風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第74回  大日三山  その2

『日本百景』 夏  第74回  大日三山  その2  〔富山県〕
 

ピンク色の夜明け空と奥大日岳
 
  大日三山 だいにちさんざん (中部山岳国立公園) 〔再掲〕
北アルプスの山で最も魅力的な岩の“殿堂”・剱岳。 この剱岳の絶好の展望台が、傍らに鎮座するこの大日三山である。 山の雑誌でよく見る剱岳の写真も、この大日三山の稜線から撮られたものが多い。
お薦めは山が染まる夕暮れ時。 岩の殿堂が雲海と伴に輝くのだ。 

また、豊富なお花畑もこの山域の魅力の一つだ。 雲海に浮かぶ岩の殿堂を望み、お花端の庭園で遊ぶ山旅は、バスやロープウェイの車窓からは決して味わえない感動を体感できるだろう。
 

 

大日三山 登山ルート詳細図
 
    行程表               駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR富山駅より鉄道利用(1:05)→立山駅よりケーブルとバス利用(1:00)→室堂
     (0:30)→雷鳥沢(0:50)→新室堂乗越(2:00)→奥大日岳
     (2:10)→大日小屋・大日岳へは往復20分
   ※ 奥大日岳で御来光を望むなら、奥大日岳より1.5km地点に幕営可能スペースあり(非合法)
《2日目》 大日小屋(2:20)→奥大日岳(1:50)→新室堂乗越(0:50)→雷鳥沢 
     (0:40)→室堂よりバスとケーブル(1:00)→立山駅より鉄道利用
     (1:05)→JR富山駅
 
    ※ 《1日目》の行程は、前回の『第73回 大日三山 その1』を御覧下さい。


呆然と立ち尽くす
情景を魅にいこう
 
  《2日目》 奥大日岳で御来光を見て下山
テント設営可能地点である中大日岳の頂上台地の端より対峙してそびえる奥大日岳の頂上までは、大きなアップダウンを含めて約1時間の道程だ。 これを経て奥大日岳の頂上で御来光を拝むとなると、未だ空の開けやらぬ3時半頃には出発しないと間に合わないかもしれない。
 
岩がゴロゴロ転がる急下降は、昼間の明るい時でも厄介である。 それを真っ暗な夜空の下、カンテラ一つで下ることは“厄介”を通り越して“恐怖”ですらあるのだ。 無事下りきってホッとしたなら、顔といわず体といわず汗が噴き出る汗に気づく事だろう。
 

神秘の山・毛勝山も
ほのかに染まってきた

汗を拭いてひと息着いたなら、立山や《室堂》の方向を眺めてみよう。 うっすらと開け始めた空の下、縞模様の残雪を載せた立山や薬師岳、そして未だ“安眠の世界”から抜け出せない“観光基地”・《室堂》の灯が得もいえぬ情景をかもし出している。
 
奥大日岳への登り返しに入って崩壊地に架かるハシゴを昇る頃には、空も完全に白くなってカンテラの必要もなくなる事だろう。 しかし、明るくなればなる程に、御来光に間に合うか気が気でなくなるのだ。
最後の登りは岩ガレ場なので、焦って足など挫かぬように。
 

剱岳が日の出と共に輝き出す

岩ガレ場に雪田が乗るようになると、もう頂上は目の前だ。 稜線上に上がると、地の底から鋭い二等辺三角形を突き上げる剱岳が正面にド迫力をもって威圧してくる。 そして、剱岳の右側、一服剱の辺りから御来光が。 武骨に黒光りする剱と御来光・・、その迫力には只々呆然とするばかりである。
 

朝日をバックライトに
剱岳がそびえ立つ

ちなみにワテ自身の事であるが、幕営地点を3:45出発で、到着は4:45、御来光時刻は5:10頃であった。 このように、北アきっての剱岳展望台であるこの場所で“剱と御来光”を拝む事は、今回の行程以外では恐らく設定不可能なのである。
 

剱岳の肩より昇る日の出

食事付山荘に宿泊して山荘前で楽に御来光を眺めたとしても、これほどの感動はない。 
呆然と立ち尽くす事もないだろう。 シャッターを押す手が震える事も・・。
それは、苦労を回避したからに他ならない。 “感動”や“憧れ”は、困難を乗り越えた先にある。
これはワテの山での持論であるが、あながち間違ってはいないと思う。
 

槍ヶ岳と夜明けの空
 

朝の立山連峰

ワテ自身の事であるが、厳しい条件で撮った山岳写真には、一晩を明かしてでも語れるほどの思い入れがある。 そこに“撮影技術”云々といった野暮ったい事は必要ない。 あるのは、山での体験や思い出だけである。 
 

雪と岩峰と
 
“一枚の写真にどれだけの思い入れがあるか”、それがワテの写真の評価方法である。 “撮影技術”だけで思い入れの乏しい“頭でっかち”の写真には、ワテはその良さを見出す事ができない。 完璧な写真であったとしても、その写真を語る術が“撮影機材”や“撮影テクニック”だけだなんて、あまりにも寂しいではないか。
 

山での体験
それが一枚の写真に魂を注ぎ込む

さて、私自身でプロデュースした“私だけの”剱と御来光に感動したなら、今度は“私だけの”お花畑で山旅を満喫しよう。 豊富な雪渓とお花畑、雪渓から上がる水蒸気に朝の光が当たって“光のカーテン”を創造している。 神秘のベールで覆われた剱岳。 それは、“この時に、この場所に来るべく努力をした者”だけが望める絶景である。 そして、その情景を望む条件をクリアした者だけが味わえる最も贅沢な眺めなのである。 
 

“この時にこの場所に来るべく
努力をした者”だけが望める絶景
 
これこそ、我が編集する『日本百景』という文集の究極の目標なのである。 時を忘れて、花と雪と剱の眺めを思う存分味わおう。 魅せてくれるのは、剱岳だけではない。 立山に続く奥大日からの稜線、雪縞模様が鮮やかな立山三山、北アきっての端正な山姿を魅せる薬師岳、その奥には水晶岳や天衝く『槍』も望める。
 

槍・穂高など北アの盟主たち
 

ハクサンイチゲと
北アルプスの山なみ
 
花を撮るも良し、振り返って立山から続く“山のオーケストラ”を撮るも良しである。 
そうこうしていると、フイルムと時間が湯水の如く消費される事だろう。
 

            イワカガミ       ミヤマキンバイ      チングルマ

時が経って日も完全に高くなると観光登山客や山荘泊の登山客がやってきて、“我一人だけの楽園”も終わりを告げる。 後は往路を戻るのみだ。 『あの感動的な情景を満喫する、ひと味違った山旅を体験したんだ』という心の高鳴りを胸に街へ・・、下界へ帰ろう。

    ※ 詳細はメインサイトより『大日三山』をどうぞ。
 
 
 
 
 
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