風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第21回  森吉山

『日本百景』 晩夏  第21回  森吉山  〔秋田県〕
 

果てしなく広がる草原の丘
森吉山の頂上より
 
   森吉山 もりよしやま (森吉山県立自然公園)
 

森吉山・戸鳥内登山コース 行程図
 
   行程表               駐車場・トイレ・山小屋情報
『道の駅・阿仁』より車 (0:30)→ブナ帯キャンプ場登山口 (1:00)→阿仁ゴンドラ山頂駅
(0:10)→石森 (0:10)→阿仁町避難小屋 (0:45)→森吉山 (0:45)→石森
(1:00)→ブナ帯キャンプ場登山口より車 (0:30)→『道の駅・阿仁』 

レンタカーの出発地点である大曲より、前日の夜までに『道の駅・阿仁』までアプローチする。
距離的には大曲から80km程度なので、2時間もあれば到着する。 このまま登山口までアプローチしても良かったのだか、トイレや飲料水の事などを考えると、全ての設備が整った『道の駅』を仮眠の場とする方が望ましい・・と考えたのである。

『道の駅・阿仁』には、午後8時半頃に到着。 そのまま寝入って、目覚めたのが予定より早い深夜2時前。 車寝は一度目が覚めるとなかなか二度寝は難しいので、早速トイレなどの所用を済ませて登山口へ直行する。 でも、深夜の街灯が全くない森の中、そして途中からダート道となる中を平気で走る事のできる私って、やはりどこか変なのだろうか・・。 真夜中の森の中へ車を走らせると、通ってきた林道が行き止まりっぽい地形で寸断され、その周囲に設けられた駐車場前に着く。 時間は午前3時前。
 
車のライトで大きな立て看板を照らして見ると『森吉山・ブナ帯キャンプ場』と示してあり、どうやらここが登山口のようである。 看板の奥の暗闇に、ボヤ~っとトイレと思しき櫓が建っている。
まぁ、ゴンドラがあり、向こう側の登山口には有人の《こめつが山荘》があって、しかも往復5時間足らずの山でキャンプを張る人間はまずいないだろう。 その通り、このキャンプ場はとっくの昔に閉鎖に追い込まれたようである。

さて、5時頃まで仮眠・・と思っていたが、羽虫が車内に入り込んで車内環境が最悪となったので、カンテラを引き出して登山をスタートする。 現在の時間は4時ちょっと過ぎ。 「歩いている内に夜が明けるだろう」と、黙々と山道を進んでいく。 心なしか、空の縁が白み掛かってきたようだ。
だが、初めての登山道で道もよく把握していないのに深夜登山するワテの精神力もなかなかのものである。

道はほとんど傾斜のない歩き良い山道で、ともすれば「ほんとに山に登っているのかな?」と疑問に思うほどに平坦であった。 約30分程歩いていくと、カンテラなしでも周囲が見渡せる程に明るくなってくる。
やがて、『キャンプ場(登山口)より1.7km』の道標と水場が現れる。 ここは『道の駅』の便所で汲んだ水より自然の水・・って事で、ポリタンの水を汲み直す。 これより、やや傾斜が増して行き、徐々に明けていく朝の雰囲気と相俟って心地良い負担が身体にかかってくる。
 
傾斜が増したといっても大した事はなく、ハイペースで登っていく。 すると、先程の水場より30分少々でゴンドラの頂上駅の広場横に着く。 ここは、開けたゴンドラ駅前の広場に降りて小休止する事にしよう。 開けた所の方が風も爽やかで、朝の山の展望も広がるのである。 小休止すると結構な汗をかいている。 風にそよがれると肌寒い位だ。
 

過ぎ行く夏の朝 
心なしか薄紫の花も寂しげだ



朝の光を浴びて
大地が目覚める瞬間
 
肌寒さに耐えきれなくなって、5分程休憩しただけで出発。 このゴンドラ駅から5分程登ると、絶好の朝景色が広がるテラスの上に出る。 まだ5時半過ぎ。 思う存分に朝の風景を楽しもう。
カメラを首に下げて、写真を撮りながら歩いていこう。 山を楽しみながら歩いていくと、やがて木道の上を歩くようになる。 稜線上に出たようだ。

《石森》という稜線上の小突起の前は、《こめつが山荘》への道と《森吉山頂》への分岐となる『三叉路』だ。 もちろん、進路は《森吉山頂》だ。 ちょっと先に避難小屋と思しき建物と、その背後に豊かな森林に覆われた《森吉山》が鎮座している。 この《石森》からは、お花畑に囲まれたフラワーロードとなる。
 

朝日を浴びて輝くコオニユリ



盛夏に咲き遅れたイワイチョウが

湿原帯にひっそりと



淡い紫は秋の色

この色が大地を染める頃

夏は駆け足で去っていく



過ぎ行く夏の象徴 
花の落ちたチングルマの実
 
コオニユリ・ミズキボシ・イワイチョウ・ツリガネシャジン・チングルマの実など、晩夏の山を飾る花々が咲き競う。 囲まれた花を愛でながら歩いていくと、あっという間に避難小屋の建物の前に出る。
 

利用の機会を考えると
疑問符がつく程に立派な
阿仁町管理の避難小屋
 
この避難小屋は阿仁町管理の建物であるのだが、トイレも屋内にあり建付けも最高級といっていい位の避難小屋だ。 水場有無の確認はしていないが、水場へ向けての指示をした道標も立っていた。
山頂まで片道2時間チョイでは利用の機会がないと思えるが、建物は完璧ですごく“使える”のである。
 

山上には池塘が多数点在する
 
避難小屋から《森吉山頂》までは、ちょうど1km。 つづら折りのガレ場を緩やかに登りつめれはいい。
麓の登山口からゆっくりゆっくり歩いて2時間半、『森吉山 1454m』と刻まれた誇らしげな頂上標柱の傍に立つと、一等三角点が示す通りに 360°の大展望が広がる。 今まで歩いてきた草原が、眼下に果てしなく広がるのだ。 その草原の丘の高台に、ドイツのお菓子箱のような避難小屋が点在する優しい山容の風景を魅せてくれる。
 

立派な頂上標柱の傍らに立って

眼下を見下ろす至福の瞬間



ドイツのお菓子箱のような

森吉町管理の避難小屋
こちらもかなり立派な建物のようで



過ぎ行く夏を惜しむかのように
涼しき晩夏の風にそよぐシャジンの花
 
また、過ぎゆく夏を惜しむかのように淡い紫色の花が風になびく姿は、情感深い光景をかもし出してくれる。 しばし、この贅沢で情感深い過ぎゆく夏の朝を味わおう。 空の色が朝の眩い光から、鋭い夏の輝きに変るその一歩手前の瞬間まで。 心ゆくまで楽しんだなら、また花を愛でながらゆっくりと下っていく事にしよう。 晩夏を象徴するアザミのトゲトゲした花に、過ぎ行く夏の哀愁を重ね合わせつつ・・。
 

晩夏ともなると
秋の花・アザミが花開く

シャキシャキ行けば登りでも2時間を切るコースであるので、下りとなると更に所要時間が短くなる。
下り始めは夏の終わりを飾る花々を愛でながらの歩行であったが、《石森》を過ぎると目にするモノも立ち寄る所もなく1時間を切るペースで下りきる。 でも、スキー場からのゴンドラ・・、夏でも運行しているのね。 高いだろうなぁ、料金。
 
ちなみに、登り始めに語った登山口一帯のキャンプ場だが、予想通りに跡形もなく整地されていた。
周囲にこだまするヒグラシの鳴き声が、過ぎ行く時の無常と残酷さを代弁していた。

   ※ 詳細は、メインサイトの『撮影旅行記』より『森吉山めぐり』を御覧下さい。
 
 
 
 

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No title * by kei
こんにちは。気軽に登れる山で、たしか安の滝の滝見とセットだったように記憶しています。花の季節にもう一度訪れてみたいと考えています。

No title * by 風来梨
keiさん、こんばんは。

私も、後に控える茶釜ノ滝の夜明島渓谷の足慣らしとして、この森吉山を登りました。 私の時は盆に登ったので、晩夏の雰囲気のいい中で楽しめました。

茶釜ノ滝は、夏はルート間違いのオチャメをやらかして、秋に本願成就。 それは、秋の項目でアップしようかと・・。

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こんにちは。気軽に登れる山で、たしか安の滝の滝見とセットだったように記憶しています。花の季節にもう一度訪れてみたいと考えています。
2012-08-26 * kei [ 編集 ]

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keiさん、こんばんは。

私も、後に控える茶釜ノ滝の夜明島渓谷の足慣らしとして、この森吉山を登りました。 私の時は盆に登ったので、晩夏の雰囲気のいい中で楽しめました。

茶釜ノ滝は、夏はルート間違いのオチャメをやらかして、秋に本願成就。 それは、秋の項目でアップしようかと・・。
2012-08-26 * 風来梨 [ 編集 ]