2012-11-25 (Sun)✎
『日本の滝を訪ねて・・』 第77回 西沢渓谷の滝 その1 〔山梨県〕
西沢渓谷の前半部分のハイライト
三重ノ滝
西沢渓谷 にしざわけいこく (秩父多摩国立公園)
奥秩父を源に壮大なスケールの渓谷を魅せるのが、東沢渓谷と西沢渓谷である。 だが、東沢渓谷は、登山ルートが設定(登山の創世期は登山道だったというが)されておらず立入禁止となっている。
奥秩父を源に壮大なスケールの渓谷を魅せるのが、東沢渓谷と西沢渓谷である。 だが、東沢渓谷は、登山ルートが設定(登山の創世期は登山道だったというが)されておらず立入禁止となっている。
それ故に、沢登りを主とする限られた者の領域となっている。
一方、西沢渓谷は遊歩道が整備され、一般行楽客にも開放されている。 また、《三重ノ滝》や《七ッ釜・五段ノ滝》などの秀麗な滝があり、中でも澄みきった蒼い釜淵を魅せる《七ッ釜・五段ノ滝》は『日本の滝100選』に選出されている。
西沢渓谷探勝ルート 行程図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
甲府市街より車利用(1:00)→西沢渓谷入口(0:20)→西沢山荘(0:35)→三重ノ滝(0:55)→七ッ釜・五段ノ滝(0:15)→渓谷探勝道終点(0:10)→七ッ釜・五段ノ滝俯瞰地点(0:30)→大久保沢(0:30)→子酉橋(0:20)→西沢渓谷入口より車利用(1:00)→甲府市街
紅葉真っ盛り
奇怪な頂稜を魅せる鶏冠(とさか)山
奇怪な頂稜を魅せる鶏冠(とさか)山
この項目では、項目紹介で記述した通り、一般公開されている《西沢渓谷》を一周ルートを使って探勝してみよう。 だが、一般公開されて整備されているルートとはいえ、渓谷内である。 そこには常時濡れたヘツリ岩の昇降があり、一枚岩盤下のヘツリ道があり、滝落ち口の真上を通過する高度感を感じる所も存在する。
また、春の新緑・夏の爽快な沢・秋の紅葉、そして氷結の冬と季節毎に素晴らしい情景を魅せてくれる渓谷だが、やはり冬は渓谷内が完全凍結するので、相当な知識と装備と経験が必要になってくるだろう。
現に素人が残雪期に入り込んで滑落する事故が多発しているらしい。
そして許せぬ事は、この危険な場所にペット犬を連れ込む害虫以下の人間の面を被った人間の出来損ないがいるって事である。 何でも、この害虫以下のクズどもによって連れ込まれた犬に驚いて、沢に転落した幼い子(幸い救助されたそうだが)もいるそうである。
冬・残雪期のオフシーズンに入る時は自らの技量・体力・装備・知識を把握するのはもちろんであるが、自然を潰し、野生動物を迫害し、自然探勝する人々の名誉を汚し、強いては殺人さえ厭わない自然界へのペットの連れ込みは絶対にやめて頂きたい。 そう・・、人間としての尊厳を守る為に。
冬・残雪期のオフシーズンに入る時は自らの技量・体力・装備・知識を把握するのはもちろんであるが、自然を潰し、野生動物を迫害し、自然探勝する人々の名誉を汚し、強いては殺人さえ厭わない自然界へのペットの連れ込みは絶対にやめて頂きたい。 そう・・、人間としての尊厳を守る為に。
周囲は紅葉に色着いていた
それでは、渓谷探勝を始めよう。 甲府市街から車で約1時間で、国道140号線上の『道の駅・みとみ』に着く。 この目の前に『西沢渓谷入口』の案内板が掲げてあり、その通り右折すると土産物屋を越えてすぐに駐車場がある。
この駐車場は約60台ほど駐車可能だが、人気行楽地ゆえにすぐに満車になる事が考えられる。
もし満車の場合は無理に駐車しようとせず、『道の駅・みとみ』の駐車場(本来の駐車場に加えて砂利敷の広い駐車場がある)を利用しよう。
もし満車の場合は無理に駐車しようとせず、『道の駅・みとみ』の駐車場(本来の駐車場に加えて砂利敷の広い駐車場がある)を利用しよう。
さて、車を駐車して渓谷遊歩道を歩ける位には足を固めて(スニーカーは危険である 最低でもトレッキングシューズが必要だろう)出発する。 駐車場より土産物屋前に戻って、その先に続く車止めゲートのある遊歩道入口をくぐる。 最初の20分は舗装された林道で、沢も砂防ダムがあるなど、まだ核心部分には入っていない情景である。 だが、私の訪れた紅葉時は付近の山肌が鮮やかに色づき、砂防ダムで堰き止められた湖水の水鏡と相俟って絶好の被写体となっていた。
渓谷入口までの遊歩道は
水辺と紅葉のアングルが楽しめる
水辺と紅葉のアングルが楽しめる
この遊歩道は、“トロッコ道”と呼ばれる下山路が合流する《子酉橋 ねとりばし》まで舗装されている。 トイレはこの《子酉橋》と、数分先にある《西沢山荘(休業中)》にある。 入渓前に用は足しておいた方がいいだろう。 《西沢山荘》のすぐ先が、《西沢渓谷》の入渓口と《特ちゃん新道》と呼ばれる奥秩父の名峰・甲武信岳 2475メートル の登山道の入口である(この手前に、《近丸新道》という登山ルートもある)。
西沢渓谷詳細図
さて、指標に従って渓谷遊歩道に入っていくが、しばらくは広い砂利道が続く。 これを少し歩くと、《東沢》と《西沢》の合流する《二股》に出る。 《二股》を吊り橋で、未公開の《東沢》(この付近の東沢はまだ穏やかである)を渡る。
渡った吊り橋の袂で鶏冠山 2115メートル の登山道(相当な難路との事)が分岐し、その脇に『東沢渓谷は一般者の入渓禁止です』の立札が立てかけてある。 その《鶏冠山登山道》の分岐のすぐ先に大きな看板で『秩父多摩国立公園 西沢渓谷』と標記されたデカい看板があり、この看板の先から徐々に渓谷の左岸(右側)の岩肌にヘツられたヘツり道となっていく。
渡った吊り橋の袂で鶏冠山 2115メートル の登山道(相当な難路との事)が分岐し、その脇に『東沢渓谷は一般者の入渓禁止です』の立札が立てかけてある。 その《鶏冠山登山道》の分岐のすぐ先に大きな看板で『秩父多摩国立公園 西沢渓谷』と標記されたデカい看板があり、この看板の先から徐々に渓谷の左岸(右側)の岩肌にヘツられたヘツり道となっていく。
大久保ノ滝 落差40m
ヘツり道を伝っていくと左岸の土手を急激に登っていくようになり、登るにつれて下の沢が小さくなっていく。 この土手の登り道の最中に、対面に掛かる《大久保ノ滝》が望める。 落差は40m位だろうか? これより続く《西沢渓谷》のまだ見ぬ滝への期待が高まる美しい滝だ。
この《大久保ノ滝》よりは急な階段となって、沢の左岸を大きく高巻く。 高巻いた左岸の下り返しは尖った岩の段となっているので足元には注意したい。 また、この地点は足元を固めていないと、恐らく足が痛くて歩けないであろう。
この岩の段を急下降すると、再び沢が近くに寄り添ってくる。 そのすぐ先に、《西沢渓谷》を代表する2つの滝の一つ《三重ノ滝》がある。 その名の通りエメラルドに輝く3段の釜淵を持った嘗め滝状の段瀑で、釜釜に日の光が当たるとエメラルドグリーンからサファイヤのような色彩を見る事ができる。
また、3段目の釜の前に観瀑台が置かれ、ここより滝全体を眺める事ができるので、撮影もし易い。
三段の釜を持つ三重ノ滝
三重ノ滝の落ち口
お立ち台から望遠で引っ張ると
割といいのが撮れた
《三重ノ滝》を過ぎると渓谷探勝道はよりヘツり道となって、ピッタリと左岸に張り付くようになる。
これより両岸の岩盤が張り出してきて沢は函状となり、岩盤に日差しも遮られて薄暗くなる。
これより両岸の岩盤が張り出してきて沢は函状となり、岩盤に日差しも遮られて薄暗くなる。
途中に案内板の解説書きの内容に反して全く人の顔には見えない《人面洞》という洞があり、これを越えると二段の釜淵を持つ《竜神ノ滝》が見えてくる。
竜神ノ滝
上下に釜縁がある
上下に釜縁がある
落差10mの2段瀑
この滝の撮影には苦労する。 なぜなら渓谷探勝道は、この《竜神ノ滝》の落ち口のすぐ側まで寄り添うように左岸をヘツっていて、その先で滝上流の滑沢を巻くように続いているのである。 即ち、この滝を撮ると、どうしても滝上部の滑沢縁の探勝道を行く通行者が入ってしまうのである。 そして、第一級の観光地《西沢渓谷》なので、人が途切れる事は極く稀なのである。 ワテも10分ほど粘ったが、思い通りの撮影(通行人の入らぬ撮影)は諦めざるを得なかった。
すぐ上に遊歩道があるので
通行人が入ってしまう
通行人が入ってしまう
※ 続きは『日本の滝を訪ねて 第134回 西沢渓谷の滝 その2』をどうぞ。
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