2013-01-27 (Sun)✎
『日本百景』 冬 第46回 落石 〔北海道〕
紅白の縞模様の灯台の建つ落石岬
落石岬 おちいしみさき
緑の草原の果てに、ポツリと立つ縞模様の灯台・・。 灯台の背後は切りたった断崖で、海より吹きつける強風にカモメが舞う。 そこに立つと、厳しい中にも懐かしい潮の香りがする。
・・これらは、私が抱く岬の情景だ。 この私の“思い”そのままの情景を魅せる岬が、根室半島の付け根から太平洋に突き出る落石岬である。 このガイド集の企画を思い立ったのも、“私の気に入った景色を紹介したい・・”ということからだったので、補欠ながらもこの情景を選んだのである。
この素晴らしい“岬”の風景を魅せる落石岬は、花でも見せてくれる。 ここは、天然記念物・サカイツツジの南限地としても知られている。 6月の初旬になると、サカイツツジがこの岬の草原一面に花開く。
この花は、アラスカ・東アジア北部と、日本のこの地にしか自生せぬという珍しい花である。
また、岬から続く海岸線も、素晴らしい海岸段丘を魅せて壮観だ。
緑の草原の果てに、ポツリと立つ縞模様の灯台・・。 灯台の背後は切りたった断崖で、海より吹きつける強風にカモメが舞う。 そこに立つと、厳しい中にも懐かしい潮の香りがする。
・・これらは、私が抱く岬の情景だ。 この私の“思い”そのままの情景を魅せる岬が、根室半島の付け根から太平洋に突き出る落石岬である。 このガイド集の企画を思い立ったのも、“私の気に入った景色を紹介したい・・”ということからだったので、補欠ながらもこの情景を選んだのである。
この素晴らしい“岬”の風景を魅せる落石岬は、花でも見せてくれる。 ここは、天然記念物・サカイツツジの南限地としても知られている。 6月の初旬になると、サカイツツジがこの岬の草原一面に花開く。
この花は、アラスカ・東アジア北部と、日本のこの地にしか自生せぬという珍しい花である。
また、岬から続く海岸線も、素晴らしい海岸段丘を魅せて壮観だ。
最も岬の情景に相応しい岬
落石岬
JR釧路駅より鉄道利用(2:00)→JR落石駅(0:45)→元落石集落(0:15)→海運逓信所跡
(0:25)→落石岬(0:40)→元落石集落(0:25)→海岸段丘好展望地
(0:50)→JR落石駅より鉄道利用(2:00)→JR釧路駅
普通列車は度々『特急待ち』の運転停車を繰り返し、2時間40分かかって釧路到着。
ここから通称“花咲線”と呼ばれる根室本線の末端部分にある落石まで向かうのだが、もう日がどっぷりと暮れた原野の中をゆく単行の気動車は、『正月三ヶ日』を街で過した手荷物いっぱいの乗客で満員状態となっていた。 そして、空はあの好天から急激に崩れ、小吹雪が車窓に吹きつける荒れ模様となっていた。
そんな中で、落石到着間際に“えれェ~モノ”を見た。
それは、列車が鹿を轢いちゃったのだ。 “バコッ”っという音と共に列車に飲み込まれ、運転手が“シマッタぁ~”と言いながら報告書にこの事柄を書き込み、そして手袋とコートを着て外へ飛び出していった。 たぶん、轢いた鹿の死体の除去と車輌の点検である。 でも、本当であった。
それは、列車が鹿を轢いちゃったのだ。 “バコッ”っという音と共に列車に飲み込まれ、運転手が“シマッタぁ~”と言いながら報告書にこの事柄を書き込み、そして手袋とコートを着て外へ飛び出していった。 たぶん、轢いた鹿の死体の除去と車輌の点検である。 でも、本当であった。
鹿が光を見ると“固まってしまう”って事。
こうなれば、どんなに警笛を鳴らそうが動こうとしないのである。 リアルタイムでこんなの光景を見たなら、多少は平常心を失うな・・。 一瞬、落石駅でのSTBを躊躇した。 しかし、ここまできたなら仕方がないので、心を決めて落石駅で下車する。
これを撮る為に
こんなアホな事をしてるのですね
落石駅は16~17年前に下車した経験があるので、予め駅舎がどんなものかを知っていた。
残る心配は、真冬の環境だけである。 下車して16~17年ぶりに降りたった駅舎の中を見て、“窓も締め切れるし、落ちても氷点下5℃までだな”とまずは安心。 安心を手に入れたなら、後は飯の用意と“ひと仕事”だ。 それでは、その“仕事内容”をごろうじろ。
21:01発の『今なら引き返せる』(この列車は、釧路で特急【まりも】に接続しているのだ)快速〔ノサップ〕を撮り過し、飯を食って10時過ぎに就寝に着いたのだが、ランタンと湯タンポがモノをいってさほど寒くは感じなかった。 ちなみに、外は氷点下9℃。 寝付く前のテント内温度は+1℃。
テント内の最低温度は氷点下3℃だった。
夜明け前に落石駅を出て、駅前から延びる道を線路に沿って歩いていく。約3kmほど歩くと、海岸段丘の下り坂となって、漁港に向かって下っていく。 下りきった所が、《元落石》の漁港だ。
ここは案内板の立つ『落石岬入口』でもある。 入口から続く砂利道を歩いていく。
砂利道の途中にあるゲートをくぐり200mほどいくと、ロラン局跡の建物が見えてくる。
20年前は中に入れた(天井からの漏水が鍾乳石を創っていたのを覚えている)が、今はピッチリ錠前が掛けられている。 「こういう状況になると判っていたなら、20年前に中を撮っておくべきだった」と悔やむ事しきり・・である。
砂利道の途中にあるゲートをくぐり200mほどいくと、ロラン局跡の建物が見えてくる。
20年前は中に入れた(天井からの漏水が鍾乳石を創っていたのを覚えている)が、今はピッチリ錠前が掛けられている。 「こういう状況になると判っていたなら、20年前に中を撮っておくべきだった」と悔やむ事しきり・・である。
ロラン局跡
鍵が閉めてあった
ロラン局を越えると、岬灯台へのまっすぐな桟道が延びている。 この地の天然記念物であるサカイツツジの保護の為の桟道だが、トド松の樹林帯のトンネルをくぐり、その先にそびえる草原と紅白の灯台は、私が思い描く岬風景そのままなのだ。
日の出前の岬風景
氷点下の重いピンク色の空と
氷点下の重いピンク色の空と
漁船の灯火とそれに続く1本の木道
そして、朝の紺から紫、そして橙色とスペクトルに変りゆく夜明けの空とか細い灯台の光は、氷点下13℃の冷気と相俟って素晴らしい情景を魅せてくれる。 この情景に言葉は要らない。
ただ、私が自然情景とコンタクトできる小道具であるフイルムカメラで、この情景を切り取ろうと必死だった。
海原から陽が昇っていく
やがて、朝日が沖の真正面から昇り始める。 そして、運良く出漁した漁船が何艘も海より昇る陽の光跡に入ってきて、素晴らしい情景を魅せてくれた。
海原を照らす朝日の光跡の中に
漁船が入ってきた
始めは日の出も程々に根室本線の鉄道撮影を予定していたが、こんなのを魅せられたら立ち去る事ができなくなっちまう。 漁船が全て沖に出て、陽が完全に上がるまで岬にいたら、もう7時40分。
さすがに次の目的があるので、後ろ髪をひかれる思いで立ち去る。
岬からは、往路を《元落石集落》まで戻る。 ここから、往路で歩いた海岸段丘の坂を登って、寄り添ってくるJRの線路敷に入っていく。 ここから線路上を歩いていくのだが、くれぐれも通過列車には注意して歩こう。
海岸段丘の突き出た所が落石岬だ
線路上を4~500m歩くと視界が開け、太平洋の大海原が見えてくる。 線路から出て、小高い草原の丘を海に向かって歩いてみよう。 丘の際に立つと、下は断崖になって切れ落ち、そこから延びる海岸線は見事な海岸段丘の連なりを魅せている。
落石海岸の海岸段丘
“東の果て”の情感あふれる眺めが続く
この場所は、私自身が見つけた“穴場”で、まずどのガイド本にものっていないだろうと思う。
この丘に立ち、列車が来るのを待って、海と海岸段丘に列車のアクセントを添えてカメラに収めるのもなかなか乙である。
落石岬を背後に
道東の果ての大地を列車は走る
帰りも、往路と同じ線路上を歩くので、通過列車には注意しよう。
この名もなき海岸段丘から落石岬まで3.5km。 あの素晴らしき情景を、かみしめながら歩いていこう。
この名もなき海岸段丘から落石岬まで3.5km。 あの素晴らしき情景を、かみしめながら歩いていこう。
注・この紀行文は、訪れた時が数回に及ぶ為、内容に整合性がないかもしれません。
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No title * by 風来梨
タケちゃんさん、こんばんは。
落石は最近、撮影名所として紹介されているようですね。
私が撮った時は完全にノーマークでした。 というか、20数年前は、あまり根室本線を撮る人はいなかったかな?と。
海岸段丘が広がるいい場所ですね。 天気が良ければ・・ですが。
落石は最近、撮影名所として紹介されているようですね。
私が撮った時は完全にノーマークでした。 というか、20数年前は、あまり根室本線を撮る人はいなかったかな?と。
海岸段丘が広がるいい場所ですね。 天気が良ければ・・ですが。
No title * by オータ
なんといっても、無線通信局の存在が有名なはずです。かつては船舶の航行に欠かせなかったわけで… そして サカイツツジですね。
行きたいとは思っているのですが… なかなか遠いです。
行きたいとは思っているのですが… なかなか遠いです。
No title * by 風来梨
オータさん、こんばんは。
確かに遠いですね。 落石。 下手すると、ハワイより遠いかも(笑)。 ロラン局ですが、20数年前はほったらかしの廃墟で、中に鍾乳石が育っていたのを見ましたけど、今は完全に施錠されて入れなくなっています。 あの時に内部の写真撮っておけばよかった。
サカイツツジは6月頃ですので、内地の者が見るにはちょっと難しいですね。
確かに遠いですね。 落石。 下手すると、ハワイより遠いかも(笑)。 ロラン局ですが、20数年前はほったらかしの廃墟で、中に鍾乳石が育っていたのを見ましたけど、今は完全に施錠されて入れなくなっています。 あの時に内部の写真撮っておけばよかった。
サカイツツジは6月頃ですので、内地の者が見るにはちょっと難しいですね。
落石・・・・何度も鉄道雑誌で目にする写真ですね。
帯広に住んでいた時、一度は行ってみよう、と思っていたものの昆布刈石から海岸線を眺めて終わってしまいました。
一番最後の写真・・・・やっぱり行きたいなぁ、と改めて思った次第です。
ロランという名前、何度も聞いていましたが、結局ここも行かないまま・・・。