2013-06-03 (Mon)✎
名峰次選の山々 第89回 『115 1967峰 その1』 北海道
日高山系(日高山脈襟裳国定公園) 1967m コース難度 ★★★ 体力度 ★★★★★
遥かなる・・そして憧れ止まぬ
日高国境稜線の山々
北日高国境稜線 きたひだかこっきょうりょうせん (日高山脈襟裳国定公園)
未開の山『日高』。 そこに一歩踏み入れると、誰もが虜になる不思議な力を持つ山域『日高』。
だが、この『日高』はアプローチ手段もなく、未開ゆえに満足な登山道もなく、そう易々とは受け入れてはくれない所でもあるのだ。 しかし、その困難なルートを突き破って『国境稜線』に立つと、“憧れ”を思い存分味わう事ができるのである。
氷河遺跡であるカール群、豊富な高山植物、未開の山域でのみ生きる事ができる小動物たち、自然を育む最高の水。 これらに囲まれて夢の一夜を明かし、空がスペクトルに輝く“生まれたての朝”を望む事は、山を志す者にとって“憧れ”を実感できる至福の瞬間なのである。 さあ、この“憧れ”を体感すべく、しっかりと山の準備をして『日高』の『国境稜線』へチャレンジしてみよう。
未開の山『日高』。 そこに一歩踏み入れると、誰もが虜になる不思議な力を持つ山域『日高』。
だが、この『日高』はアプローチ手段もなく、未開ゆえに満足な登山道もなく、そう易々とは受け入れてはくれない所でもあるのだ。 しかし、その困難なルートを突き破って『国境稜線』に立つと、“憧れ”を思い存分味わう事ができるのである。
氷河遺跡であるカール群、豊富な高山植物、未開の山域でのみ生きる事ができる小動物たち、自然を育む最高の水。 これらに囲まれて夢の一夜を明かし、空がスペクトルに輝く“生まれたての朝”を望む事は、山を志す者にとって“憧れ”を実感できる至福の瞬間なのである。 さあ、この“憧れ”を体感すべく、しっかりと山の準備をして『日高』の『国境稜線』へチャレンジしてみよう。
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 日高町市街より車(0:50)→千呂露川・北電ゲート(0:50)→北電・二岐沢取水ダム
(4:30)→北戸蔦別岳(1:20)→戸蔦別岳(0:50)→七ッ沼カール底
《2日目》 七ッ沼カール底(2:20)→北戸蔦別岳(2:20)→1967峰(2:20)→北戸蔦別岳
《3日目》 北戸蔦別岳(3:50)→北電・二岐沢取水ダム
《1日目》 日高町市街より車(0:50)→千呂露川・北電ゲート(0:50)→北電・二岐沢取水ダム
(4:30)→北戸蔦別岳(1:20)→戸蔦別岳(0:50)→七ッ沼カール底
《2日目》 七ッ沼カール底(2:20)→北戸蔦別岳(2:20)→1967峰(2:20)→北戸蔦別岳
《3日目》 北戸蔦別岳(3:50)→北電・二岐沢取水ダム
(0:50)→千呂露川・北電ゲートより車(0:50)→日高町市街
※ 前回『名峰次選 第88回 戸蔦別岳 その2』からの続き
《2日目》 国境稜線を伝って1967峰へ
今日の行程は、キツいといえばキツいかもしれない。 それは、この日の宿泊場所が、『国境稜線』上でのビバークとなるからである。 ビバークをするとなれば当然、一日に必要な水を持ち運ばねばならない。 その事を想定して進んでいこう。
北海道の夏山の朝はすごぶる早い。 夏至に近ければ、3時過ぎには日の出となっている。
もう、5時を過ぎると、“夜明け”というイメージは飛んでしまうかもしれない。 グズグスしていると、朝の景色も撮れぬままの出発ともなりかねない。 従って、5時には出発したいものである。
今日の行程は、キツいといえばキツいかもしれない。 それは、この日の宿泊場所が、『国境稜線』上でのビバークとなるからである。 ビバークをするとなれば当然、一日に必要な水を持ち運ばねばならない。 その事を想定して進んでいこう。
楽園・七ッ沼カールに抱かれて
もう、5時を過ぎると、“夜明け”というイメージは飛んでしまうかもしれない。 グズグスしていると、朝の景色も撮れぬままの出発ともなりかねない。 従って、5時には出発したいものである。
さて、先程の“お約束”通り1日分の水を汲んでから、カール底を出発しよう。 水をプラスしての装備一式で猛烈な急坂であるカール壁の登りを強いられると、確実に足にくるだろう。 朝っぱらから、かなりの体力を使う事になるので覚悟しておこう。
可憐に咲く
エゾノハクサンイチゲ
カール壁までの標高差100mを登りつめて上にでると、エゾノハクサンイチゲの群落と《七ッ沼カール》の湖沼群のおりなす朝景色が息を整えてくれる事だろう。 ひと息着いたなら、戸蔦別岳への250mのイッキ登りを始めよう。
カール壁より望む
七ッ沼カールと日高の山なみ
七ッ沼カールと日高の山なみ
振り返れば、登るごとに足下に広がる《七ッ沼カール》。 ここは、“カメラ片手に”と行きたい所だが、そういう余裕もないだろう。 とにかく、水を含めて20数㎏となったザックを担いで一歩づつ登りつめる苦しい1時間だ。 登りつめた戸蔦別岳からは、幌尻岳と《七ッ沼カール》が見渡せるが、朝方は逆光で少しくすんでいる。
この先も長いので、休憩も程々に先に進もう。 ここから北戸蔦別岳の頂上までは昨日に通ったルートの逆を行くだけなので、前回を参照頂きたい。 逆ルートを歩いた感想としては、北戸蔦別岳の登りは結構キツかった・・という事だろうか。
この先も長いので、休憩も程々に先に進もう。 ここから北戸蔦別岳の頂上までは昨日に通ったルートの逆を行くだけなので、前回を参照頂きたい。 逆ルートを歩いた感想としては、北戸蔦別岳の登りは結構キツかった・・という事だろうか。
絶景の展望地を今夜の窩とす
さて、北戸蔦別岳の頂上であるが、ワテはこの場所を本日のビバーク地としたのである。
それは、1967峰の稜線までにテントが張れるサイトは、確認しているものでは1967峰の頂上直下のみで、この先20数kgを担いでの『国境稜線』の未踏区間歩きを敬遠した為である。 ワテはこのようにしたが、テント設営場所は各自で決定頂きたい。
北戸蔦別岳にひっそりと咲いていた
ミヤマアズマギク
さて、テントを設営した後、中に荷物をデポって行動水とカメラなどの“ピストン行程”装備を準備したなら出発だ。 目指すは、十勝側(伏美岳ルート)より見たイメージとは全く逆の“骨っぽい”岩峰・1967峰だ。
北日高国境稜線上に
刻まれた一筋の道
この台形の山を端までつめると、ハイマツの中を急下降するようになる。 本当に台形の山なのだ。
ハイマツの根をつかみながら下っていくと《十勝》側に移り、《戸蔦別川》の源流谷へ向かって山肌を巻きながら下っていく。 この山肌を巻くようにつけられた道だが、これがまた細く、しかも潅木のブッシュ帯で歩き辛い事おびただしい。 もちろん、ここで踏み外すと、《戸蔦別川》の源流谷へ向かっての“ダイビング”となるのは必定である。
山肌の“ヘツリ”を潅木の枝伝いにトラバースしていくと、1967峰と北戸蔦別岳の間の最低鞍部に下り着く。 ここでひとまず難所は乗りきる事になるが、本日はピストン行程なので、帰りにもこの難所を通らねばならないのは言うまでもない。
最低鞍部よりは、ハイマツの中を急登していく。 だが、これは距離が短く、途中からはお花畑の緩やかな道となる。 お花畑の中を伝っていくと、展望の利く広い丘の上に出る。 ひと息着くとしたなら、この辺りがいいだろう。 ここはビバークサイトとしてはいいみたいであるが、ここも日高山系の宿命通り“水”はない。
この丘よりは、1967峰の前衛峰となる1856m標高点(容姿は山のピークそのものなのだが、山としては認められていないみたいである)までの急登となる。 岩と砂利交じりの斜面を200m近く登りつめると、ようやく1967峰が眼前にそびえるようになる。 この1856m標高点よりは、1967峰へ続くか細い岩稜を伝うようになる。
1967峰への取付手前は特にか細くなっているので、踏み外さぬよう注意が必要だ。 1967峰へ取り付くと、本州の山では確実に鎖が設置されるであろう岩峰の登攀となる。 登りは大した事はないのだが、帰りはこれを下る事となるので少々厄介だ。 岩をホールドしながらこれを登りつめると、以前にビバークを敢行したサイドが見えてくる。 これが見えれば、頂上まであと30mだ。
1967m無名峰の頂上にて
1967峰の頂上には頂を示す板キレがあるだけだが、展望は折り紙付だ。 今まで歩いてきた国境稜線の山なみの先に憧れのカムエクや1839峰が姿を魅せている。 また、戸蔦別のAカールやBカールなどのカール地形の眺めは、日高の山に来た実感を強く感じる事ができるだろう。
カムエク、1839峰・・と
憧れの峰が遠望できる
戸蔦別の双子のカールと幌尻岳
いつまでも望んでいたい思いであるが、空身ピストン行程ゆえに頃合を見て引き返そう。 帰りも往路を行くのだが、対峙する戸蔦別岳まで2時間半かかるので、タイムスケジュールは常に考えておこう。
また帰りも、『日高』では“一級国道”とはいえ、3ヶ所の難所越えがあるので気は抜けない。
北戸蔦別岳に戻る頃には、もう午後2~3時になっている事だろう。 今日はキツい行程であったので、またとない山頂での夕暮れシーンを見届けたなら、早めに休む事にしよう。
北戸蔦別岳での夢の情景
間もなく夕日の
おりなすショーが始まる
1日の最後に夕日は
山を美しく染め上げる
夕日に染まるイワウメ
強い斜光線の悪戯
一日の終わりに
魅せてくれるもの
憧れの峰々も
雲海と共に染まって
1日の最後に放つ崇高な輝き
1967峰も美しく染まる
黄色の花が
夕日を浴びて“宝石”となる
朝の眺めも捨て難い
《3日目》 二岐沢出合へ下山
北の国の朝は早い。 日の出までに目覚めるのはちょっと困難だ。 この時は3:15に目覚めたのだが、もう既に日の出は終わっていた。 昨日、心ゆくまで夕日を望んだので、“良し”としよう。
さて、4時に床を出て、5時には出発しよう。 下山といえども、“早出早着”は山のセオリーである。
なお、朝の準備では、“持ち水”を飲み干さぬようにしたい。 飲み干してしまうと、《トッタの泉》まで水の補給がきかぬまま歩くハメとなるのである。
余談ではあるが、ワテは《七ッ沼カール》より3.5㍑の水を持ち運び、“行動水”として前日に1.5㍑消費して、残りの内の1.3㍑を夕・朝の2食に充てた。 そして、残りの0.7㍑を“下山の行動水”とするのである。 この割り振りは各自で決める事であるが、この決定には何といっても“経験”がモノをいう。
自分の体力、1日の幕営生活に必要な水の量、自身の1日の行程に対する必要な“行動水”の量、次に確実に補給できる水場までの距離、水の補給が適うまでの時間、これら全てを把握して緻密に計算せねばならないからだ。 それと共に、水を1㍑担ぐ・・という事は1kg荷重が重むという事も。
この事も絡めて、目的地まで担いで歩ける自分の体力の限界も把握せねばならないのだ。 これらの事から、“『日高』は、ただキツイだけの山ではない”という事を汲み取っていただければ幸いである。
北の国の朝は早い。 日の出までに目覚めるのはちょっと困難だ。 この時は3:15に目覚めたのだが、もう既に日の出は終わっていた。 昨日、心ゆくまで夕日を望んだので、“良し”としよう。
さて、4時に床を出て、5時には出発しよう。 下山といえども、“早出早着”は山のセオリーである。
なお、朝の準備では、“持ち水”を飲み干さぬようにしたい。 飲み干してしまうと、《トッタの泉》まで水の補給がきかぬまま歩くハメとなるのである。
余談ではあるが、ワテは《七ッ沼カール》より3.5㍑の水を持ち運び、“行動水”として前日に1.5㍑消費して、残りの内の1.3㍑を夕・朝の2食に充てた。 そして、残りの0.7㍑を“下山の行動水”とするのである。 この割り振りは各自で決める事であるが、この決定には何といっても“経験”がモノをいう。
自分の体力、1日の幕営生活に必要な水の量、自身の1日の行程に対する必要な“行動水”の量、次に確実に補給できる水場までの距離、水の補給が適うまでの時間、これら全てを把握して緻密に計算せねばならないからだ。 それと共に、水を1㍑担ぐ・・という事は1kg荷重が重むという事も。
この事も絡めて、目的地まで担いで歩ける自分の体力の限界も把握せねばならないのだ。 これらの事から、“『日高』は、ただキツイだけの山ではない”という事を汲み取っていただければ幸いである。
しかし、困難を敬遠しているだけでは何も始まらない。 困難を乗り越えた先には、山は必ず答えを出してくれるのだから。
北日高国境稜線よ
ひとまずサラバ
下山ルートは《1日目》のルートを下っていくので、特に記述する事はないが、道中はかなり急なので足を挫かぬように注意しよう。 5時に北戸蔦別岳を出発したなら、ヌカビラ岳の肩で山の朝景がギリギリ狙えよう(6時を過ぎると、もう日は高くなっている)。 また、最後は沢の徒渉もあるので、最後まで気は抜けない。 下山を終えて、ゲートを越えて、林道をマイカーで戻り、《日高》の街でひと風呂浴びる時に初めてホッとひと息着く事にしよう。
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No title * by 風来梨
makirinさん、こんにちは。
お返事が遅れましてスミマセン。 土日以外に返信が難しい環境ですので、御容赦ください。
訪れた私が見ても『素晴らしい』情景でした。
この場所に行けた幸運に感謝です。
お返事が遅れましてスミマセン。 土日以外に返信が難しい環境ですので、御容赦ください。
訪れた私が見ても『素晴らしい』情景でした。
この場所に行けた幸運に感謝です。
素晴らしいの一言!!!
私には一生撮れないですからwwwwwwwww
ここでしか見れない景色がいいんでしょうね~~。