2012-08-27 (Mon)✎
名峰百選の山々 第74回 『70 甲斐駒ヶ岳』 その2 山梨県・長野県
テント場の先で栗沢山から鳳凰三山のコースを分けて、《北沢》の流れに沿って歩いていく。
やがて、砂防ダムを越えていくようになる。 ここから桟橋で沢を数回渡るが、沢沿いの道は概ね左岸についている。 台風などで崩れた沢岸をヘツったり、荒れた沢に転がる岩をロープ片手に高巻きしたり・・と、目まぐるしくバリエーションを連ねると、右岸へ架かる桟橋で沢を渡って樹林帯の中を急登していく。
登っていくと、程なく《仙水小屋》の建物が見えてくるだろう。 まだ、疲れている程でもないが、“ある事”の為に休憩しよう。 この“ある事”とは、《仙水小屋》前に流れている水はとても冷たく上手いからである。 持ってきた水を捨てて汲みなおしても、十分“元”は取れるだろう。
この小屋を出ると樹林帯の中に深く分け入り、ほとんど傾斜のない道を歩いていく。 30~40分歩いていくと右側から徐々に樹林が薄れていき、これに変わって黒光りした溶岩の積み重なったガラ場が迫ってくる。 やがて、道はこれに乗り上げて、このガラ場をトラバース状に伝っていく。 ある程度伝って、ガラ場の間からハイマツが伸び出すと《仙水峠》は近い。
今回は、『甲斐駒』の峰に登る雰囲気を味わう為に直登ルートに進路を取ろう(メインルートは迂回ルートである)。 踏跡に沿ってリッジ通しに登っていく。 少し行くと右に迂回ルートへの連絡道を分け、ルンゼ状に迫ったリッジの大岩を乗っ越す。 この乗っ越しは、最初の踏み出しが全てであろう。
これを越えると小さな岩の突き出しを伝っていくが、岩の突き出し加減からルートに行き詰まる事もある。
ここから眺める仙丈ケ岳は、その優雅さを取り戻した素晴らしい眺めである。 それと、“伝説の岩小屋”である《六合石室》にも興味が尽きない。 なお、このルートを経て鋸岳まで伝う山旅は次回の『第75回 南アルプス・鋸岳』で書き記したので、興味のある方は続き物として御覧下さい。
甲斐駒山系(南アルプス国立公園) 2967m コース難度 ★★★ 体力度 ★★
アサヨ峰より望む
勇峰・甲斐駒ヶ岳
《メインサイトより抜粋》
南アルプスを語る上で忘れてはならないのが、甲斐駒ヶ岳と鳳凰三山であろう。 南アルプスの山は緑豊かで花多き峰は多いものの、荒々しい稜線美や岩のオブジェを魅せる山はこの山域をおいて他にない。
また甲斐駒ヶ岳 2967メートル は、その姿が勇猛な武田軍団を彷彿させ、古くから甲斐国の“守護神”として崇められてきた山だ。
甲斐駒ヶ岳 仙水峠ルート行程図
※ 秋に登った時の地図の使いまわしデス
書き込んでいる内容は無視してください
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR甲府駅よりバス(2:05)→広河原よりバス(0:25)→北沢峠
《2日目》 北沢峠(1:10)→仙水峠(1:20)→駒津峰(1:30)→甲斐駒ヶ岳
《2日目》 北沢峠(1:10)→仙水峠(1:20)→駒津峰(1:30)→甲斐駒ヶ岳
(0:40)→摩利支天峰(0:50)→駒津峰(1:05)→仙水峠(1:00)→北沢峠
《1日目》 北沢峠へ
今日はアプローチのみの行程だ。 従って、前夜までに北沢峠までアプローチしておこう。
今日はアプローチのみの行程だ。 従って、前夜までに北沢峠までアプローチしておこう。
当日出発だと、JR甲府駅3:00発のバスに乗り、《広河原》で2時間近くの待ち時間を経て北沢峠着7:15となる。 これは体力面でかなりキツいし、何よりもこれでは“山に登ろう”という気力が萎えてしまうだろう。 楽しい登山を満喫する為にも、この《1日目》の行程を組み込んだ次第である。
甲斐の国の守護神
甲斐駒ヶ岳へ
《2日目》 北沢峠から甲斐駒ヶ岳を往復
今日は、全国に散らばる“駒ヶ岳”の中で最も標高が高く、最も誇らしい山体を成している甲斐駒ヶ岳に登ってみよう。 甲斐駒ヶ岳へは一般ルートが3つあるが、最も登頂が楽な『仙水峠ルート』を使っていこう。 さて、出発だ。 余計な荷物は山荘泊なら預かってもらって、幕営ならデポったテントに全てしまい込んでいこう。 持ち物は水筒とカメラとタオル、そして食料はパンでもあれば十分だ。
今日は、全国に散らばる“駒ヶ岳”の中で最も標高が高く、最も誇らしい山体を成している甲斐駒ヶ岳に登ってみよう。 甲斐駒ヶ岳へは一般ルートが3つあるが、最も登頂が楽な『仙水峠ルート』を使っていこう。 さて、出発だ。 余計な荷物は山荘泊なら預かってもらって、幕営ならデポったテントに全てしまい込んでいこう。 持ち物は水筒とカメラとタオル、そして食料はパンでもあれば十分だ。
テント場の先で栗沢山から鳳凰三山のコースを分けて、《北沢》の流れに沿って歩いていく。
やがて、砂防ダムを越えていくようになる。 ここから桟橋で沢を数回渡るが、沢沿いの道は概ね左岸についている。 台風などで崩れた沢岸をヘツったり、荒れた沢に転がる岩をロープ片手に高巻きしたり・・と、目まぐるしくバリエーションを連ねると、右岸へ架かる桟橋で沢を渡って樹林帯の中を急登していく。
登っていくと、程なく《仙水小屋》の建物が見えてくるだろう。 まだ、疲れている程でもないが、“ある事”の為に休憩しよう。 この“ある事”とは、《仙水小屋》前に流れている水はとても冷たく上手いからである。 持ってきた水を捨てて汲みなおしても、十分“元”は取れるだろう。
この小屋を出ると樹林帯の中に深く分け入り、ほとんど傾斜のない道を歩いていく。 30~40分歩いていくと右側から徐々に樹林が薄れていき、これに変わって黒光りした溶岩の積み重なったガラ場が迫ってくる。 やがて、道はこれに乗り上げて、このガラ場をトラバース状に伝っていく。 ある程度伝って、ガラ場の間からハイマツが伸び出すと《仙水峠》は近い。
仙水峠より望む
朝の甲斐駒・摩利支天峰
《仙水峠》は正面が行き止まり、道は右も左も急傾斜で両側の山へ突き上げている。 この《仙水峠》ほど、如実に“峠”を示す地形はそうはないだろう。 この道を左へ進むと甲斐駒の前衛峰・駒津峰への登路だ。 なお、右へ進む道は鳳凰三山への縦走路である。
峠からは、甲斐駒の次峰・摩利支天峰が威風堂々とそびえ立っている。 これを見て、気合を入れて進んでいこう。 登路に取り付くと、駒津峰の樹林帯をジグザグと縫うように登っていく。 1時間程登ると辺りをハイマツが囲み出し、道も甲斐駒の山系らしい白い砂岩の登りとなる。 この登りでどれ位登ったかを測る目安としては、背後にそびえる栗沢山が最適であろう。
峠からは、甲斐駒の次峰・摩利支天峰が威風堂々とそびえ立っている。 これを見て、気合を入れて進んでいこう。 登路に取り付くと、駒津峰の樹林帯をジグザグと縫うように登っていく。 1時間程登ると辺りをハイマツが囲み出し、道も甲斐駒の山系らしい白い砂岩の登りとなる。 この登りでどれ位登ったかを測る目安としては、背後にそびえる栗沢山が最適であろう。
駒津峰の登路より望む鳳凰三山
オベリスクもはっきりと見渡せる
栗沢山の標高は2714mと、駒津峰と40m程しか変わらない。 目線が栗沢山の頂上付近を指すようになったなら、目指す駒津峰の頂上は近いという事だ。 やがて、白亜の大峰・甲斐駒の本峰と重厚なる北岳の山体が見えはじめて、それを頼りにつめていくと駒津峰 2752メートル の頂上だ。
駒津峰頂上からは白亜の菱をもたげる甲斐駒・本峰、深い緑の重厚な山塊・北岳、《薮沢カール》を大きく広げて優雅にたたずむ仙丈ケ岳、振り返れば栗沢山からアサヨ峰・鳳凰三山と続く山なみと、稜線上に角のように突き出すオベリスクが見事だ。 素晴らしい山の景色を眺めてひと息着こう。
白竜が駆け昇るが如く
雪渓を突き上げる北岳
駒津峰からは、甲斐駒ヶ岳に向かって痩せた岩稜上を伝っていく。 距離は僅かなのだが切り立った岩の登降が数回あり、鎖片手のトラバースもあるので結構厄介だ。 岩峰を伝っていくと途中で岩峰を直接伝うルートと、下を巻くルートとに分かれる地点がある。
これは、この岩峰で遭難事故が相次いで発生した為に、下の樹林帯を巻くルートが設けられたからである。 上のルートも何とか通過できるが、右側がスッパリと切れ落ちて高度感があり、しかも鎖が破損したまま復旧されていないのでここは巻道を通った方が無難だろう。
この岩稜を通過すると、《六方石》という噴出した花崗岩の大岩が見えてくる。 この岩の立つ地点が甲斐駒ヶ岳の取付となる。 《六方石》の背後にある営巣のように刳り貫かれた岩小屋が多く見られる岩壁を、右に巻くように登っていく。 ここから甲斐駒の岩尾根の先に突き出したリッジの上に登り、ザラザラの砂礫帯を斜めに突っ切って主稜線に出る。 ここで、砂礫帯をジグザグに切りながら大きく迂回するルートと、主稜線の岩峰を直接登るルートに分かれる。
六方石より見上げる
甲斐駒ヶ岳・本峰
今回は、『甲斐駒』の峰に登る雰囲気を味わう為に直登ルートに進路を取ろう(メインルートは迂回ルートである)。 踏跡に沿ってリッジ通しに登っていく。 少し行くと右に迂回ルートへの連絡道を分け、ルンゼ状に迫ったリッジの大岩を乗っ越す。 この乗っ越しは、最初の踏み出しが全てであろう。
できるだけ足を高く振り上げて、いいポジションを確保しなければズリ下がって“やり直し”となるだろう。
これを越えると小さな岩の突き出しを伝っていくが、岩の突き出し加減からルートに行き詰まる事もある。
もし行き詰ったなら、“稜線通し”を意識して進むといい。 伝っていくと、やがて砂礫の平坦な尾根上に出て、《戸台川》本谷の深いツメを見ながら本峰に向かって突き上げていく。 後は、広い砂礫の傾斜のどこをルートに取っても、甲斐駒ヶ岳 2967メートル の頂上に建つ石祠の背後に飛び出る事ができる。
古代から山は
里の守護神として崇められてた
甲斐駒ヶ岳 山頂の祠
甲斐駒ヶ岳の頂上からは、威風堂々とした北岳が正面にそびえ、背後には秩父や八ヶ岳・富士山が美しいシルエットを魅せる。 でも、一番目を引くのは、鋸岳から甲斐駒本峰に連なるノコギリ刃のような岩峰群であろう。 ただ、仙丈ケ岳はノッペリとし過ぎて、思った程に高さは感じられない。 もし、時間と体力があれば、この岩峰の途中にある《六合石室》までいってみよう。
伝説の岩小屋でっす
その内容は次回に乞う御期待
ここから眺める仙丈ケ岳は、その優雅さを取り戻した素晴らしい眺めである。 それと、“伝説の岩小屋”である《六合石室》にも興味が尽きない。 なお、このルートを経て鋸岳まで伝う山旅は次回の『第75回 南アルプス・鋸岳』で書き記したので、興味のある方は続き物として御覧下さい。
優雅にカール地形を
広げる仙丈ヶ岳
甲斐駒ヶ岳東方に延びる
尖峰・鋸岳
いい眺めと涼風を心ゆくまで楽しんだなら、下山に取りかかろう。 下りは砂礫帯を大きく迂回するルートを取って、途中で摩利支天峰に立ち寄っていこう。 広い砂礫の道はザラザラでスリップしやすいので、注意していこう。
岩峰に神々が宿った
神々しい姿を魅せる摩利支天峰
20分程下ると摩利支天峰への分岐(道標なし)が分かれ、縦走路から一段下に下りて張り出した岩壁をトラバースで伝っていく。 1ヶ所大岩の基部のへつりがあるので、ここの通過は注意したい。
15分程歩くと、ガレキの盛り上がりの上に宝剣や玉串・鉾などが突き立てられた摩利支天峰 2940メートル の頂上に出る。 ここから望む甲斐駒本峰は、白亜の切り立った一枚岩が直立し“そそる”眺めだ。
摩利支天峰で甲斐駒本峰の写真を“ゲット”して下山しよう。
下りは《六方石》まで砂礫の急傾斜を下り、後は直登ルートと合流して往路を下る。 下山途中で、《仙水小屋》の流水がとっておきの優しさで出迎えてくれるはずだ。 この水が美味しければ美味しい程、この山行が充実していた事を実感できるだろう。
- 関連記事
スポンサーサイト