風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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私の訪ねた路線  第117回  根室本線 その3  釧路~根室

『私の訪ねた路線』  第117回  根室本線 その3  釧路~根室  〔北海道〕
 

さよなら混合列車記念・根室駅入場券
 
《路線データ》
     営業区間と営業キロ          輸送密度 / 営業係数(’15) 
    滝川~根室 446.8km               976  /  424
             ※ 新得~帯広を除いた数値
釧路~根室 運行本数(’19)
     釧路~根室 6往復(内 下り1本・上り2本快速〔はなさき〕、〔ノサップ〕)
     釧路~厚床 2往復
 
   《路線史》
旭川と釧路を結ぶ幹線鉄道として、北海道官設鉄道によって建設された路線である。 長大な路線ゆえに旭川・釧路の両端より建設が進められる。 旭川側が1899年に美瑛まで、釧路側が1901年に白糠までを開業させたのを皮切りに延伸を続け、1907年に難工事であった狩勝トンネルが完成した事で旭川と釧路を結ぶ幹線鉄道が完成した。

その後、1913年に滝川~富良野の新線が開通し、旭川~富良野を富良野線として分離させ、起点は滝川に変更される。 また、根室までの延伸も行なわれ、1917年には厚岸まで、1919年には厚床、そして1921年には念願の根室までの全通を果たしている。
 

『地平線の見える駅』でなかったのね

この路線の一大転機といえば、間違いなく石勝線の開通による運行系統の大いなる変換であろう。
1981年に日勝国境を貫くルートで石勝線が完成すると、道東都市と道都・札幌とを結ぶ主要ルートは、滝川周りよりも50km近い石勝線ルートと変わったのである。

また、本州より北海道への旅客シェアが圧倒的な千歳空港が、札幌・函館に変わっての『道東への玄関口』となっていったのである。 石勝線は千歳付近の追分で道東に向けて分岐する事からこの対応にも好都合で、特急・急行などの主要列車のほとんどは石勝線経由と換えられていったのである。

1988年の新千歳空港完成以降は完全にこちらが幹線となり、新得~滝川はかつての急行【狩勝】が快速に格下げとなって滝川・富良野にそれぞれ1往復のみとなった完全なローカル線となってしまったのである。 それに伴い、TVドラマで知名度が挙がった富良野市以外の沿線都市は過疎化し、凋落が顕著になっていくのである。

また、道東・釧路の人口も減少気味で、東端の根室に至っては深刻な過疎化が進行しているとの事である。 もはや、帯広~札幌だけが都市間輸送の任を担っているといっても過言ではないだろう。
そうなると、極端ではあるが根室本線が幹線として稼動している区間は新得~帯広だけ・・との解釈もできるのである。

この根室本線も、先程に記した宗谷本線同様に国鉄再建法によって支線が尽く廃止され、幹線だけの『本線』化しているのである。 道東・厚床からの標津線、白糠からの白糠線、第三セクターに移管の後に廃止となった旧池北線のちほく高原鉄道、帯広からの広尾線と士幌線と、実に総延長450kmにも及ぶ支線が廃止されているのである。
 

最も岬の情景に相応しい岬
落石岬
 
線風景では、1966年に新線にルート変更されて少し迫力は落ちたそうだが『日本三大車窓風景』にも選ばれた狩勝峠や、太平洋の波打ち際をゆく厚別~音別、そして雄大な原野風景を魅せる釧路以東をお薦めしたい。 中でも、道東・根室の落石岬周辺の風景は大陸的で、北海道の雄大なる大地を大いに満喫できるのである。
 

 

冬の氷結したラムサール条約指定のチライカリベツ川で
 
    ※ 滝川~帯広は、前回の『第116回 根室本線 その2』を御覧ください。
 
  《乗車記》
根室本線のその3では、ツンドラの原野を行く根室本線で最も魅力あふれる最後の区間を御紹介しよう。 そう、この区間は、日本の情景より飛び出た大陸的な自然情景あふれた車窓風景が展開されるのである。 それでは、釧路駅からもはや同じ路線名を名乗りながら、完全に独立した運行系統となっている釧路~根室間を乗ってみよう。
 
釧路駅の母屋寄りの1番線は、まがいなりにも“本線”と呼べる帯広から札幌方面行きの特急列車の専用ホームだ。 根室“本線”側の普通列車と『花咲線』と呼ばれる根室方面行きと、釧網本線の網走方面行きは、母屋より離れた島式ホームの2番3番から発車する。
 
車両は、『花咲線』となのるこの区間専用のキハ54だ。 残り数少なくなってきた国鉄型の精悍した面構えの車両である。 中は座席がクッション性の良い転換クロスシートに替えられて、乗り心地も上々だ。
 

根室本線の最端区間は
大陸的な情景が展開する
 
釧路駅を発車した根室本線の最短区間の列車は、区間にほとんど街らしきものがないせいか、快速にぶっ飛ばしていく。 まずは、東釧路。 釧網本線の分岐駅だが島式ホーム1面2線の無人駅で、分岐する方向に従って母屋寄りが釧網線、反対側が根室本線となっているようだ。 だが、列車交換の時などは無視される傾向にあるらしい。
 
次の武佐は、駅の南側に建設された新興住宅街の利便の為、昭和末期に設けられた駅である。
即ち、この駅までが釧路市の市街地輸送の任を担っているのである。 次の別保は釧路町の中心駅だが、街の市街地は釧路市に隣接している・・との事で、町役場だけがポツネンとある国道沿いの無人駅だ。
駅舎も無人化によって、白いツーバイフォー状のモノに建替えられている。
 
次の上尾幌からは、厚岸町となる。 厚岸町に入ると途端に周囲の情景は、原野地帯とオアシスの関係となってくる。 即ち、原野の中の“オアシス”=小集落に駅があり、駅を出ると再び原野という感じである。
 
なお、この上尾幌は、釧路八千代炭鉱の炭鉱町として栄えた所であるが、今は国道から離れた寒村と化している。 上尾幌から尾幌へは、一度離れた国道44号線に向かって進んでいく。 尾幌は、貨物の車掌室駅舎だ。 国道から尾幌集落へ入っていった最奥に駅がある。
 

門静駅の旧駅舎
結構レアでないかい?
 
次の門静は、真に小集落=“オアシス”に駅が設けられた典型だろう。 原野の中に小さな集落があるだけの所である。 なお、近年に駅舎がログハウス状のモノに建替えられたが、建替えられる前の駅舎は『片流れを組み合わせた屋根』という珍しい構造の木造駅舎で、現存すれば文化財級の価値が認められたであろう。
 
次の厚岸はこの区間最大の駅で、根室地域の観光の拠点でもある。 それは、この厚岸には海跡湖の厚岸湖があり、牡蠣を中心とした海の幸が豊富である事、海沿いの湿原・霧多布への実質的な玄関口である事が挙げられる。
 
厚岸を出ると、列車は厚岸湖に沿って大きく迂回する。 厚岸湖に流入する別寒辺牛川の河口まで迂回すると、厚岸湖と共にラムサール条約に登録された別寒辺牛川湿原の中を行くようになる。 そしてこの区間は、ラムサール条約指定地の別寒辺牛川湿原の真ん中を根室本線の線路を伝う、我が国で最も贅沢な鉄道路線となる。 それでは、その情景の一部をごろうじろ。
 

ラムサール条約指定湿地のど真ん中を
大きくめぐっていく日本一贅沢な区間だ
 

夏は車窓から水鳥が舞う姿が見られるかも
 
この湿原地帯を突っ切ると、糸魚沢に着く。 糸魚沢は、先程に述べた門静駅の旧駅舎と同じ『片流れを組み合わせた屋根』造りの珍しい木造駅舎である。 こちらは今なお現存しているが、門静駅を取り壊した後でその貴重な建物の価値を指摘され、こちらは保存していくように方向転換したのだろうか。
 

貴重な木造駅舎が現存する糸魚沢駅
 
次の茶内は、浜中町の字集落としては霧多布にある町の中心に次いで大きなもので、かつては急行【ノサップ】、今は快速を含め然列車が停車する。 何でも御当地は、漫画・アニメの大ヒット作『ルパン三世』の作者の出身地らしく、最近はそれにあやかって『ルパン三世ラッピング』の気動車も出現したようである。
 
だが、周囲の素晴らしい情景とアニメとは全く接点がなく、可哀相に気動車が周囲の素晴らしい風景に溶け込む事ができずに浮いている。 この事により『ルパン詣で』などで「乗客が増えた」との報も聞いていないし、その効果も全くといってないだろう。 地平線が展開する情景では、都会のアニメは浮いてしまう虚しい存在なのである。 一人の鉄道好きとして、こんな愚行は止めて頂きたいと切に思う。
地域を活性化するなら、魅力が尽きる事のない大陸的な風土を大いにアピールして頂きたいと思う。
 
霧多布の情景
こんな素晴らしい情景があるのに
御当地からかけ離れたアニメはないだろう

霧多布の野馬たち
海霧は瞑想的な情景を魅せて
そこで育まれた野馬たちは限りなく穏やかな表情を魅せる
 

名も知らぬ花たちが
短い北の夏を謳歌して
霧多布湿原の夏
 

名も無き穂草が精一杯生きる
意志を魅せているような
 
次の浜中は、霧多布湿原への東側からの玄関口となる駅だ。 霧多布へのバス便も数本出ている。
また駅は観光案内所との合築駅で観光に力を入れる意思はあったものの、観光の玄関口としては厚岸口に比べて不便さは隠し切れず、浜中町の中心市街地とを結ぶ路線バス化しているとの事。
 
次の姉別は原野の中の小集落に駅が設けられた典型である。 駅の周囲にある小集落を除くと、前後左右は完全な原野だ。 次の厚床からは、行政区は根室市となる。 厚床はかつて標津線が分岐していた駅で、標津線専用の2番線を含めて2面3線のジャンクション駅であった。
 

厚床駅の“2番線”は
1日4本の標津線列車のための専用ホームだった
 
駅の南方は原野となり地平線が望める駅であったが、今は島式のホームは撤去されて寂しい限りだ。
駅舎もかつての情景からしたら、雰囲気に合わない西洋風の駅舎に建替えられている。
 

標津線在りし頃の厚床駅
これこそ『駅』である
 

『地平線の見える駅』として
有名な厚床駅
 
次の初田牛は、根室本線のこの区間のお約束の“オアシス”=集落さえない原野の真ん中に駅がある。
駅舎は姉別と同じく簡易プレハブ待合室である。 次の別当賀も初田牛と同じような原野にある駅だが、寄り添う道路がまともな分だけマシのようである。 車掌駅舎の駅だ。
 

落石付近では
“東の果て”の情感あふれる眺めが続く
 
次の落石へ向けて、原野から太平洋岸に進路を向けていく。 落石は漁港町で、落石岬の最寄り駅だ。
この落石岬は、私の思う岬風景の原風景である。 それについては、宜しければコチラをどうぞ。
 

根釧原野の海岸段丘を伝う
 

夜の落石駅
小吹雪の雪と氷点下の外気
そして列車の光が共鳴して
“ダイヤモンド・ダスト”を魅せてくれた
 
次の昆布盛は、ホーム脇に待合室のある典型的な無人駅。 もちろん、太平洋の昆布の水揚地から名づけられた駅である。 次の西和田は現在貨車駅であるが、かつては交換設備のある有人駅だったようである。
なお、最寄り駅としては遠過ぎて利用者は皆無であるが、温根沼春国岱(下線をクリックすると、素晴らしい情景に飛びますよ・・ クリックすると筆者も大いに喜びますし・・)への最寄り駅である。
 
次の花咲は、花咲漁港の最寄り駅だが、港までは少し離れている。 花咲を出ると線路は左に大きく弧を描いて北上していく。 その途中に、我が国最東端の駅・東根室がある。 でも、この最東端駅は駅舎すらない乗降場にも劣るタイプの棒線駅だ。 周囲は根室市の住宅街を形成しているが、一家に2台3台と所有されるマイカーがあるゆえに、乗降客はかなり少ないとの事。 聞く所によれば、最端フリークの鉄道ファンの方が多いそうである。
 

根室駅スタンプ
 
東根室を出ると、やや西側に食い込むように周り込んで終着根室に着く。 駅舎の壁に『ねむろ』と書かれた文字が印象的だ。 根室の街は国道沿いに展開しており、街の移動は車・バスのようで根室本線の利用は厚岸や釧路への利用客に限られているようだ。 なお、これより我が国最東端・ノサップ岬へとバスが延びている。 ノサップ岬の情景も、宜しければコチラをどうぞ。
 
    ※ 詳細は『魅惑の鉄道写真集』より『根室本線』を御覧下さい。
      また、『撮影旅行記集』より『滝と鉄道の旅・冬』、『地球遺産と鉄道の旅』もどうぞ。
 
 
 
 
 
 
 
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