風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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名峰次選の山々 第85回  三俣山

名峰次選の山々 第85回  『197 三俣山』  大分県 
九重山系(阿蘇くじゅう国立公園) 1745m  コース難度 ★★  体力度 ★★
 

見事な三峰を魅せる三俣山
 

九重山群周遊ルート 行程図
 
    行程表              駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 大分市街より車(2:00)→牧ノ戸峠(2:00)→九重・中岳(0:40)→久住山
     (0:30)→池ノ小屋(1:10)→法華院温泉・坊ヶツル(1:10)→大船山避難小屋
     (0:30)→大船山(0:25)→大船山避難小屋
《2日目》 大船山避難小屋(1:25)→平治岳(1:05)→法華院温泉・坊ヶツル
     (1:00)→北千里ヶ浜分岐(1:00)→三俣山(0:45)→北千里ヶ浜分岐
     (0:40)→久住分れ(1:30)→牧ノ戸峠より車(2:00)→大分市街
   ※《1日目》行程は、前回の『名峰次選 第84回 久住山』を御覧下さい。


夕日は三俣山を
魅惑的なシルエットに変えてくれた
 
このガイド記では《2日目》の出発点が大船山の肩にある大船山避難小屋であるが、この場所は水もなく避難小屋も土間すらない状況で、前回に述べた通り宿泊には全く適さないのは念の為。 通常では、坊ヶツルに泊まって直接三俣山に登るのが一般的である。
 

九重の山屏風と月
 
  《2日目》 大船山から平治岳・三俣山をめぐって下山
朝、日の出前に目覚める事ができたなら、カメラだけを持って北大船山 1706メートル へ行ってみよう。 テント場の《段原》から5分程の高みである。 もし、日の出に間に合えば、夜明け前の《坊ヶツル》や月と『九重山群』の峰々、そして《豊後水道》より昇るサンライズと、素晴らしい情景が目白押しとなる。 日の出を望んだ後にテント場に戻り朝のひと通りの“儀式”を済ませなら、テントを撤収して出発しよう。 
 

豊後水道から昇る朝日

今日は、大方8時間行程となるので、6時までには出発したいものだ。 北大船山を通り過ぎると、ミヤマキリシマの株がブッシュとなって道に覆い被さってくる。 これが荷物に引っ掛かり、歩き辛い事だろう。

足場も火山性の転石が多く、下と横から歩き辛い状況が襲ってくる。 これを九重山群の峰々の素晴らしき眺めで慰めながら45分程伝うと、御碗を伏せたように盛り上がる平治岳が見えてくる。 
しかし、今立っている位置は平治岳より高い所だ。 ここから150m位、ジグザグに急降下せねばならない。
 

円頂丘を形成する平治岳

稜線上ではっきりと見えていた三俣山が見えなくなるまで下ると、《平治岳》分岐だ。 重い荷物はここでデポって、平治岳 1643メートル を往復してこよう。 平治岳は、ミヤマキリシマの群落が最も多く分布する山として有名だ。 そのシーズンとなると、山頂に向かって長蛇の列ができるとの事である。 

道も混乱を避ける為か、あるいはミヤマキリシマの保護の為か、上下にそれぞれ専用の道が指示されている。 また、この山は登りがかなり急で、“ロープたぐり”の岩場もある。 上りは、所要25分位であろうか。 一度、円頂丘に出て少し登ると、ネコの額のように狭い頂上に登り着く。 

頂上からは、“二ッ角”の由布岳の眺めが印象的であった。 さて、平治岳を下ってデポった荷物を回収したなら、《坊ヶツル》へと下っていこう。 道は樹海の中の緩やかな下り坂で、ほんの50分もあれば《坊ヶツル》へ下り着く事ができるだろう。 《坊ヶツル》へ下り着いて三俣山を見上げたなら、その巨大さに思わずのけぞる事だろう。 これから、この三俣山へ登るのである。 《坊ヶツル》でよく休憩してから出発しよう。
 
三俣山への登路は、《法華院温泉》の旅館の前から山崩れ防護堰の工事現場の縁を縫うように登っていく。 工事現場を下に見るようになると、ゴーロ(岩石)帯となり、ガレた道筋をペンキ印に従って忠実に登っていく。
 

美しい白砂の浜が広がる
北千里ヶ浜
 
これを登りきると、大砂浜が広がる《北千里ヶ浜》に出る。 ここは『九重山群』と三俣山の窪地で、白砂の浜と九重の武骨な黒、そして三俣山の鮮やかなライトグリーンのコントラストの妙に目を奪われる事だろう。 荷物を分岐の岩陰にデポったなら、三俣山にアタックしよう。 

《北千里ヶ浜》から《長者原》への進路を取り岩ガレを登っていくと、《すがもり小屋跡》の石垣が見えてくる。 ここが三俣山の登り口だ。 ここから、ライトグリーンの草原を斜めに突っ切るように登っていく。 約40分で、三俣山の3つの峰の中で最も低い左峰の頂上丘に登り着く。 頂上は草原状の丘でこれを“はしょる”巻道もあるのだが、頂上を通っても巻道を通っても大差はない。 

左峰を越えて、吊尾根で本峰に移って15分程急登すると、九重で最も目立つ山・三俣山 1745メートル の頂上だ。 三俣山は山肌がササの草原に覆われて、ライトグリーンの前景を提供してくれる。 
これに大船山や九重の山なみを取り入れると、いい“絵”になるのだ。
 

三俣山の頂上草原と九重山

特に左峰の丘は草原が山に向かって広がっているので、アングルを自由に取る事ができる。 頂上を味わい、カメラ片手に風景を楽しんだなら往路を戻ろう。 下りは50分位で下山できるが、何分急なので足元には留意したい。 

デポった荷物を回収して、先程三俣山から望んだ九重の鞍部に向かって登り返していく。 標高差で150m位だろうか。 しかし、今度は“荷物持ち”なので、三俣山の登りよりはキツいだろう。 
 
右横に音を立てて噴煙を噴き出す硫黄山を見ながら、そして漂う火山ガスの硫黄臭を煙たがりながらガレた岩場を一直線に登っていく。 登りきったなら、そこは《久住分れ》だ。 涼風そよぐ好展望地の《久住分れ》で山の思い出を十分にかみしめたなら、《1日目》で登りに使った道を忠実に伝っていこう。
 

九重山群きっての個性的な峰・三俣山
に見送られながら山旅を終えよう

ここより、ほんの1時間半程で登山口の《牧ノ戸峠》だ。 山行後の楽しみである“温泉めぐり”は、《瀬ノ本》から《久住高原》に湧く“いで湯の里”で成就できるだろう。

   ※ 詳しくは、メインサイトより『九重山群』を御覧下さい。
 
 
 



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