2013-08-12 (Mon)✎
名峰次選の山々 第93回 『175 中白峰 ,176 三峰岳 act 1』 山梨県・長野県・静岡県
白峰山系(南アルプス国立公園) 中白峰 3055m ,三峰岳 2999m
コース難度 ★★ 体力度 ★★★★
周囲が我が国有数の高峰ゆえに
2999mの三峰山〔左〕は目立たない
南アルプスは白峰三山を越えると、頂を踏むのに二日がかりとなる。 それだけに、深山の趣をあふれんばかりに感じ取る事ができるのである。 今回は表題の『名峰次選』の2峰を踏破し、南アルプスの背骨部分の稜線を縦走して、『漆黒の鉄兜』の異名を持つ塩見岳 3052メートル へ縦走してみよう。
なお、塩見岳であるが、【名峰百選】に挙がっている事もあるので、この項目では簡単に流す事にしたいと思う。 その塩見岳については、この夏に【名峰百選】の一座としてガイドする予定であるので、乞う御期待。
白峰三山~塩見岳 縦走路 行程図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR甲府駅よりバス(2:05)→広河原(2:30)→大樺沢二俣(2:00)→八本歯ノコル
(0:45)→吊尾根分岐(0:15)→北岳(0:50)→北岳山荘
《2日目》 北岳山荘(1:35)→間ノ岳(0:40)→三峰岳(2:00)→熊ノ平
《3日目》 熊ノ平(2:45)→北荒川岳(2:00)→塩見岳(1:00)→塩見小屋
《2日目》 北岳山荘(1:35)→間ノ岳(0:40)→三峰岳(2:00)→熊ノ平
《3日目》 熊ノ平(2:45)→北荒川岳(2:00)→塩見岳(1:00)→塩見小屋
(2:20)→三伏沢幕営場
《4日目》 三伏沢幕営場(0:20)→三伏峠(3:30)→塩川よりバス(1:25)→JR伊那大島駅
《4日目》 三伏沢幕営場(0:20)→三伏峠(3:30)→塩川よりバス(1:25)→JR伊那大島駅
北岳バットレスの脇に白い筋
を突き上げる大樺沢雪渓
を突き上げる大樺沢雪渓
なお、前項目でも述べた通り、《広河原》へは前日までにアプローチをしておこう。
前日までに登山口にアプローチをして、翌朝早くの出発は山行の鉄則である。
前日までに登山口にアプローチをして、翌朝早くの出発は山行の鉄則である。
間ノ岳の手前の
“太刀持ち”・中白峰
《2日目》 中白峰・三峰岳を踏んで熊ノ平へ
《北岳山荘》横のキャンプ場から、ほどなくジグザグの急登となる。 このジグザグの急登を乗り越えると、2つ目の3000m峰・中白峰 3055メートル だ。 この頂上からは、中央・北アルプスの山なみや伊那の街が見渡せる。 反対側は、白く輝く雲海と富士山が小気味よい。
雲海とラメ色に輝く富士山
白く輝く雲海と山なみ
中白峰からは、緩やかに上下を繰り返しながら少しづつ登っていく。 ほとんど登る感覚のない楽な道だが、所々岩が崩れている箇所があるのでその通過には注意しよう。 出発してから約1時間半で、“戦艦大和”の煙突の上・・、もとい間ノ岳 3189メートル の頂上に立つ。
湧き立つ雲に
峰を隠す間ノ岳
間ノ岳の頂上で農鳥岳へと向かう道と三峰岳を経由して熊ノ平へ進む道とに分かれる。 このまま熊ノ平に進んでも良いが、本日は歩行時間4時間少々と行程的に余裕があるので、余力のある方は【名峰百選】の農鳥岳を踏破してくるのもいいだろう。
但し、途中の農鳥小屋から熊ノ平への短絡ルートを通ると三峰岳は踏めなくなるので、農鳥岳を踏破した後は間ノ岳まで戻ってくる事が必須となるのは念の為。 なお、農鳥岳へのルートは、『名峰百選 第98回 間ノ岳,農鳥岳』にて御紹介したいと思う。
間ノ岳頂上の分岐から進路を右に取ると、ガラガラの砂礫道を下っていく。 最低鞍部まで250m程下って軽く登り返し、仙丈ヶ岳から延びてくる仙塩尾根の縦走路と合流すると、3000mにあと1m及ばない三峰岳の頂だ。
巨漢・間ノ岳の露払いとなる
三峰岳
この三峰岳は、北アの剱岳 2998メートル をしのぐにも拘わらず、名があまり知られていないせいか扱いはぞんざいだ。 だが、この峰は逆方向の熊ノ平から実際に登ってみると、壮大な岩峰である事が判るだろう。
ワテは実際に登ってみたから分かるのだが、熊ノ平からは標高差700mの半端でない登りなのである。
間ノ岳までなら、標高差1000mを数えるのである。 三峰岳からの砂礫の激しい下りは、聖岳のあの砂礫の下りを彷彿させる。 その激しい下りが収まると、砂礫の台地上の地形となり、農鳥小屋からの短絡道と合流して三国平に着く。
夏の最盛期ならば、白い砂礫の台地からの照り返しは、陽炎が立つなどかなり強烈だ。 暑さと眩さで立ち眩みを起こしかねないので注意が必要だ。 なお、筆者の経験則からいうと、立ち眩みで意識が呆けるとド派手に転ぶので念の為。
三国平からも今までと同様の急な下り坂で、今度はジグザグ状となるのでなかなか前に進めない。
このように、今日の行程の4時間少々は決して侮れないのである。 その激しい急下降は、お花畑の広がる《井川越》でようやく終わりを迎える。 《井川越》の少し上に広がる森に熊ノ平小屋とその幕営地がある。
砂礫地に多く自生する
トウヤクリンドウ
今日の幕営地・《熊ノ平》は水の豊富な所だ。 今日一日、暑さと渇きで苦しんだ分、ちょっと贅沢に水を使おう。 また、雨天の場合、食事付の小屋もあるので心強い。 明日は花の稜線を奥深く、南アルプスの南部に入っていこう。 そして、『漆黒の鉄兜』の異名を持つ塩見岳の頂を極めよう。
漆黒の兜”との
異名を持つ塩見岳へ
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