2011-02-04 (Fri)✎
さて、『オホーツク縦貫鉄道の夢』の第5回目は、前回で訪れた風連湖・春国岱の隣にある温根沼の朝景を味わってから西和田駅に戻り、次の下車駅である落石まで話を進めよう。
風連湖や春国岱は根室半島の西側でオホーツク海に面しているので、夕陽や落日の情景が特にお勧めだろう。なら、朝の日の出は・・というと、やはり陽の昇る東側に湖沼や湿地帯が広がる温根沼が素晴らしい情景を見せてくれる。 それでは、その美しい情景を、しばしごろうじろ・・。
呆然と立ち尽くす情景がそこにあった
この情景は、前日に《春国岱》のネイチャーセンターで職員さんに「朝は《温根沼》方向が朝日が昇って美しいですよ・・」と聞いていたので、翌朝に満を持して温根沼大橋を渡って《温根沼》湖畔に向かったのであったが・・。 だが、これほど素晴らしいものとは想像だにしていなかった。
美しいかぎろいの空と
その色に染まる干潟
北の冬の厳しい寒さに所々凍った干潟は、朝日に染まった空からのかぎろい色に染められていた。
氷点下14℃の中、寒さを堪えながら1日の始まりにして最大のイベントの時を待つ・・。
やがて、沼の奥が輝き始める。 ビックイベントの始まりだ・・。
一日の始まりを告げる
最大のイベントが今始まる
最早、この情景に言葉は要らないだろう・・。 いや・・、この素晴らしい情景を言葉で表現する事は適う筈もない・・と言い換えた方がいいだろう。 ただ呆然と立ち尽くすのみだった。 僅かにひとしぼり残った意識をシャッターレリーズボタンに集中させるのが手一杯だった。
美しい情景に心を奪われ
最後に残った力でレリーズボタンを押す
陽が昇り、氷結した沼の氷に光が当って美しい筋を魅せる。
イベントはクライマックスに差し掛かる。 空は紫からかぎろいに・・、そしてピンク色に染まり、陽の光は艶めかしい色彩の光を放つ。
陽が昇り
水面に艶かしい光跡を指し示す
そんな中で、素晴らしいゲストが更にこの情景を「忘れえぬ情景」にしてくれた。
その気まぐれなゲストの素晴らしい演技に感謝しよう。 一生忘れ得ない情景を魅せてくれた彼に・・。
気まぐれなゲストの彼が
ワテの心に一生離れる事のない感動を与えてくれた
一日の始まりに訪れるビックイベントも、この最後の写真を撮る頃には落ち着いてくる。
かぎろい色の空から黄金色に変り、そして全体が白く明るくなって夜が明けるのだ・・。
陽の光が沼の氷に反射して
波の帯を魅せていた
干潟となった沼の水は、一番最後まで朝のイベントショーを魅せてくれる・・。 干潟を覆う氷の幕と水面がそれぞれ朝の光をオーケストラのようにそれそれ違った色彩を解き放つ。 僅か20分ほどのショータイムであるが、これ程までに変化に富んだ色彩を放つ日の出時は、真に一日の始まりを告げるに相応しい最大のイベントであろう。
さて、朝のビックイベントに心ゆくまで酔いしれたなら、駅に戻ろう。 ホームと廃貨車を待合室に改造した原野の中の何もない駅に・・。 そして、空想旅行の特権である「待たずに乗れる」という事を行使して、2回に渡って感動の情景を魅せてくれた風連湖・温根沼の最寄り駅・西和田駅を後にしよう。
西和田駅を出た列車は、トドマツやエゾマツの並ぶ原野の樹林帯の中を行く。 途中、長節湖 ちょうぼしこ という海跡湖を見るが、冬だと全面氷結している事だろう。 もし、湖面に水が湛えているようであれば、ここも風連湖や温根沼同様に野鳥の楽園となるとの事である。
長節湖を過ぎると、程なく昆布盛駅だ。 この駅には貨車と違うプレハブの待合室がある。
これは駅が開設された当初からの無人駅を表すもので、花咲・西和田といった廃貨車の駅は、開設時は駅務室を持つ駅舎がある有人駅だった事を物語っているのである。
昆布盛駅は開業当初からの無人駅であるが如く、主要道道の142号線の交点であるだけの原野の中に棒線ホームがあるだけの駅だった。 地図を見ると昆布盛漁港という港があって、まだ道路が整備されていない路線の黎明期に、文字通り昆布の水揚げの為に供すべく開設された駅だったのだろう。
列車交換設備のある駅・落石駅
昆布盛を出ると、いよいよ私が思う最も『岬の情景』を魅せる落石岬への最寄り駅・落石だ。
落石の港はこの辺りでは中心漁港となっているようで、集落としても最も大きいみたいである。
無人化と老朽化等の理由で、駅舎が取り壊されて廃貨車に置き換えられる駅が多い中で、新しく(といっても20年位前だが・・)駅舎が立て直されたのも、やはり周囲の駅より利用者が多いからであろう。
また、この駅は列車交換のできる駅としても、列車ダイヤを組む上での重要駅としての位置づけにある駅だ。 それでは、岬めぐりは次回に回す事として、この駅の夜のファンタジーで今回を締めくくろう。
氷点下の空気が最終列車の光を
ダイヤモンドダストに変えてくれた
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No title * by 風来梨
オータ様、こんばんは。
あの情景は心を熱くしてくれました。 思わず手袋を脱いで、素手でシャッターを押していました。
それと、落石駅や西和田駅・花咲駅ですが、昔に買った宮脇俊三著書の『北海道690駅』に、取り壊される前の駅舎が載っていました。 どれも、木造の立派な駅で、古きよき時代が偲ばれました。
鉄道の原風景を一度でも見た者は、やはりそれの虜になってしまいますね。
あの情景は心を熱くしてくれました。 思わず手袋を脱いで、素手でシャッターを押していました。
それと、落石駅や西和田駅・花咲駅ですが、昔に買った宮脇俊三著書の『北海道690駅』に、取り壊される前の駅舎が載っていました。 どれも、木造の立派な駅で、古きよき時代が偲ばれました。
鉄道の原風景を一度でも見た者は、やはりそれの虜になってしまいますね。
No title * by オータ
拝復、「北海道690駅」は私にも資料として、とっても!価値があって重宝しています。配線図や小さいながらほとんどの駅の写真がありますからね… 当時の旅について書く時、必ず見返すようにしています。
No title * by カムイ
先輩! 例会以来のお久です。
すげー、綺麗っすねぇ。 北海道の朝って・・。 それと、先輩のホームページの旅行記見ましたよ~。 日高線が最高っス。 さすが、オレの鉄道写真のお師匠さんだけありますね~。
あんなのやこんなのを見せられると、すぐにでも初の北海道遠征がしたくなっちゃうスよ。
すげー、綺麗っすねぇ。 北海道の朝って・・。 それと、先輩のホームページの旅行記見ましたよ~。 日高線が最高っス。 さすが、オレの鉄道写真のお師匠さんだけありますね~。
あんなのやこんなのを見せられると、すぐにでも初の北海道遠征がしたくなっちゃうスよ。
No title * by 風来梨
オータ様、こんばんは。
ほんとに役立つ本ですよね。 今の配線図と比較するのも楽しいし・・。 これと、もう倒産しちゃったけどワラジヤの道路地図は、我が旅の計画時のアイテムとなっています。 ワラジヤの地図の観光案内ガイドは秀逸なんですよね。
ほんとに役立つ本ですよね。 今の配線図と比較するのも楽しいし・・。 これと、もう倒産しちゃったけどワラジヤの道路地図は、我が旅の計画時のアイテムとなっています。 ワラジヤの地図の観光案内ガイドは秀逸なんですよね。
No title * by 風来梨
カムイ君、久しぶり!
>さすが、オレの鉄道写真のお師匠さんだけありますね~。
いやいや、チミの方が鉄道写真に対して熱心だし、何でも貪欲に撮ってるからすぐに下克上となるよ。 1年後、ワテがセンセェ~ってすがりついてるかも・・。
まぁワテは、新型撮らない・・、電車撮らない・・、年に数回しか撮らない・・、SL興味ないから撮らない・・、地元大阪では撮らない・・と選り好みが激しいから、積み上げはないよな・・。
>さすが、オレの鉄道写真のお師匠さんだけありますね~。
いやいや、チミの方が鉄道写真に対して熱心だし、何でも貪欲に撮ってるからすぐに下克上となるよ。 1年後、ワテがセンセェ~ってすがりついてるかも・・。
まぁワテは、新型撮らない・・、電車撮らない・・、年に数回しか撮らない・・、SL興味ないから撮らない・・、地元大阪では撮らない・・と選り好みが激しいから、積み上げはないよな・・。
そして落石駅の幻想的な夜景…かつてこの辺りの駅は皆有人でした。乗降客は少なくても、郵便物や手荷物・小荷物扱いのため25年ほど前までは、駅員が配置されていたのです。それは私が旅し始めた頃のことで、廃止前にそんな荷物の積み下ろしなどを見れました。