2013-07-20 (Sat)✎
『日本百景』 夏 第76回 谷川連峰縦走路 その2 〔群馬県・新潟県〕
谷川連峰縦走路 行程図
行程記録 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 大阪~越後湯沢〔新幹線・所要4:30〕~土合〔上越線・所要25分〕
《1日目》 大阪~越後湯沢〔新幹線・所要4:30〕~土合〔上越線・所要25分〕
土合(0:20)→谷川岳ロープウェイターミナル〔ロープウェイ・リフト〕
(0:25)→天神峠(2:55)→谷川岳・肩ノ小屋
《2日目》 谷川岳・肩ノ小屋(1:30)→オジカ沢の頭(0:55)→大障子避難小屋
(1:25)→万太郎山 (0:25)→越路避難小屋
《3日目》 越路避難小屋(1:50)→エビス大黒ノ頭(1:25)→仙ノ倉山(1:20)→平標山
《3日目》 越路避難小屋(1:50)→エビス大黒ノ頭(1:25)→仙ノ倉山(1:20)→平標山
(0:30)→平標山ノ家(0:40)→平元新道登山口(0:50)→平標登山口バス停〔バス〕
(0:35)→越後湯沢~大阪〔新幹線・所要4:30〕
※ 前回の『第75回 谷川連峰縦走路 その1』からの続き
《2日目》 ドラムカン小屋へ・・
昨日7時過ぎには寝息を立てていたので、夜明け前の4時に目が覚める。 それでも、しっかり9時間寝てるな。 空が明るくなり出した4時半過ぎに表に出る。 どうやら、ガス曇りのようだ。
昨日の夕日の時からガスが湧いていたので、これは予想の範疇であったが、朝日が見れない残念さと、『ラッキー』という思いが交錯していた。 何故『ラッキー』かというと、歩いている最中に焼け毟られるリスクから逃れられるからである。
昨日7時過ぎには寝息を立てていたので、夜明け前の4時に目が覚める。 それでも、しっかり9時間寝てるな。 空が明るくなり出した4時半過ぎに表に出る。 どうやら、ガス曇りのようだ。
昨日の夕日の時からガスが湧いていたので、これは予想の範疇であったが、朝日が見れない残念さと、『ラッキー』という思いが交錯していた。 何故『ラッキー』かというと、歩いている最中に焼け毟られるリスクから逃れられるからである。
翌日の朝はガス曇りであった
「取敢えず頂上へ」という事で、頂上までの300mをノタノタと登っていく。 頂上の岩に座って20~30分待ってみたが、頭上の空のガス雲は切れども周囲はガスに覆われて眺望はゼロで、何の戦果ナシで頂上を後にする。
小屋で身づくろいして、出発は5時半過ぎって所か。 ルートは、8年前に一度通った事があるのでだいたいの見当は着いている。 予想しきれない事といえば、8年前と比べてどれだけ衰えているかって事に尽きるだろう。
これより稜線を伝って
薄い影となっている奥のあの山まで行こう
さて、《肩ノ小屋》より生い茂ったクマザサ帯を下る。 標高差で約150mほど緩やかに下ると、岩場の急登となる。 前回に挑んだ秋の新雪期に「簡単な岩場で鎖の設置がなく、新雪の乗る今回はそれが原因で通過が厄介だった」との実感を持つ岩場だ。
まぁ、今回は背負う荷物の重さは一緒で、季節は何の問題もない夏。 でも、体力の落ちぶれと血糖値の濃さは雲泥の差があったりする。 根性のなさは前とそう変わらんし。
でも、ガスに巻かれた朝の涼しい内なので、しんどい事はしんどかったが、そんなに無意味な『作戦タイム』は取らずに済んだ。 登りつめたオジカ沢ノ頭は、前回はなかった位置表示道標(実質は山頂標だが、頂上ではないので位置表示道標)が設置されてあった。
縦走路はこれより右へ90度折れて、お花畑の草付きを急下降していく。 真っ直ぐ行くと立派な山容を示す爼 まないたぐら への登路となるが、この爼は谷川本谷の沢クライマー向けのルートなので、以前の最盛期のワテならともかく、今のワテならば瞬速で無視である。 踏跡も、よもや間違う事はない位に右へ90度折れていたし。
このドラムカン(避難小屋)には
恐ろしい機能が備わっている
極めつけは、コースの右折点に《オジカ沢ノ頭》の名物である『高床式ドラムカン』が、「これでもか!」というが如くデンと置かれているのである。 このドラムカンを目にして前を見直すと、視界に必ず縦走路が稜線の上に刻まれているのが入ってくる。 その意味では、貴重な道しるべになっているんだね、このドラムカン。 そう、「ただのドラムカン」と侮ってはいけないよ。
さて、この“お役立ち”ドラムカンの中は・・というと、ドラムカンの曲線に沿って内部が傾斜しとるよ。
平らな部分は2人横並びに並んで寝転ぶと限界みたいだ。 3人利用なら『寝返りも打てない』断末魔の状態となるのだ。
平らな部分は2人横並びに並んで寝転ぶと限界みたいだ。 3人利用なら『寝返りも打てない』断末魔の状態となるのだ。
3人利用だと、どんなにその間に友情が育まれていても
明日の朝はたぶんそれぞれ別行動を取ってしまいかねない
『友情潰し』のドラムカンだ!
無理に寝返りを打つとバンクに乗っかって、その反動でゴロゴロと転がってしまうのだ。
つまり隣に寝ている人物に、落下加速付のエルボーをかましてしまいかねない『友情潰し』のドラムカンなのである(※ 多少、煽り的な観測が含まれています)。 これは道標としては“お役立ち”だが、本来の使命に関しては全くの“役立たず”なのである。
まぁ、場所的にも条件的にも使えない位置なので、これでもいいのかもしんないし。 使うとしたら使うとしたら爼方向からの登ってきた者、即ち本谷遡行で登ってきてヘバッた奴位だろうね。
さて、このドラムカンが指し示す通りに草付きを下っていくと、稜線のタワミに差し掛かって風通しが良くなるのか、急速にガスが晴れてくる。 目の前には、稜線最高の設備!?を誇る大型ドラムカン《大障子避難小屋》と、万太郎山が見えてくる。 これより、容赦ない夏の日差しがギンギンに身体を焼け毟るのである。
ガスが切れると
万太郎山へのスカイラインが見えてきた
万太郎山へのスカイラインが見えてきた
これで途端にやる気をなくし、手前の《小障子の頭》でグデェ~とヘタる。 約10分位、建前上『高山植物撮影タイム』を取り、最後の気力を振り絞って(もう最後かいな)、《大障子避難小屋》に辿り着く。
今の時刻は8時過ぎ。 でも、心は「もういいよ、ここでストップしよ」が、6割方頭の中を占めていた。
シシウド・オヤマノエンドウ・アズマギク
が咲いていた
が咲いていた
まぁ、どちらにしたって、この避難小屋の建つ《大障子のコル》は稜線上で唯一水が取れる所だ。
従って、ヘタっていても「水を飲みたい」との欲求に忠実に従って、ホイホイと水を汲みにいく。
「今までヘタりにヘタって、最後の気力を振り絞ったのと違うんかい?」と文句をつけたくなる位に、自らの欲求に素直な筆者であった。
沢まで急傾斜を10分下るが、冷たい水が流れている。 2リットル汲んで、ついでに腹がタプンタプンになる手前までガブ飲みし、帰りは急傾斜の登りとなるので、再びヘロヘロの千鳥足で小屋へ戻る。
「さて、水汲んだし、どうしようか」という事で、小屋の中に入ってみる。 前泊った時は雨漏りしていた記憶があるが、今は屋根にエンビの波板が貼り付けてあった。 つまり、外の修繕でなくて、雨漏りしても居室内に滴が落ちないようにしているみたいだ。
コオニユリが
最も鮮やかだった
でも、お陰で中はものすごく暑い。 到底、中で昼寝は出来そうにない。 なので、小屋の外の庇の影と草木の間にある芝付きに寝転がる。 その姿は街中の公園等でなら、100%職務質問を受ける醜態だ。
小屋と草の隙間に潜り込んで、寝転がっているのだから。 でも、涼しくて気持ち良かったので、1時間半程昼寝する。
さて、目覚めたら10時過ぎだった。 空は雲がたなびき、日差しは心なしか和らいでいたような気がする。 「昼寝して多少復活したし、これから曇ってくるみたいなので前に進む方が得策か」と思い、小屋の中に放り込んでいた荷物をまとめて出発する。 ダラけにダラけてはいるが、この時点で一つだけ褒められる事が今回の筆者にはあった。 それは、沢前でガブ飲みはしたが、汲み置きの水には全く手を着けていないという奇跡的な事実である。
さて、目覚めたら10時過ぎだった。 空は雲がたなびき、日差しは心なしか和らいでいたような気がする。 「昼寝して多少復活したし、これから曇ってくるみたいなので前に進む方が得策か」と思い、小屋の中に放り込んでいた荷物をまとめて出発する。 ダラけにダラけてはいるが、この時点で一つだけ褒められる事が今回の筆者にはあった。 それは、沢前でガブ飲みはしたが、汲み置きの水には全く手を着けていないという奇跡的な事実である。
ハクサンフウロ
これで、次のドラムカンまでこれを維持したなら、次のドラムカンでの宿泊は適うって事なのである。
で、2リットル=2㎏増えた荷を担いで、万太郎山への登り350mを登っていく。 まず、最初は《大障子ノ頭》への登りだ。 標高差で150m程か。 でも、これは昼寝がモノを言って、大して息も上がらずに乗り切る。
この後、この頭を越えてガレ場を下って再び250mをイッキ登りするのだが、ガレ場を通り過ぎる位の時に空がみるみる曇りだして稜線上を涼しい風が吹き抜ける、ヘタレが登るには絶好のコンディションとなっていたのだ。 これで担いできた水の+2㎏はあるが高山植物も咲き誇っているようだし、建前上の『高山植物撮影タイム』を5~6回撮れば(取れば)何とか凌げるだろう。
3回に1回位は“建前”でない
『高山植物撮影タイム』でしたよ!
で、予定通りに万太郎山の登り250mで『高山植物撮影タイム』を4回撮って、万太郎山 1954メートル の頂上へ辿り着く。 時間は12時ちょうど。 避難小屋を出たのが10:40だから、1時間20分、つまり4回の『高山植物撮影タイム』を無かった事にして差し引けば、標準コースタイムの1時間10分を凌ぐ、1時間ピッタリの所要って事になる。 「これは、もしかして『復活』か!」と、どこまでも頭が『お花畑』の筆者であった。
でも、暑かった。 頂上でTシャツを脱いで、脂肪まみれの上半身を風に晒すと気持ちいい。
そして、ここでも褒められる事を一つ。 担ぎ上げた水を一切口にしない強い心があった事である。
ガスに巻かれて眺望のない万太郎山で、20分ほどくつろいで出発。 万太郎山の西斜面に広がるお花畑の草付きを急下降で下っていく。 ドラムカンのある所まで、標高差200mのタダ下りである。
でも、暑かった。 頂上でTシャツを脱いで、脂肪まみれの上半身を風に晒すと気持ちいい。
そして、ここでも褒められる事を一つ。 担ぎ上げた水を一切口にしない強い心があった事である。
ガスに巻かれて眺望のない万太郎山で、20分ほどくつろいで出発。 万太郎山の西斜面に広がるお花畑の草付きを急下降で下っていく。 ドラムカンのある所まで、標高差200mのタダ下りである。
でも、周りは稜線最大のお花畑群落地で、今までのような『建前』でない本当の『高山植物撮影タイム』が必要となる。
ミヤマアズマギク
花を撮りながら下っていくと、草むらの中に今日泊る銀色のドラムカンが“埋もれて”いた。
これが万太郎山の西斜面の標高1730m地点に置かれた『高床式ドラムカン』こと、《越路避難小屋》である。 さて、その実力は如何に。 前回は早朝7時過ぎで、しかも霧雨だったので内情は確認せずに通り過ぎたドラムカンである。
ドラムカンの周囲には花が咲き乱れていた
花に囲まれた幸せなドラムカン
花に囲まれた幸せなドラムカン
まず“おさらい”として、『トイレナシの水場ナシ』は基本事項として、雨漏りと居住性と採光度は・・という『生活環境』はどうか?って事である。 まぁ、『トイレナシの水場ナシ』というだけで、一般レベルでは『最低(残念でした)』って事なんだけど。
まず、雨漏りに関しては、雨は降ってないので本当の性能は計り知れないが、どうやらOKのようだ。
でも、ボルトの隙間から外の光が漏れているので、大雨は持たないかもしんない。 採光度は、扉と小窓(いずれも割れないようにプラ板)があり、中で時計が見れる位には採光がある。
まず、雨漏りに関しては、雨は降ってないので本当の性能は計り知れないが、どうやらOKのようだ。
でも、ボルトの隙間から外の光が漏れているので、大雨は持たないかもしんない。 採光度は、扉と小窓(いずれも割れないようにプラ板)があり、中で時計が見れる位には採光がある。
そして、最も重要な居住性であるが、高床式の象徴である板スノコが小気味良く効いていて、また《オジカ沢ノ頭》のようなドラムカンの縁に沿っての傾斜もなく、畳で約2帖分の“フラットスノコ”である。
つまり、居住性は現時点では最高級って事であるのだ。 また、小屋が草の中に埋もれて日の光を浴びないのか、中の板スノコは暑過ぎず冷た過ぎずの最高の温調を保っている。 また、扉も完全に開閉できてポイント高いし。
見た目はオジカ沢のドラムカンよりボロいが
板スノコはフラットだしィ
板スノコはフラットだしィ
草に埋もれて日が当たらない分涼しいしィ
このトラムカンは気に入った。 なので、着いた13時過ぎより即効で昼寝。 薄暗くて、涼しくて、フラットでヒンヤリとした板スノコ。 これだけのアイテムが揃えば、「昼寝しなさい」と命じられているようなモノ!?である。
大障子で小屋の庇と草むらの間に潜って過ごした1時間半と、この13時過ぎから16時過ぎまでの都合4時間半の至福のひととき。 筆者(コイツ)の山に行く目的は一体何なのだ?と、筆者(本人)自身が疑問を抱いているのだが。
パノラマスクリーンにすると
雰囲気でるなぁ
昨夜は9時間寝て、昼寝を都合4時間半と歩行時間と同じ位にするなど1日を無駄にして、夜飯食って6時半にまた寝る。 こんな事だから、山に行っても血糖値が下がらないのだろう。 このドラムカンは快適だし、今日も9時間は寝れそうだ。
続く《3日目》は、次回の『第77回 谷川連峰縦走路 その3』を御覧下さい。
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