2013-08-19 (Mon)✎
名峰次選の山々 第95回 『153 唐松岳』 長野県・富山県 後立山山系 2696m
(中部山岳国立公園) コース難度 ★★★ 体力度 ★★★
後立山連峰中央部縦走ルート 行程図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR白馬駅よりバス(0:30)→猿倉(0:55)→白馬尻(1:40)→葱平
(2:00)→白馬山荘(0:15)→白馬岳(0:25)→白馬岳キャンプ場
《2日目》 白馬岳キャンプ場より白馬岳往復・所要約1時間(0:45)→杓子岳(1:00)→白馬鑓ヶ岳
(0:40)→天狗平(1:40)→不帰ノ嶮(2:50)→唐松岳(0:15)→唐松岳頂上山荘
《3日目》 唐松岳頂上山荘(1:30)→第三ケルン(0:40)→第一ケルンよりリフト
《2日目》 白馬岳キャンプ場より白馬岳往復・所要約1時間(0:45)→杓子岳(1:00)→白馬鑓ヶ岳
(0:40)→天狗平(1:40)→不帰ノ嶮(2:50)→唐松岳(0:15)→唐松岳頂上山荘
《3日目》 唐松岳頂上山荘(1:30)→第三ケルン(0:40)→第一ケルンよりリフト
(0:15)→兎平駅よりゴンドラリフト(0:10)→八方駅(0:10)→八方よりバス
(0:05)→JR白馬駅
白馬岳の頂上へ
《1日目》 白馬大雪渓から白馬岳へ
今日の行程は『名峰百選 第35回 白馬岳』と同じルートを行くので、そちらを参照して頂きたい。
今日の行程は『名峰百選 第35回 白馬岳』と同じルートを行くので、そちらを参照して頂きたい。
白馬岳山頂から眺める夕景は、きっと感動を与えてくれるだろう。 これを見る為にも、天気の状況はしっかり把握して余裕のある山行を心掛けよう。
Luna sea(月の海)
白馬岳頂上にて
《2日目》 白馬三山から不帰ノ嶮を越えて唐松岳へ
朝、空が白くまどろみ始めたなら、テントを出て白馬岳の頂上にいってみよう。 山頂で御来光を拝むのはもちろんの事であるが、それよりもこの頂をこの日の出発点にしたいからである。 白馬岳の山頂で御来光を拝んだなら、キャンプ場に戻ってテントを撤収して出発しよう。
朝、空が白くまどろみ始めたなら、テントを出て白馬岳の頂上にいってみよう。 山頂で御来光を拝むのはもちろんの事であるが、それよりもこの頂をこの日の出発点にしたいからである。 白馬岳の山頂で御来光を拝んだなら、キャンプ場に戻ってテントを撤収して出発しよう。
杓子岳天狗菱より
吹き降ろす雲海
白馬岳から続く国境稜線を南下していくと、丸山という丘のような小ピークを越えて最低鞍部に向かって緩やかに下っていく。 最低鞍部から少し歩くと、非対称山陵の典型的な山容を示す杓子岳の越中側片尾根の斜面に入り、これをほぼ水平にトラバースするように道はつけられている。 片尾根のトラバースの途中に山頂部に向かって踏跡が数本ついているので、これを伝って杓子岳 2812メートル の頂上に立とう。
天に鋭く突き出す杓子岳天狗菱
白馬大雪渓より
頂上から信州側を見下ろすと《天狗菱岩稜》が垂直に《白馬大雪渓》の谷に落としており、今歩いてきた越中側と左右非対称を成しているのが実感できるだろう。 杓子岳の頂上は縦走路から外れているので人気はほとんどなく、山頂を示す物も山名が記された木切れが一つと寂しいものであった。
縦走路から外れた杓子岳の頂上は
粗末な扱いであった
粗末な扱いであった
杓子岳山頂でのひとときを過したなら、元に戻って越中側片尾根水平道を歩いていこう。 ほぼ水平に杓子岳の山塊を巻くと、《杓子沢ノコル》といわれる白馬鑓ヶ岳との鞍部に出る。 信州側には、杓子沢が杓子岳の《天狗菱》の基部を削るように深い筋をつけている。
ミヤマオダマキ ホソバウルップソウ
ここから、タカネシャクナゲ・ミヤマオダマキなどの砂礫地の花を見ながら岩礫を登っていく。
一度“肩”状のテラスを踏んでから岩稜をたどると、後立山連峰では標高第二位を誇る白馬鑓ヶ岳 2903メートル 山頂に立つ。 頂上の展望は広く、山なみが斜行線を引いたように並んで見渡せて壮観だ。
展望を十分楽しんだなら先に進もう。
頂上からは、ザクザクのザラ場を右に緩やかなカーブを描きながら下っていく。 下っていくうちに小さなコブを2つ越えると、《鑓温泉》を経て《猿倉》へ向かう下山ルートがあり、一般のハイカーはこの道を通って下っていく。 この分岐を見送って更にザラ場を伝っていくと岩が赤茶けたピークがあり、その手前から岩にペンキで記してある指示通りに信州側に下ると《天狗平》に出る。 ここには、村営の《天狗山荘》が建っている。
この辺りは“信州おろし”がキツイのか大きな雪田が消える事なく残っており、この雪解け水は山肌を船窪状に削り、やがて《天狗池》に流れ込んでいる。 これによって、シーズンを通して冷たい清水を得ることができる。 山荘を出て《山荘》を見やると、稜線に戻って幅広い緩やかな主稜線を歩いていく。
私が歩いた時は残念ながら曇り気味で展望はなかったのだが、晴れていれば後立山・剱・立山・槍穂高の名だたる名峰を一望できる事だろう。 これを30分程伝うと徐々に稜線が痩せてきて、信州側を中心に崖状に切れ落ちているピーク《天狗ノ頭》に出る。 これから、いよいよ《天狗ノ大下リ》に取りかかる。
“天狗ノ大下リ”を急降下
《不帰キレット》までの標高差350mの“大下り”だ。 信州側に切れ落ちる高度感あふれる眺めに生唾を飲み込みながら、左へ巻き気味に下っていく。 ここで注意しないといけない事は、ガスなどに巻かれた時に“大下り”の下り口を見誤らない事である。
不帰Ⅰ峰がそそり立つ
《天狗ノ頭》からハイマツの中へ明瞭な踏跡がついているが、これは《祖母谷》側へ延びる支稜上に続いている道である。 たぶん、沢伝いのバリエーションルートだろう。 正しいルートが《天狗ノ頭》で、前方が途切れたような印象を受ける為に迷いやすいのである。
下り口から左へ少し痩せた岩稜を巻いてから、ルンゼ状の崖を鎖片手に急下降していく。 前方には、《不帰ノ嶮》の峻峰が空に衝き上げているのが見えるだろう。 “大下り”の中で一番てこずるのは、スラブ状の大きな露岩の乗り越しであろうか。 足を掛ける所が少ないつるつるした岩場なので、鎖片手に慎重に下っていこう。
この岩の上に出ると懸垂下降となり下り辛くなるので、おおむね右に巻き気味に下るといいだろう。
この“大下り”はとにかく長いので、調子づいて下ったりすると膝を痛めたり落石を引き起こしたりして危険だ。 焦らず、ゆっくりと下っていこう。
これを下りきると、越中・信濃両側が切れ落ちた《不帰キレット》の最低部に下り立つ。 信州側は、《不帰沢》が急峻な雪渓の帯を輝かせている。 越中側は、《祖父谷》の支沢が遙か下に沢滝を掛けている。 これらが両側から突き上げて、ナイフエッジのような“窓”を形成している。
不帰ノ嶮より眼下を望む
前方にはササくれ尖った《不帰ノ嶮》の岩峰が進路を阻むように立ちはばかり、行く手の厳しさをひしひしと感じさせる。 キレットの“窓”を通過すると、いよいよ《不帰ノ嶮》のチャレンジが始まる。
際に咲くお花畑をカメラに収めて気分を落ち着けたなら、《不帰Ⅰ峰》の岩峰に垂れ下がっている鎖片手に登っていこう。 この《不帰Ⅰ峰》は、大きな一枚岩盤がブロックのように積み重なったような感じで、この岩々の角を上手く利用すると、大下りから見た感じよりは案外楽に登っていける。
脆く崩れやすい不帰Ⅰ峰越え
岩にペンキで示された指示通りに登っていくと、おおむね越中側を伝って《Ⅰ峰》の頂上に出る。
この頂上はケルンが積まれているだけで、あまりパッとしない所だ。 頂上のケルンを越えると、すぐに《Ⅱ峰》との鞍部に向かって急下降していく。 ここから《Ⅱ峰》にかけてが、《不帰Ⅰ峰》と呼ばれる難所である。
この頂上はケルンが積まれているだけで、あまりパッとしない所だ。 頂上のケルンを越えると、すぐに《Ⅱ峰》との鞍部に向かって急下降していく。 ここから《Ⅱ峰》にかけてが、《不帰Ⅰ峰》と呼ばれる難所である。
峻険たる眺めの不帰Ⅱ峰
《Ⅱ峰》との鞍部から、黒部側の岩場を鎖につかまってトラバース気味に登っていく。 これを伝うと黒部側に岩峰が迫り出してくるので、この岩峰の基部を右に巻きながら登って信州側に抜けていく。
この岩の基部は、スラブ状で足をかけ辛いので注意しよう。 後はだいたい信州側につけられた道を伝うようになる。
難所越えは慎重に
途中に『不帰ノ嶮』と記された看板がかかり、難所をチャレンジしている事を実感できるだろう。
トラバース・針金のバンド・アングルの橋・鎖場・切れ落ちた岩の飛び越え・ハシゴと、難関アイテムが次々と現れる。 詳しくは、下の詳細図を参照されたい。
トラバース・針金のバンド・アングルの橋・鎖場・切れ落ちた岩の飛び越え・ハシゴと、難関アイテムが次々と現れる。 詳しくは、下の詳細図を参照されたい。
不帰の嶮・詳細図
前衛峰の信州側を巻いていくと、《不帰Ⅱ峰》・北峰の直登に入っていく。 ここも連続した鎖場なので、油断はできない。 最後は越中側に出て、ハシゴを伝って大岩を巻いてピークに登り着く。
最後の部分を覚えておけば、終わりを予測できるのでいいだろう。 《Ⅱ峰》の北峰から南峰へは、痩せた吊尾根の越中側の一段下につけられた道をゆく。
南峰を越えるとハイマツ帯の下りとなり、幅の広くなってゆとりのある鞍部に下り着く。 眼前には“イカツイ”《Ⅲ峰》がそそり立っている。 この《Ⅲ峰》は見た目に最も嶮しく、菱形にもたげた大岩盤を上部に乗せて、ちょっとやそっとでは乗り越えれない感じである。 でも、ご心配なく。 縦走路はこれを登らずに、越中側に展開するハイマツ帯に入って山裾を大きく巻いていく。 《Ⅲ峰》を巻いてから稜線に戻ると、一投足で唐松岳 2696メートル の山頂だ。
越えてきた不帰ノ嶮を偲ぶ
山頂からは、剱岳の《八ッ峰》が深い黒部の谷ともども見渡せる。 水面標高差2000mのすざましい景観だ。 振り向けば、“難関”『不帰ノ嶮』が以外におとなしく見えるから不思議だ。 見通しが良ければ、五竜岳の“御領菱”や《八方池》も見渡せるかもしれない。 展望を楽しんだなら、足下に見える《唐松岳頂上山荘》へ下っていこう。
下り道は唐松岳頂上より左に折れて続いているので(山頂から直進すると、雪渓と崖に行く手を阻まれる)、見通しの利かない時などは注意しよう。 《唐松岳頂上山荘》のキャンプ指定地にテントを設営して、付近に群落をなすコマクサにカメラを向けてみよう。 また、大きくそびえる剱岳も格好の被写体となろう。
北ア随一の重量感を魅せる五竜岳
《3日目》 八方尾根を下山
本来なら五竜岳方面に縦走するのであるが、文字数オーバーの為、八方尾根を下る事にしよう。
ワテは八方尾根を通った事がないので、ガイドはこれにて終了としたい。
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