風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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名峰次選の山々 第78回  八海山

名峰次選の山々 第78回  『136 八海山』  新潟県
越後山系(越後三山只見国定公園) 1778m コース難度 ★★★★  体力度 ★★
 

紅葉の衣をまとう八海山の岩塔
 
八海山は『越後三山』の1峰とはいえ
越後駒ヶ岳とはこんなに離れている

八海山は《越後三山》の一つに挙げられる山塊だが、《越後三山》の“越後一郎・次郎”と呼ばれる越後・中ノ岳 2085メートル・越後駒ヶ岳 2003メートルとは距離を置き、これらの山からの縦走路はあるものの、これらの山との間に標高差800mに及ぶ大きなギャップが存在しているので、八海山は別の山系の山として認識した方がいいかもしれない。 現に、この縦走路は通行がほぼ皆無となり、ネマガリタケのヤブとなって廃道化しているとの事である。
 
その八海山単体の登山についてであるが、標高も低く簡単なように感じるが、登山道となっている《屏風道》と《新開道》のいずれも稜線に出るまで登り5時間近くの所要がかかり、いずれも上部は垂直の岩峰の鎖場となるなど、玄人向けの内容となっている。

また、夏の《千本檜小屋》営業期間ならそれも構わないが、日が短くなる秋はこういう長く難度の高い行程は考えモノだろう。 秋は山上で幕営するにしても気温がグッと下がるので、水場の確保も含めてフラットで安全な宿泊場所が確保されない限りは日帰り行程を主とした方がいいだろう・・とも思う。

だが、“日帰り行程”で計画してみても、この八海山はかなり踏破し辛い山である事が解る。 
それは日帰り向けのルートとして、往復《八海山ロープウェイ》の利用で《大崎登山道》の四合目にある山頂駅からスタートする方法が挙げられるが、このロープウェイの始発は8:30とかなり遅く、また下りの最終も16:20と早めなのだ。

即ち、山上での滞在時間が7時間40分しかないのである。 これは登り3時間半・下り3時間のルート所要時間を差し引くと、余裕は僅かに1時間ほどしかない計算となるのだ。
 

八海山の岩塔が紅葉で染まる

この時間的に切迫する中で、滑落すれば確実にあの世行きの八海山の鎖場ルートを伝って岩峰を経て、更に奥の八海山最高峰の入道岳までを往復すると、少しのアクシデントでロープウェイ時間に戻る事ができない事態ともなりかねないのである。

このような訳で今回は『鎖場めぐり』より最高峰の踏破を優先したので、巻道往復となってしまった。
鎖場ルートは、次回来訪時に山上で泊まるなどして時間的な余裕を持って挑む事にしたい。
 

八海山登山ルート 行程図
 
    行程表            駐車場・トイレ・山小屋情報
JR六日町駅より車(0:30)→八海山スキー場・ロープウェー前バス停 
(0:10)→ロープウェイ山頂・大崎口四合目(0:40)→六合目・岡女堂避難小屋
(1:00)→八海山・薬師岳(0:10)→千本檜小屋より鎖場・巻道合流点へは下記参照
  
※ 千本檜小屋より八海山を忠実に伝って大日岳に至る鎖場ルートと、その下を巻く巻道ルートがある
   鎖場ルートは垂直の岩峰を上下する熟達者向でかなり危険、巻道ルートも鎖場ハシゴ有
   所要は鎖場ルートと巻道の合流点まで、鎖場経由で1:20・巻道ルートで1:00

鎖場・巻道合流点(0:30)→八海山・入道岳(0:30)→鎖場・巻道合流地点 
(0:50)→千本檜小屋
(0:40)→六合目・岡女堂避難小屋(0:20)→ロープウェイ山頂・大崎口四合目
(0:10)→八海山スキー場・ロープウェー前バス停より車(0:30)→JR六日町駅
 

今回は最高の彩りへ御案内します
 
前述のように《八海山ロープウェイ》の始発は、フラストが溜まる程に遅い。 「往復6時間以上の行程の山を登り始めるのが9時前後」という悪条件に、苦虫を噛み潰したような感情を抱いて始発時間を待つ。
 
さて、ロープウェイは7分で標高1140mの《大崎口・四合目》にある山頂駅に着く。 ここから《山上展望台》へは、丸太の段を70~80段上ればいい。 登山届を強制的に書かされて、出発するのが8:45頃であろう。 ロープウェイ駅より『登山道へ』と記された丸太の段を登っていくと八海山神社の社殿があり、社殿を右に周り込むと木道の登山道が続いている。
 

紅葉越しに六日町の街なみを望む
 

紅葉のピーク
紅葉で山肌が赤く染まって
 
始めは起伏のほとんどないヌタ道で、ヌタった所は全て木道が敷設されている。 要するに、この区間は“歩く事がほとんどない”一般行楽客も歩くので、歩道整備されているのである。 やがて、《四合目展望地》を過ぎると木道はなくなり、ヌタ道の普通の登山道となる。 だが、また登りはほとんどない。
登り坂が出てくるのは、《六合目・岡女堂》の避難小屋の直前からである。
 
約30分ほど平坦な道をゆくと、漸く前述の坂を上って《六合目・岡女堂》の避難小屋の前に出る。
避難小屋はかなり立派でトイレもあり、水も10分ほど上がった《祓川》の水場で得れるので十分に使える小屋だ。

登りは、この《六合目・岡女堂》より始まる。 これより、眼前にそびえる《九合目》の薬師岳頂上まで350mの急登だ。 距離は1.3kmとの事なので、結構な急傾斜である。 だが、時期にぴったりあった紅葉満開の山を見ながら行くので、それほどキツくは感じないだろう。 赤く染まった山肌を見ながらの“いい汗”・・といった感じで登っていく。
 

紅葉と秋の芝のほのかな色が調和して
これを目にしながらだと
登りのキツさも感じない
 
途中に、この峰の御神水である《祓川》の水場があり、喉を潤すのもいいだろう。 時に直登、時にジグザクを交えて登っていくと、程なく頂上直下の踏場の乏しい巨大岩盤の鎖場がある。 鎖場は長く100m位はあるだろうか。 だが傾斜は40°程と、それほど厳しいモノではない。 ただ下り時は、足場の乏しい分だけ苦労させられるかもしれない。
 

見下ろすと山裾まで
一気に紅葉が駆け抜けていた
 
この鎖場を乗りきると、程なく八海山の最も左の峰である薬師岳 1654メートル の頂上に着く。
ここは信仰の厚い山らしく石祠が数多く奉られ、その中央に青銅の神像が奉られている。 この薬師岳より少し下って鞍部を越えると、《千本檜小屋》だ。
 
《千本檜小屋》の営業は10月の第2週位までで、紅葉がベストとなる第3週から第4週にかけては残念ながら営業を終えている。 だが、避難小屋とトイレは開放されていて使えるのは有り難い。
 

千本檜小屋と避難小屋を
離れて八つの岩峰へ
 
この先が、いよいよ難関たる八海山の鎖場だ。 今回は時間の配分の不安から往復とも巻道を通ってしまったので、この鎖場の通過はまたの機会を待つとして、下から望む紅葉風景をご覧頂く事にしよう。
それでは、彩り鮮やかな紅葉風景をごろうじろ。
 

紅葉の単をまとう八海山の岩塔
 

逆光でも鮮やかに
 

枯木を添えるとより秋らしく
 
なお、この巻道も鎖場があり、登り時は右利きなら逆手の下りの岩面トラバースとなるので緊張させられる。 だが、写真を撮る足場に不自由しないので、写真をメインならこちらもいいだろう。
 

鎖ルート・巻道ルート 詳細図
 
巻道は《日ノ池》・《月ノ池》という池塘を見送って、ここで途中から鎖場ルートに連絡する登り道を上に分けて、岩塔を巻くように進んでいく。 やがて《新開道》と稜線に這い上がる巻道との分岐に出る。

《新開道》と合流した巻道は、大日岳の岩塔の直下に続く稜線に向けてハシゴの連続で這い上がっていく。 ハシゴが5~6連なり、70~80m登ったか・・と思う頃に、大日岳岩塔の右肩に出る。
これより稜線は八海山の最高峰・入道岳を経て、“越後一郎”の越後中ノ岳まで続いている。
 

八海山の岩塔の最高点・大日岳と
垂直の鎖場
 
また左手には、大日岳の岩塔への2段の垂直の鎖が垂らされている。 これを往復すると恐らく40分程かかってロープウェイの最終に乗り遅れかねないので、真に口惜しいが次回の機会を待つ事にしよう。
ちなみに、この大日岳の下りが最も厳しい鎖場との事である。
 

八海山最高峰の入道岳は
穏やかな山容を魅せていた
 
さて、最高峰の入道岳を望むと、大日岳とは一転してなだらかな山容を示している。 見た目は緩やかに登っていくように見えるが、山肌をヘツる登道は細く痩せていて高度感は結構ある。 特に帰り時の下りは、越後駒ヶ岳との間は1200mの谷底が良く見えるので緊張する事だろう。 大日岳の岩塔直下から約30分で、八海山の最高峰・入道岳 1778メートル に着く。
 

越後一郎(中ノ岳・右)・次郎(越後駒ヶ岳・左)
揃い踏み
 

越後駒の横に
三角錐の頂を魅せる荒沢岳

頂上からの展望は雄大で、“越後一郎と次郎”が下の谷底から1500メートルの高度をもたげている。
そしてその間の谷は紅葉に染まり、スカイブルーの空の下で彩り豊かなキャンパスを広げている。
振り返ると、大日岳の岩塔が紅葉の衣を纏い鎮座している。 その姿は、高貴な身分の法師が色鮮やかな法衣を纏っているかのようだ。
 

錦の法衣をまとう大日の坊主岩
 
そして最も目を引くのか、この先の越後中ノ岳に連なる縦走路であろう。 節々とした尾根状に道が付けられているが、その尾根は“オカメノゾキ”のキレット向けて刃のように切れ落ちているのである。
この眺めは生唾モノである。
 

越後駒ヶ岳との間の深い谷へ
駆け下る紅葉の波の素晴らしき情景
 
恐らく絶頂時の15年前の私であっても、このキレットを越えて対峙する越後中ノ岳に立つまでに、これより6時間以上かかるであろう・・と思われる。 即ち、行程としては無理で、最盛期の私でも実行に躊躇する縦走ルートである。
 

入道岳の山頂標は
別名の『丸ヶ岳』となっていた

個人的には『丸ヶ岳』の方が
この山には合っていると思うが
 
余談であるが、この入道岳の山頂標柱には『丸ヶ岳』と記してある。 恐らく入道岳の別名であると思われるが、戻って調べても丸ヶ岳の名の由来は出てこなかった。 素晴らしい情景を堪能したなら帰路に着くが、ロープウェイ駅に戻るのにこれより3時間かかる事を想定すれば、遅くとも12時半には折り返さねばならないだろう。 ちなみにワテであるが、到着が11:40で、折り返しが12:15と理想的な時間であった。
 
帰りに未練がましく大日岳直下の例の鎖場に立ち寄ったが、下に「これより鎖場となります 通過に自信のない方、体力のない方、体調不良の方、飲酒されてる方及び荒天の時は巻道を通ってください」と記した看板があった。
 
でも、飲酒者まで心配りする必要はないと思うが。 いや、頂上でビール一杯でも飲酒者になるから、これもアリなんだろうか。 看板は引き続いて、トドメの文言「落ちると絶対に助かりません」との殺し文句もある愉快!?な警告板であった。
 

素晴らしい情景に見とれて
足元が疎かにならぬよう
 

八ッの岩塔が
それぞれの衣装をまとい
 
後は往路を紅葉を愛でながら戻っていくが、下りも鎖場があるので時間の短縮は期待できない。
紅葉撮影にかまけていると下りが遅い私の性質も相俟って、登りより時間がかかる事も想定される。
ある程度時間に見切りをつけて下っていかねばならない。
 

越後駒ヶ岳の雄姿を振り返って
 
薬師岳のあの長い鎖場の下りでは予想以上に時間がかかり、《六合目・岡女堂》で14:40と登り時よりかかり気味であったのは藪の中に。 だが、後は傾斜のほとんどない“歩く事がほとんどない”一般行楽客も歩く区間なので飛ばしていくと、15:20にロープウェイ駅に戻り着く事ができて、とりあえずホッと一息着く。
 

ロープウェイ近くの遊歩道から
八海山の岩塔と最高峰の入道岳を望む
 
後は、一般行楽客でごった返すロープウェイの乗車を経て下の駅に戻る。 車でアプローチしたなら、後は山の後の温泉めぐりだ。 この辺りは六日町温泉郷なので、温泉を探すのは苦労しないだろう。

   ※ 詳しくは
メインサイトより『八海山』を御覧下さい。
 
 
 

 






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