2012-12-26 (Wed)✎
名峰百選の山々 第83回 『39 北奥千丈岳 ・ 38 甲武信岳』 長野県・山梨県・埼玉県
秩父山系(秩父多摩国立公園) 北奥千丈岳 2601m、甲武信岳 2475m
コース難度 ★★ 体力度 ★★★
秩父連山の殿・雲取山から望む
奥秩父の山なみ
《メインサイトより抜粋》
日本の山地で南北・中央アルプス次いで高い山地が、この秩父山域である。 最高峰・北奥千丈岳 2601メートル を先頭に、金峰山 2599メートル ・国師ヶ岳 2592メートル ・甲武信ヶ岳 2475メートル など2500m級の山が数座連なる。
この秩父連山は、長大な褶曲山脈で火山は1つもなく、山肌は深い森に覆われている。 このように植物の生育条件はいいのだが、厳しい条件でこそ育つ高山植物があまり見られないのが残念である。
しかし、この山域を源とする大河川が多くあり、その源流地帯は深く切れ込んだ見事な渓谷美を魅せて、これが原生林の深い緑と共にこの山の大きな魅力となっている。
秩父連山縦走コース 行程図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR韮崎駅よりバス(1:05)→増富温泉より乗合タクシー(0:20)→瑞牆山荘
《2日目》 瑞牆山荘(0:50)→富士見平(1:50)→瑞牆山(1:40)→富士見平
《1日目》 JR韮崎駅よりバス(1:05)→増富温泉より乗合タクシー(0:20)→瑞牆山荘
《2日目》 瑞牆山荘(0:50)→富士見平(1:50)→瑞牆山(1:40)→富士見平
(1:00)→大日小屋
《3日目》 大日小屋(2:30)→金峰山(2:20)→大弛峠
《4日目》 大弛峠 (0:40)→北奥千丈岳 (0:15)→国師ヶ岳 (2:00)→東梓
《3日目》 大日小屋(2:30)→金峰山(2:20)→大弛峠
《4日目》 大弛峠 (0:40)→北奥千丈岳 (0:15)→国師ヶ岳 (2:00)→東梓
(3:30)→甲武信ヶ岳(0:20)→西沢遊歩道分岐(0:25)→千曲川水源地標
(2:20)→モウキ平(1:00)→梓山バス停よりバス(0:35)→JR信濃川上駅
※ 『名峰百選 第82回 金峰山』・・《3日目》行程からの続き
《4日目》 北奥千丈岳・甲武信ヶ岳を踏んで下山
今日は前回に予告した通り、10時間超のロングラン行程だ。 下り基調といえども、かなりキツい行程である。 当然、出発時間も早朝5時台に設定せねばならない。 だが、【名峰百選】の峰を2つ制覇して、なおかつ日本一の大河・信濃川(長野県内は千曲川)の源流水源より湧き流れる清水で喉と心の渇きを潤すことができる、“歩き甲斐”のあるコースだ。 体調と相談して、無理のない範囲でチャレンジして頂きたい。 それでは出発しよう。
奥秩父の縦走路は、《大弛小屋》の脇から延びている。 登山口からいきなりの急傾斜だが、傾斜段ごとに丸太がかましてあり登りやすい。 丸太の急坂を15分程登ると、《夢の楽園》というハイマツと岩の小庭園に出る。 《大弛小屋》で“売り出し中”の庭園だが、あまりにも小規模すぎて印象度は低い。
ほんの20mほど庭園風景を見たあと、すぐにハイマツの生い茂る中に潜り込んでいく。 やがて、廃道となった《夢の楽園》を経由しない『旧道』を併せて、ひと登りすると《三繁平》だ。 ここで道は2つに分かれる。 左へ進むと甲武信ヶ岳への奥秩父縦走路だ。 右は秩父連山の最高峰・北奥千丈岳に連なっている。 北奥千丈岳を踏んだ後に奥秩父を縦走するので、荷物をデポして気軽に往復してこよう。
今日は前回に予告した通り、10時間超のロングラン行程だ。 下り基調といえども、かなりキツい行程である。 当然、出発時間も早朝5時台に設定せねばならない。 だが、【名峰百選】の峰を2つ制覇して、なおかつ日本一の大河・信濃川(長野県内は千曲川)の源流水源より湧き流れる清水で喉と心の渇きを潤すことができる、“歩き甲斐”のあるコースだ。 体調と相談して、無理のない範囲でチャレンジして頂きたい。 それでは出発しよう。
奥秩父の縦走路は、《大弛小屋》の脇から延びている。 登山口からいきなりの急傾斜だが、傾斜段ごとに丸太がかましてあり登りやすい。 丸太の急坂を15分程登ると、《夢の楽園》というハイマツと岩の小庭園に出る。 《大弛小屋》で“売り出し中”の庭園だが、あまりにも小規模すぎて印象度は低い。
ほんの20mほど庭園風景を見たあと、すぐにハイマツの生い茂る中に潜り込んでいく。 やがて、廃道となった《夢の楽園》を経由しない『旧道』を併せて、ひと登りすると《三繁平》だ。 ここで道は2つに分かれる。 左へ進むと甲武信ヶ岳への奥秩父縦走路だ。 右は秩父連山の最高峰・北奥千丈岳に連なっている。 北奥千丈岳を踏んだ後に奥秩父を縦走するので、荷物をデポして気軽に往復してこよう。
奥秩父最高峰
北奥千丈岳頂上
《三繁平》より10分足らずで奥秩父の最高峰に立てる。 北奥千丈岳・標高2601m。 奥秩父で唯一、2600mを越えている【名峰百選】の峰だ。 その頂上は、ハイマツやツガ・シラベなどの樹林と白亜の岩で創造された庭園となっていて、奥秩父のもう一つの盟主・金峰山の華やかさとはまた違った“静”なる趣を魅せている。 山上庭園で“静”なる趣を存分に味わったなら、再び縦走を続けるべく《三繁平》へ戻ろう。
荷物を回収して、先程の分岐を今度は左に進路を取る。 《三繁平》より5~6分で国師ヶ岳 2591メートル に登り着く。 この山の頂からは、標高差350mの急降下となる。 アカマツ・シラビソ・ツガなどの原生林の中に刻まれた道を、ほぼ直線的に下っていく。 これらの原生林の樹海の中は、朝日が昇る東側でさえ鬱蒼として薄暗い。 また、常に霧が発生して、樹林のたもとには冷風が漂っている。
何か、人間の住む世界とは別の次元に迷い込んだ錯覚を覚えてしまう。
甲武信ヶ岳へは
深い樹林帯の中を伝っていく
そして、なかなか終わらぬ急下降にやや不安も感じる頃、大きなツガの樹に小さく『国師ノタル』と記された札が打ちつけられて、ひとまずホッとする。 ここからは倒木がやたら目立つ中を、上り2・下り1の割合で上下していく。
薄暗い樹林帯の中を倒木を跨ぎ、あるいはくぐったりしながら進むので、かなり時間を食う。
やがて、最も急な傾斜を乗り越えると、樹林が囲む小狭い丘に野球の“塁ベース”大の三角点標柱が埋め込まれた東梓 2272メートル の山頂に着く。
三角点頂上に立ったとはいえ、樹木に囲まれて展望に乏しく、“中間点”位の感覚しか湧いてこないだろう。 この東梓より、あと30分程歩いた《両門ノ頭》という所の方が、より開けた岩崖の上で涼風もそよぐいい休憩場所となろう。
やがて、最も急な傾斜を乗り越えると、樹林が囲む小狭い丘に野球の“塁ベース”大の三角点標柱が埋め込まれた東梓 2272メートル の山頂に着く。
三角点頂上に立ったとはいえ、樹木に囲まれて展望に乏しく、“中間点”位の感覚しか湧いてこないだろう。 この東梓より、あと30分程歩いた《両門ノ頭》という所の方が、より開けた岩崖の上で涼風もそよぐいい休憩場所となろう。
この《両門ノ頭》まで4時間近く。 “まさか、これ程かかるとは”という焦りの気持ちさえ出るだろうが、ここからは《ミズシ》と呼ばれるピークの急登が1ヶ所あるだけで、後は平凡な山道で距離の割には時間がかからない。 また、立ち止まって見入るような所もないので、ここからイッキに下山道分岐まで歩いて行こう。
《ミズシ》の急登を越えて、下り基調の歩き良い道を進んでいくと、『千曲川水源地標を経て梓山へ』との道標が樹木に打ちつけられている《千曲川源流遊歩道分岐》に着く。 この道が下山道である。
ここに重いザックをデポして、空身で甲武信ヶ岳を往復してこよう。 甲武信ヶ岳へは最後に岩ガレの急傾斜を登りきるのを含めて、所要約25分位である。
《ミズシ》の急登を越えて、下り基調の歩き良い道を進んでいくと、『千曲川水源地標を経て梓山へ』との道標が樹木に打ちつけられている《千曲川源流遊歩道分岐》に着く。 この道が下山道である。
ここに重いザックをデポして、空身で甲武信ヶ岳を往復してこよう。 甲武信ヶ岳へは最後に岩ガレの急傾斜を登りきるのを含めて、所要約25分位である。
甲武信ヶ岳頂上にて 甲武信ケ岳頂上より霞む雲海を望む
奥秩父の長い稜線を苦労して歩いてきての甲武信ヶ岳登頂は、また感慨もひとしおだ。 それに、山名標の下にある行政区分に『埼玉県』と示されているのも感慨深い。 “長野県から関東地方まで歩いた”という実感をひしひしと感じたからであろうか。
ワテは、この甲武信ヶ岳も【名峰百選】に選んでいる。 その理由は、“山の歴史や品格がどうのこうの・・”といった下らぬ理由ではなく、この山頂に登り着いた時に感じた“感慨深さ”が、“この山に登りたい”という魅力に通ずると思ったからである。
甲武信ケ岳の山頂での感慨のひとときを味わったなら、そろそろ下りに取りかかろう。 今日の行程は歩く距離が長いだけに、昼の12時過ぎには下山に取りかかりたい。 もし、甲武信ケ岳までの縦走に時間がかかり過ぎて下山開始時間が遅くなってしまいそうなら、甲武信ケ岳頂上から直進して15分程の所にある《甲武信小屋》で1泊して、下山を翌日に延ばしてもいいだろう。
甲武信ケ岳から《千曲川源流遊歩道分岐》まで戻り、デポした荷物を回収して、道標の指し示す通りに千曲川源流に向かって下っていこう。 分岐よりしばらく急降下で下っていくと、やがて沢音が聞えてくる。 下っていくごとに沢音が次第に大きくなり、下に身長大の標柱の立つ窪地が見えてくる。
千曲川水源標柱と
この身長大の標柱こそ、《千曲川源流水源》を示す案内標柱である。
これより千曲川、やがて信濃川となる大河が始まるのだ。 この標柱のすぐ下に、山に囲まれた幽谷の中から清楚な沢水が音色涼やかに流れている。 この水源地標より先は、『千曲川源流遊歩道』というハイキングコースとなり、源流の沢に寄り添って《梓山》の登山口まで続いている。 この道は緩やかで、清楚な沢水を眺めながら歩ける気分のいいコースだ。 また、案内標も多くあり、安心して歩いていける。
千曲川水源の沢
この清らかな小沢が
この清らかな小沢が
“大河”・信濃川となる
歩いていくうちに沢幅が徐々に大きくなり、沢を渡るのも飛び石伝いから桟道へと変わっていく。
この変化に、徐々に下っているのを感じる事ができるであろう。 《源流水源地標》より約6km、歩く事2時間余りで、釣り客の車が駐車してある林道の終点に出る。
ここから車も通る砂利道を約1時間歩くと、《梓山》の集落に下り着く。 《梓山》の集落の直前は高原野菜の大規模農場が広がっていて、キャベツ畑の中を一筋に続く道を歩いていく。 登山口を抜けて終える山行とは、ひと味違った印象深い終わり方である。 《梓山》からJR信濃川上駅へは、1日8本のバスが出ているので、帰りの“足”は心配ないだろう。
- 関連記事
スポンサーサイト
No title * by 風来梨
オータさん、こんばんは。
北奥千丈岳は最高峰ながら、山岳地図にやっと載る程度の知名度しかありませんので、ほぼ知られていないのですね。
また、縦走路から離れているので、知らない人は寄らずに通り過ぎてしまう可哀相な最高峰です。
でも、大弛小屋から1時間ほどですので、シーズン中なら日帰りができる山です。 大変なのは、そこから埼玉県へ向けての縦走路です。
もしお立ち寄りの機会がありましたら、秩父山地唯一の2600m峰を是非。
北奥千丈岳は最高峰ながら、山岳地図にやっと載る程度の知名度しかありませんので、ほぼ知られていないのですね。
また、縦走路から離れているので、知らない人は寄らずに通り過ぎてしまう可哀相な最高峰です。
でも、大弛小屋から1時間ほどですので、シーズン中なら日帰りができる山です。 大変なのは、そこから埼玉県へ向けての縦走路です。
もしお立ち寄りの機会がありましたら、秩父山地唯一の2600m峰を是非。
北奥千丈岳ですか! 覚えておきますね。タイトルらてっきり、南アルプスの山かと… とぢらも行ってみたかったのに、未だに未訪の山域でして。失礼しました。