風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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名峰次選の山々 第90回  北穂高岳,涸沢岳

名峰次選の山々 第90回  『161 北穂高岳 , 162 涸沢岳』  長野県・岐阜県 
槍穂高山系(中部山岳国立公園) 北穂高岳 3106m , 涸沢岳 3110m
コース難度 ★★★★  体力度 ★★★
 

長谷川ノコルより見上げる北穂高岳
 
今回は、槍穂高連峰縦走の核心部となる嶮所・大キレットを通る。 このルートは、夏は一般的な縦走路として開放されているが、難所が続く嶮ルートでもあるので、登山初心者は回避した方がいいかもしれない。
 

槍・穂高連峰 縦走ルート行程図
 
   行程表              駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR松本駅より鉄道(0:25)→新島々よりバス(1:15)→上高地(3:00)→横尾
     (1:40)→槍沢ロッヂ
《2日目》 槍沢ロッヂ(1:40)→氷河公園分岐(2:30)→槍ヶ岳山荘より槍ヶ岳往復・所要約1時間 
     (2:30)→南岳(0:10)→南岳小屋
《3日目》 南岳小屋(1:20)→大キレット・長谷川ピーク(2:20)→北穂高岳
     (2:20)→涸沢岳(0:30)→穂高岳山荘
《4日目》 穂高岳山荘(0:50)→紀美子平より前穂高岳往復・所要約50分(2:45)→岳沢
     (2:00)→上高地よりバス(1:15)→新島々より鉄道(0:25)→JR松本駅 
  ※ 《1・2日目》の行程(『名峰百選 第94回 槍ヶ岳 その2』からの続きです。


穂高稜線の朝
常念山系が雲海に浮かぶ
 
  《3日目》 大キレットを越えて奥穂高岳・白出乗越へ
北アルプスの山域の山荘は、朝食時間が総じて遅い。 6時半・・。 御苦労だとは思うが、ちょっと改善願いたいものである。 早起きさえすれば、出発時間を自由に設定できるテント幕営の機動性りの良さを改めて感じるのである。
 
さて、小屋を出て、小屋の裏手の丘を緩やかに登っていくと、《獅子鼻》の大岩がそそり立つ断崖に差しかかる。 いよいよ、《大キレット》越えの始まりだ。 ここから北穂高岳まで見事な位にスッパリと切れ落ちており、見下ろせば緊張感が全身にほどばしる。
 

難所・“大キレット”を従えた北穂高岳が
眼前に立ちはばかる

《獅子鼻》の大岩の横のガラガラの砕石帯を急下降していく。 踏み込むごとに砕石が崩れ落ちる厄介な道だ。 飛騨側の谷に向かって200m程下っていく。 最後に2ヶ所、垂直の岩崩れを鉄ハシゴを使って下りると、《大キレット》の“底”と呼ばれるキレット北部の鞍部に下り着く。
 
この鞍部は大きな岩塊が屏風のようにそびえ立っていて、それがいい日陰を作っている。
対面にそびえる笠ヶ岳の美しき姿を眺めながら、この岩陰でひと息着くのもいいだろう。
ここからも、ナイフリッジ状の痩せた尾根の登降が続く。
 

南岳と北穂高岳の間に
大キレットが大きく切れ落ちている

この痩せ尾根を伝っていくと程なく信州側に切れ落ちたカール地形を見て、トラバース気味にカールバンドの上のピークを越えていく。 このピークを越えると、砕石の積み重なったゴチャゴチャした岩場の下りとなる。 落石を起こさぬように慎重に下っていこう。 下りきると、《大キレット》の最低鞍部だ。
標高2748m。 《南岳小屋》の下降点から230m下りきった事になる。
 

槍~穂高 核心部分 詳細図

ここから、再び飛騨側を巻くように《長谷川ピーク》と呼ばれる岩峰をよじ登っていく。 
《長谷川ピーク》の頂上で信州側に切り返し、ナイフリッジで連なる痩せ尾根をトラバースしていく。 
ここは当然ながら鎖が付いているのだが、この鎖の直径が太くて握りにくく、余りアテはできない。 

この痩せ尾根の岩壁にへばりついて下っていくと、ナイフリッジの尖った稜線を跨いで飛騨側に乗っ越す所に差しかかる。 両側が断崖絶壁に切れ落ちていて、なおかつ鎖が前述の通りあまり“使えない”のでかなり緊張する。 
 
ナイフリッジを乗っ越すと、しばらく飛騨側の岩壁をトラバースで伝っていく。 そして、最後に3m程の大岩を鎖片手に懸垂下降すると、《A沢のコル》に下り着く。 ここは小さな広場になっていて、ようやくひと息着ける場所だ。 ひと息着いたなら、このコース最大の悪場《飛騨泣き》を通過しよう。
 

大きな岩壁が立ちはばかる
難所・“飛騨泣き”
 
ここから岩が飛騨側に迫り出してきて、人とすれ違うのも困難となっていく。 前を行く人の進み具合や対向者待ちで時間を大いに食って、この迫り出した岩場を登っていく。 すると、程なく《飛騨泣き》の核心、オーバーハングの大岩巻きに差しかかる。
 
下は《滝谷》がスッパリと、気持ちがいい程にキレ落ちている。 その状況で鎖片手に岩に突き刺してあるアングルを踏みながら、このオーバーハングの大岩を巻いていかねばならない。 この大岩、迫りだし方が半端でないので返し手が届かず、トラバースの基本である三点支持もままならない。 

手をクロスして体をいっぱいに引き伸ばして、何とかこの難所を乗りきろう。 これを乗りきると小さなテラスとなっていて、《滝谷》の見事な眺めを見ながらひと息着けるだろう。 この先は、信州側に向かって斜めに登っていく。 稜線上に出ると信州側に切り返し、本谷のカール壁をトラバースで伝ってから北穂高岳の取付点の前に出る。
 

大キレットは鋭い岩突起の連続だ

後は、コテコテした砂礫の岩場の300mイッキ登りだ。 先ほどまで緊張はないものの、所々で鎖やハシゴの助けを借りなければならないので気を緩めず登っていこう。 このイッキ登りを登りつめると、《北穂高小屋》の裏手に這い出るように飛び出る。 登りついたなら小屋の前のテラスに立って、大キレットの尖った峰々がおりなす絶景を満喫しよう。 今、自分がこの難所を越えてきたので、その感慨もひとしおだろう。
 

北穂高岳の背後から
槍の穂先が顔を出す

さて、ひと息着いたなら、この稜線の5つ目の3000m峰・北穂高岳 3106メートル の上に立とう。 
小屋からほんの数分で北穂高岳の北峰頂上だ。 頂上は《大キレット》から見上げた姿からは思いもつかぬほど広々としたもので、涸沢岳・奥穂高岳の連なりの背後に前穂高岳もその姿を魅せてくれる。 
ここから一度緩く下って登り返すと、北穂高岳最高点の南峰だ。 ここから涸沢岳までの稜線も脆い岩場の登降が続くので、まだまだ気は抜けない。 

北穂高岳からは、巨石がゴロゴロと転がる中を縫うように下っていく。 下りきった所が涸沢岳のコルだ。 ここから見上げる涸沢岳は何の変哲もない岩場の登りに見えるが、ホールドのままならない程の脆い岩場が続きかなり危険だ。 《大キレット》を乗り越えて緊張感が切れてしまうからなのか、むしろ《大キレット》より涸沢岳の方が転落や落石の事故が多い・・との事である。 浮石に気をつけて、ホールドする岩を選びながら登っていこう。
 

脆い岩場を乗り越えて
涸沢岳に立つ
 
最後にオーバーハングのチムニーを鎖片手に這い上がると、稜線の上に出る。 ここまでくれば、山頂までは目と鼻の先だ。 涸沢岳 3110メートル の頂上は細長く、奥穂高岳が眼前に迫ってくる。
この奥穂高岳の大きさに、ここまで歩いてきたのだ・・という感慨がまた湧き出してくる事だろう。
後は、眼下に見下ろせる《穂高岳山荘》に向かってゆっくりと下っていこう。
 
なお、この縦走コースの逆行は《飛騨泣き》が下りになるなど、あらゆる面で不利である。
“スリル”を求めるのは楽しいが、これが“恐怖”に変わってしまうと足が竦んでしまってどうにもならない。
逆縦走は、よほど岩稜歩きに慣れた人でないとお薦めできない。 まずは、正方向から、このスリルある稜線の縦走を楽しもう。 明日は、標高日本第三位の高峰・奥穂高岳を踏んで下山しよう。
 
  続く《4日目》の行程は、『名峰百選 第95回 奥穂高岳,前穂高岳』を御覧下さい。

   ※ 詳細はメインサイトより『槍・穂高連峰』を御覧下さい。
 
 
 
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