2013-04-14 (Sun)✎
『日本百景』 春 第61回 春の常念岳 〔長野県〕
雪山の向こうに常念岳が
燕・常念 つばくろ・じょうねん (中部山岳国立公園)
槍・穂高の展望台として、岩のオブジェを抱く魅力的な峰として人気の高いのが、この燕・常念山系である。 温泉郷である中房の登山口から“北ア三大急登”といわれる合戦尾根を伝い、“大自然の美術館”・燕岳 2763メートル の岩のオブジェに魅せられる山旅。 そして、常念岳 2857メートル を目指して、槍・穂高の素晴らしい眺めを望みながら歩く稜線遊歩の楽しい山旅。 この2つの贅沢な山旅が同時に味わえるのだ。
槍・穂高の展望台として、岩のオブジェを抱く魅力的な峰として人気の高いのが、この燕・常念山系である。 温泉郷である中房の登山口から“北ア三大急登”といわれる合戦尾根を伝い、“大自然の美術館”・燕岳 2763メートル の岩のオブジェに魅せられる山旅。 そして、常念岳 2857メートル を目指して、槍・穂高の素晴らしい眺めを望みながら歩く稜線遊歩の楽しい山旅。 この2つの贅沢な山旅が同時に味わえるのだ。
行程表 〔積雪期〕 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 中房温泉(3:00)→合戦小屋(1:00)→燕山荘・燕岳へは所要上り40分・下り30分
《2日目》 燕山荘(2:00)→切通岩(0:40)→大天井岳(2:45)→常念乗越
《2日目》 燕山荘(2:00)→切通岩(0:40)→大天井岳(2:45)→常念乗越
常念乗越より常念岳へは所要上り1時間10分・下り55分
《3日目》 常念乗越より常念岳往復・所要上り1時間10分・下り55分(3:30)→ヒエ平登山口
《3日目》 常念乗越より常念岳往復・所要上り1時間10分・下り55分(3:30)→ヒエ平登山口
※ 《1日目》行程は、前回 『第60回 春の燕岳』を御覧下さい。
《2日目》 稜線を伝って大天井岳・常念岳へ
朝、運が良ければ、槍・穂高連峰から昇る御来光が拝めるであろう。 また、朝日に染まる燕岳・岩のオブジェも堪能できるだろう。 これらを眺めたなら、出発しよう。 山荘を出発してからしばらくは、燕岳の続きのような風化花崗岩が散らばる稜線上をいく。 右手に槍・穂高連峰、左前方に大天井がそびえ、振り返ると燕岳が残雪と風化花崗岩のまだら模様で大きくそびえ立っている。 これらを見ながら歩いていくと、やがて巨大な露岩帯に差しかかる。
この露岩帯は特徴ある岩が多く、いろいろな名前がつけられている。 中でも有名なのが、ガマガエルのような《蛙岩 げいろいわ》だ。 通常の縦走路は《蛙岩》の左側をすり抜けていくのだが、稜線に雪が載る〔積雪期〕はこのルートが雪で吹きだまるので、《蛙岩》の間を直接くぐり抜けてから岩の上に這い上がってこの上を伝う“冬道”を使うことになる。 しかし、この“冬道”は《蛙岩》の空洞の中をくぐり抜けるなどかなり狭く、大きな荷物だとつかえて岩の上に這い上がれないかもしれない。
これを越えていくと、《大下り》に差しかかる。 標高差100m位の下降だが《大下り》という程の厳しさはなく、いささか“看板倒れ”の感がある。 雪も風で飛ばされたのか余りなく、下地の花崗砂岩が見え隠れする。 見た目には何ともなさそうに見えるが、やはり〔積雪期〕の“下り”という事で注意が必要だ。
特にこのような吹きっさらしの所は、早朝時はアイスバーンとなる可能性が高い。
《大下り》を最低部の“窓”まで下ると、稜線の左側を巻くように登り返す。 上を見上げると、《為右衛門吊岩》と呼ばれる岩が向こう側の下降点の上に乗っかっている。 これを登りきって岩の左側をすり抜けると、痩せ尾根で両側は切り立ってはいるが起伏のない平坦な歩きよい道をいくようになる。
朝、運が良ければ、槍・穂高連峰から昇る御来光が拝めるであろう。 また、朝日に染まる燕岳・岩のオブジェも堪能できるだろう。 これらを眺めたなら、出発しよう。 山荘を出発してからしばらくは、燕岳の続きのような風化花崗岩が散らばる稜線上をいく。 右手に槍・穂高連峰、左前方に大天井がそびえ、振り返ると燕岳が残雪と風化花崗岩のまだら模様で大きくそびえ立っている。 これらを見ながら歩いていくと、やがて巨大な露岩帯に差しかかる。
この露岩帯は特徴ある岩が多く、いろいろな名前がつけられている。 中でも有名なのが、ガマガエルのような《蛙岩 げいろいわ》だ。 通常の縦走路は《蛙岩》の左側をすり抜けていくのだが、稜線に雪が載る〔積雪期〕はこのルートが雪で吹きだまるので、《蛙岩》の間を直接くぐり抜けてから岩の上に這い上がってこの上を伝う“冬道”を使うことになる。 しかし、この“冬道”は《蛙岩》の空洞の中をくぐり抜けるなどかなり狭く、大きな荷物だとつかえて岩の上に這い上がれないかもしれない。
これを越えていくと、《大下り》に差しかかる。 標高差100m位の下降だが《大下り》という程の厳しさはなく、いささか“看板倒れ”の感がある。 雪も風で飛ばされたのか余りなく、下地の花崗砂岩が見え隠れする。 見た目には何ともなさそうに見えるが、やはり〔積雪期〕の“下り”という事で注意が必要だ。
特にこのような吹きっさらしの所は、早朝時はアイスバーンとなる可能性が高い。
《大下り》を最低部の“窓”まで下ると、稜線の左側を巻くように登り返す。 上を見上げると、《為右衛門吊岩》と呼ばれる岩が向こう側の下降点の上に乗っかっている。 これを登りきって岩の左側をすり抜けると、痩せ尾根で両側は切り立ってはいるが起伏のない平坦な歩きよい道をいくようになる。
やがて、眼前に大天井岳が大きく迫り寄ってくる。
節々に雪を載せる大天井岳
これより、この大天井岳に登っていくのだが、この山の取付の前に一度《切通岩》の鎖場を下降しなければならない。 鎖場といっても高さ3m位の《切通岩》を下降するだけなのだが、下に残雪のある時は注意が必要だ。 これを下って鞍部に出ると、いよいよ大きくそびえ立つ大天井岳への直登が始まる。
夏ならば頂上を通らずに左側を巻いていくコースもあるが、〔積雪期〕はこれが雪に覆われて使えず、嫌でも頂上を越える直登コースを行く事になる。
これから登っていく大天井岳の北面はガレにガレた砕石帯で、雪ならぬ砂利石で滑る嫌な登りだ。
登っていくと途中に丸太の棒が一本立てかけており、ここが中間地点のようである。
ここから大岩が積み重なりだして、これらを這い上がるようにつめていくと、小さな祠の立つ大天井岳 2922メートル の頂上だ。
大天井岳も
『裏銀座』の絶好の展望台だ
この山系の最高峰であるこの頂からは、大きくそびえる槍の穂先が印象的だ。 この大天井岳は典型的な非対称の山で、山荘の建つ南斜面は牛の背中のようにノッペリとしている。 そして、その稜線上には雪が満々と積もっている。 ラッセルをしても追いつけない程である。
大天井岳の肩に建つ《大天荘》を見送って、緩やかな稜線を下り気味に歩いていく。
大天井岳の肩に建つ《大天荘》を見送って、緩やかな稜線を下り気味に歩いていく。
稜線上にコブのように突き出る中天井岳・東添乗岳・横通岳は、全て頂上は通らずに山腹の信州側を巻いていくので、ほぼ起伏のない平坦な道となっている。
あまりにも起伏がないので、常念岳が一層そそり立ったピラミット型に見えてしまう。
あまりにも起伏がないので、常念岳が一層そそり立ったピラミット型に見えてしまう。
ハイマツと積雪の稜線を山頂を避けながら進んでいくと、東天井岳の山腹で大きく進路を右に変えて下のガラガラの沢へ下っていく。
槍の穂先を眺めながらいこう
ここから先は、山肌に隠されて雪は消えている。 しかし、信州側が大きく切れ込んだ崖っぷちの下りなので、高度感はかなりある。 これを越えると再び穂高側に移って、ハイマツと積雪に埋もれた道を歩いていく。 やがて下方に《常念乗越》てと《常念山荘》が見え出し、それと共に《常念乗越》に向かっての急下降となる。 さすがに、この下降はアイゼンが必要だ。
これを下っていくと、豪勢な造りの《常念山荘》が建っている《常念乗越》に着く。
山荘で宿泊手続を済ましたなら、荷物を置いての身軽ななりで常念岳へ登ってみよう。
道はガレキの緩やかな登りの後、急激に傾斜を増してイッキに登ってしまう感じだ。
この間は岩に根雪がこびり着いて滑りやすいので、アイゼンは必要だろう。
常念岳にて
これを登りつめると、方角指示盤の裏側から常念岳 2857メートル の頂上に出る。
さすがは“槍・穂高の展望台”との呼称通り、素晴らしい展望が広がる。 中でも《大キレット》の切れ込み゜は、“そそる”眺めである。 そして、蝶ヶ岳への稜線は、深く切れ込んだ山なみに残雪を筋模様に残して美しい。
こちらから登ると結構辛い
蝶ヶ岳に続く山なみ
頂上の方向表示盤で山名を確認しながら、山頂での楽しいひとときを過ごそう。
槍・穂高の展望台の眺めを十分味わったなら、往路を山荘まで戻る。
下りは根雪の着いたガラ場の下りとなるので、アイゼンを引っ掛けたりせぬように注意しよう。
槍・穂高の展望台の眺めを十分味わったなら、往路を山荘まで戻る。
下りは根雪の着いたガラ場の下りとなるので、アイゼンを引っ掛けたりせぬように注意しよう。
大キレットに吹きだまる豪雪
《3日目》 一ノ沢谷に沿って下山
山荘泊なので“夜明け前”とはいかないが、朝天気が良ければ常念岳に再び登って槍・穂高の朝の風景を楽しんでくるといい。 常念山系の素晴らしい景色を胸に下山しよう。 山荘で下山口でのタクシーの迎車予約ができるので、下山者2~3人を見つけて一緒に相乗りの予約をしておくといいだろう。
山荘泊なので“夜明け前”とはいかないが、朝天気が良ければ常念岳に再び登って槍・穂高の朝の風景を楽しんでくるといい。 常念山系の素晴らしい景色を胸に下山しよう。 山荘で下山口でのタクシーの迎車予約ができるので、下山者2~3人を見つけて一緒に相乗りの予約をしておくといいだろう。
下山コースは、最短ルートの《一の沢谷》コースだ。 最短コースゆえに、下降点からの傾斜はかなり急である。
次はオマエの穂先に立つぞ
との誓いを立てよう
まず、樹林帯の中の急下降から始まる。 ここまではたとえ滑っても樹林をつかむことができるので、雪があってもそんなに心配する事はないが、この樹林帯を抜け出した所からが問題となる。
通称・“胸突き八丁”の急下降だ。
常念よさらば
一の沢を振り返る
上部稜線付近の樹林帯の縁から、“胸突き八丁”を埋め尽くす大きな雪渓の中央へトラバースしていく。
これは、アイゼンがなければまず通過できないであろう。 それも四本爪の簡易アイゼンでは心許ない。 前爪のあるキックステップに対応できるアイゼンを用意したいものである。
このトラバースを過ぎると、最大傾斜40°近くでイッキに300m下っていく。 夏ならばジグザグに切って登っていくのだろうが、今は雪が道を全て埋め尽くして直下降しかトレースがない。 従って、これを“滑り落ちず”に慎重に下っていくしかないのだ。 もちろん、下っている間は腰を下ろしての休憩は御法度だ。 そんな事をすれば、見る見るうちに滑り落ちてしまうだろう。
この“胸突き八丁”さえ越えてしまえば、後は常念岳を振り返りながら雪道を下っていくだけだ。
やがて、雪が消えて沢地形に出ると河原を伝って進み、《王滝》という沢滝付近から左の土手に上がっていく。 後は林道並みに整備された道を行くと、林道終点に出る。 林道終点の転車場では、たぶん山荘で予約したタクシーが待っていることだろう。 タクシーの同乗者の同意が得られたなら、途中の《穂高温泉郷》でひと風呂浴びていきたい所だ。
- 関連記事
スポンサーサイト
No title * by 風来梨
mino710710_0203さん、こんにちは。
麓の里は春が最もいいですね。
常念や大天井を望みながらゆく安曇野の地は、この時期は残雪期の山なみやこの時期のわさび田などを見ながら歩く事ができますね。
特に山なみは北上するほどに、後立山の盟主の鹿島槍や五竜、白馬などがそびえ壮観です。
山上でも、稜線を伝って糸魚川の親不知まで歩くルートがありますが、キツ過ぎて私はまだ歩いた事はないですね。
麓の里は春が最もいいですね。
常念や大天井を望みながらゆく安曇野の地は、この時期は残雪期の山なみやこの時期のわさび田などを見ながら歩く事ができますね。
特に山なみは北上するほどに、後立山の盟主の鹿島槍や五竜、白馬などがそびえ壮観です。
山上でも、稜線を伝って糸魚川の親不知まで歩くルートがありますが、キツ過ぎて私はまだ歩いた事はないですね。
感銘を受けます。私も歩いて日本横断のとき常念岳、大天井岳
見ながら糸魚川を目指しました。