2013-05-12 (Sun)✎
名峰百選の山々 第87回 『73 鳳凰山』 山梨県
鳳凰山系(南アルプス国立公園) 観音岳 2840m、薬師岳 2780m、地蔵岳 2764m
コース難度 ★★ 体力度 ★★
高嶺を越えると
鳳凰山のシンボルの
オベリスクが近づいてくる
今回は、甲斐駒ヶ岳と鳳凰三山をつなぐ早川尾根上にある名峰を訪ねて歩く山旅の第三弾である。
今回縦走する早川尾根であるが、甲斐駒ヶ岳や北岳・仙丈ヶ岳といった名を馳せた山々がある為か、登山者の往来も比較的少なく静かな山旅が楽しめる縦走路である。 それでは、北沢峠から鳳凰三山を経て夜叉神峠までの山旅の締めとなる第三弾を書き記そう。
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR甲府駅よりバス(2:05)→広河原よりバス(0:25)→北沢峠
《2日目》 北沢峠(2:00)→栗沢山(1:25)→アサヨ峰(2:20)→早川尾根小屋
《3日目》 早川尾根小屋(2:30)→高嶺(0:45)→赤抜沢ノ頭・地蔵岳まで往復1時間
《2日目》 北沢峠(2:00)→栗沢山(1:25)→アサヨ峰(2:20)→早川尾根小屋
《3日目》 早川尾根小屋(2:30)→高嶺(0:45)→赤抜沢ノ頭・地蔵岳まで往復1時間
(1:15)→観音岳(0:40)→薬師岳(1:15)→南御室小屋
《4日目》 南御室小屋(0:40)→苺平(1:15)→杖立峠(1:20)→夜叉神峠
《4日目》 南御室小屋(0:40)→苺平(1:15)→杖立峠(1:20)→夜叉神峠
(0:45)→夜叉神峠よりバス(1:15)→JR甲府駅
※ 前回『名峰次選 第87回 高嶺』からの続きです。
《3日目》 高嶺頂上より
高嶺からは、痩せた稜線を左に周り気味に伝っていく。 取り立てて危険な所はないが、ガラ岩やザラザラの砂礫帯を通過するのでスリップに注意しよう。 素晴らしい眺めに熱中し、くれぐれも足元の注意が疎かにならぬように。
白砂の稜線と甲斐駒ヶ岳
白ザレの鞍部からは、名前の通り白砂の滑りやすいザラ場を登り返すと、常に左に見えていた“オベリスク”の大岩が真正面にどっかりと立ちはばかるようになる。 白砂が固まってできたような岩峰を巻いていくと、いよいよ鳳凰三山の取付点・《赤抜沢ノ頭》の頂上だ。
真に岩仏
オベリスク全景
まずは、“オベリスク”を擁する地蔵岳を制覇しよう。 《赤抜沢ノ頭》より、《賽ノ河原》と呼ばれる白砂の堆積丘に向かって深く掘れた道を下っていく。 15分程下ると《賽ノ河原》に出て、山の“砂浜”の上を緩やかに登り返していく。 傾斜は緩いのだが、白砂に足を取られて足取りはかなり重い。
やがて、“オベリスク”の基部にある地蔵岳 2764メートル 頂上の祠にたどり着く。
ここから“オベリスク”岩を少し登って、巨大な岩の周りを一周してみよう。 途中に岩を祀る地蔵や祠・結界があり、山岳信仰の深い山である事が解かるであろう。 こうなれば岩の上にも登りたい所だが、これを登るのはザイルと補助者がないと無理のようである。 無理に登っても降りれなくなるだけで、岩の上で震えて救助を待つ・・といった“恥”をさらすだけである。
さて、“オベリスク”をひと周りしたなら往路を《赤抜沢ノ頭》まで戻り、鳳凰三山縦走を再開しよう。
次に目指すは、鳳凰三山の最高峰・観音岳だ。 相変わらず白ザレのザラザラの痩せ尾根を伝っていくと急下降となり、敷きつめられた白砂の下地に露岩が突き出た庭園風景が広がる中を下っていく。
下りきると鞍部に出て、《鳳凰小屋》への短絡道を見送ってから、観音岳に向かって潅木帯を急登していく。
さて、“オベリスク”をひと周りしたなら往路を《赤抜沢ノ頭》まで戻り、鳳凰三山縦走を再開しよう。
次に目指すは、鳳凰三山の最高峰・観音岳だ。 相変わらず白ザレのザラザラの痩せ尾根を伝っていくと急下降となり、敷きつめられた白砂の下地に露岩が突き出た庭園風景が広がる中を下っていく。
下りきると鞍部に出て、《鳳凰小屋》への短絡道を見送ってから、観音岳に向かって潅木帯を急登していく。
鳳凰三山最高峰
観音岳はもうすぐだ
下地は一変して黒土の粘り気のある道となって、行く手を遮る潅木の枝を跳ね除けながらの急登となる。 僅か150m程の登りだが、潅木の枝がザックに引っ掛かり難儀な事この上ない。 この潅木帯を抜けて、ガラ場を左から周り込むと観音岳 2840メートル の頂上だ。 観音岳の頂上に積み上げられている大岩からは、北岳が大きく迫り立っている。
広角を使っても
北岳が目一杯に
あまりにも大きくて全てが見通せない分、眺めは高嶺に一歩譲るか・・という感じである。
観音岳からは、右側が切れ落ちた痩せ尾根を右に緩やかに周るように伝っていくと、ハイマツと砂礫のおりなす庭園風景の丘の上に出てくる。 この丘の右端につけられている縦走路から、丘の左端にある薬師岳 2780メートル の頂上の大岩へ向かっていこう。 この大岩の上は涼風がそよぎ、三山縦走の締めくくり、そして山旅を振り返るには最適だろう。
後は、縦走路を少し下った所にある《薬師岳小屋》に泊るのもいいし、清水を豊富に流す《南御室》のキャンプ場まで頑張るのもいい。 ここではキャンプ山行を基本スタイルとしているので、あとひと踏ん張りして《南御室》まで進もう。 《南御室》へは、白砂の丘に突き出した岩が重なったような砂払岳の岩小屋群を抜け、樹林帯を急降下していく。
途中、平坦な道を経てから、左に折れて足がガクガクする程の急降下をこなすと、《南御室小屋》の左手に飛び出る。 この小屋の豊富な水場は、小屋の右端を少し行った所にある。 噂通り、豊富な清水を音を立てて流している最高の水場だ。 また、小屋前のキャンプサイトも広く、展望が今一つなのを除けば絶好の幕営地であろう。 今日は、ここでストップとしよう。
後は、縦走路を少し下った所にある《薬師岳小屋》に泊るのもいいし、清水を豊富に流す《南御室》のキャンプ場まで頑張るのもいい。 ここではキャンプ山行を基本スタイルとしているので、あとひと踏ん張りして《南御室》まで進もう。 《南御室》へは、白砂の丘に突き出した岩が重なったような砂払岳の岩小屋群を抜け、樹林帯を急降下していく。
途中、平坦な道を経てから、左に折れて足がガクガクする程の急降下をこなすと、《南御室小屋》の左手に飛び出る。 この小屋の豊富な水場は、小屋の右端を少し行った所にある。 噂通り、豊富な清水を音を立てて流している最高の水場だ。 また、小屋前のキャンプサイトも広く、展望が今一つなのを除けば絶好の幕営地であろう。 今日は、ここでストップとしよう。
うっすらとシルエットを
魅せる富士山
《4日目》 杖立峠・夜叉神峠を経て下山
今日の内に帰宅できるかどうかは、下山口となる《夜叉神登山口》バス停でのバスの発車時間、ひいては《南御室》の出発時間に大きく関ってくるだろう。 従って、山のセオリー通り早立ちを心掛けよう。
《南御室》からは、石畳が敷きつめられた並木道を緩やかに登っていく。 出発してすぐに甘利山への横断ルートが分かれるが、かなり荒れているとの事なので立ち入らぬ方が無難だろう。 やがて、路傍に多く植生するシロバナヘビイチゴが地名の由来となった《苺平》の小空地に出る。 ここは樹林に囲まれて展望はないが、すぐ西方にある辻山のピークに出ると白峰三山が稜線を重ねて美しい山屏風を描いている。
今日の内に帰宅できるかどうかは、下山口となる《夜叉神登山口》バス停でのバスの発車時間、ひいては《南御室》の出発時間に大きく関ってくるだろう。 従って、山のセオリー通り早立ちを心掛けよう。
《南御室》からは、石畳が敷きつめられた並木道を緩やかに登っていく。 出発してすぐに甘利山への横断ルートが分かれるが、かなり荒れているとの事なので立ち入らぬ方が無難だろう。 やがて、路傍に多く植生するシロバナヘビイチゴが地名の由来となった《苺平》の小空地に出る。 ここは樹林に囲まれて展望はないが、すぐ西方にある辻山のピークに出ると白峰三山が稜線を重ねて美しい山屏風を描いている。
白峰三山を望みながら
夜叉神峠へ
《苺平》からは、砂利で踏み固められた道を緩やかに下っていく。 右手に白峰三山を見ながらの楽しい下山路である。 ただ難点を一ついえば、道がダラダラと長ったるい事であろうか。 やがて、櫓の立つ《杖立峠》に出る。
この峠を過ぎると、道は広く整備されたハイキング道となってくる。 登りの登山者と多くすれ違うようになると、《夜叉神峠》は近い。 もはや、高山帯を外れてヤナギランやヨツバヒヨドリなどの高原の花咲く《夜叉神峠》は山荘兼売店があり、ジュースやお菓子・御土産品なども売っていて、更に公衆電話もあるのでかなり下界に近づいた感がある。 峠の広場からは白峰三山が望まれるが、やはり稜線上の眺めに一歩譲る感は否めない。
後はハイキング道を45分程下ると、車のボンネットから反射した光が見えてきて、程なく《夜叉神登山口》のバス停前に飛び出る。 後はシャトルバスで登山者駐車場に戻るか、そのまま甲府市街へ戻るといい。 もし、芦安の登山者駐車場に車を置いての登山なら、芦安温泉でひと風呂浴びる事ができるだろう。 バスならば、帰宅可能時間を睨みながら甲府近郊の温泉につかるといいだろう。
- 関連記事
スポンサーサイト