風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第77回  谷川連峰縦走路  その3

『日本百景』 夏  第77回  谷川連峰縦走路  その3  〔群馬県・新潟県〕
 

大きな山体を示す谷川連峰最高峰
仙ノ倉山
 
    行程記録               駐車場・トイレ・山小屋情報
 《1日目》 大阪~越後湯沢〔新幹線・所要4:30〕~土合〔上越線・所要25分〕
       土合(0:20)→谷川岳ロープウェイターミナル〔ロープウェイ・リフト〕
      (0:25)→天神峠(2:55)→谷川岳・肩ノ小屋
 《2日目》 谷川岳・肩ノ小屋(1:30)→オジカ沢の頭(0:55)→大障子避難小屋
      (1:25)→万太郎山(0:25)→越路避難小屋
 《3日目》 越路避難小屋(1:50)→エビス大黒ノ頭(1:25)→仙ノ倉山
      (1:20)→平標山(0:30)→平標山ノ家(0:40)→平元新道登山口
      (0:50)→平標登山口バス停〔バス〕(0:35)→越後湯沢~大阪〔新幹線・所要4:30〕
 
   ※ 前回の『第76回 谷川連峰縦走路 その2』からの続き


ドラムカン前で魅せられた朝景
 
  《3日目》 ようやく血糖値が正常になってきたみたい
昨日は1日13時間半の睡眠を取ったなぁ。 いくら何でもコレだけ寝ると、4時に目が覚める。
そして、暑い暑いとヘタっていたのが功を奏して、そんなにカロリーを消費してなかったりして。
 
要するに、タダッ子の我が上半身に従うだけで、上半身を説得してやりこめる甲斐性と根性がないだけである。 上半身が「疲れた」と言ってはその通りに道端でヘタり、上半身が「歩きたくない」と言えば『建前上の高山植物撮影タイム』だし、上半身が「水飲みたい」と欲したらザックの上蓋を開けてしまうし・・である。

そんなだから、国内登山172回(ホントだよ!)と経験を経て割りと力強くなっている足腰に主導権が行き渡らない状態になっているのである。 要するに、『上半身>下半身』の勢力図が成り立っている訳ですね。
 
・・と、意味のない話で引っ張ったのには訳がある。 要するに、「そんなにカロリーを消費してなかったりして」と言う様に、全く腹が減っていなかったのである。 「まぁ、少しでも食っておこうか」と、昨日の夕飯のおかずの残りであるサラミソーセージを10粒程食って、5時5分前にドラムカンを出る。
 

ドラムカンから出ると
山の喜びが広がっていた
 
朝日が雲間より弱く差し込んではいるが、基本的にはガスに巻かれた曇天である。 これより、登りオーダー350mと250mのアップダウンをこなしていくので、できるだけ涼しい方がいい。
 

エビス大黒ノ頭へ
竜の背の如く波打つ稜線
 
さて、ドラムカンを出るとお花畑の中を150m下って、《越路乗越》という稜線上の最低点に出る。
標高で1568mである。 これより、《エビス大黒ノ頭》まで標高差320mを登らねばならない。
取り敢えず、持ち水は昨日の残りの1.1リットルだ。 計算としては、「《エビス大黒ノ頭》と《仙ノ倉岳》と《平標山》で消費したら、次の水の補給点である《平標山ノ家》まで持つな」という事である。
後は、上半身のダダにどれだけ抗しきれるか・・が鍵である。

万太郎山の西斜面を下りきって《越路乗越》に着くと、汗が出てきたので上のカッパを脱ぐ。
何故カッパを着ていたかというと、夜露で草が濡れていた為である。 これより岩場なので、草露に濡れる事は少なくなるだろう。 さて、急登の始まりだ。 まずは、標高150m位の前衛突起までのイッキ登りである。
 

建前上はコレら
高山植物を撮る為に休憩するのです
ミズギボシ
 
ここで、何と『建前上の高山植物撮影タイム』ナシで乗り切る事に成功。 ここに来て、ようやく血糖が抜けてきてくれたのだろうか、割と快調に登っていく。 『夏になれば放浪』に終止符を打ちメタボーマンに成り果てた昨今は、山に登れば必ず《1日目》は死んで(大ヘバリ)、《2日目》は死を恐れてのおフザケ行程となり、漸く《3日目》でまともに行程をこなす事が出来るようになるパターンであった。
でも、最近の山行は、長くても2泊3日なんだよね。

でも、この150mを登りきる事で、「もうほとんど終わり」と脳内お花畑を開花させてしまったので、アップダウンを含む残りの250mは、『建前上の高山植物撮影タイム』を何度となく取らねばならなくなったのは藪の中に。 でも、お花畑と切れ立ったエビス大黒沢の絶壁、越後の空に広がる巻機や越後三山の山なみなど、『建前上の高山植物撮影タイム』は有意義に使う事ができる。
 
エビス大黒ノ頭の手前で見た風景

振り帰ると
背後にそびえる万太郎山
 

前方の大源太山を望む
頭上ではドス黒い雲と青空が対峙していた
 
何だかんだといって、6:40に《エビス大黒ノ頭》に到着。 8年前は何もなかったが、今は標高1888mを記した頂上柱が設置されていた。 ガスに巻かれた空に朝日が反射してほのかに光る朝らしい情景だ。
ここで、待ちに待った水の補給タイムだ。 予定通り400ccを飲み、20分程クールダウンしてから先に進む。
 

何気なしに通ってはいたが
群馬県側はスッパリと切れ落ちてたりして

《エビス大黒ノ頭》からは、記憶にないガレた岩場の下降となる。 レベルとしては大した事はないが、所々で3点トラバースが必要となる箇所もあった。 このガレ場を下りきると、稜線最後のドラムカンがあった。 《エビス大黒ノ頭避難小屋》である。
 

見た目は“カワイイ”が
中身はカワイくないエビス大黒のドラムカン
 
『敷地面積7平米』と記された土地借受標杭が打ち込まれていたが、絶対に7㎡もないな。
今日泊った《越路乗越》のドラムカンでも畳3帖分程なのに、人が3人並ぶと“イッパイイッパイ”のこのドラムカンが、畳4枚の広さもある訳ない。 どう見ても畳1.5帖である。
 
そして、ここは大障子避難小屋と同型の『床直結型のドラムカン』だが、床が低く土間に風呂場用のスノコが敷かれているような感覚で、居住環境は稜線内ドラムカンの中では最悪であろう。
それに雨漏りがあるのか、スノコが汚れて腐っているし。

ここで思った。 「あぁ、ヘバって良かった」と。 体力ギンギンで「余裕だぜぇ~」と強がってここまでやってきてたなら、都合12時間に渡る『夢のドラムカン内睡眠』は水泡と帰して、思いっきり寝不足となっていただろうから。 まぁ、『結果オーライ』ですわな。

まぁ、ちょっと“怖いもの見たさ”のドラムカン見分をして、いよいよ稜線最高峰の仙ノ倉山への直登に入る。 でも、8年前は登路がもっとジグザクに切っていたように感じたが、気のせいか。
お花畑の草付をもぞもそと登りつめていくと、程なく仙ノ倉山 2026メートル の頂上へ。
 
仙ノ倉山の頂まで

ニッコウキスゲが彩る登り道
 

ハクサンフウロ
 

ニッコウキスゲ
 
仙ノ倉山の頂上にて

もちろん、『建前上の高山植物撮影タイム』は連発したし、建前上でない『高山植物撮影タイム』もふんだんに使って・・なので、コースタイムは20分オーバーして、到着は8:25であったが。
 
ようやく血糖が抜けて身体が動くようになってきたのが実感できるようになったが、登り行程はここでおしまいだ。 後は、下る一方である。 一般ハイカーの登山も考慮して思いっきり整備された仙ノ倉山の山頂で、今日始めて人に会う。 時間的に言えば、たぶん《平標山ノ家》の宿泊者であろう。
下からだと、4時出発でないとここまで来るのは無理だろうし。
 
さぁ、2回目の水タイム。 ここまでは、ヘタれの根性ナシの甲斐性ナシにしては水の補給計画を忠実に守っているな。 ヘタレ極まるメタボ腹の筆者でも、『やる時は常人の半分位はやる』みたいですな。

仙ノ倉山で20分程休憩して、ここからは完全に整備されたハイキングコースとなるので、カメラを片手にダラダラと下っていこう。 でも、谷川からここまで10km。 よく歩けたなぁ。 またもや、その場凌ぎの無訓練山行をやっちまったよ。
 
仙ノ倉~平標山に咲く花々

コオニユリ
 
しかし、こういう事をしてそれをクリアしてしまうから、また同じ事を繰り返すのだね。
『悔悟とそれの反省』いう進歩の為のパーツが使われぬままに枯れ果てるパターンだねぇ。
でも、『結果オーライ』を人生の訓にしている私だから、まぁいいか。
 

ウサギギク
 
木道と木の階段で完全に整備された平標山へのルートの脇に咲く、ハクサンフウロ・ニッコウキスゲ・コオニユリ・ミズキボシなどを撮りながらいく。 でも、整備された道ってのはアクシデントの影響をもろに受けるんだよね。 前にここで霧雨に降られて、濡れた木道で『尾てい骨空竹割り』をしてしまった事を思い出したよ。
 

ハクサンフウロ

そして、お子様コースの丸太の階段コースなのに、何故に平標山までの標高差100m足らずが仙ノ倉山への登りよりしんどく感じたのだろう? まぁ、ガスが切れてカンカン照りとなり、直射日光で焼き毟られたせいもあるが。 やはり、「登りはもう終わり」と決め込んでプッツン切れたのが主原因だろうと思う。
 

ニッコウキスゲ
 

 平標山山頂にて
 
平標への木段登りはちょっと効いたので、平標の頂上ではできれば飲まずに残しておきたかった残り水300ccを飲み干す。 まぁ、平標山の頂上より30~40分も下れば《平標山ノ家》で水が得れるので、飲み干しても問題はないのだが、見栄というかなんと言うかここまで我慢したんだから、もうひと踏ん張りしてもよかったかもしれない。


上る者にはふくら脛が突っ張る地獄
下る者には飲み水まであと少し・・の夢見心地の階段
 
後は、チンチクリンに照りつける暑い日差しから気を反らすべく、平標山頂上から続く木段の数を数えながら下っていく。 段差があればOK、段差があっても木の根とかはNGとして数に加えず、補助の木片段は本段のみ1カウントというルールを仕立てて数えたら、《平標山ノ家》まで1309段あったりして。
 

山々を見ながら
ゆっくりと木段を下りていこう
 

急いでもゆっくりいっても
1309段には変わりないのだから
 
段を数えるのに熱中したら、割とあっさりと《平標山ノ家》へ。 この小屋には冷たいいい水が出ているので、焼き毟られた両腕を冷やしつつ、御相伴預かる。 水を飲みながらの休憩を10分ほどしてから、下山口のバス時刻を見ると12:40であった。 今の時刻は10:40。 コースタイム的にはギリギリ間に合う時間だが、下り遅いからねぇ・・ワテ。 この便を逃すと14時台までなかったりするし。
で、急いで出発。
 

路傍の花・オトギリソウ
 
登山口までの下りはコースタイム+5分、そして林道で-5分の計算で所要100分、オツリが20分という計算だ。 まぁ、途中経過は、変化も何もない道で下り過程を実況解説する必要もないので、端折って結果だけ述べると、下りルートの《天元新道》は道が整備されていて下りやすく、また余分な血糖が完全に抜けきって身体が動くようになったのかコースタイムより-5分、林道歩きはコースタイムより-8分の大健闘。 で、12:07にバス停前に到着。
 
実を言うと、少し早く着き過ぎて炎天下のバス停で30分待たされる不都合となってしまった。
陽炎が立ってたよ。 温度計は34度を示してたよ。 30分の待ち時間を利用して、電車でつまみ出されないように汗まみれの3日着たきりのTシャツと出発時に着ていたカッパを着替えるべく靴を脱ぐ。
靴を脱ぐ際にアスファルトを踏んでしまったが、完全なるチンチクリンとなっている。
オーブンの上にいるみたいだ。 たぶん、卵を落とすと目玉焼きができるぞ。

後はバスで越後湯沢駅へ。 そして、バスの車内広告に『駅風呂がある』とあったので、ひと風呂浴びよう。 何でもポン酒館のポン酒風呂だそうで、「車で来た奴の入浴はどうよ?」、「だから駅にあるのか?」ってしょうもない事を考えつつ、山行後の風呂を堪能する。 ちなみに、飲用不可だそうで。
後はもう早く帰りたいので、高いけど再び禁断の果実『シンカンセン』を使って一路大阪へGO!

  ※ 詳細はメインサイトの『撮影旅行記』より『ドラムカン小屋体験記』をどうぞ。
 
 
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