2013-07-28 (Sun)✎
『日本百景』 夏 第78回 モケウニ・カムイト 〔北海道〕
森の中にひっそりと
神秘の沼・カムイト沼
北オホーツク道立自然公園は、オホーツク海の北部に位置する自然公園である。 この公園は、クッチャロ湖、モケウニ沼などの大小4つの湖沼群と、色とりどりの湿性植物などが咲き誇るベニヤ原生花園、奇岩を海に突き出した神威岬やウスタイベ千畳岩からなっている。
厳しい風土が成せるのか
もの悲しい雰囲気を示すモケウニ沼
この地域は、オホーツク海型の海洋気象地帯に属す為に年間を通じて低温傾向にあり、特に冬は流氷などの影響で厳しい寒さを示す。 また土壌は凍土性の湿地帯となっており、多くの海跡湖や淡水湖が存在する。 また、先出のクッチャロ湖や猿払原野は、湿原地域の生態保護の為の国際条約『ラムサール条約』の指定湖沼や、それに准ずるべく環境省によって認定された『(日本の)重要湿地500』に批准登録されている。
そのような気象条件や土壌から、国土開発に適さない不毛の凍土湿地が海岸に沿って延々と続き、大自然の宝庫となっている。 また、豊かな自然と餌の豊富な海跡湖は渡り鳥の中継地点となっており、様々な野鳥が飛来する。 また、短い北の夏には、湿地性の植物が咲き乱れる原生花園が目を楽しませてくれる。
荒涼たる風景が広がるモケウニ沼
沼畔は広大な湿地帯が広がる
今回は、猿払原野にあるモケウニ沼とカムイト沼で魅せられた短い夏の姿を、一つまみ御紹介しようと思う。 まずはモケウニ沼。 以前に廃線となった原野をゆくローカル鉄道・旧国鉄天北線の飛行場前仮乗降場が最寄となる。 だが、広大な湿地帯を海沿いまで行かねばならず、車か最低でもサイクリングは必須となろう。
沼へ続く一筋の木道
湖畔へは、湿地帯を保護すべく木道や探勝歩道が設置されている。 沼の周囲は低層湿原で、ツルコケモモ、ワタスゲ、イソツツジなどがの群落がみられる。 周囲にはアカエゾマツ、ハンノキなどの林が広がる。 時期が合えば、湖に続くプロムナードをワタスゲの群落が白く染めるシーンを堪能できる事だろう。
エゾカンゾウの花もひっそりと
名も知らぬ花が
そよ風に揺れていた
ワタスゲ
この穂が湿原を白く輝かす
モケウニ沼を訪ねた次は、北オホーツクの湿地湖沼群の中で最も神秘的なカムイト沼を訪ねてみよう。カムイト沼の位置は旧国鉄天北線の浅茅野駅から約3km程で、鉄道のあった頃はサイクリングでもあれば丁度いい距離であった。 そして、1件あった駅前の雑貨屋に頼めば自転車を貸してくれた・・という。
北の大地の神々が宿る沼
カムイト沼
この《カムイト沼》はアイヌ語での『神々の住む沼』が語源となっている・・との事で、静かなる森の中にたたずむ神秘のベールに包まれた湖である。 沼の周囲はハンノキやトドマツの林となっているほか、多様な水生植物群落を有す。 付近にはヒオウギアヤメやゴゼンタチバナなどの高山性植物が群落をなしている。 湖をめぐる遊歩道は不完全で、沼の周囲を一周する事は不能で、それどころか遊歩道の端は桟道が朽ちていて危険である。
ヒオウギアヤメの群落
北オホーツク・ベニヤ原生花園にて
森の中にひっそりとたたずむ沼の姿は神秘的で、名もなき花が風にそよぐ姿は神秘的なるも儚き切なさを漂わせている。 それでは、その神秘的な情景を一つまみ。
神秘的なるも
儚き切なさを漂わせて
※ 詳しくはコチラをどうぞ。
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