2013-08-22 (Thu)✎
名峰百選の山々 第100回 『28 平ヶ岳』 新潟県・群馬県
奥越後(三国)山系(越後三山只見国定公園) 2141m コース難度 ★★★ 体力度 ★★★★
なだらかな山容を示す平ヶ岳
平ヶ岳 ひらがたけ (越後三山只見国定公園)
奥只見の山は懐が深い。 そして自然が創造する雄大な眺めを併せ持っている。 この平ヶ岳 2141メートル もそうだ。 嶮しく深い山斜面と全くもって対照的な穏やかな山頂大平原からの眺めは、キツい山登りの汗をイッキに吹き飛ばしてくれる。
奥只見の山は懐が深い。 そして自然が創造する雄大な眺めを併せ持っている。 この平ヶ岳 2141メートル もそうだ。 嶮しく深い山斜面と全くもって対照的な穏やかな山頂大平原からの眺めは、キツい山登りの汗をイッキに吹き飛ばしてくれる。
また、“たまご石”に見られる突拍子な自然の創造物にも驚かされる。 大自然は雄大で、壮観な眺めを創造するかと思えば、このような“悪戯”も魅せてくれる。 この奥深き山・平ヶ岳を“登ってみたい山”として訪ねたいと思う。 “登ってみたい”という魅力こそが、【名峰百選】の最も重要な選択基準であるのだから。
《1日目》 魚沼市小出より車(2:00)→鷹ノ巣・平ヶ岳登山口(2:20)→下台倉山
(1:00)→台倉清水(1:50)→姫ノ池(0:30)→平ヶ岳
(0:20)→平ヶ岳沢源頭キャンプ指定地
《2日目》 平ヶ岳沢源頭キャンプ指定地(0:30)→たまご石(0:45)→姫ノ池(1:30)→台倉清水
(0:50)→下台倉山(1:40)→鷹ノ巣・平ヶ岳登山口より車(2:00)→魚沼市小出
《2日目》 平ヶ岳沢源頭キャンプ指定地(0:30)→たまご石(0:45)→姫ノ池(1:30)→台倉清水
(0:50)→下台倉山(1:40)→鷹ノ巣・平ヶ岳登山口より車(2:00)→魚沼市小出
《1日目》 鷹ノ巣登山口より台倉山を経て平ヶ岳へ
《鷹ノ巣口》から平ヶ岳までは、延々12km。 かなりの長大コースだ。 そして、正規に認められた平ヶ岳への登山ルートは、このコースしかない。 このような訳で、前日までに必ず《鷹ノ巣登山口》までアプローチする必要がある。 そして、できれば行程表の通り、テント利用での山中1泊の山行としたい。
なぜなら、往復24kmというのはかなりの強行軍で、山頂での余裕はほとんどなく、またその下りがかなりの急下降となるので、ここを時間に追われて焦って通過する事となる。 そうなると転倒や滑落の危険が高くなり、また足にも負担がかかり足首などを痛めやすくなる。 山を楽しむ為にやってきて、楽しむどころかケガを持ち帰っては何にもならない。
せっかく行くのである。 それもあまりガイドで紹介されていない所に行くのである。
是非とも、“楽しい思い出”を持ち帰って頂きたいものだ。
《鷹ノ巣口》から平ヶ岳までは、延々12km。 かなりの長大コースだ。 そして、正規に認められた平ヶ岳への登山ルートは、このコースしかない。 このような訳で、前日までに必ず《鷹ノ巣登山口》までアプローチする必要がある。 そして、できれば行程表の通り、テント利用での山中1泊の山行としたい。
なぜなら、往復24kmというのはかなりの強行軍で、山頂での余裕はほとんどなく、またその下りがかなりの急下降となるので、ここを時間に追われて焦って通過する事となる。 そうなると転倒や滑落の危険が高くなり、また足にも負担がかかり足首などを痛めやすくなる。 山を楽しむ為にやってきて、楽しむどころかケガを持ち帰っては何にもならない。
せっかく行くのである。 それもあまりガイドで紹介されていない所に行くのである。
是非とも、“楽しい思い出”を持ち帰って頂きたいものだ。
奥只見の山々は
その奥深さが魅力だ
さて、“まえおき”が長くなったが、平ヶ岳に向かって登っていこう。 登山口からしばらく砂利道が続くが、『下台倉山3.0km』の道標が立つ《下台倉沢出合》から、いよいよ急登が始まる。
《前坂》と呼ばれる標高差700mの尾根登りだ。 この急登は下台倉山までイッキに登りきる強烈なもので、ひとことで言い表すと“バカ登り”である。 また、途中にかなりの痩せ尾根地帯があり、下りでは厄介なものになりそうだ。
前坂の登り
奥にそびえる山が下台倉山だ
強烈な登りで汗を搾り取られる急坂なのだが、登りがいのある坂でもある。 それは、尾根筋全般に渡って眺めがいい事にある。 特に燧ケ岳の姿が素晴らしい。 登っていくごとに朝の光を受け、かぎろい色から七変化する空と燧ケ岳のシルエット。 これを見ながらだと、滴り落ちる汗も心地よいものとなる。
疲れたなら、尾根の節目ごとにある鞍部でひと息ついて、燧ケ岳の絶景に心を癒すといいだろう。
美しき朝の燧ケ岳のシルエット
尾根の節目にある鞍部を5~6ヶ所乗り越えた辺りから、この急坂でも最大の傾斜となっていく。
もはや、岩角や木の根につかまりながらでないと登りきれない。 更に登りがキツくなってから鞍部を3~4ヶ所乗り越えると、ツガの原生林が樹立する下台倉山に登り着く。
ここまででも、充分1つの山行をやり遂げた位のボリュームを感じるが、距離に直すとまだ全体の1/3を過ぎた辺りである。 下台倉山からは、稜線上につけられた道をひたすら歩いていく。
眺めも樹林帯に入る事がほとんどで、それらに遮られてほとんどなくなる。 小さな登降を数回こなすと、三角点だけがあり山名表示が全くない台倉山 1695メートル がある。
下台倉山より眺める燧ケ岳
これより燧ケ岳の勇姿とは、平ヶ岳の山頂付近までしばらくお別れとなる。 ここからは、深いコメツガの樹海の中にもぐり込んでいく。 樹林帯に突入してしばらく歩くと、《台倉清水》の広場に着く。
この広場から20mほど下りた所に清水が湧いている。 水量は少ないが、なかなかの清水である。
《台倉清水》を過ぎると、更にコメツガの樹海の中深くに入り込み、緩やかな登降を繰り返しながら進む。
ここからは登る分には大した事はないのだが、樹海の中の木漏れ日一つ差し込まぬ環境のせいで水はけが悪く、ぬかるみ化した道ともいえぬ所を進まねばならない。
ここを歩くには、少しでもましな所を見つける『ルートファインディング』が必要だ。 ぬかるみの端を伝ったり、木の枝が転がっている所を伝ったり、ついには周りのササヤブの上を漕いだりしながら歩いていく。 このような歩き方を余儀なくされるので、時間も思った以上にかかってしまう。
タカネスミレ イワイチョウ
ぬかるみの中のピーク・標高1751m地点を越えるとひたすら緩やかな下りとなり、これを下りきった所が《白沢清水》だ。 この清水は少し澱み気味で、あまり水場としては活用せぬ方がいいだろう。
この清水を越えてしばらく歩くと、平ヶ岳が樹木の隙間より見えてきて、やがてこの樹海を抜け出る。
ここで、ようやく“ぬかるみ歩き”より解放されるのだ。 樹海を抜け出ると進路を右に変えて、右側そびえる池ノ岳に取り付いて、そのままイッキに登っていく。
ササのブッシュの中に埋もれた急坂を、ササを掻き分けながら登っていく。 このササのブッシュを乗りきると池ノ岳の肩に出て、再び平ヶ岳の丸く穏やかな姿を見ながら登っていく。ここは砂礫地のお花畑となっていて、穏やかな平ヶ岳の山容と可憐な花々がキツい登りや悪路に滅入った心を潤してくれる。
ササのブッシュの中に埋もれた急坂を、ササを掻き分けながら登っていく。 このササのブッシュを乗りきると池ノ岳の肩に出て、再び平ヶ岳の丸く穏やかな姿を見ながら登っていく。ここは砂礫地のお花畑となっていて、穏やかな平ヶ岳の山容と可憐な花々がキツい登りや悪路に滅入った心を潤してくれる。
タテヤマリンドウ
肩から続くガレた岩場を登りつめると、木道が現れる。 ようやく、池ノ岳山頂だ。 キツい登りに思わず腰を下ろしたくなる所だが、ここはグッとこらえてあとひと踏ん張り木道を歩いていこう。
なぜなら、この木道の僅か100m先に絶好の憩いの場・《姫ノ池》があるからだ。
姫ノ池と平ヶ岳
辛く長い登りを乗り越えると
山は素晴らしき風景を魅せてくれる
《姫ノ池》からは、緩やかな起伏に続いて膨らむ平ヶ岳の姿や風になびく草原、空をたなびく雲を映す池塘など、いつまでも眺めていたい穏やかで心なごむ情景が広がる。 しばらく休んで、この優しき風景に疲れを取り払おう。
心ゆくまでくつろいだなら、平ヶ岳の山頂を目指して登っていこう。 ここからは、平ヶ岳のなだらかな山容が示す通り緩やかに下って、乳房のように膨らんだ山頂に向かってひと登りするだけだ。
心ゆくまでくつろいだなら、平ヶ岳の山頂を目指して登っていこう。 ここからは、平ヶ岳のなだらかな山容が示す通り緩やかに下って、乳房のように膨らんだ山頂に向かってひと登りするだけだ。
登り着いた山頂付近は、池塘を無造作に散りばめた大湿原が広がっており、その先に燧ケ岳や至仏山を“衛士”とした《尾瀬ヶ原》が見渡せる。 この穏やかな大湿原を見ながら進んでいくと、丸い丘の中心に着く。 ここが平ヶ岳 2141メートル の最高点だ。
平ヶ岳の頂上に広がる大平原
急峻な尾根筋からは想像できない
急峻な尾根筋からは想像できない
最高点からの眺めは北側の眺望が一段と良くなり、越後駒ケ岳 2003メートル を盟主とした越後三山や荒々しく突き出た荒沢岳 1969メートル 、そして《奥只見湖》の蒼く輝く湖水を挟んで浅草岳 1586メートル の穏やかな姿など絶景が広がる。
平ヶ岳山頂から望む
奥只見の山々
また、周囲に無造作に散りばむ池塘はたなびく雲や周囲にそびえる山々を映し、さながらアストロビジョンの画面を見ているようである。 花もイワイチョウ・リンドウ・ハクサンチドリなどが、池塘の周りを飾っている。
山頂に散らばる池塘と
越後三山の山なみ
ヤマリンドウ タテヤマリンドウ
夏も終わりに近づいたか・・
秋口の花が彩っていた
平ヶ岳に散らばる池塘群
ちなみに平ヶ岳の三角点はこれより2m低く、また潅木に囲まれた中にあり、あまり見通しが良くないので、湿原が広がり“平ヶ岳”の魅力を押し出している最高点を山頂とした。 頂上でのひとときを満喫したなら、今日の宿泊地・《平ヶ岳沢源頭》にあるキャンプ場に向かおう。
キャンプ場の分岐は平ヶ岳と池ノ岳の鞍部にあり、ここから平ヶ岳沢源頭にある雪渓に向かって10分程歩いていくと着く(早い時期は雪に埋もれて判り辛いので注意が必要)。 ここは、《平ヶ岳沢》の生まれた水が雪渓の下より湧き出る絶好のキャンプ地である。 今日は、ここで大自然に抱かれよう。
大自然の創造した
パラレルワールドに魅せられて
《2日目》 “たまご石”を経て下山
平ヶ岳にやってきたなら、是非とも見ておきたいものがある。 それは、大自然の悪戯“たまご石”である。 キャンプ場から平ヶ岳沢源頭の雪渓に登り、その上の朽ちかけた木道を歩いていく。
池塘やハイマツが生い茂る中を30分程行くと、俗世界とかけ離れた不思議な光景が目に入ってくるだろう。
平ヶ岳にやってきたなら、是非とも見ておきたいものがある。 それは、大自然の悪戯“たまご石”である。 キャンプ場から平ヶ岳沢源頭の雪渓に登り、その上の朽ちかけた木道を歩いていく。
池塘やハイマツが生い茂る中を30分程行くと、俗世界とかけ離れた不思議な光景が目に入ってくるだろう。
“たまご石”とその下方に散らばる池塘群だ。 大きな土台の上に、坊主の頭のような見事な“たまご”が乗っかっている。 何とも奇妙な光景だ。 そして、その背後を飾る宝石のように蒼い輝きを放つ池塘群。
言葉には表せぬ魔訶不思議な空間が眼前にある。 本当に、何とも奇妙な光景だ。 大自然が一枚の大岩をその力によって“悪戯”したのだ。
これを見ていると、時など忘れてつっ立っていたくなる。 それゆえに、あまりじっと眺めるのは良くないのかもしれない。 時には周囲にそびえる山々に目をそらさないと、『パラレルワールド』に引き込まれそうだから。 この何だか解からぬ魔訶不思議な光景を満喫したなら、帰路に着こう。
下りは往路を忠実に下っていくのだが、12kmの長丁場であり、しかも《前坂》は痩せ尾根の急下降となるので十分な注意が必要だ。 落ち着いて、慎重に下っていこう。 また下山の後、マイカーで小出方面に抜けるのだが、国道352号線は《奥只見湖》に沿った山斜面につけられている為に道幅が細くかなりのグネグネ道なので、奥只見の観光地《銀山平》に着くまで気が抜けない。 安全運転でいこう。
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No title * by 風来梨
tomさん、こんばんは。
平ヶ岳を始めとする奥只見の山々は、本当に奥深いですね。
正規ルートのこのコースを行くとなると、日帰りは余程の猛者か身体が出来上がった者以外は無理っぽいですね。
そして、テント場は玉子石と頂上丘の間にある窪みにあります。
もう10年以上も前ですが、ここにはテント設営用の台もあり、平ヶ岳沢源頭の素晴らしい水が得れる好キャンプ地です。
でも、百名山フリークによって、中ノ岐沢を登る短縮チョンボルートが横行しているとの事。 このルートは3時間で山頂に立てるのですが、玉子石湿原を横断するなど踏みつけによる湿原破壊が懸念されていて通行禁止処置が取られている・・との事です。
楽をしたいという下心が山の自然を踏みつけているいい例で、残念な事です。
平ヶ岳を始めとする奥只見の山々は、本当に奥深いですね。
正規ルートのこのコースを行くとなると、日帰りは余程の猛者か身体が出来上がった者以外は無理っぽいですね。
そして、テント場は玉子石と頂上丘の間にある窪みにあります。
もう10年以上も前ですが、ここにはテント設営用の台もあり、平ヶ岳沢源頭の素晴らしい水が得れる好キャンプ地です。
でも、百名山フリークによって、中ノ岐沢を登る短縮チョンボルートが横行しているとの事。 このルートは3時間で山頂に立てるのですが、玉子石湿原を横断するなど踏みつけによる湿原破壊が懸念されていて通行禁止処置が取られている・・との事です。
楽をしたいという下心が山の自然を踏みつけているいい例で、残念な事です。
中央線沿線辺りの山だと高速道路の音が聞こえたり、電線があったり人工物の気配を払拭できませんが、平が岳辺りだと全く人工物の気配がなく良いですね。確か頂上付近は幕営できなかったか?と思うのですが、最近はどうでしょう?