風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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路線の思い出   第18回  三江線・作木口駅

路線の思い出   第18回  三江線・作木口駅 〔広島県 ※駅の所在は島根県〕
 

三江線は江ノ川に沿ってゆく
風光明媚な路線だ
 
《路線データ》
      営業区間と営業キロ          輸送密度 / 営業係数(’83)    
     江津~三次 108.1km           469  /   1109
 
運行本数(’13)
  江津~三次 下り2本・上り1本 ,江津~石見川本 上り1本 ,江津~浜原 3往復
  石見川本~三次 上り1本 ,浜原~三次  2往復 ,口羽~三次  1往復
 
作木口駅(さくぎぐちえき)は、島根県邑智郡邑南町上田上ケ畑3341番地にあったJR西日本・三江線の駅である。 駅名は、江の川の対岸にある広島県三次市の作木地区(旧・作木村)への入口である事に由来している。 三江線の廃止に伴い、2018年(平成30年)4月1日に廃駅となった。

三次方面に向かって左側に単式1面1線のホームを持つ停留所規格の駅で、浜田鉄道部が管理する無人駅であった。 駅舎は存在せず、ホーム上に庇のみの待合所が設置されていた。 ホームへの入場は、三次側の端から直接ホームに入るようになっていた。 なお、自動券売機等の設備はなかった。
2015年の1日平均の乗車人員は7人との事。

駅から江ノ川に架けられた橋を渡ると広島県三次市の作木地区(旧・作木村)で、かつて村役場であった三次市役所の作木支所がある。 また、国道54号に向かって約3km東方に、『日本の滝百選』に選定された落差126mの常清滝(じょうせいたき)がある。



 
常清滝
その清涼感と玉簾れが創造する
パラレルワールドに引き込まれる

今回取り上げる作木口駅は、廃止ローカル線が大方廃止となって筆者の心が鉄道から山や滝へシフトしていく頃に降りた事のある駅である。 もちろん、鉄道撮影も目的にあったが、第一の目的はこの駅から2.5kmほど東にある落差100mを越える大瀑・常清滝であった。
 
心が鉄道より山や滝にシフトしつつあったが、車を持たない20歳前後の時だったので、「滝を魅にいく」といっても鉄道以外にアプローチする手段がなかった微妙!?な時の事である。 この後、車を所有すると、鉄道より完全にフェードアウトしたが。 当然、鉄道以外に手段がないので、滝見も駅から2~3kmの位置が限界となる。
 
また、列車の運行本数を考えると、三江線の6往復(現在は1本減らされて5往復)等は、鉄道と滝の両方に興味を持たないと、まず手段として利用はしないだろう・・っていうか、現実この運行本数では『至難の業』という以外にないのである。
 
だが滝ってのは、こういうローカル線地域の山奥にあるのだ。 そして、駅から徒歩圏内となると、全国探しても、ほとんど該当する滝はないだろう。 当然、この『鉄道利用による滝見』は、この三江線限りとなってしまった。 まぁ、これが、この作木口駅を降りた経緯である。
 
・・列車は可愛(えの)川と呼び名を変えた江ノ川沿いに進み、作木口駅に着く。 当時は鉄道から心が離れつつあったが、駅に降りた途端久々に『鉄道相思』に対して火が着いた。 作木口駅は、筆者の例える『天岩戸タイプ』の最たる駅だったのである。
 
なお、この“筆者の例える『天岩戸タイプ』”の駅だが、筆者が九州の高千穂線の天岩戸駅を見て勝手に作ったカテゴリーである。 それは、ホーム一つの棒線駅で待合室もなく、雨除けにもならぬ僅かな庇があるだけの駅を指すのである。
 
この作木口駅は、その『天岩戸タイプ』に見事合致したのである。 その庇は、ホーム柵にあるベンチの上にあったが、何とベンチの座席幅よりも小さい“ゲテモノ”であったのだ。 幸い、訪れた時は好天であったが、雨が降ったならば雨除けにもならぬ庇である。 さすがに今は庇が延長されたようだが、当時は筆者の鉄心に火が着くほどの『一品』だったのである。
 
それと、駅の脇より可愛川にかかる橋にも興味をそそられる。 橋の真ん中が島根・広島の県境なのだ。 つまり駅は島根県だが、島根県側は線路があるだけの山野で住居は全くなく、集落の全ては川の対岸の広島県の作木村(現在は三次市に編入されている)にあるのだ。
 
当時の幼稚な筆者はこれに注目して、三江線の列車を撮るのに県境の橋の上にわざわざ身体の中心を合わせた撮影足場を決めて撮ったりする。 こうする事で、案の定『使えない駄作』が出来上がったのである。
 

こうして『駄作コレクション』が
積み重ねられていく
 
でも、なぜか、あの特異な庇のホームは撮らなかったみたいだ。 やはり、リバーサルであの駅を撮るのは“フイルムがもったいない”との心理が働いたのであろうか。 今思えば、もったいない事をしたもんだ。 現在は(苦情の一つもあったのだろうか)庇が延長されたものに取り替えられているだけに、当事の駅写真があれば記事に真実味を持たせる貴重な『現物』だったのだが。
 
あと、別の日に時刻表にも載っていない仮乗降場・長谷にも下りている。
この乗降場は上下2本づつのみの停車で下車するのは至難の業であるが、運良く前夜の宿泊地からの始発列車がこの仮駅・長谷に停車してくれたので降り立つ事ができた。
 
ちなみに『前夜の宿泊地』とは駅傍の宿屋ではなく、宇都井駅の待合室である。
ここならダイレクトに始発列車に乗れる利点と、夏祭りには花火を見ながら寝れる駅でもある事は藪の中に。 でも、途端にアウトローの世界に陥り、癖になるとなかなかにマトモな旅の形に戻れませんので御注意を。
 
話は脱線したが、その長谷は乗降場ではあるがまともな待合室があり、正規駅である作木口より数段格上の設備であった。 何でも、利用者が集落の中心にある小学校へ通学する生徒であり、県の教育委員会により、『通学児童の保安上』との名目で待合室が設置されたのだという。
 
待合室は扉はボロいが、駅寝には十分な設備である。 さすが、県の教育委員会の肝煎り設置だけの事はあるな。 でも、下り便が午前中、上り便が午後しか停車しないので、この乗降場に下りるとなると、下りの始発で下りて次の下り最終便で三次に抜けるしか手がないのだ。
 

上下4本しか停車しない駅に降りただけでも
根性が入ってると思いません?
 
今は列車本数の少ない無人駅を狙って下りる事は、『秘境駅めぐり』として鉄道趣味のカテゴリーに含まれるなど認知されているが、当時はそんな事をするのは変人以外の何者でもなく、この駅に下りた筆者は下車した際に車掌にいぶがられ、待合室でたたずんでいると地元民に「こんな所に何しに来たの?」と問われる始末である。 地元民の問いに「あの、珍しい駅に下りたくて・・」と答えると、理解不能のような表情を見せて「あっ、そう」と返されたのが印象的だった。
 
思えば、この頃は行動力があったよな。 いや、『行動力』とは少し違うな。 云うなれば思い立った事を何も考えずに実行する行『為』力。 そう・・、行動力というよりも、『成り行き任せ』能力といった方がいいかもしれないね。 
 
 
   ※ 詳細は『魅惑の鉄道写真集』より『三江線』を御覧下さい。
 
 
 
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No title * by tom
こんにちは
小生は三江線には一度しか訪れておらず宇津井駅を眺めた記憶もないのですが1日2本の長谷駅が気になるのは何となく理解できます。ただ小生はもっと写真や的な興味なので辺りがどうなっているか?田舎なのか?というような下世話な好奇心で、風来梨さんほど純粋ではないかもしれません。

小生は『竹駅』で下車し川べりで撮影したのち風の吹きすさぶ駅のあずまやで3時間列車を待ったことを思い出します。

No title * by 風来梨
tomさん、こんにちは。

長谷仮乗降場や作木口に立ち寄った時は、丁度廃止ローカル線が片付いた年の夏だったと思います。 たから鉄道に対して冷めつつある時でした。

でも、北海道の廃止ローカル線と共通の『残り香』である仮乗降場に、目がいったのでしょうね。 それが長谷に降りた動機です。
だから、下りるという目的を果たした後は何をするでもなく、雨という事もあって2時間を持ち込んだ漫画雑誌や駅ノートを読み耽る事で過ごしましたね。

写真も、駅を去る時に乗車した列車を撮ったのみです。

今思えば、もっと付近の探索をしてれば良かったかな・・と思います。

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No title

こんにちは
小生は三江線には一度しか訪れておらず宇津井駅を眺めた記憶もないのですが1日2本の長谷駅が気になるのは何となく理解できます。ただ小生はもっと写真や的な興味なので辺りがどうなっているか?田舎なのか?というような下世話な好奇心で、風来梨さんほど純粋ではないかもしれません。

小生は『竹駅』で下車し川べりで撮影したのち風の吹きすさぶ駅のあずまやで3時間列車を待ったことを思い出します。
2013-07-21 * tom [ 編集 ]

No title

tomさん、こんにちは。

長谷仮乗降場や作木口に立ち寄った時は、丁度廃止ローカル線が片付いた年の夏だったと思います。 たから鉄道に対して冷めつつある時でした。

でも、北海道の廃止ローカル線と共通の『残り香』である仮乗降場に、目がいったのでしょうね。 それが長谷に降りた動機です。
だから、下りるという目的を果たした後は何をするでもなく、雨という事もあって2時間を持ち込んだ漫画雑誌や駅ノートを読み耽る事で過ごしましたね。

写真も、駅を去る時に乗車した列車を撮ったのみです。

今思えば、もっと付近の探索をしてれば良かったかな・・と思います。
2013-07-21 * 風来梨 [ 編集 ]