風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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名峰百選の山々 第75回  南アルプス・鋸岳 その1 act 1

名峰百選の山々 第75回  『71 南アルプス・鋸岳』 その1 act 1  山梨県・長野県
甲斐駒山系(南アルプス国立公園) 2685m  コース難度 ★★★★  体力度 ★★★★★
 

鋸岳・第二高点にて
背後にそびえる峰が第1高点
 
   《メインサイトより抜粋》
雄大な山が並びそびえる南アルプス山域で、ダイナミックな岩の芸術を抱きバリエーションルートの一翼をになっているのが、この鋸岳 2685メートル である。 《戸台》方面からの南アルプス林道バスの車窓から仰ぎ見る鋸岳の奇怪さは、このルートの悪絶さを見る者に端的に伝えてくれるだろう。 

鋸の刃先のようにギザギザに切れ落ちたギャップ群、《鹿窓》の風穴、直立の大岩盤に直接落とし込むルンゼ群、ナイフリッジ。 全ては大自然が創造し天然の要害だ。 これらは、手軽においそれとはたどっては行けない難関なのである。 それだけに、岳人の心を“あの峰々を連ねて行きたい”と強く駆り立て、そして虜にさせるのだ。 

この“行ってみたい、登ってみたい”という望みこそが、“名峰”だけが持つ、“名峰”たる資格であると私は思うのだ。 ここに、人のなすりつけた愚俗な“歴史”や“信仰思想”など要らない。 
少なくとも、“名峰”にはそのようなものは必要としないのだ。 ワテはこの思いを胸に、この悪絶たる難関を乗り越えて、山での素晴らしい体験を味わってこよう・・と思うのである。
 

甲斐駒ヶ岳~鋸岳 縦走ルート行程図
 
     行程表            駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR甲府駅よりバス(2:05)→広河原よりバス(0:25)→北沢峠
     (1:00)→仙水峠(1:20)→駒津峰(1:20)→甲斐駒ヶ岳(1:30)→六合石室
《2日目》 六合石室(2:10)→中ノ川乗越(0:40)→鋸岳・第二高点(2:00)→鋸岳・第一高点
     (0:30)→角兵衛沢ノコル(1:40)→大岩下ノ岩小屋(1:40)→角兵衛沢入口 
     (2:20)→北沢峠
《3日目》 北沢峠よりバス(0:25)→広河原よりバス(2:05)→JR甲府駅

  《1日目》 北沢峠から甲斐駒ヶ岳を経て六合石室へ
《戸台》方面からのバスの車窓より仰ぎ見ると、その名の通り“鋸”の稜線。 今回は、この悪絶たる稜線に挑んでみようと思う。 だが、岳人を虜にさせるあの稜線は、そう易々といけない所でもあるのだ。
体力面・装備面・技術面でしっかりと準備した者だけが、チャレンジを許される山域なのである。
その事を十分に踏まえてチャレンジしよう。 

《広河原》からの始発バスに乗れば本日の行程は何とかこなせるが、これに接続するバスのJR甲府駅発車時刻がAM3:00と、ほとんど睡眠が取れぬ状態となる。 このような状態で鎖付きの難所を通過するのはどうか・・と思う。 ここは、登山のセオリーである早朝登山を守るべく《北沢峠》での幕営か、最低でも《広河原》での前夜泊は実行して頂きたいと思う。 それでは、コースガイドを始めよう。
 

甲斐駒ヶ岳
 
なお、《北沢峠》から《仙水峠》を経て甲斐駒ヶ岳の頂上までは、前回の『名峰百選の山々 第74回 甲斐駒ヶ岳 その2』で記述しているので、詳しくはそちらを参照して頂く事として、この項目では簡単にとどめたいと思う。 それと、なぜ《仙水峠》のルートを選んだか・・というと、このルートが最も楽で《仙水小屋》前で水を得る事ができるからだ。 

甲斐駒ヶ岳から先で水を得るのが困難な事から、行程途中で水が補給できるコースが最も適している・・と考えたのである。 従って、《仙水小屋》前では最低2日分の3㍑は汲んでいこう。 
後は、甲斐駒ヶ岳に向かって登っていくだけであるが、甲斐駒ヶ岳本峰への取付には岩登りの練習も兼ねて直登コースを取ろう。
 

タカネビランジ
 
甲斐駒ヶ岳 2967メートル の頂上で北岳 3192メートル や、仙丈ケ岳 3033メートル ・鳳凰三山 2840メートルほか ・富士山 3776メートル などの山々を眺めたなら、気を引き締めて甲斐駒ヶ岳の《北西尾根》を下っていこう。 頂上の外れに朽ちた道標があり、『鋸岳(危)』と示す方向へ下っていく。 踏跡や道を示すリボンがほとんどないコースでは、ルートの発見に苦労する。 

白亜の似たような岩塊が並ぶ甲斐駒ヶ岳の《北西尾根》は、岩石の積み重なりの間が空洞となっていたり、容易に下れそうな岩塊の先が絶壁であったり・・と一筋縄ではいかない。 また、前方も同じような岩石が積み重なり、先が読めない所がしばしばある。 やがて、『九合目』という道標を見やると、大きな一枚岩壁が足元に現れる。 これが、今日最大の難所だ。 

この岩壁は、左側に巻きつけてある針金(本当に針金であった)を使って50m直下降する。 
高度感があり、しかも直下降なのでかなりスリルがある。 この岩壁を下ると尾根は広くなり、左に緩く下っていく。 この広い尾根はケルンや石柱が突き立った砂礫地となっていて、ガスがなければ《六合石室》の赤錆びた屋根が左下に見えてくるだろう。
 

六合石室より鋸岳を望む
 
砂礫地から一度樹林帯に入り、再び石柱が立つガラ場に出ると、《六合石室》の下降点と思しき分岐に出る。 なぜ“思しき”と記述したのかというと、《六合石室》までは巨石が積み重なっているだけで、とても道とはいえないからである。 岩を乗り越え踏み越えながら下っていくと、石壁に屋根を乗せただけの《六合石室》に着く。
 

伝説の石室 六合石室
現在は床が新設されて随分と快適になった・・というが
この時は全面土間の“ただ石を積んだだけ”の代物だった

中は床もなく噂通りの荒廃状況で、“南アルプス山域でも、その点で有名な小屋”という触れ込みは大変うなずける。 この小屋に泊るのなら、中にテントを張るのが妥当であろう。 雨風は凌げるが、それ以上は凌げそうにないからである(現在は床が新設されて、居心地が良くなっている)。
 

六合石室からの仙丈ケ岳は
また格別だ
 
なお水場は、この巨石のガラ場を10分下った所で得る事ができる・・としているが、足場が悪い事や、どの辺りかの見当をつけにくい事などから見合わせた方が賢明であろう。 その為にも、《仙水小屋》の水場で2日分の水を汲んで担ぎ上げる事が必要となるのだ。
 

夕日に染まる鋸岳岩峰
明日はあの“てっぺん”に行こう
 
小屋はボロいが、ここより眺める仙丈ケ岳の美しさには語る言葉も見当たらない。 床もなく荒廃しきり・・の小屋なれどその静寂としたムードは、数ある山小屋の中でも最も味わいがあるのではないだろうか。 山の静寂と素晴らしき展望は、その宿泊者を幻想の世界へ誘う事だろう。
 

鋸岳も闇に包まれていく



            幻想的な暮れ空             暮れなずむ仙丈ヶ岳

  《2日目》の以降の行程は、次回『名峰百選 第76回 鋸岳 その1 act 2』を御覧下さい。

   ※ 詳しくはメインサイトより『南アルプス・鋸岳』を御覧下さい。
 
 
 
 
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No title * by yamanbou
こんばんは。
メインサイトを拝見しました。
「ふう~っ」とため息が出ます。
いつかは歩いてみたいですが・・・
無理です。

No title * by 風来梨
yamanbouさん、こんばんは。

今、私もため息が出ます。 ほんの12年前は、こんなに馬力があったんだ・・と思うと。 2年前に角兵衛沢からピストン行程で行きましたが、この時も台風に巻かれて、2日ビバークしちゃいました。

その山行は、またいずれ・・。

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No title

こんばんは。
メインサイトを拝見しました。
「ふう~っ」とため息が出ます。
いつかは歩いてみたいですが・・・
無理です。
2012-08-28 * yamanbou [ 編集 ]

No title

yamanbouさん、こんばんは。

今、私もため息が出ます。 ほんの12年前は、こんなに馬力があったんだ・・と思うと。 2年前に角兵衛沢からピストン行程で行きましたが、この時も台風に巻かれて、2日ビバークしちゃいました。

その山行は、またいずれ・・。
2012-08-29 * 風来梨 [ 編集 ]