2013-01-07 (Mon)✎
『日本百景』 冬 第41回 高見山 〔奈良県・三重県〕
お山をいつまでも美しく
高見山山頂にて
今回は、近畿地方で唯一樹氷が望まれる・・という高見山に、その季節・冬に登ってみよう。
だが、高見山は樹氷が望めるといっても標高が低いので、朝方を過ぎると解けて落ちてしまうのである。
だが、高見山は樹氷が望めるといっても標高が低いので、朝方を過ぎると解けて落ちてしまうのである。
従って、私は夜間山行を試みたのであるが。
まぁ、これは、少々精神的にタフ(というよりアホ!?)でないと実行できないので、特にお薦めはしないのであるが。 それでは、高見山に登ってみよう。
まぁ、これは、少々精神的にタフ(というよりアホ!?)でないと実行できないので、特にお薦めはしないのであるが。 それでは、高見山に登ってみよう。
高見山登山ルート行程図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
橿原市街より車(1:20)→高見峠(0:50)→高見山(1:20)→高見峠(1:40)→木梶三滝入口(0:20)→キワラ滝(0:40)→木梶三滝(0:40)→木梶三滝入口(1:40)→高見峠より車
橿原市街より車(1:20)→高見峠(0:50)→高見山(1:20)→高見峠(1:40)→木梶三滝入口(0:20)→キワラ滝(0:40)→木梶三滝(0:40)→木梶三滝入口(1:40)→高見峠より車
(1:20)→橿原市街
さて、この高見山に登る自体はそれ程の苦もなく登っていけるので、一番の問題はアプローチの事となる。 それは、交通機関が全く使用に耐えないという事だ。 従って、マイカーでのアプローチとなるが、ここで怖いのは路面凍結だ。 もちろん、タイヤチェーンは当たり前の事としても、それでも滑るのである。
特に、国道166号より離れて旧国道の峠道に入ると、完全なアイスバーンとなっているので、運転に自信(筆者もないが)のない方は旧国道の分岐に車を止めて、翌朝2時間早く出発する事をお薦めする。
さて、この項目をこの行程表通りに実行(決してお薦めはしないが)するなら、必ず前日までに《高見峠》までアプローチをして頂きたい。 そして、車の中で仮眠を取って、夜明け前の4:30頃の出発となる。
《高見峠》は便所の施設があるなど、全くの山中という訳でもないので一晩の車寝位は可能だろう。
カンテラとアイゼンとピッケルを用意して、買い置きの朝食のパンと飲料水・暖取り用に携帯コンロとカメラをザックに詰め込んで出発だ。
鳥居の立つ登山口をくぐると、丸太の階段の登りとなる。 何分、真っ暗闇にカンテラ一つなので、アイゼンを丸太に引っ掛けないように注意したい。 やがて、右に折れて樹林帯の中に入り、完全に雪面となった急坂を登っていく。 たぶん、初めての通行となるので、雪面の踏跡はほとんど期待できない。
カンテラをかざすと雪が白く光り、真っ暗闇のはずなのだが結構前方が視認できる。 ここは、今までの山での体験に基づくルートファインディング力で、通路を的確に読んでいこう。 概ね、樹林に囲まれて登りやすい斜面が通路である。 この樹林帯を抜けると大いに展望が開けた所に出る。 ここにはベンチが設置されていて、展望台となっているのであろう。
上を見上げると、月明かりに照らされて高見山の丸っこい頂上丘が見渡せる。
振り返ると満点の星空の下、台高の山々がシャドーとなって紺の空に溶け込んでいる。
そして、東の空がほんの少し白くなっている。 夜明けは近いのだ。
ここからは見上げる高見山の頂上丘に向かって、ジグザグを切りながら登りつめていく。
鳥居の立つ登山口をくぐると、丸太の階段の登りとなる。 何分、真っ暗闇にカンテラ一つなので、アイゼンを丸太に引っ掛けないように注意したい。 やがて、右に折れて樹林帯の中に入り、完全に雪面となった急坂を登っていく。 たぶん、初めての通行となるので、雪面の踏跡はほとんど期待できない。
カンテラをかざすと雪が白く光り、真っ暗闇のはずなのだが結構前方が視認できる。 ここは、今までの山での体験に基づくルートファインディング力で、通路を的確に読んでいこう。 概ね、樹林に囲まれて登りやすい斜面が通路である。 この樹林帯を抜けると大いに展望が開けた所に出る。 ここにはベンチが設置されていて、展望台となっているのであろう。
上を見上げると、月明かりに照らされて高見山の丸っこい頂上丘が見渡せる。
振り返ると満点の星空の下、台高の山々がシャドーとなって紺の空に溶け込んでいる。
そして、東の空がほんの少し白くなっている。 夜明けは近いのだ。
ここからは見上げる高見山の頂上丘に向かって、ジグザグを切りながら登りつめていく。
先ほどの展望台からは道標が次々と現れてきて、進路の不安はなくなる。 稜線に近づいているのか雪も先程よりは少なくなり、楽に高度を稼いでいける。 やがて、『頂上まであと300m』の標柱を見やると、大きなつづら折りでジグザクに斜面をつめていく。
夜明け空に染まる台高山系
そろそろ東の空も赤く染まりだして、先程まで暗闇に溶け込んでいた台高の山なみがくっきりとその姿を魅せ始める。 数回つづら折りを経ると、見上げる位置に立派な祠が建っているのが見えるだろう。
そこが高見山 1249メートル の頂上だ。
立派な祠の建つ高見山頂上
峠から高見山頂上まで標高差300m・所要時間50分と、冒頭で述べた通り登山としてはハイキングコース程度の簡単なものだ。 例え雪があったとしても、初心者でも登っていけるだろう。
朝日に色づく台高の山なみ
だが、それだけでは、『日本百景』たる眺めにはありつけない。 その『日本百景』たる眺め。
それは、掲載する写真で物語るとしよう。 これを見たいが為に、こんな苦労をするのだから。
高見山の頂上到着は6時前。 空は赤く染まり出した頃だ。 日の出は7時過ぎ。 多少の時間がある。
ここは頂上直下にある避難小屋兼展望台で、日の出時まで待機する事にしよう。 ここで活躍するのが、携帯コンロである。 紅茶のティパックなどを持参したなら、朝食は豪華なブレックファーストに変わる。 この条件だと、少しの優位な事がとても贅沢な事に感じてしまう。
そして、日の出時。 この日は、素晴らしい色彩を魅せた日であった。 始めは、“ガスって、ダメだな”と思ったのであるが、その水蒸気に朝日が反射して黄金色に輝いたのだ。 何ともいえぬ素晴らしい色彩。 これこそ、『日本百景』たる情景。 キツい夜間山行をしてでも見たかったものなのだ。
霧に朝日が当たり
得もいえぬ色彩を放つ
この情景の前には、どんな文を連ねても当てはまらない。 そして、二度と見る事が叶わないかもしれない。 そんな『日本百景』たる情景を目にしたのは、幸福であったと思う。 やはり、山の朝は、何かしらの“クライマックス”があるのだ。 しばし、寒さを忘れてこの“クライマックス”に酔おう。
朝霧に光が当たり黄金色に輝いた瞬間
朝の光が高くなり空が白くなってきたなら、こんどは避難小屋の屋上にある展望台に上がってみよう。
そこからは、《香落谷》の山々が朝日に染まっている姿が望まれるだろう。 中でも、倶留尊山や兜岳の特徴ある姿に目を奪われる事だろう。
そこからは、《香落谷》の山々が朝日に染まっている姿が望まれるだろう。 中でも、倶留尊山や兜岳の特徴ある姿に目を奪われる事だろう。
薄化粧を始めた台高の山なみ
1000mそこそこの“他愛のない”と思われがちな山なみが、朝の色づく空と調和して感動的な情景を魅せてくれるのだ。 例え雪がなくても(最初に行った時は雪がなかった)努力をしたなら、山は・・自然は・・必ず答えてくれる。 私はそう信じている。
樹氷を前景に
台高の山なみを望む
いつまでもこの景色に酔っていたいが、朝の景色はすぐに終わりとなる。 日が高くなると、そろそろ樹氷も解け始めてくる。 こうなってくると、そろさろ引き返し時だ。 下山であるが、往路を戻るのであるが夜に通ったので展望を含めて、初めて下るルートの感覚で下りていく事ができる。
贅沢な眺めの下山道
山頂よりつづら折りの坂を下っていくが、南面には常に台高の山なみが望まれる。 これを見ながらの贅沢な下り道だ。 カメラを取り出して歩き撮りをしていると、登りに擁した時間の1.5倍位かかるかもしれない。 でも、下りに1時間半かかったとしても、《高見峠》に着く時刻は9時半前後である。
ここは、できるだけ贅沢に下っていこう。 着実に下って300m毎の道標を3本見やると、ベンチのある展望台の前に出る。 ここから仰ぎ見る高見山の情景は、真に感慨深い。 夜に見た月明かりに照らされたあの情景があるからであろう。
展望台より望む高見山は
限りなくまろやかであった
展望台を過ぎると樹林帯に入り、しばらく雪原を下ると《高見峠》の鳥居の前に飛び出し、幻のようなこの山行が終わりを告げる。 これで高見山の登山は終わったのであるが、先程も述べた通りまだ時間は9時過ぎだ。 残りの時間は付近にある滝めぐりもいいし、麓の国道沿いに湧く《高見の湯》めぐりもいいだろう。
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