2013-09-29 (Sun)✎
『日本百景』 秋 第90回 白神岳 〔青森県〕
白神岳の頂上丘
この項目では、世界遺産にも登録されたプナの原生林の山・白神岳に登ってみよう。 白神岳であるが、標高は1232m(最高点は1235m)と下手すれば中央高地の山々の登山口よりも低いのだが、登山口が海岸縁から始まるので、高低差から見ると1000m以上と日帰り山行では少々キツめのオーダーとなるのだ。
また、標高が低い山にしては、頂上までの距離もやや長いのである。
それでは、世界遺産にも登録されているブナの大原生林を堪能しにいこう。 さて、その登山道であるが、2コースが開設されている。 一つは十二湖からの大周りルートで、こちらは登り9kmで所要5時間半と日帰り往復はかなり厳しいだろう。 もう一つは今回ゆく《マテ山ルート》で、山頂まで6.5kmで登頂に3.5~4時間と、日帰り登山の行程にはうってつけである。 今回は、もちろん後者の《マテ山ルート》を取る事にしよう。
それでは、世界遺産にも登録されているブナの大原生林を堪能しにいこう。 さて、その登山道であるが、2コースが開設されている。 一つは十二湖からの大周りルートで、こちらは登り9kmで所要5時間半と日帰り往復はかなり厳しいだろう。 もう一つは今回ゆく《マテ山ルート》で、山頂まで6.5kmで登頂に3.5~4時間と、日帰り登山の行程にはうってつけである。 今回は、もちろん後者の《マテ山ルート》を取る事にしよう。
白神岳・マテ山ルート 行程図
(1:10)→マテ山(1:30)→十二湖分岐(0:15)→白神岳(1:30)→マテ山
(1:10)→二股分岐(0:35)→白神岳登山口(0:10)→白神岳登山者駐車場より車
(0:30)→深浦町・岩崎
さて、前述の通り標高は低いが海岸線のゼロm地帯から登るので、朝の6時には登山を開始したいものである。 トイレのある《登山者駐車場》は、世界遺産指定された後の車で訪れる登山者の激増により造られた“空地駐車場”で、つめれば100台位は駐車可能のようだ。
登山道であるが、駐車場の上に建てられたトイレと休憩舎の脇を抜けると、世界遺産登録以前までは先着3台までの駐車スペースだった《黒崎・白神岳登山口》へ続く舗装道に出る。 まぁ、下の駐車場から《黒崎・白神岳登山口》までは500m足らずなので、ものの10分もあれば着くが。なお、《登山者駐車場》から《黒崎・白神岳登山口》は、当然の如く一般車両は通行止である。
さて、《黒崎・白神岳登山口》前で舗装道は途切れ、登山道に入っていく。 この地は世界遺産登録により過敏となっていて、登山者の靴の介在による外来種(オオバコなど)の流入を防ぐ為、登山者指導の詰所前に足拭きマットが敷かれてあり、ここで靴を拭うよう求められている。
さて、《黒崎・白神岳登山口》前で舗装道は途切れ、登山道に入っていく。 この地は世界遺産登録により過敏となっていて、登山者の靴の介在による外来種(オオバコなど)の流入を防ぐ為、登山者指導の詰所前に足拭きマットが敷かれてあり、ここで靴を拭うよう求められている。
白神岳登山口
世界遺産たる地を守る為に
世界遺産たる地を守る為に
厳格な規則が記してある
なお、解っているとは思うが、ペットは絶対に厳禁である。 連れてきた日には、公園法遵守義務違反及び県条例違反で捕縛する事も厭わない雰囲気が蔓延しております。 まぁ、どの山でもこうあるべきなのだけど。
登山道をくぐると最初だけ勾配があり、後は時折勾配はあるが概ね平坦な道が続く。
辺りはブナやミズナラ・ヒバの原生林で、道床は遊歩道規格の歩き良い砂利道である。
それが約2km近く続く。 その林の中の平坦な道は《二岐分岐》のデカイ案内板の所で終わる。
二岐分岐
二岐コースは通行止となっている
二岐コースは通行止となっている
この《二岐分岐》から延びる《二岐ルート》は、白神岳の山体の中央を刻む沢の直登ルートの事でかなり傾斜がキツく、『世界遺産』を耳にしてやってきた登山初心者の進入による滑落の懸念が出た為に、廃道扱いとされて通行禁止となっている。
この分岐から90度左に折れて、山道となったルートを登っていく。 途中に岩清水が流れる水場のある所まではさして傾斜はないが、この水場を過ぎるとつづら折の急登となっていく。 マテ山の登りに取り付いたのである。
さて、私が登った時の事であるが、この辺りよりポツポツの雨を2~3分経た後、完全な雨天となってしまった。 辺りはブナやミズナラ高い樹で囲まれた森の中である。 その中でまともに雨に打たれたのだから、かなりの猛烈な雨だったようである。
マテ山の三角点は、道の真ん中に2塁ベースのような四角い三角点が埋め込まれている。
このマテ山の三角点が、行程のちょうど半分という所だろう。 白神岳へは、このマテ山の“2塁ベース”を蹴った後に、大きく進路を変えて右方向(南東方向)に突っ込んでいく。
マテ山の三角点は、道の真ん中に2塁ベースのような四角い三角点が埋め込まれている。
このマテ山の三角点が、行程のちょうど半分という所だろう。 白神岳へは、このマテ山の“2塁ベース”を蹴った後に、大きく進路を変えて右方向(南東方向)に突っ込んでいく。
だが、周囲は同じブナやミズナラの森の中で、進む方角を変えた事以外には目新しい事はない。
いや、丸太が埋め込まれたり、木段が着いたりと道は良くなっている様だ。 そして、先程からの鬱陶しい雨も小止みから上がっていき、しばらく歩いて白神岳の稜線展望が望める場所まで詰めると、弱くであるが雲間よりお日様も差してきた。 何とも目まぐるしい天候の変化である。
紅葉の彩る“オイシイ”所で
ガスが晴れて下界を望む事ができた
ガスが晴れて下界を望む事ができた
何はともあれ天候の回復は望む展開なので、大いに心が高揚する。 さて、白神岳の稜線展望が望める好展望地まで出ると、お約束の急登となる。 だが、回復していく空からの日差しと、サァ~と晴れる海上を覆っていた霧、そして紅葉に色づき始めた白神岳の山肌と、美味しい情景が目白押しとなる。
上を望むと頂上に建つ避難小屋も見渡せ、目標を定めて登っていく事ができる。
稜線上にポツンの乗っかる頂上避難小屋
アレを目標に登っていく
アレを目標に登っていく
さて、絶景の中の心地良い登りで尾根を詰めると、稜線に登りついて、稜線の北側へ切り通す様に抜けていく。 これを抜けて稜線の北側に出ると、《十二湖分岐》である。 ここには、《十二湖ルート》の概要が書かれた道標があり、『このコースは、所要6時間以上かかるので経験者向きコースです 一般登山者はマテ山ルートを下山下さい』との警告がなされていた。
向白神岳の背後から
岩木山が端正な姿を魅せてくれた
岩木山が端正な姿を魅せてくれた
後はこの分岐を右手に進路を取り、稜線上の草付きの緩やかなアップダウンで越えていくと、ログハウス調の避難小屋と公衆トイレが見えてくる。 分岐に立つ道標によると、頂上まで700mだそうだ。
ものの10分ちょいで着く。
小さいが思ったより建付けの
良さそうな白神岳頂上避難小屋
良さそうな白神岳頂上避難小屋
避難小屋よりデカイ建物の公衆トイレと避難小屋を越えて50m進むと、白神岳の頂上サークルだ。
頂上では先程の雨で濡れた合羽を脱いで乾かすが、見る見るうちに水蒸気が上がって乾きだしていく。
頂上では先程の雨で濡れた合羽を脱いで乾かすが、見る見るうちに水蒸気が上がって乾きだしていく。
白神岳頂上は
雨上がりの水蒸気が湧き上がっていた
頂上小屋と岩木山を望む
山頂からみる麓の情景も、雨上がりで急速に天候が回復した時に魅せる“立ち上がる水蒸気雲”の情景を魅せていた。 空も雰囲気のいい筋雲交じりの青空が広がり、道中雨に当てられはしたけど最高の『雨上がりの空』の情景を魅せてくれた。
雨上がりの水蒸気が標高1200mそこそこと
思えない重厚な山なみに変えてくれた
思えない重厚な山なみに変えてくれた
また、周囲の山景色も、1200mそこらの標高とは思えない重厚な山なみとなっていた。
東に対峙する白神の最高峰・向白神山の 1243メートル を要する白神山地や、その稜線の隙間から美しい三角の角を出す岩木山 1625メートル が望まれる。 他にも森吉山や八甲田、見通しが良ければ鳥海山なども見えるが、その方面は標高が低いせいかやや煩雑な眺めである。
薄っすらと日差しも出て
岩木山の三角錐が黒光りしてきた
岩木山の三角錐が黒光りしてきた
山頂には山ガイド本で記述されたコースタイムより早く到達(所要3:15)できた事もあり、合羽を乾かすがてら、雨上がりの頂上情景をカメラに収めるべく1時間あまり滞在する。 で、10:30頃に下山開始。
なお、水場は小屋の右手の下り口を下る事5分程との事である。
深い山なみを紅葉が彩り始めていた
海側も紅葉のうねりが始まっていた
下山道中だが、やはり日本海を見下ろす例の展望所がいい。 雨上がりの水蒸気が山肌から湧き上がる姿や、その水煙が山瀬となって尾根を乗り越える様は圧巻だ。 展望所より下ると、かなりの登山者とすれ違う。
その中の引率者格の方が「ラジオがガリガリ鳴ってる 雷くるなぁ」と呟いていたその30分後、また朝のようにポツ降りを僅か2分程経た後に、すぐさま大雨が降り出し雷が鳴り出した。
たぶん、頂上は再び強い雨模様だろう。 避難小屋の定員は20名ほどなので、全員の雨宿りはキツいだろうね。
で、この雨は、マテ山の“2塁ベース”を蹴って、マテ山の急下降の途中まで約1時間半程降り続く。
その後、ブナの樹林帯の中では再び日差しが差してきて、合羽を着た身にはかなり蒸し暑い。
今日はこういう天気のようである。 でも、こういう天気でも午前中は比較的緩いので、早朝に登り始めた私と登山開始が遅かった方々とは雲泥の差が出るのだ。
で、駐車場に戻り着いたのは13時ちょっと過ぎ。 概ね良いコースタイムで往復ができた。
麓の国道に出ると、白神岳の稜線は3時前頃まで雨雲に覆われていて、3時を過ぎると稜線上は雲一つない青空となっていた。 今日は恐ろしい程に、天候の変化が目まぐるしい日である。
後は“山の後の温泉”だ。 この辺りだと、深浦方向で《ウェスパ椿山》、秋田県側で《あきた白神・ハタハタの湯》がある。 どちらも立派な施設のクアハウスだ。 なので、温泉情緒を味わうにはちょっと苦しいかもしれない。
たぶん、頂上は再び強い雨模様だろう。 避難小屋の定員は20名ほどなので、全員の雨宿りはキツいだろうね。
で、この雨は、マテ山の“2塁ベース”を蹴って、マテ山の急下降の途中まで約1時間半程降り続く。
その後、ブナの樹林帯の中では再び日差しが差してきて、合羽を着た身にはかなり蒸し暑い。
今日はこういう天気のようである。 でも、こういう天気でも午前中は比較的緩いので、早朝に登り始めた私と登山開始が遅かった方々とは雲泥の差が出るのだ。
で、駐車場に戻り着いたのは13時ちょっと過ぎ。 概ね良いコースタイムで往復ができた。
麓の国道に出ると、白神岳の稜線は3時前頃まで雨雲に覆われていて、3時を過ぎると稜線上は雲一つない青空となっていた。 今日は恐ろしい程に、天候の変化が目まぐるしい日である。
後は“山の後の温泉”だ。 この辺りだと、深浦方向で《ウェスパ椿山》、秋田県側で《あきた白神・ハタハタの湯》がある。 どちらも立派な施設のクアハウスだ。 なので、温泉情緒を味わうにはちょっと苦しいかもしれない。
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No title * by 風来梨
日本書紀・あるくさん、こんばんは。
お返事が遅れましてスミマセン。 前週の連休中はヤマに行ってましたので。
もう少し時期が経つと、ブナの林が真っ赤に燃えるように色づくそうです。 その時に再度訪れてみたいなぁ。
お返事が遅れましてスミマセン。 前週の連休中はヤマに行ってましたので。
もう少し時期が経つと、ブナの林が真っ赤に燃えるように色づくそうです。 その時に再度訪れてみたいなぁ。
関連記事から来ました。
素晴らしい風景ですね。ポチ