風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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名峰次選の山々 第92回  1967峰 その2

名峰次選の山々 第92回  『115 1967峰 その2』  北海道 
日高山系(日高山脈襟裳国定公園)  1967m  コース難度 ★★★  体力度 ★★★★
 

1967峰と北日高国境稜線の山なみ
 
  北日高国境稜線 きたひだかこっきょうりょうせん (日高山脈襟裳国定公園)
未開の山『日高』。 そこに一歩踏み入れると、誰もが虜になる不思議な力を持つ山域『日高』。 
だが、この『日高』はアプローチ手段もなく、未開ゆえに満足な登山道もなく、そう易々とは受け入れてはくれない所でもあるのだ。 しかし、その困難なルートを突き破って『国境稜線』に立つと、“憧れ”を思い存分味わう事ができるのである。 

氷河遺跡であるカール群、豊富な高山植物、未開の山域でのみ生きる事ができる小動物たち、自然を育む最高の水。 これらに囲まれて、夢の一夜を明かし、空がスペクトルに輝く“生まれたての朝”を望む事は、山を志す者にとって“憧れ”を実感できる至福の瞬間なのである。 さあ、この“憧れ”を体感すべく、しっかりと山の準備をして『日高』の『国境稜線』へチャレンジしてみよう。
 

 

北日高国境稜線・伏美登山ルート 行程図
 
   行程表
《1日目》 芽室町市街より車 (0:50)→伏美岳避難小屋 (3:00)→伏美岳
      (3:20)→ピパイロ岳 (2:00)→1967峰
《2日目》 1967峰 (1:50)→ピパイロ岳 (3:20)→伏美岳
      (2:20)→伏美岳避難小屋より車 (0:50)→芽室町市街
 
    ※ 前回『名峰次選 第91回 ピパイロ岳』からの続き
 
 

翌日が晴天となって初めて判った事であるが、最後のお花畑の斜面を持つピークこそが通称“1967峰”と呼ばれる無名峰で、その手前の風除けがなくビバークを見送った草付きが地図上の《1753mのコル》との事である。
 
この時の状況であるが、この荒天ゆえに荷物の濡れ具合が大きく、“引き返し”を検討せねばならなくなる。
当初は水の入手できる七ッ沼カールまでの往復を予定していたが、前日の雨の影響が大きく断念。
 
この区間のガイドは、『名峰次選 第89回 1967峰 その1』で探勝を実行したので、そちらを参照して頂きたい。
 
 
 
 
 
 
 
←お花畑の斜面を持つピークが1967峰だった
 
 
この日の状況であるが、夜明け時はガスが立ち込めて判断を迷う空模様であった。
昨日の風雨の状況とアクシデント(たまたま一緒に登った人のテントが風で吹き飛ばされて、私のテントに同宿した)から、今回はこの先を進む事は困難と判断し、引き返しを決意したのである。
 

 

戸蔦別Aカールと幌尻岳

  《2日目》 1967峰より往路を下山
朝、目覚めると、ガスの合間から深い『日高』の山なみがうっすらと望めるまずまずの天候。 
テントをたたんで出発の準備をしている合間に、濃いガスが立ち込めていた《戸蔦別川》源流の谷底が明るい光を浴びて輝きだした。 それと同時に、みるみる内にスカイブルーの空と“遙かなる”『日高』の山なみが視界いっぱいに広がってきた。
 
今日は、またとない晴天となりそうだ。 それでは出発しよう。
今日の行程では、往路で全く語れなかった“花レポート”や山岳風景を中心に述べていこうと思う。
 

1967m無名峰の頂上にて

荷物を片付けると同時に、早速この岩峰のピークに立とう。 テント設営地点よりピークまで僅か30m。 すぐさまピークに立てるだろう。 このピークには『1967m峰』とある木切れが置いてあり、この時に初めてこのピークが“1967m峰”と判ったのである。 ここからの眺めは、苦労が報われる懐深き眺めであった。
 

戸蔦別Aカールを“露払い”に
幌尻岳がそびえ立つ

幌尻岳 2052メートル から続く『北日高国境稜線』の山々、そして山と山との間ごとに大きくえぐられた戸蔦別岳のカール群、その背後には中央高地の剱岳を思わせる“憧れの山”・カムイエクウチカウシ山 1979メートル を始めとする『中部日高』の山なみ、これまた南アの塩見岳を思わせる漆黒の兜頭をもたげる1839峰 1842メートル。
 

カムエク・・、1839峰・・
もう一度立とう、あの憧れの峰に

また、逆光に黒光りした岩尾根を伸ばし、正に“台形”の山姿を魅せるピパイロ岳の眺めも感慨深い。 
そして、最も感動を抱く情景は、1967峰より連なる大斜面のお花畑と、それを借景に望む懐深き『日高』の山なみである。
 

お花畑とカール地形と
日高最高峰と・・
 
見上げる1967峰は、「これが無名峰なのか・・」と思わず声に出る程に立派な山容を魅せている。
その大斜面を黄色く染め上げるピパイロキンバイの大群落にも、感動で胸が高鳴る事だろう。
往路で全く楽しめなかった分、復路では思い存分に感動を体感しよう。
 

1967峰の斜面を飾るお花畑
 
花はピパイロキンバイを中心に、ミヤマリンドウやウサギギク・ウメバチソウなどが大地を飾っている。 
どこまでも続く青空の下、憧れて止まぬ“遙かなる”『日高』の山なみ。 自然とフィルムが消費されていく。 そして、少し進んでは立ち止まって撮影に勤しむので、なかなか前に進めない。
 

斜面一面を染めるピパイロキンバイ
 

いつまでも眺めていたい憧れの情景
 
往路で何もできなかった分、その思い入れも倍加する。 往路であんなに厄介であった絡み合うハイマツも、1967峰を引き立てるいい借景となる。 好天だと全てが好意的に感じてしまうのは、私が“能天気”だからであろうか。
 

ひときわ高く雄大な1967m無名峰

やがて、岩尾根のトラバース帯を越えて、岩のドームが迫り立つピパイロ岳の頂上だ。 
頂上からの眺めは、1967峰が勇壮にそびえ立つのが印象的だ。
 

鬼の角の様相を魅せるピバイロ岳
 
また、幌尻岳からの国境稜線上の山々が、一列に縦並びして鋭角的に望める。
相変わらず、カムエクや1839峰などの“憧れ”止まぬ山々もはっきりと見渡せる。
往路で果たす事のできなかった“アリバイ写真”もキッチリ撮って、“憧れの山域”『日高』を思う存分に味わおう。
 

1967峰の斜面と奥日高の山なみ
 
ピパイロ岳で絶景をじっくりと眺めたなら、ピパイロキンバイとチシマフウロのお花畑の斜面で花の接写を楽しもう。 もう、楽しい事がいっぱいで帰る時間の事など頭の外に飛んでしまいそうになるが、それはそれ・・。 メリハリはきちんと着けよう。
 

ピパイロキンバイの斜面をゆく
 
日高国境稜線に咲く花々


              ピパイロキンバイ          亜種のウサギギクか・・?
 


               ミヤマリンドウ           チシマフウロとピパイロキンバイ

このお花畑を過ぎると滑りやすい粘土質の黒土の急下降となり、今までの浮かれ気分から気を入れ直さねばならないだろう。 この下りを乗りきると、樹林帯に視界を遮られた暑く苦しい300mの登り返しがある。 ピパイロ岳のお花畑から気合を入れ直して2時間半踏ん張ると、樹林帯より飛び出して程なく伏美岳山頂に着く。
 

幾重にも連なる奥深き日高の山なみ
 
晴天の伏美岳頂上は日帰りの登山客で賑わいを見せ、『日高』では少し場違いの印象を与えられる。 
眺めもデーライトがキツくなり、やや山もくすんできたようだ。 初めて『日高』の山なみを目にするなら感動もあろうが、今までに1967峰やピパイロ岳でこれに勝る山景を目にしてきた私には、伏美岳よりの眺めは今ひとつと映ったのであるが・・。 また、『国境稜線』の山なみがピパイロ岳に隠れて見えないのも、感慨を殺ぐ要因ではないだろうか。 

しかし、だたっ広い《十勝平野》と《十勝川》は、この伏美岳より望むのがいいだろう。 
そう、この山は下界と山をつなぐ風景こそが“売り”なのだ。 それは、これより下山する者の心をキチンと街へ向けさせる情景ではないだろうか。
 

さらば・・ 美しく気高き日高の嶮峰たちよ

後は、標高差1000m・4kmのバカ下りが待ち受けているだけである。 はしゃぎ過ぎて疲れた体にはコタえる2時間少々だ。 無事下山したなら温泉に入るのは必定な事であるが、日高山脈の《十勝側》は温泉に乏しいのが“玉にキズ”である。 温泉ではないが、近くの国民宿舎で山の汗と疲れを癒そう。
 
 
   ※ 詳細はメインサイトより『北日高国境稜線〈1〉』を御覧下さい。
 
 
 
 
 
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