2013-01-17 (Thu)✎
日本の滝を訪ねて・・ 第82回 匹見峡の滝 〔島根県〕
奥匹見峡・大龍頭
:
雨霧によって
幻想的な雰囲気をかもし出す
恐羅漢山を挟んで、三段峡の反対側にも美しい渓谷がある・・というのを御存知だろうか。
そのほとんど知られていない“秘境”とは、この匹見峡である。 この渓谷の第一の魅力は、美しい滝があちらこちらにひそんでいるという事である。
そのほとんど知られていない“秘境”とは、この匹見峡である。 この渓谷の第一の魅力は、美しい滝があちらこちらにひそんでいるという事である。
また、もう一つの魅力は、雨や霧によって幻想的な情景となる・・という事である。
特に《大龍頭》。 雨霧によって霞んだファインダーから覗いて、その幻想的な美しさに愕然としたものである。
匹見峡位置図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
益田市街より車(0:50)→奥匹見峡・恐羅漢山登山口(0:25)→小龍頭
(0:30)→大龍頭(0:50)→奥匹見峡・恐羅漢山登山口より車(0:20)→表匹見峡
(0:20)→裏匹見峡入口(1:00)→平田淵(0:20)→流石ノ瀬
(1:10)→裏匹見峡入口より車(1:10)→益田市街
さて、今回は知られざる秘境・『匹見峡』を、最も神秘のベールをまとう《奥匹見峡》から順に探勝していこうと思う。 《奥匹見峡》方面は付近集落を結ぶバス便がないので、マイカーのアプローチは必然となる。 それでは、神秘のベールの内側を探検しにいこう。
車もやってこないのに虚しい位にだたっ広い駐車場に車を止めて、案内板に従って渓谷に入っていく。
芸術的な流れの妙を魅せる
魚切の流
始めの内は完全に整備された石畳の道が続き拍子抜けの感があるが、徐々に道が崩れだし倒木も現れて道を塞いでいく。 やがて、美しい流れの妙を魅せる《魚切ノ流》に出る。
滑床に配された石によって魚鱗のように白い飛沫を立てるこの流れは、芸術的な景観を示している。 ここからは、元は道だった土砂崩れをジグザグを切って上がっていく。
魚切ノ流の上部は
小龍頭という瀑布が掛かっている
真横に《小龍頭》の白布を見ながらこの土砂崩れの上に這い上がると、崖の上には雨くらいは避けられそうなあずま屋が建っている。 ワテの訪れた時は掲載写真でも判るように大雨であったので、このあずま屋は大変有り難いものであった。 だが、この先からは道は更に困難を極めるのである。
このあずま屋の横には、地元中学校の生徒による手書きの案内板がある。 しかし、これを鵜呑みにするとひどい目に遭うのである。 これに記してある所要時間は晴れていて、しかも探勝路が災害による破壊以前の事で、今は探勝路として整備されていたコンクリートブロックが粉々に粉砕される程に崩れ、道らしき道はほとんど形を成してはいない。
強い雨に沢があふれる中を伝っていくと、コンクリート階段が粉々に壊された崖の前に出る。 その上には、探勝路の残骸が“ささくれ立つ”ように崩れ重なっている。 その横に、岩を直に登るべくロープが垂れ下がってあった。
強い雨に沢があふれる中を伝っていくと、コンクリート階段が粉々に壊された崖の前に出る。 その上には、探勝路の残骸が“ささくれ立つ”ように崩れ重なっている。 その横に、岩を直に登るべくロープが垂れ下がってあった。
何とかそのロープをつかんで崖の上に這い上がっても、沢の流れが雨により氾濫して全てが“滑床”と化して滑りやすい。 もはや、探勝路としては使えないルートを伝っていくのだ。
その証として、かつて“柵”であった鉄の梁もひん曲がって奇怪な形状と化している。
これは全く使い物にならない。
これらを見ていると、かなり凄い土砂崩れが過去にあった事が想像に難くないだろう。
道なき道を伝って、もう足下は元より全身ずぶ濡れとなり、気分も完全に滅入ってしまう。
やがて、ずぶ濡れで途方に暮れた霞み目でぼやける視界に、幻想的な白い飛沫が飛び込んでくるだろう。
これらを見ていると、かなり凄い土砂崩れが過去にあった事が想像に難くないだろう。
道なき道を伝って、もう足下は元より全身ずぶ濡れとなり、気分も完全に滅入ってしまう。
やがて、ずぶ濡れで途方に暮れた霞み目でぼやける視界に、幻想的な白い飛沫が飛び込んでくるだろう。
その幻想的な美しさに
しばし時の流れが止まる
大龍頭の下部
滝つぼは深い淵となり近づけない
なんと幻想的な滝なのであろうか。 雨に濡れた霞み目をもう一度見開いてみる。
何と美しい、原生林に囲まれて浮き立つような大瀑布があるではないか。 これが、この渓谷最大の瀑布・《大龍頭》である。 落差60m。 とにかく愕然とした。 こんな美しい滝が潜んでいるなんて。
あの案内板によると、この先にも“サラサラ滝”や“きらめきの滝”などの知られざる滝がひそんでいるとの事だが、《大龍頭》から先はもはや完全に道が消失していて、引き返すより他にはなさそうである。 もし、災害後の整備が成されるのなら、いつかこの先も探勝してみたいと思う。 帰りもロープを伝って岩崖を下るなど、危険をはらんでいるので慎重にいこう。
奥の渓谷・雪と氷のおりなす情景
冬の渓流 滝の釜も凍てつく
滝の釜も凍てつく
雪をまとう二段滝
飛沫が創造した『宝玉』
奥匹見峡・お楽の滝
駐車場に戻って雨に濡れた衣類を着替えてから、次の《表匹見峡》に車を進める。
《奥匹見峡》で随分な目に遭ったので、次の《表匹見峡》は車の中から探勝できる楽な行程にしたいと思う。
《表匹見峡》の景勝としては、《お楽の滝》や《小沙夜淵》が挙げられそうだ。
《表匹見峡》の景勝としては、《お楽の滝》や《小沙夜淵》が挙げられそうだ。
車で《表匹見峡》を伝って、《裏匹見峡》の渓谷入口となる『匹見峡レストハウス』へ向かう。
ここに車を止めて、《裏匹見峡》を探勝しよう。 渓谷探勝路は、渓谷に沿って完全に整備されていて歩きよい。 また、所々の見通しが利く場所には展望台が設けてあり、滝をみるのも都合が良い。 設備といい、探勝路の整備具合といい、どうやら『匹見町』ではこの《裏匹見峡》を“主”の渓谷としているようである。
裏匹見峡の“売り”は 裏匹見峡の景観の代表格
岩をかむ瀬と流であろう 平田淵
正に“瀑布”と呼ぶにふさわしい
五段ノ瀑
この《裏匹見峡》の圧巻は《五段ノ滝》であろうか。 《広見川》の流れ全部が五段のスライドを成して叩き落される、真に勇壮な滝である。 この他にも、大きい淵に小さな滝が彩りを添える《平田淵》、流れがあまりにも速く、ともすれば石が上流に動いているかのように見える《流石ノ瀬》、岩と水が創造した芸術・《鈴ヶ嶽》など見どころいっぱいである。
《裏匹見峡》は、探勝路を1時間半もあれば最奥の《鈴ヶ嶽》まで伝う事ができる。
瀬によって岩が上部に動いているような
裏匹見峡・流石ノ瀬
裏匹見峡・流石ノ瀬
帰りは渓谷探勝路を引き返すもいいし、上の車道を歩いていくもいいだろう。
帰りは行程表通り、国道488号線を伝って益田市街にも出る事ができるし、遠方地からならば《裏匹見峡》に平行する道を伝って『中国自動車道』の《吉和I・C》に向かうことも可能だ。 もし、機会があれば、是非この神秘の渓谷をめぐる事をお薦めしたいと思う。
奥の渓谷・冬の静寂
澄んだ水の流れが
冬の静寂を物語る
冬の五段瀑
広い釜淵に静かに水を落とす
なお、この探勝は約20年前(冬季の写真は14~15年前)のものですので、現況は違っているものと思われます。 詳しくは地元の役所等の観光課にお問い合わせ下さい。
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No title * by gamba_hanshin19
冬の滝はホントに良いですね。
No title * by 風来梨
gamba_hanshin19さん、こんぱんは。
いつも見て頂いて、有難うこざいます。
冬の滝はホントに神秘的な美しさを魅せてくれます。
ですが、容易に近づけない厳しさもあります。
それが更なる魅力となっているのですね・・。
いつも見て頂いて、有難うこざいます。
冬の滝はホントに神秘的な美しさを魅せてくれます。
ですが、容易に近づけない厳しさもあります。
それが更なる魅力となっているのですね・・。