風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

TOP >  滝を訪ねて・西日本 >  日本の滝を訪ねて 第94回  寂地峡の滝

日本の滝を訪ねて 第94回  寂地峡の滝

日本の滝を訪ねて  第94回  寂地峡の滝  〔山口県〕
 

渓谷最大の滝・白竜ノ滝
 
   寂地峡 じゃくちきょう (西中国山地国定公園)
『寂地峡』は、西中国山地国定公園の三大渓谷の一つとされている。 だが、前項の『匹見峡』同様、ほとんど世には知られていない。 この渓谷は《竜尾ノ滝》と《犬戻ノ滝》の二大景観からなり、中でも連瀑を連ねる《竜ヶ岳峡》は素晴らしい渓谷美を魅せて『名瀑百選』にも指定されている。 
少しアプローチが不便ではあるが、是非とも訪れてみたい渓谷である。
 


 

寂地峡の滝 位置図
 
    行程表         駐車場・トイレ・山小屋情報
中国自動車道・吉和I・Cより車(0:35)→寂地峡・竜ヶ岳峡入口
寂地峡・竜ヶ岳峡入口より竜頭ノ滝など五竜瀑めぐり、一周約3km・所要1時間半
寂地峡・竜ヶ岳峡入口より車(0:15)→犬戻峡入口(0:20)→犬戻ノ滝
(0:20)→犬戻峡入口より車(0:50)→中国自動車道・吉和I・C

『寂地峡』は、周知に明かされることのないベールに包まれている。 大きな期待を抱かせる“何か”がこの渓谷にはあるのだ。 ワテはこの『日本百景』の情景の選定に関しては、この“大きな期待を抱かせる何か”という要件を重要かつ大切なファクターと考えている。
そして、それが正しいかどうか、自分の思いが『日本百景』の理念に合致するかどうかを確かめたいと常日頃から思っている。 そのチャンスが、ようやくやってきた。 

それでは、この『寂地峡』を確かめるべく探勝をしてみよう。 だが、いつもの景勝地の探勝とは違う事が1つある。 それは、その地を訪れるに対しての予備知識を一切持たないで・・という事である。 『寂地峡』は前述のようにほとんど知られておらず、また山口・島根の県境に位置し公共交通機関も全くない事から、アプローチはマイカーを手段とする以外に手がないのが実情である。 

さて、マイカーを駆使して、このベールに包まれた渓谷にアプローチしてみよう。 
広島市街からなら、以外や以外3時間少々で渓谷入口に着く事ができる。 『寂地峡』は二つの峡谷からなるが、手前の《竜ヶ岳峡》は『名瀑百選』に指定された事もあり、周回の遊歩道が整備されて探勝は容易である。
 

清らかな水鏡を描く
竜尾ノ滝
 
《寂地川》の清流を渡るとすぐに瀑音がこだまするのが耳に入ってくるだろう。 
《竜ヶ岳峡》・“五竜瀑”の先鋒《竜尾ノ滝》である。 落差は15m程であるが、広い滝棚を瀑下に広げて清らかな水鏡を見せている。 写真アングルも自由に設定できそうだ。
《竜尾ノ滝》から少し登ると、《昇竜ノ滝》が見えてくる。 落差は7m程と小ぶりだが、両側が切り立った岩壁からなる廊下状の釜と淵を抱き、エメラルドグリーンの輝きを魅せている。
 

廊下状の美しい釜を抱く
昇竜ノ滝

この滝を越えた辺りから、遊歩道は急傾斜の坂や段差の大きな階段となっていく。
その途中に“五竜瀑”最大の滝・《白竜ノ滝》が水量豊かに瀑音を響かせている。
落差は40m位か。 渓谷の全ての水を落とすその様は、迫力満点である。
 

ストレートの巨瀑
白竜ノ滝
 
だが、残念な事に遊歩道からだと角度が悪く、滝の全容が見えないばかりか、滝つぼも迫り出した岩に隠されて望む事ができない。 沢に下りたとしても、滝つぼまでは激しい飛沫によって常時濡れた岩場のトラバースとなり、それなりの靴装備が必要だ。 もちろん、直下に《昇竜ノ滝》が迫っているので沢への落下は許されない。 ズック靴でアプローチに失敗し引き返した筆者本人がいうので本当である。
 

白竜ノ滝の落口は
飛沫の撮影スポットだ
 
遊歩道を更に登りつめると、黒い岩壁の間から眩いばかりの白布を掛ける《竜門ノ滝》が見える。 落差30m位だが、何とも印象的な滝である。 そして、最後の《竜頭ノ滝》。
樹木の隙間から日の光が滝つぼに優しく降り注ぎ、清涼感いっぱいの眺めだ。 この渓谷を遡上するときっと、竜の流れがおりなす爽やかな情景に心を洗われる事だろう。
 

岩壁の“門”から
瀑布を掛ける竜門ノ滝
 

木漏れ日輝く竜頭ノ滝
 
最後の《竜頭ノ滝》から先は、鎖付きのルンゼの中を急登していくので、体力的に自信のない方は往路を引き返した方が無難だ。 この先は、流れ穏やかな渓流となって遊歩道から離れていく。 下り道は左右2つに分かれていて、左(Aコース)を取ると安全に駐車場まで下り着く事ができる。 

右(Cコース)は、沢の源頭である《竜ヶ岳》の支稜の岩壁を上下しながら大回りで下っていく。 急登と鉄ハシゴの大下りがあるので、一般行楽者向きではなさそうだ。 だが、新緑を見ながら下っていけるので、充実感はこちらの方に分がありそうだ。
 
さて、駐車場に戻って、更に奥に延びる林道へ車を走らせよう。 途中から未舗装道に変わる林道を約6km入っていくと、あずま屋の建つ《犬戻峡》の入口に着く。 こちらは、《竜ヶ岳峡》と違って駐車場がないので、車は邪魔にならぬよう林道の脇に止めておこう。
入口から、この渓谷最大の見どころである《犬戻ノ滝》までは850m・所要で20分位であろうか。 道は桟道として整備されているので心配は要らない。
 

エメラルドの
釜を抱く無名滝
 
途中に前座の無名滝(落差30mで広い滝つぼありの立派な滝である)を見てから、300m程進むと、総落差70mの三段斜瀑・《犬戻ノ滝》が見えてくる。 “犬も後ずさりして戻る”という、その立派な岩壁は迫力満点だ。 要塞のようないかめしさと、落水の軽快さを上手にカメラアングルとしてまとめたい所である。
 

犬も後ずさりする
三段斜瀑の犬戻ノ滝
 
この上にも滝が潜んでいるとの事だが、先を行くとなると峡谷源頭の山・寂地山 1337メートル の登山も絡んでくるので、この先は然るべき機会に譲りたいと思う。 帰りは、往路を忠実に戻る。

    ※ 詳細はメインサイトより、『寂地峡』を御覧下さい。
 
 

 




 
関連記事
スポンサーサイト



コメント






管理者にだけ表示を許可