったようで、所々では完全なニ車線に整備されていた。 さて、次に訪れる滝の《白滝》は、この国道265号線を《五ヶ瀬町・荒谷》まで進み、国道の左手の奥まった所にある集落の手前より延びる林道の途中にある。 
 
国道の左折地点と林道への入口に、『← 白滝』の案内標識があるのは心強い。 だが、集落につながる生活道路の区間は舗装されているが、ひとたび林道に進入するとかなりの急坂と酷い荒れ道となる。

ワテは冬にこの地を訪れたのだが、道が完全に凍結していて、途中で車での進入を諦めて歩かざるを得なかった位だ。 でも、林道区間は1.5kmほどなので、歩いてでもゆける距離なのであるが。
完全に凍結した急坂なので、冬タイヤを装着したとしても冬季の進入は『不可能』としておいた方がいいだろう。 林道の入口より歩いていくとなると、所要時間は片道30分程度であろうか。
 

滝に最接近する地点から撮ると
滝に光が当たらない分だけ
『冬』の寒さを強調できるかも
 
さて、お目当ての《白滝》であるが、先程に述べた通り、この林道の1.5km奥にある。
滝の50m手前には、車が6~7台駐車可能である明らかに人工的な駐車場スペースが設けられている。林道は滝の上部を巻くように延びているのだが、どうやらこの辺りの滝の正面以外は滝を見渡せないようである。 また、この《白滝》は最も接近した地点で眺めるより、林道(滝の最接近地点より急坂となっている)の奥へ向かって50mほど離れた方が魅せられるようである。
 

少し林道の奥につめて
離れた所から望遠で狙うと
迫力を増すようだ
 
冬季にはアプローチの林道が完全凍結するように、この滝も飛沫がシバれて氷瀑となる。
九州でこれ程氷結する滝は、この《白滝》くらいではなかろうかと思う。 しばし、冬の奥峡にある名瀑に魅せられよう。
 

下部を切って
光の当たる上部を大きくすると
更に魅力的となる
 
心ゆくまで氷瀑に魅せられたなら、最後の滝へ向かうべく引き上げよう。 だが、帰りも完全氷結した林道で、しかも下り道となるので最大限の注意を払って下っていこう。 林道の入口に車を“デポ”って徒歩であったとしても、滑って転げ落ちかねない程の急坂だから。
 

滝の下部は
“氷結”を強調してみた
 
次の《竜ヶ岩ノ滝》へは、《白滝》からの往路を《高千穂》市街まで戻り、町の中心で交差する国道325号線に乗る。 この道は《高森》から《南阿蘇》へ向かう道である。 この325号線を『四季見原キャンプ場入口』の案内標識のある所まで進み、この標識の示す方向に従って右折する。
 
後は『四季見原キャンプ場』へ向けて、クネクネと曲りくねった舗装道を6km程登っていけばいい。
この道中に最後に訪れる《竜ヶ岩ノ滝》の案内がほとんどないので、道の方向が合っているのか少々不安になる事だろう。 だが、不安が高まり出した頃には《竜ヶ岩ノ滝》探勝路の入口を示す案内看板が現れる事だろう

滝の案内板の前には車が6~7台駐車できるスペースがあり、道路を挟んだ向こう側に探勝路の入口がある。 そして、探勝路の入口方向を指し示した『竜ヶ岩ノ滝まで300m ⇒』との案内看板が立っている。 これに従って、探勝路に入っていこう。
 

無名の沢滝を眺めつつ
遊歩道を登っていく
 
探勝路の最初の内は綺麗に整備されているが、少し奥に入ると旧規格の探勝路となる。 つまり、かなり急で踏みしろの狭い階段が続き、それでも対応しきれない所は丸太をかまして土砂を堰き止めて踏みしろを設けている・・といった案配となる。 また、自然災害の爪痕なのか、その階段や丸太の多くは下部の土砂が流出したり粉々に割れていたりしていた。
 

竜ヶ岩の滝の下部は
二つ寄り添って釜へ落ちる
『夫婦滝』だ
 
距離は先程の案内板の通りに300m程なのであろうが、このような足元が不安定で急な登路では通常の倍の体力と時間を要するのである。 沢に沿って架けられた桟道を渡ると、大きな滝の後発滝と思しき2条の『夫婦滝』(滝釜で合わさるように落ちる滝)が現れる。 その『夫婦滝』の上方を見上げると、落差60mはあろうか・・というストレートの大瀑が滔々と白布を掛けていた。
 

観瀑台からは滝の下部が
やや雑木に覆われている
 
探勝路はこの滝の上部を俯瞰する位置まで石の階段が切られていて、これを登っていくと小さな囲いで仕切られた展望台がある。 そしてこの先は、『災害による崩壊の為、通行禁止』との看板と侵入を阻むゼブラロープで区切られていた。 この展望台からの眺めも申し分ないのだが、このゼブラロープを越えて少し登った地点の方が滝がより魅惑的となるのである。
 

ゼブラロープをくぐって
数段登った所から望むと
滝の下部を覆っていた雑木が途切れて
虹のかかる滝絵巻が見えてくる
 
この地は関西に住むワテにとって、そうそう訪れる事のできる地ではないのである。 「訪れた場所では最高の情景を目にしたい」という思いが強くなって歯止めが利かない。 このような勝手な訳を抱いてしまったので、ここは少し『非合法』であるがこのロープをくぐろうと思う。 この先で事故や怪我を起しても、全ては自己責任となるのは当然な事であるが。 それでは、その『最高の情景』をごろうじろ。
 

滝飛沫の宝石に魅せられて
 
なお、この探勝路は、つづら折りで高度を稼いだ車道の上部と合流している。 また、崩れた所はどうやら1ヶ所だけのようである。 だが、自己責任を取る意志のない者は「行くべからず」であろう。
 

オーバーハングとなっている
滝の岩壁をクローズアップすると
ファインダーの中に
滝飛沫の宝石が散りばめられた
 
帰りは冬季ならば階段に雪が乗っているので、気を引き締めて一段づつ確実に降りていこう。
途中の沢や渓谷を楽しみながら車を駐めている所に戻ると、もう夕刻に近づいている頃だと思う。
このまま《阿蘇》や《熊本》方面へ抜けてもいいし、《延岡》方向に戻ってもいいだろう。 
だが、この“神話の里”《高千穂》はまだまだ魅力的な所がたくさんある。 もう1日この“神話の里”に滞在して、より“神話の里”を楽しむのもいいだろう。

  ※ 詳細は、メインサイトより“神話の里”の滝めぐり』を御覧下さい。





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