風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第60回  春の燕岳

『日本百景』 春  第60回  春の燕岳  〔長野県〕
 

雪色眩しい燕岳稜線
 
  燕・常念 つばくろ・じょうねん (中部山岳国立公園)
槍・穂高の展望台として、岩のオブジェを抱く魅力的な峰として人気の高いのが、この燕・常念山系である。 温泉郷である中房の登山口から“北ア三大急登”といわれる合戦尾根を伝い、“大自然の美術館”・燕岳 2763メートル の岩のオブジェに魅せられる山旅。 そして、常念岳 2857メートル を目指して、槍・穂高の素晴らしい眺めを望みながら歩く稜線遊歩の楽しい山旅。 この2つの贅沢な山旅が同時に味わえるのだ。
 

 

燕・常念 周遊ルート行程図
 
   行程表 〔積雪期〕              駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 中房温泉(3:00)→合戦小屋
     (1:00)→燕山荘・燕岳へは所要上り40分・下り30分
《2日目》 燕山荘(2:00)→切通岩(0:40)→大天井岳(2:45)→常念乗越
       常念乗越より常念岳へは所要上り1時間10分・下り55分
《3日目》 常念乗越より常念岳往復・所要上り1時間10分・下り55分(3:30)→ヒエ平登山口
 

雪解けはいつの日か
燕岳夕景
 
 《1日目》 合戦尾根を伝って燕岳へ
北アルプスの山々は、やはり人気がある。 シーズン中や5月の連休などは、早朝5時前にJR穂高駅に着く急行【アルプス】号(今や臨時運行となってしまったが)に連絡するバスが運行される。
これによって行程日数が1日短縮できるので、大変貴重な事である。 しかし、列車の中で眠れなかった時は、それなりの覚悟が必要だが。 それでは、〔積雪期〕に早朝5時発のバスを利用する形で、『合戦尾根』を使って燕・常念の縦走をしてみよう。
 

これより岩のオブジェに
魅せられよう
 
バスの終点である《中房温泉》で下車して、《温泉山荘》の売店横をすり抜けると『合戦尾根』コースの登山口だ。 登山口に入ってすぐにジグザグの登りとなる。 これをひと登りで尾根上に出て、少し伝うと《第一ベンチ》と呼ばれる休憩所に着く。 ベンチの後ろを10m下ると冷たい清水が湧いていて、この湧水がこのコース唯一の水場となっている。 

ここからは、傾斜が増して長い急登となる。 長くキツい登りに汗が出て、体が火照ってくるだろう。 
そろそろ、厚着のジャンバーがうっとおしくなってくるはずだ。 この急登の途中にある《第二ベンチ》の休憩所で、厚い上着を一枚脱ごう。 だが、脱いだ上着は、ザックの上にいつでも取り出せるようにしておこう。 

これから進んでいく『合戦尾根』の上部はまだまだ白銀の世界で、少しでも休憩すると強く冷たい風に体温を奪われるからである。 なおも続く急登で《第三ベンチ》の休憩所を越えると、やがて樹林帯より抜け出して《合戦小屋》前の広い丘の上に出る。 そろそろ、この辺りから銀世界が広がってくるはずだ。
この広い丘の上に立つ《合戦小屋》は売店のみの休憩所で、荷揚げ専用のロープウェイでジュースやカップメンなどを取り寄せている。 

ここから上は潅木帯に変わり、雪が枝に模様を創造し始める。 もちろん、足元も踏みしめても抜けない程の積雪となってくる。 辺りは明るく展望は利くが、それは裏返すと常に風に吹きっさらされるという事でもある。
 
《合戦小屋》からのひと登りで、最初のピーク・《合戦沢ノ頭》に出る。 このピークからの展望はなかなかのものである。 真っすぐに続く『合戦尾根』の頂点に建つ《燕山荘》、そして白銀と岩のまだら模様の燕岳、その背後にうっすらと姿を魅せる餓鬼岳と、尾根上にに一直線に並んで見渡せる。 

ここからは、強風に煽られるのを注意しながら小1時間歩いていくと《燕山荘》に着く。
今回は〔積雪期〕という事で、無理をせず山荘泊山行の形式を取ろう。 荷物を山荘に預けて、“山の美術館”・岩のオブジェを魅せる燕岳を往復してこよう。 雪と風が長い年月をかけて花崗岩を彫刻した岩のオブジェは、1日かけてゆっくり周っても飽きる事はない。 
 
“芸術”岩のオブジェ

御存知! “イルカ”岩
 

命名“ダイヤモンドピック”(宝石の針)
はどうだろう

“イルカ岩”や“ダイヤモンドピック”・“水晶の剣”など、色々と名前を連想してみるといい。 
ゆっくりと岩のオブジェを観賞しながらでも、小1時間もすれば燕岳 2763メートル の頂上に着く。 
頂上からは、槍・穂高の山なみが残雪眩しくそびえ立っている。 帰りも、岩のオブジェを観賞しながらいこう。
 

燕岳は岩のオブジェの
大キャンパスだ

今日宿泊する《燕山荘》は、“高山のコテージ”と呼ばれる程おしゃれな造りで、山荘主のホルン演奏や西洋風の豪華な夕食などサービス満点だ。 ただ、”山の民”が求める素朴さは少なくなってきている。
何もないランプ灯りの土間小屋が抱く素朴さと、このような贅沢さとは全く相反する。 
どちらを望むかは人それぞれだろう。
 

昨日の夜雪が降ったか
真っ白の衣をまとう槍の穂先
 

1日の終わりを告げる夕日に
明日に続く山旅の思いを馳せよう
 
   続く《2日目》の行程は、次回にて・・         

   ※ 詳細はメインサイトより『燕・常念』をどうぞ。
 
 
 
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