風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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名峰百選の山々 第95回  奥穂高岳,前穂高岳

名峰百選の山々 第95回  『60 奥穂高岳 , 61 前穂高岳』  長野県・岐阜県
槍穂高山系(中部山岳国立公園) 奥穂高岳 3190m , 前穂高岳 3090m
コース難度 ★★★  体力度 ★★★
 

雲海を“露払い”に
そびえ立つ奥穂高岳
 
  槍・穂高連峰 やり・ほたかれんぽう (中部山岳国立公園)
北アルプスのハイライトとして登りたい山。 また、眺めても美しい姿の山として圧倒的に人気があるのが、この槍・穂高連峰である。 標高が日本第3位の奥穂高岳 3190メートル や、極めて山容秀麗な槍ヶ岳 3180メートル がそびえ立つ北アルプスの代表となる山域だ。 登山ルートはバリエーションルートも含めて色々あるが、一般的なコースは上高地から槍沢経由のコースである。 

ちょっと上級の方ならば、やっぱり縦走コースの『表銀座』・『裏銀座』を目指す事だろう。 
これらのコースは北アルプスの展望が素晴らしく、人気共々第一級の縦走コースだ。 また、登山の“玄人”を自負する方には、槍ヶ岳から大キレットを通り奥穂高岳へ抜ける嶮しいコースもある。
 

 

槍・穂高連峰 縦走ルート行程図
 
   行程表               駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR松本駅より鉄道(0:25)→新島々よりバス(1:15)→上高地(3:00)→横尾
     (1:40)→槍沢ロッヂ
《2日目》 槍沢ロッヂ(1:40)→氷河公園分岐(2:30)→槍ヶ岳山荘より槍ヶ岳往復・所要約1時間 
     (2:30)→南岳(0:10)→南岳小屋
《3日目》 南岳小屋(1:20)→大キレット・長谷川ピーク(2:20)→北穂高岳(2:20)→涸沢岳
     (0:30)→穂高岳山荘
《4日目》 穂高岳山荘(0:50)→紀美子平より前穂高岳往復・所要約50分(2:45)→岳沢
     (2:00)→上高地よりバス(1:15)→新島々より鉄道(0:25)→JR松本駅
   ※ 《3日目》の行程(『名峰次選 第90回 北穂高岳,涸沢岳』からの続きです。

  《4日目》 奥穂高岳・前穂高岳を踏んで下山
奥穂高岳のコルにある穂高岳山荘からは、3方向に下っていく事ができる。 距離の長すぎる《白出沢》への下山路は例外として、比較的気軽に下れるルートは、『ザイデングラード』から《涸沢カール》に抜ける道だろう。 しかし、この道はスニーカーで登ってくる者がいるなど、あまり面白みがないのであえて“パス”しよう。 そして、《大キレット》からの緊張感を持続するべく、前穂高岳を経て《岳沢》から《上高地》へ下っていこう。 

まずは、山荘の横手の岩塊に垂れ下がる鎖を片手に登っていく。 尾根上に登り着くまでハシゴや鎖が数ヶ所あるが、尾根上に飛び出ると踏み固められた砂礫の道が頂上まで続いている。 
約50分ばかり登ると、日本第三位の高峰・奥穂高岳 3190メートル の頂上だ。 しかし、頂上に立つ大岩がなければ、標高では南アルプスの間ノ岳 3189メートル に抜かれてしまう・・との事である。 だが、頂上の眺めは格別だ。
 

槍の穂先が顔を出した

頂上には方位盤があり、それが示す通り360°の大パノラマの展望が広がる。 頂上の醍醐味を味わったなら、この縦走最後の3000m峰・前穂高岳に向かって直進していこう。 奥穂高岳から延びる吊尾根の飛騨側につけられた道を歩いていく。
 
所々高巻いたり、鎖で一枚岩を急降下する所もあり、思ったよりも歩き辛い。 また高巻き地点や鎖場の下降地点などは判り辛く、岩にかかれたペンキ印だけを頼りに下っていく。 1時間少々この岩場下りをこなすと、前穂高岳への分岐点・《紀美子平》に着く。 

ここに荷物をデポって、この縦走最後の3000m峰にアタックしてこよう。 前穂高岳へはゴチャゴチャした岩場のイッキ登りで、頂上直前で尾根を跨ぐ所などはガレにガレていて落石を起こしやすいので注意しよう。 前穂高岳 3090メートル 頂上からは、今まで通ってきた峰々が手に取るように見渡せる。
 

前穂高岳頂上より
槍・穂高稜線を望む
 
この縦走の最後を締めくくるにふさわしい眺めに、感慨も深まる事だろう。
さて、山頂からの眺めに思いを馳せたなら、そろそろ山旅を終えるべく下っていこう。
 

前穂高岳で越えてきた難所を偲ぶ
 

まだまだ気は抜けない
岳沢への下降路も鎖場が続く
 
《紀美子平》からは、スラブ状でツルツルと滑る岩の上を鎖を伝いながら2~300mの長さで下っていく。
これを下りきってちょっとした岩塊を乗り越えると、《雷鳥広場》と呼ばれるハイマツの丘に出る。 
ここから眺める西穂高岳・ジャンダルム・奥穂高岳の眺めは絶品だ。
 

奥穂高岳に連なる
ジャンダルムの岩峰
 

荒々しい姿を魅せる
西穂高岳
 
《雷鳥広場》からはハイマツ・お花畑、そしてダケカンバの林と、目まぐるしく変わる尾根道を下っていく。 途中にある土砂崩れ跡のガラ場や潅木帯の大きな段差を鎖やハシゴを使いながら下っていくと、樹林帯を飛び抜けて《奥明神沢》に出る。 後は草付きの急傾斜をジグザグに下ると、《岳沢》前のキャンプ場に出る。
 

難路通過に張り詰めた心に
一服の清涼剤
ハクサンイチゲ

《岳沢》の上方には、落差100m以上と思われる《滝沢ノ大滝》が掛かっている。 この滝は不定滝で渇水期は涸れる事もあるし、逆に大雨の後などは3条にも4条にも掛かる事もある。 この滝を奥に見ながら沢を岩伝いに飛び越えていくと、《岳沢ヒュッテ》だ。 好天時はいいのだが、荒天時は沢が濁流となって渡れなくなる。 その為に、《岳沢》を渡らずに森の中を掻き分ける間道が設けられている。
荒天の場合はこの道を利用しよう。
 

岳沢より望む
前穂高岳の岩屏風

《岳沢ヒュッテ》からは、下方で再び沢を渡って、先程の間道を併せて整備された登山道を下っていく。 
約2時間、《帝国ホテル》の赤い屋根が見えてきてからが特に長く感じる。 
やがて樹林帯の中に突入し下っていくと、《上高地》の治山道路の砂利道に出る。 ここからは、《上高地》を歩く観光客のいでたちを目にしてガックリと力を落として、下界との“架け橋”・《河童橋》を渡って《上高地バスターミナル》に向かう。 

《上高地》をゴール地点にすると、どうしても最後が締まらないのである。 下山を終えて感慨深い山行の余韻に浸れないのが、このコースの“玉にキズ”であろう。 《上高地》は全国有数の観光地である。
バス便の心配はないだろう。 ホテルなどの内湯で山の汗を落としてからでも、十分帰路に着けるだろう。

   ※ 詳細はメインサイトより『槍・穂高連峰』を御覧下さい。
 
 
 

 
 
 
 
 
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