2013-03-16 (Sat)✎
名峰百選の山々 第86回 『85 白山・大汝峰 ・ 86 白山・剣ヶ峰』 石川県・岐阜県
《翠ヶ池》畔に戻り、左前方に迫り立つ大汝峰に向けて歩いていく。 池底にある赤い石で血のように赤く染まった《血ノ池》を越えると、大汝峰への登道が分岐している。 先程の剣ヶ峰の黒光りした溶岩帯と異なり、白い砂礫のガレた急斜面だ。 登っていくごとに《翠ヶ池》がエメラルドグリーンの輝きを放ち、ピラミタルな剣ヶ峰を投影し始める。
砂礫の花咲く細い尾根筋を伝って大汝峰 2684メートル 頂上に登りつめると、白山山系随一の素晴らしい展望を望む事ができる。 剣ヶ峰と御前峰の影の間に真綿のような雲海が漂い、その上を北アの山が一列をなして浮かんでいる。 またその奥には八ヶ岳や南アルプス、富士山なども見渡せる。
《血ノ池》に戻ると、山頂散策路は《室堂》へ戻るべく左へ大きく進路を変える。 更に進むと、《百姓池》と『熱雲堆積物』と呼ばれる白砂と巨岩が現れる。 この『熱雲堆積物』は1554~56年にかけて、《翠ヶ池》の火口から赤熱した岩石や火山灰が火山ガスと共に山の斜面を雪崩の如く流出したものである。
これらの砂地や巨岩の間には、砂礫に咲く高山植物が可憐な姿を魅せている事だろう。 ハクサンコザクラ・アオノツガザクラ・コイワカガミ・イワギキョウなど、色とりどりの花を愛でながら歩いていこう。
宿舎でひと息着いたなら、小屋に置いてあった荷物を引き上げて下山に取りかかろう。 たぶん、白山頂上めぐりでは、素晴らしい眺めと美しい花々に随分時間を取られてタイムオーバー気味であろうから、下山道は最短コースを取ろう。 だが時間に余裕があるのなら、展望の良い『観光新道』を下るのもいいだろう。
《五葉坂》を下り、《弥陀ヶ原》の草原を突っ切ると、《弥陀ヶ原》の端に立つ《黒ボコ岩》の前に出る。 この岩は分岐となっていて、岩の右手に周り込むと『観光新道』へ、左手に周り込むと最短コースの『砂防新道』に続く。 この岩の下に続くジグザグ道を下ると、《延命水》なる冷たい湧き水が岩雫となって流れ落ちている。 もし、この道を登りに使うなら、この湧水は心強い“力水”となろう。
この後、《十二曲》という最も急なつづら折りの坂を下りきると《三ノ越》、後は多少ガレた道に気をつけながら小沢を何本か横切ると《南竜道分岐》の左側に出る。 後は、往路で通った道を忠実に下っていこう。 下山口の《別当出合》まで、《甚ノ助ヒュッテ》より1時間40分位である。 下山を終えたなら、《白山温泉》で山の汗を洗い落としていこう。
白山山系(白山国立公園) 大汝峰 2684m,剣ヶ峰 2677m コース難度 ★★ 体力度 ★★
大汝峰より白山を一望する
《メインサイトより抜粋》
また、山頂からの眺望も、コバルトブルーの水面をたたえる火口湖・《翠ヶ池》を前景に、関西の山から日本アルプスの山なみが見渡せる絶景である。
御前峰山頂からは、大汝峰に向かってガレた岩ザクをジグザグに下っていく。 途中に《天柱石》と呼ばれる奇怪な岩塊を見て、火口の底に下り立つ。 周囲は灰色のガレ岩に覆われた荒涼たる風景で、昨日から眺めた白山の緑豊かな山容とのギャップはかなり大きい。
この湖畔の手前まで下ると、剣ヶ峰への踏跡が右に分かれている。 この踏跡を伝って、剣ヶ峰に登ってみよう。 剣ヶ峰は溶岩を積み上げたようなもので、ゴロゴロした浮石だらけで足場はつとめて悪い。
富士山・立山と共に『日本三大霊山』の一つに数えられる白山は、越前・加賀地方にまたがる両白山地の主峰である。 “白山”という名はこの山群の総称で、最高峰の御前峰 2702メートル 、次いで大汝峰 2684メートル ・剣ヶ峰 2677メートル と、3つの峰から構成されている。
・・日本海から吹きつける季節風をまともに受けるこの山域は冬季に大量の降雪があり、この雪が“万年雪”となって年中この山を白く輝かせる。 それが、この山“白山”の名前の由来である。
・・日本海から吹きつける季節風をまともに受けるこの山域は冬季に大量の降雪があり、この雪が“万年雪”となって年中この山を白く輝かせる。 それが、この山“白山”の名前の由来である。
そして、この“万年雪”がこの山に豊富な水を恵み、高山植物の源となる。 ハクサンイチゲ・ハクサンチドリ・ハクサンコザクラ・・。 花をあまり知らない人でさえ聞き覚えのある花の名も、この白山から出たものが多い。
また、山頂からの眺望も、コバルトブルーの水面をたたえる火口湖・《翠ヶ池》を前景に、関西の山から日本アルプスの山なみが見渡せる絶景である。
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 金沢市街より車(1:40)→別当出合(2:20)→甚ノ助ヒュッテ(0:20)→南竜道分岐
(0:30)→エコーライン分岐(1:20)→白山・室堂
《2日目》 白山・室堂(0:45)→白山・御前峰(0:40)→白山・剣ヶ峰(0:50)→白山・大汝峰
《2日目》 白山・室堂(0:45)→白山・御前峰(0:40)→白山・剣ヶ峰(0:50)→白山・大汝峰
(0:25)→千蛇ヶ池(0:30)→白山・室堂(1:10)→甚ノ助ヒュッテ
(1:40)→別当出合より車(1:40)→金沢市街
※ 《1日目》の行程『名峰百選 第85回 白山・御前峰』からの続きです。
《2日目》 白山頂上めぐりと下山
《室堂》宿舎ではシーズン中、天気が良く御来光が拝めそうならば、日の出の1時間半前に大太鼓を打って知らせてくれる。 それに合わせて出発しよう。 見上げると、カンテラを照らした登山者の帯が頂上からきれいに連なっている。 この帯に乗って頂上までいこう。 約45分で《白山奥宮》の祠の立つ白山・御前峰 2702メートル に登りつけるだろう。
《室堂》宿舎ではシーズン中、天気が良く御来光が拝めそうならば、日の出の1時間半前に大太鼓を打って知らせてくれる。 それに合わせて出発しよう。 見上げると、カンテラを照らした登山者の帯が頂上からきれいに連なっている。 この帯に乗って頂上までいこう。 約45分で《白山奥宮》の祠の立つ白山・御前峰 2702メートル に登りつけるだろう。
白山山上周遊ルート 詳細図
頂上は左右に細長く、前後は至って狭い。 この中に御来光目当ての登山者が列をなして群がるので、のんびりとカメラを構えるには難点がある。 頂上からの眺めは、北アの黒部五朗岳から槍・穂高、乗鞍までが一団となって雲海に浮かんでいる。
御前峰より剣ヶ峰を望む
一直線に並ぶ
北アルプスの山なみ
山なみの右端より昇る御来光のシーンは、霊山とおぼしき荘厳な情景である。 御来光が昇ると、宮司の音頭で“万歳三唱”と祝詞が挙げられる。 御来光を眺めたなら、残る大汝峰・剣ヶ峰の頂に立つべく先に進もう。
御前峰山頂からは、大汝峰に向かってガレた岩ザクをジグザグに下っていく。 途中に《天柱石》と呼ばれる奇怪な岩塊を見て、火口の底に下り立つ。 周囲は灰色のガレ岩に覆われた荒涼たる風景で、昨日から眺めた白山の緑豊かな山容とのギャップはかなり大きい。
火口の底から標識に従って火口壁を乗り越えると、《紺屋ヶ池》・《油ヶ池》・・と火口湖群に差しあたる。 これらを眺めながら下ると、エメラルドグリーンに輝く《翠ヶ池》が現れる。
この湖畔の手前まで下ると、剣ヶ峰への踏跡が右に分かれている。 この踏跡を伝って、剣ヶ峰に登ってみよう。 剣ヶ峰は溶岩を積み上げたようなもので、ゴロゴロした浮石だらけで足場はつとめて悪い。
落石や転倒に注意して登ろう。 登り着いた剣ヶ峰 2677メートル の頂上には『奥ノ院』が祀られている。
雲海に一直線に浮かぶ
北アの名峰
縦走路から外れて人気がない剣ヶ峰からは、眼下に広がる《大白川》の原生林、奇怪な山容の三方崩山、ライトグリーンを魅せる《北弥陀ヶ原》の眺めなと、深く味わいのある眺めを魅せてくれる。
十分に眺めを堪能したなら、往路を戻ろう。
十分に眺めを堪能したなら、往路を戻ろう。
白山二峰を見渡す
《翠ヶ池》畔に戻り、左前方に迫り立つ大汝峰に向けて歩いていく。 池底にある赤い石で血のように赤く染まった《血ノ池》を越えると、大汝峰への登道が分岐している。 先程の剣ヶ峰の黒光りした溶岩帯と異なり、白い砂礫のガレた急斜面だ。 登っていくごとに《翠ヶ池》がエメラルドグリーンの輝きを放ち、ピラミタルな剣ヶ峰を投影し始める。
望む角度で
三角錐ともなる大汝峰
砂礫の花咲く細い尾根筋を伝って大汝峰 2684メートル 頂上に登りつめると、白山山系随一の素晴らしい展望を望む事ができる。 剣ヶ峰と御前峰の影の間に真綿のような雲海が漂い、その上を北アの山が一列をなして浮かんでいる。 またその奥には八ヶ岳や南アルプス、富士山なども見渡せる。
素晴らしい眺めを心ゆくまで眺めたなら、頂上を後にしよう。
大汝峰の頂上は
広い庭園となっている
広い庭園となっている
《血ノ池》に戻ると、山頂散策路は《室堂》へ戻るべく左へ大きく進路を変える。 更に進むと、《百姓池》と『熱雲堆積物』と呼ばれる白砂と巨岩が現れる。 この『熱雲堆積物』は1554~56年にかけて、《翠ヶ池》の火口から赤熱した岩石や火山灰が火山ガスと共に山の斜面を雪崩の如く流出したものである。
これらの砂地や巨岩の間には、砂礫に咲く高山植物が可憐な姿を魅せている事だろう。 ハクサンコザクラ・アオノツガザクラ・コイワカガミ・イワギキョウなど、色とりどりの花を愛でながら歩いていこう。
大汝峰に咲く花
イワギキョウ ミヤマダイモンジソウ
やがて、最後の火口湖で伝説の色濃い《千蛇ヶ池》に出る。 この池は夏でも水面が雪で覆われた温帯性の寒帯湖で、日本列島の温帯に属する地域では唯一のものという。 そして、この珍しい池には、当然ながら伝説もついてくる。 その伝説とは、泰澄大師が千匹の悪蛇を万年雪に封じ込めた・・というものである。
それよりもこの伝説の凄い所は、“もし、万年雪が解けたなら、《御宝庫》と呼ばれる白亜の岩が上から崩れ落ちて地面を塞ぐ”という後のフォローまで考えてある事だ。 あとは、《室堂平》の草原地帯に咲くミヤマキンバイやクロユリ・ハクサンイチゲの群落の中を通って、《水屋尻雪渓》の縁を横切ると、《室堂》の宿舎が見えてくる。
それよりもこの伝説の凄い所は、“もし、万年雪が解けたなら、《御宝庫》と呼ばれる白亜の岩が上から崩れ落ちて地面を塞ぐ”という後のフォローまで考えてある事だ。 あとは、《室堂平》の草原地帯に咲くミヤマキンバイやクロユリ・ハクサンイチゲの群落の中を通って、《水屋尻雪渓》の縁を横切ると、《室堂》の宿舎が見えてくる。
宿舎でひと息着いたなら、小屋に置いてあった荷物を引き上げて下山に取りかかろう。 たぶん、白山頂上めぐりでは、素晴らしい眺めと美しい花々に随分時間を取られてタイムオーバー気味であろうから、下山道は最短コースを取ろう。 だが時間に余裕があるのなら、展望の良い『観光新道』を下るのもいいだろう。
アオノツガザクラ
《五葉坂》を下り、《弥陀ヶ原》の草原を突っ切ると、《弥陀ヶ原》の端に立つ《黒ボコ岩》の前に出る。 この岩は分岐となっていて、岩の右手に周り込むと『観光新道』へ、左手に周り込むと最短コースの『砂防新道』に続く。 この岩の下に続くジグザグ道を下ると、《延命水》なる冷たい湧き水が岩雫となって流れ落ちている。 もし、この道を登りに使うなら、この湧水は心強い“力水”となろう。
この後、《十二曲》という最も急なつづら折りの坂を下りきると《三ノ越》、後は多少ガレた道に気をつけながら小沢を何本か横切ると《南竜道分岐》の左側に出る。 後は、往路で通った道を忠実に下っていこう。 下山口の《別当出合》まで、《甚ノ助ヒュッテ》より1時間40分位である。 下山を終えたなら、《白山温泉》で山の汗を洗い落としていこう。
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No title * by kei
風来梨さん、こんにちは。数年前、ふもとの白峰の民宿に前泊し白山に登りました。クロユリなど多様な高山植物と残雪のお池に感動しました。もう一度登ってみたい山です。ナイス!
No title * by 風来梨
keiさん、こんにちは。
私も、この山で始めて高山植物の美しさを知りました。
初めて登ったのは、もう20年以上も前の事ですが。
それから何度か登り、その時に山上の3つの峰の素晴らしき情景をカメラに収める事ができました。
この白山は、私が山の素晴らしさを知るキッカケとなった山ですね。
私も、この山で始めて高山植物の美しさを知りました。
初めて登ったのは、もう20年以上も前の事ですが。
それから何度か登り、その時に山上の3つの峰の素晴らしき情景をカメラに収める事ができました。
この白山は、私が山の素晴らしさを知るキッカケとなった山ですね。