風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第89回  3往復の秋

『日本百景』 秋  第89回  3往復の秋  〔島根県・広島県〕
 

かつては陰陽連絡を担った路線も
今や乗る事も難しい僅か3往復の路線に

今回は、秋の休日に訪ねた(というより、思いつきだけで突貫的に駆け抜けた)列車運行本数が僅か3往復という超閑散線の秋模様を語っていこう。

夜勤明けの週末の朝、帰宅して即刻出発。 冒頭で述べた運行本数が僅か3往復の閑散線を撮影するなら、2番列車である『昼の便』以外に“狙い目”はないのである。 なぜなら、朝の便は撮れたとしても光量不足となりそうだし、最終便は秋本番ともなると日が暮れてボツとなるからだ。
 

チャンスは昼下がりの1往復のみ
 

必然的に“数撃ちゃ”の論理が
当てはまります ハイ

・・となると、超閑散線のある山里の奥へ昼前に着かねば撮影は不可能となる。
そうなると、車と高速道というタブーを犯さねば、3往復路線の撮影は実現不可能となるのである。
ここで、「当該路線で現地に訪れて撮影」などという“脳ミソ薔薇色”な『鉄の心掛け論』は止そうね。
それでは、中国地方の超閑散線である《芸備線》の末端区間を訪ねてみよう。

高速を《東城IC》で降りて、そこにある山あいの小さな町を抜けると、早速《芸備線》の3往復区間となる。 「列車が僅か3本しか通ってない位だから、どれだけド田舎か」と思ったが、想像以上に民家もあれば店屋もある。 まぁ、私の『3往復』のイメージは北海道の《白糠線》であるので、それと重ね合わせるとギャップはあるわなぁ。 でも、典型的な『片田舎』である事には変りはないが。
 

刈り取られた田畑が広がる
素朴な風景

高速を寝ずにかっ飛ばして予定通りに昼前に着いたので、撮影地探しに現地の駅を訪ねてみる。
まずは《備後八幡》駅。 国道と離れた位置にある小集落にある駅だが、哀れ・・駅舎は駅務室部分が突っ払らわれて『1/3化』されていた。 当然無人駅である。 撮影場所としては“小ぢんまり”とはしているものの、集落が多くて『秋景色』としては今イチのようである。 どちらかと言えば、山里の小駅の風情としてなら使えるかも。 でも、1日3往復では無理だぁね。

次に《道後山》駅。 こちらは、文字通りの『秘境駅』だった。 車がやっと通れる位の踏切を跨いだ所に駅舎があり、駅前には昔懐かしい風情の乗車券委託販売所を兼ねた駄菓子屋がある。
そして周囲には、その駄菓子屋に連なる民家が数件あるだけ。 それも、半数は廃屋のようである。 
閉鎖された駅の裏手はスキー場跡のようで、ロッジ跡の廃屋がいずれ風化する事を待つかのように建ちすさんでいる。 このように重苦しい情景であったので見合わせる事にする。

・・で、通りすがりに畑と背後に道後山がそびえる情景があった事を思い出して、車を取って返す。
戻って正解。 秋色に染まった道後山を背後に刈り取られた田畑、そして純朴な田舎風景と、最初に芸備線のこの区間を目にして思い浮かんだイメージそのままの風景があったのだ。 
それに、近くに《小奴可》駅と農協があり、食料の調達とトイレも完備の“文句なし”の撮影地なのである。 それでは、その成果をごろうじろ。
 

色づく道後山を背景に
秋色を描いてみました
 
チャンスは少なく気合も入り、そして撮影する楽しみが大きな『3往復の秋』を思う存分楽しんだなら、次の“3往復”路線に向かうとしよう。 今度は、木次線の出雲横田~備後落合における3往復区間を追いかけてみようと思う。
 
鉄道好きならば、《木次線》と聞いて真っ先に思い浮かぶのは『出雲坂根の三段スイッチバック』であろう。 これは“適当、中途半端、いい加減”な鉄道オタである『○鉄』にしても例外!?ではなく、その代名詞たるこの私めも、秋の鮮やかな風景の中で『三段スイッチバック』を行き交う列車を想定していた。
 

かつて撮ったこんな写真が撮りたくて
この地を訪れたのだが
 
その想定で頭を一杯にして、『三段スイッチバック』のある出雲坂根駅に向かう。 だが、時というものは残酷にも、その思いを木っ端微塵に打ち砕いたのであった。 20年の昔に撮ったあの鉄道風景を撮った場所は、遠の昔に消えてなくなっていたのである。 そして、その真上には“おろち”だか何だか知らないが、巨大で無粋なコンクリートループ橋が乗っかっていたのである。

この巨大で無粋なコンクリートループ橋は展望エリア以外に立ち止まる所はなく、その展望所は壮大な『ループ橋』を眺めるべく・・の位置に設置されたものであった。 その展望所からの鉄道情景は、山の縁を伝う“隅に追いやられた哀れな姿”であった。 方や便利さ極まる観光国道のR314と、輸送の任から解かれて「これ以上便数を減らすのは無理」という位まで減便されたローカル鉄道との差であろう。
『光と影』というなら、真にこの対比をいうのであろう。
 

かつては急行【ちどり】も
運行されていたのに・・
堕ちるところまで堕ちた
という印象が拭えない
 
また、《出雲坂根》の駅も「車で訪れる者が全て」といった感じで、駅構内にあった『延命の水』も車での来訪者に都合がいいように外に引かれ、デカイ看板がその位置を示していた。 きっと観光バスもその前に停車して、行楽客に『延命の御利益』を振舞うのであろう。

これらの情景を目にして、かなり大きな“やるせなさ”が頭にこびりついた。 だが、このように過ぎゆく時の残酷さに打ちひしがれている私自身も、「車でやってきている」という矛盾を抱えているのである。
この身勝手な感傷を振り払うべく、「この“おろち”より抜け出たい」と思った。 格好着けて言うと、「一刻も早く抜け出したかった」のである。
 

かつて撮ったお宝撮影地が消滅してガッカリ
撮り様によっては撮れるかもしれないけど
あの当時の感慨はなくなっている

このように「大好きだった撮影地がもう存在しない」という現実を思い知らされて、やや気落ちして車を《備後落合》方面へ進める。 この時は確かに、「木次線の撮影は見送りかな」という思いが頭にもたげていた。 でも、車を進めて人里より離れれば離れる程に、鮮やかな紅葉風景が目に入ってくる。
そして、その中を縫うようにか細い鉄路が見え隠れしていたのである。

「これほどの紅葉風景を使わない手はない」と思い、《油木》から《備後落合》の間を眺める。
すると、何ヶ所か車を安全な所に止めて、そこから徒歩到達が可能な“狙える”ポイントが発見できた。
だが、如何せん列車は3往復のみで、午前中の便は『滝めぐり』に充てた為に逃したので、チャンスは昼間の“2番列車”の往復2本のみとなる。
 

「日が射したか・・と思うと雨が降り出す」
という厄介な空模様で
今イチ紅葉の艶やかさがでなかったかな

そして、先に訪れた芸備線と違った山峡路線であるので開けた展望場所もなく、やってくる列車の連写はまず不可能だ。 従って、「芸備線より難しい撮影となるなぁ」と勝手に定義したのだが。
それでは、その戦果を御披露する事にしよう。 「えっ、戦果ってレベルじゃないだろうが!」って?
そこは、写真のウデが年を経る毎に落ちていく筆者の都合もあるので、深く問わない事にしたいな・・と。
 

天気も今イチだし
車両も魅力がないしィ
ウデもあの頃より断然ヘタクソだしィ~
 
昼の“2番列車”を撮り終えたなら、この旅の目論みは全てクリアとなる。 週末の休日を使った小さな旅という事で、この日の内に家路に着かねばならない。 そして明日からは、変りばえのしない“都会の暮らし”が待っているのである。 だから、この地に湧く温泉などで、少しでも都会の喧騒を落としてから帰ろう・・と思う。
 

次に訪ねた時も雨だった
そして・・紅葉も今イチ
 

ついでにブレてるしィ
暗くて1/15しか稼げなくて

  ※ 詳細は、メインサイトの『撮影旅行記』より『3つの滝と3往復の秋』を御覧下さい。





 
 
 
 

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No title * by 旅団長
お~~ッ!!

ゆるくない鉄の写真、やはりGOODですね。

こちらもヤル気が沸いてきます。

No title * by 風来梨
旅団長さん、こんにちは。
いつも、「北辺のキハたち」を楽しみにしています。

かつてのローカル線めぐりは大概冬でしたので、これから大御所路線を出していきたいな・・と。

コメント






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No title

お~~ッ!!

ゆるくない鉄の写真、やはりGOODですね。

こちらもヤル気が沸いてきます。
2013-09-23 * 旅団長 [ 編集 ]

No title

旅団長さん、こんにちは。
いつも、「北辺のキハたち」を楽しみにしています。

かつてのローカル線めぐりは大概冬でしたので、これから大御所路線を出していきたいな・・と。
2013-09-23 * 風来梨 [ 編集 ]