風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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オホーツク縦貫鉄道の夢  第7回  糸魚沢とチライカリベツ川

『オホーツク縦貫鉄道の夢』の第7回目は、ちょっと寄り道して貴重な木造駅舎が現存する糸魚沢駅とラムサール条約登録湿地である別寒辺牛(べかんべうし)湿原から厚岸湖に注ぐチライカリベツ川を訪ねてみよう。
 

自然とロマンの宝庫・落石岬の探勝を終えて・・
 
落石岬など落石の名所を心ゆくまで堪能したなら、落石駅より列車に乗って西に進もう。
落石駅を出た列車は、先ほど風景鉄道撮影をした海岸段丘の縁を一瞬かすめてから内陸へ分け入っていく。 根室半島の内陸部に入って防霧保安林が立ち並ぶ原野の中を行く。
原野から少し開けて、酪農施設や集落が見えてくると別当賀に着く。
 

列車は落石岬を望んで内陸部へ分け入る・・
 
駅を出ると、再び同じような原野の中を行く。 この辺りはエゾシカと衝突する事故多発地帯だ。
エゾシカなどの野生動物は、鉄道のビームライトが目に入ると凍ってしまう性質を持ち、一度凍ってしまうと警笛を鳴らしても動かないので、そのまま衝突してしまうようである。
 
実際に衝突シーンを目にした事もあるのだが、本当に固まって動かなくなる。
凍って固まったエゾシカの瞳孔は、完全に光反射しているのだ。 この線区の遅れの主原因は、野生動物との衝突との事である。 これは自動車との衝突事例もあるので気をつけたい。
自動車にエゾシカの巨体がぶつかると、死亡事故もあり得るのだから・・。
 

 
さて、原野の中の小駅・初田牛を過ぎると、根室市の西の果てである厚床に着く。
ここは、オホーツク縦貫鉄道路線の標津線の分岐駅である。
 
オホーツクを縦貫する鉄道の旅を忠実に語るなら、ここで下車して標津線に乗換するのだが、今回はちょっと寄り道をしてラムサール条約の登録湿地であるチライカリベツ川や厚岸湖、そして霧多布湿原をめぐってみようと思う。 本来ならここで標津線に乗り換えだが、ちょっと寄り道してみよう・・


厚床を出ると、列車はかつて開拓農家が入植した小集落を結ぶように走っていく。 姉別・浜中・茶内と、原野のにある集落や酪農施設ごとに設けられた駅に止っていく。 なお浜中は、霧多布湿原への玄関口である。


 
 
茶内を過ぎると周囲が湿地帯の様相を呈してきて、程なくチライカリベツ川が車窓左手に見えてくる。
 このチライカリベツ川は泥炭層となった湿地帯より流れ出る川で、アイヌ語で『イトウのいる川』なのだそうである。 川が見えると、しばらくして糸魚沢に着く。


全国で唯一の片流れ屋根造の木造駅舎を持つ糸魚沢駅
 
糸魚沢の駅は貴重な木造駅舎で、それも前後非対称の片流れの屋根を持つ駅舎で、以前は釧路寄りの門静駅も同じ構造の駅舎であったが、取り壊されて新駅舎に建て直されたので、全国唯一の貴重な駅舎となっているそうである。 今は何ら指定は受けてはいないが、重要文化財級の駅舎なのである。
 

釧路寄りの門静駅も同様の造りだったが
取り壊されて新しく建替えられてしまった・・
 

 
さて、この駅で下車して、チライカリベツ川沿いに伝ってみよう。 なお、距離は7~8kmはあり、徒歩では少し無理のようである。 だが、架空旅行の特権である「何でもアリ」という事で、途中の探勝地に加えよう。
 
糸魚沢と厚岸のほぼ中間地点と言っていい所に別寒辺牛湿原のネイチャーセンターがあり、この辺りが根室本線がチライカリベツ川の湿原帯を大きく弧を描きながら行き来する絶好の風景鉄道の撮影場所となろう。 
 
但し、この地域の主幹道路である国道44号線も沿っていて、車がビュンビュンと高速で飛ばす所なので、身の危険を感じる所でもある。 また、高い所から俯瞰して撮影したい所であるが、この地一帯はラムサール条約に指定された湿地帯であるので、容易に山の中へ入っていくのは御法度だろう。
従って、撮影の足場を探しに周囲に踏み込むようなマネはせずに、道路より出た縁の土盛りなどを足場に撮る他はないだろうと思う。
 
なお、トラックなどの大型車には気をつけよう。 実際、かなり怖いのである。
そして、ここでは「三脚を据えて・・」などとは考えぬ方がいいだろう。
デジタルカメラに変って安易に完璧な写真が撮れるようになった為に、鉄道写真撮りの顰蹙行為や列車往来の妨害行為が社会問題となっている(昨今列車往来妨害で摘発された者の全てが、高級デジタルカメラと大型三脚という組み合わせである)が、ここでは決して湿地帯に足を踏み入れたりせぬように・・。
 

チライカリベツ川に沿って
路線は大きく迂回する
 
「道具さえ使えば何でもできる」というのがデジタルカメラの長所であるが、だからといって何をしてもいい訳ではないのだ。 そして、「道具さえ使えば何でもできる」というのは、人間の心を誘惑し、そして物事の是非の判断や創意工夫の力を奪い去る、人間の生存上での決定的な短所でもあるのだ。
 

その地の情景を見て感動するから
写真を撮るのじゃないのかな
例え鉄道写真であったとしても・・
 
あらら・・、脱線しちゃった。 でも、これはデジタルカメラを使う者にとっては不快な記述であると思うが、これは全て事実であり、実際問題として懸念されている事である。
 

何が何でもいい写真を
モノにするよりも
写真撮影を楽しむ事に
意義があるのだと思うのだが・・
 
そして風景鉄道を撮るならば、鉄道写真撮りである前に自然を尊び享受する自然人でなければならないのである。 また、あくまでもエトランゼである旅人の自分が、野鳥や野生動物達の領域であるこの湿地帯にドカドカと踏み込むのは生物としての越権行為なのだ。 だから、風景鉄道の撮影を楽しませてもらうべく、ほんの少しだけお邪魔しようと思う。
 

失敗しても「また来たい」「今度こそは」と
見果てぬ夢を見る方が幸せだと思うのだが・・
 
風景鉄道を撮った後は、別寒辺牛湿原のネイチャーセンターに立ち寄り、広大な湿原の資料や野鳥の写真やビデオを楽しむといいだろう。 今日は厚岸まで出て、厚岸で宿泊するとしようか・・。
 
 ※ 次回は厚岸駅から霧多布湿原をめぐってみよう。
   なお、次回は編成の都合上、夏を謳歌致します。 あぁ、モノ投げないで下さい。 
   所詮、行き当たりばったりの架空旅行記ですさかい、何でもアリです・・。
 
 詳しくはメインサイトより『地球遺産と鉄道の旅 《3日目》』を御覧下さい。

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