風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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名峰次選の山々 第101回  男体山

名峰次選の山々 第101回  『133 男体山』  栃木県 
日光山系(日光国立公園) 2484m  コース難度 ★★  体力度 ★
 

秋の男体山に登ってみよう
 
日光の御神体とも云われる男体山を最短ルートを使って登ってみよう。 この男体山はコニーデ型の火山で、独立峰の如く位置も相俟って美しい三角錐の山体を魅せてくれる。 それゆえか、日光の守り神《二荒山 ふたらさん》として奉られていて、多くの参拝登山者が訪れる山である。
 

 

男体山・志津ルート 行程図
 
    行程表              駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 日光市街より車(1:20)→裏男体林道終点 林道終点より志津小屋まで徒歩5分
《2日目》  志津小屋(1:10)→五合目(0:50)→八合目(0:20)→男体山
      帰路は往路の通り戻る・所要2:00 裏男体林道終点より車(1:20)→日光市街
 
 

男体山の頂上より望む
奥白根山
 
  《1日目》 日光市街より志津小屋へ
さて、この男体山であるが、計画は立てれどもなかなかに登山の機会がなく、かなり後回しになってしまった。 そして私自身も時と共に体力も低下してきて、かつてのように「ついでに女峰山 2464メートル も踏破してこよう」などとは思わなくなってきた。 そのような状況の中での登山行程は、今の現状に合せるべく『最短ルート』を選択しようと思う。

それでは、このルートの登山口にある避難小屋《志津小屋》に前夜泊の形態で、この最短ルートを通って長い間果たせなかった峰の登頂をしてこよう。 なお、本日は『アプローチ日』であるので、宿泊地の《志津小屋》へ向かう概要を記述しよう。

日光市街から《いろは坂》で有名な国道119号線に乗る。 距離は《裏男体林道》入口の《光徳入口》まで30kmちょっとだが、何せあの観光道路の《いろは坂》を通るのである。 シーズン中ならば日中は渋滞に巻き込まれ、所要1時間では利かないだろう。 また、《裏男体林道》林道に入っても所々で舗装が崩れた細い道が続き、かなりの時間が必要だろう。 そして、林道終点は駐車場がなく、林道脇に車を止めていかねばならないので、恐らくシーズン中はこのルートの使用は難しいように思われる。

さて、林道終点に着き、林道脇に邪魔にならぬ様に車を止めたなら、一晩小屋で過ごす用具(シュラフ・マット・カンテラ・一日分の食料・炊事用具・食事一日分+明日の行動水の水)を担いで林道終点より徒歩5分の小屋まで歩いていく。
 

志津小屋
快適な小屋であるがトイレが無いなど
“残念”な小屋でもある

なお、水の入手であるが、「小屋脇に水場はある」とされているが流水はかなり細く、秋はその流水も枯れて『貯め置きの水』となるので、虫が湧いているなど使用に耐えないのである。
 
また、麓の《戦場ヶ原》のパーキングでは、環境保全の取り組みの一環としてトイレの手洗い水は設置されておらず(手に消毒薬品をつけて乾燥させる手法が取られている)、水を得る為には《湯元温泉》まで行かねばならないのである(《中禅寺湖》の駐車場は有料でいつも満車状態なので、水を汲みにいくだけに立ち寄るのは不相応)。 

従って、水は入山前に日光市街などで予め組んでおくのがベターであろう。 これは筆者が水を得る為に奔走した事実なので、この山を訪れる時の知識として、この山では水の入手が困難な事を把握しておこう。 なお、水は3リットルほど所持すれば足りるだろう。 それでは、トイレがなく水場も心元ない小屋なれど、就寝スペースだけは快適な《志津小屋》で、明日の山岳大展望の夢を紡ごう。
 


 

朝日を浴びた白樺林
 
  《2日目》 志津小屋より男体山へ
さて、朝5時には起床したいものだ。 それは、この小屋に宿泊すると、出発準備が多少手間取るからである。 なぜなら、《志津小屋》が林道終点から徒歩5分と中途半端な位置にあり、しかもトイレが林道終点に設置されているからだ。

要するに、昨日持ち込んだ宿泊用具を車に返して、そのついでにトイレで用を足し、昨日に予め用意しておいた日帰り行程用のザックを持ち出してからの出発になるのである。 まぁ、小屋に宿泊道具をデホするって事もできるが、盗難や紛失・破損のリスクがあるし、また次に利用する方にとっても、荷物がデホられて“場所取り”のようになっているのは気分が良くないだろう。 従って、小屋利用のエチケットとして、荷物は回収しておいた方が無難だろう。
 

小屋を出てすぐにある
二荒山神社の祠

さて、前述の如くの出発準備が整ったなら出発しよう。 最近は最短ルートのこのルートを全くの日帰り(前夜着で小屋を利用せず)でこの山を目指すハイカーが多くなっている。 それは、《表登山道》の《中禅寺湖》よりのルートがであるが、登山口の駐車場が有料の上に《華厳ノ滝》見物の行楽客の車でいつも満杯で、しかもこの最短コースの1.5倍の所要時間がかかるので、当然と言えば当然だろう。
 
だが、この最短ルートも駐車場はなく、《裏男体林道》終点の道脇の限られたスペースに限られた台数だけなので、よほど朝早くに林道終点までアプローチしないと、車の駐車ができずに男体山の登山自体が不能となる。 それ故に全くの日帰り登山は、私的にはあまりお勧めできないのである。

話が反れたが、この最短ルートの整備状況であるが、《表登山道》に比べると今イチであろうか。
一合目から全ての『合目道標』は立っているものの、通行ルートが何重にも掘られていて、不明瞭ではないもののかなり複雑なのだ。 従って、『合目道標』を視認するまで、ルートが正しいかどうか多少不安になるだろう。
 

白樺の林越しに
女峰山が見渡せる

その何重にも掘られた道筋は、《二合目道標》の立つ太郎山の展望の開けた所まで続く。 《二合目道標》の所で男体山の山体から落ちるガレ沢上の土手上に立ち、このガレ沢に沿って登っていくが、ここは《八合目》の展望台までで唯一展望の利く所だ。 紅葉も《中善寺湖畔》辺りと同時期なので、紅葉と太郎山を見ながらゆこう。 展望の良いガレ沢の登りは300mほどで終わり、また樹林帯に入っていく。
 
樹林帯の中をジグザクを交えながら登っていくが、倒木やヌカルミは割りと多く樹林に囲まれて展望も冴えないので、正直言うと『快適な道』という程ではない。 このような状況なので、《合目道標》が現れる事を心待ちに登っていくようになるだろう。

語るには凡庸な樹林帯の中の道を『急登未満、緩やかな登り以上』の傾斜でひたすら登っていくと、《七合目》手前で尾根を渡すような地形の所に出る。 男体山の本体が、この1区間だけ前面にバンと現れる。 だが、まだ登ってから1時間半前後なので、にわかに眼前に現れた峰の頂点が男体山の頂とは信じ難い。
 

七合目直前で
男体山の山体がバンと現れる

あまりにも突然で
男体山本峰だとはにわかに信じ難く
 
この尾根を渡すような地形を伝うと《七合目》、これを越えてしばらく登ると森林限界に達したのか、左側の眺望が開けてくる。 太郎山・大真名子山から女峰山に至るスカイラインが一望の下に見渡せる。
この地域の山岳を楽しむなら、是非ともこのスカイラインを歩いてみるといいだろう。 だが、健脚向けの長いルートで、それなりの体力がいる事も併記しておこう。 展望も良くなった事だし、ここらで小休憩するのもいいだろう。
 

そろそろに
紅葉が色づき始めて
 

女峰山のおりなす
スカイライン
 

紅葉に染まる男体山の
支尾根越しに望む女峰山
 
この《八合目》からは、赤土の混じった火山土の滑りやすいザラ場を登っていく。 右手には爆裂火口が口を開け、その爆裂火口を囲むように頂上丘がそびえ立っている。 頂上丘の端には頂を示す《二荒山神社》の社殿が建っている。
 

二荒山神社の社殿と奥白根山
 
それらを見ながらザラ場を詰めると頂上丘に這い上がって《九合目》、後は傾斜のなくなった頂上丘を端まで詰めていくと、大きな刀剣が岩に立てられた頂上岩の上に立つ事ができる。 男体山 2484メートル の頂上だ。 早い人ならこの頂上まで、2時間を切る所要でやってくる事ができる。 ちなみに、私で2:02の所要だった。
 

男体山の頂上を望む
 

二荒山の神が下界を見護って
 
左回りで眺めていくと、太郎山の奥に奥日光の山々が連なり、その横に日光最高峰の奥白根 2578メートル がそびえ立つ。
 

戦場ヶ原と奥白根の大展望
 
振り返り見ると、青い瞳のような湖水を湛える《中禅寺湖》を前景に、皇海山 2144メートル に連なる尾根が逆光に黒光りしてそびえている。 右を向けば《いろは坂》とその下に広がる日光の街なみが見渡せる。 今日はまたとない快晴で、暖かな陽気の元1時間以上頂上でこの山の展望を楽しむ事ができた。
 

眼下に広がる中禅寺湖と
背後にそびえる皇海山
 
帰りは往路をゆくが、傾斜は比較的緩く足場も柔らかい土の道床で、日帰りの身軽な装備も相俟って駆け出したくなるが、所々でヌカルミや倒木、潅木の枝の跳ね返りがあるので慎重に行こう。
下りは(転んでひるんだ筆者でさえ)2時間を切るペースで《志津小屋》まで下る事ができるだろう。
 
後は山の後の温泉だか、有名どころはやはり《湯元温泉》だろう。 奥白根より出でる純硫黄泉の名湯だ。 でも、かなり込むのも事実である。 ここはちょっと先の《白根温泉》などは如何だろう?
間違いなく空いていて、ゆったりくつろげる温泉めぐりができるだろう。
 

最後は太郎山と
紅葉で締めるとしよう

     ※ 詳しくはメインサイトより『男体山』を御覧下さい。
 
 
 
 
 
 
 





 


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