2013-03-23 (Sat)✎
名峰次選の山々 第84回 『198 久住山』 大分県
九重山系(阿蘇くじゅう国立公園) 1787m コース難度 ★ 体力度 ★
九重山群最高峰の中岳より望む
久住山と火口湖・御池
九重山群周遊ルート 行程図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 大分市街より車(2:00)→牧ノ戸峠(2:00)→九重・中岳(0:40)→久住山
(0:30)→池ノ小屋(1:10)→法華院温泉・坊ヶツル(1:10)→大船山避難小屋
(0:30)→大船山(0:25)→大船山避難小屋
《2日目》 大船山避難小屋(1:25)→平治岳(1:05)→法華院温泉・坊ヶツル
(1:00)→北千里ヶ浜分岐(1:00)→三俣山(0:45)→北千里ヶ浜分岐
(0:40)→久住分れ(1:30)→牧ノ戸峠より車(2:00)→大分市街
朝の光を浴びて周囲が美しく輝く中、《牧ノ戸峠》を出発しよう。 登山口をくぐるとコンクリートで固められたスロープが、程よい高さにある《第一展望台》まで続く。 コンクリートの固められたスロープは頂けないが、朝の光を浴びた山々は美しい情景を魅せてくれる。 湧蓋山 1500メートル を中央に果てしない広がる《久住高原》。 それが、朝の光でほのかに輝くのだ。 遠く、阿蘇の山々も澄んだ朝の空の下に独特の形をした峰を魅せてくれる。
シルエットを魅せる九重山群
《第一展望台》より、工事中(《第二展望台》までコンクリートのスロープにするみたいである)の区域を迂回して《第二展望台》に登っていく。 《第二展望台》では、今まで隠れていた『九重山群』の盟主達がいよいよ姿を魅せる。 逆光で黒光りした盟主の峰々は、鋭く威圧感を持って眼前に立ちはばかっている。
今日は、これらの峰々の頂に立つのだ。 そう思うと、嬉しさが込み上げてくる事だろう。
牧ノ戸峠の朝
奥に見える峰は湧蓋山
奥に見える峰は湧蓋山
《第二展望台》を越えると、登山道は支稜を伝うように延びていく。 支稜線を緩やかにたわんでから主稜線に取り付くと、岩屑を積み上げたような山容を示す星生山 1762メートル が正面に現れる。
星生山が視界に入ってくると、丘の頂に上がったが如く道は大きく広がっていく。 やがて、広がった登山道は、その前面に渡って火山灰土の細かい砂粒によって砂浜化する。 《西千里ヶ浜》である。
岩屑の丘と砂の海
まるで“月世界”のようだ
この砂浜から見上げる星生山の風景は岩屑の丘と砂の海、そう“月”で望む情景のようなのだ。
この風景を目にすれば、“あの山に登ってみたい”との思いがもたげてくる事であろうが、残念ながらこの星生山は、背後にある硫黄山の噴火活動の活発化で“登山禁止”となっているのである。 従って、この不思議な情景は望むだけとなる。 星生山が眼前から背後に移るまで《西千里ヶ浜》の砂浜は続き、これを伝っていく。
星生山の位置が背後に移ると、前面に久住山の頭がもたげてくる。 そうすれば、さしも広い《西千里ヶ浜》も終わりとなる。 砂浜が途切れるとゴーロ(岩石帯)帯となり、これを越えていく。
このゴーロ帯は横に広く、登山者によって様々な踏跡がつけられているが、最も通り良いルートにペンキ印がつけられているので、忠実にそれを通過していこう。
“月の海”を歩いていくと
盟主・久住山が
これを越えると、《久住避難小屋》の建つ広場(というより荒地)に出る。 広場の隅にポツンとたたずむ避難小屋は、中が荒れ放題でとても使えたものではない。 この広場(この広場はクレーターのように窪んだ位置にある)から土手に這い上がると、素晴らしい山岳展望が広がる《久住分れ》だ。
この台地からは九重の最高峰・九重中岳は元より、久住山・稲星山、そして独特の山容を魅せる三俣山、音をたてながら白い噴煙を噴き上げる硫黄山など、山岳展望が全方位に渡って広がる。 カメラ片手に、この雄大な景色を満喫しよう。
エメラルド色の水をたたえる御池と
九重山群最高峰・九重中岳
九重山群最高峰・九重中岳
さて、この《久住分れ》からは久住山へ30分・九重・中岳へは45分と、どちらの雄峰へも楽にいける。
ワテは、“最初に九州最高峰に登りたい”という事から九重・中岳を先に行く事にしたが、これは各自の好みに任せたい。
ワテは、“最初に九州最高峰に登りたい”という事から九重・中岳を先に行く事にしたが、これは各自の好みに任せたい。
九重・中岳へは、頂上丘にある火口湖・《御池》の湖畔を絡めていくルートと、火口壁である《天狗ノ城》を越えていくルートがある。 後者の方がやや時間がかかるが、三俣山や硫黄山、そして九重の頂上丘と《御池》を眺めながら行けるので、お勧めはこちらである。 《天狗ノ城》を越えて50mのオーダーで上下すると、九州本土最高峰の九重・中岳 1791メートル だ。
九重・中岳の頂からは、憬れの【名峰百選】・大船山がその巨大な山容を《坊ヶヅル》の草原に鎮座しているのが望めるだろう。 山の姿が“巨大な船”に例えられることから“大船山”と名づけられたらしいが、ワテは“漆黒の鉄兜”との異名を持つ南アルプスの名峰・塩見岳にそっくりの迫力ある姿だと思うのだが・・。
どちらにしても、九重の山々で最も凛々しい山である事には違いない。
快晴の九重山群・最高峰にて
素晴らしい山々の展望を満喫したなら、今度は対面に丘状に広がる久住山へいってみよう。
九重・中岳と《天狗ノ城》の鞍部に《御池》の畔に下りる道があり、これを伝って池の畔に出る。
池の畔には、これまた荒廃しきりで“使えない”《御池石室(避難小屋)》が建っている。
小屋の壁際に荷物をデポって、気楽な身なりで久住山を往復してこよう。 池の畔の左岸を半周して、頂上丘と久住山を仕切っている隆起を乗り越えればもう久住山の取付だ。 後はザレ場を15分も登れば頂上に着く。
久住山頂上より
九州の雄峰を望む
九州の雄峰を望む
久住山 1787メートル の頂上からは、阿蘇や祖母の山なみが一望できる。 九重の山なみを味わうならば九重・中岳、九州の名峰のおりなす展望を味わうならばこの久住山であろう。 今すぐ飛んでいきたい九州の名峰群を心ゆくまで眺めよう。
久住山からの下り道は往路を下るも良し、時間に余裕があれば九州の名峰を望みながら稲星山へ続く外輪山を伝うも良し・・である。 ここまでなら十分日帰り圏内なので、牧ノ戸峠まで往路を戻るのもいいし、九州随一の高所に湧く温泉・坊ヶツルで宿泊して、九重山域を山遊するのもいいだろう。
頂上丘の背後を締める
ピラミタルな稲星山
なお、ワテは【名峰百選】に選びし大船山に登ってその肩で幕営したが、通常なら宿泊設備の整った坊ヶツルでの宿泊となろう。 なぜなら、大船山の肩は床もなく荒廃した避難小屋があるだけで宿泊には適さないからである。
夕日を浴びて赤く染まる大船山
これが撮りたくて
大船山の肩まで向かう
ちなみに、坊ヶツルから大船山までは、行程差500mで2km、所要1時間少々である。
次回は、大船山の肩から名峰次選の三俣山に登ってみる事にしよう。
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