2012-07-21 (Sat)✎
名峰次選の山々 第66回 『103 知床・硫黄山 その2』 北海道
知床山系(知床国立公園) 1563m コース難度 ★★★★ 体力度 ★★★★
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 斜里町・ウトロより車(0:30)→岩尾別温泉(3:00)→羅臼平(1:00)→羅臼岳
《1日目》 斜里町・ウトロより車(0:30)→岩尾別温泉(3:00)→羅臼平(1:00)→羅臼岳
(0:45)→羅臼平
《2日目》 羅臼平(0:40)→ミツミネ山幕営地(2:20)→二ッ池(0:50)→南岳
《2日目》 羅臼平(0:40)→ミツミネ山幕営地(2:20)→二ッ池(0:50)→南岳
(0:40)→知円別岳鞍部のグラウンド
《3日目》 知円別岳鞍部のグラウンド(1:50)→第一噴火口分岐(0:25)→硫黄山
《3日目》 知円別岳鞍部のグラウンド(1:50)→第一噴火口分岐(0:25)→硫黄山
(0:20)→第一噴火口分岐(2:40)→新墳火口(1:00)→硫黄山登山口
(0:25)→湯ノ滝バス停よりバス(0:35)→岩尾別温泉より車
(0:30)→斜里町・ウトロ
※ 《2日目》行程『名峰次選 第65回 知床・硫黄山 その1』からの続き
“遙かなる山” 硫黄山へ
《3日目》 硫黄山からカムイワッカへ
今日は、“折り紙付き”の難コースを歩くので、気分が高揚して早く目覚める事だろう。 早く目覚めたなら、これは幸い・・と早々に出発しよう。 知円別岳鞍部からは、広く平坦なハイマツ帯のお花畑の中を進んでいく。 もしかしたなら、知床の名花・シレトコスミレを見つけることができるかもしれない。
今日は、“折り紙付き”の難コースを歩くので、気分が高揚して早く目覚める事だろう。 早く目覚めたなら、これは幸い・・と早々に出発しよう。 知円別岳鞍部からは、広く平坦なハイマツ帯のお花畑の中を進んでいく。 もしかしたなら、知床の名花・シレトコスミレを見つけることができるかもしれない。
多少の緩やかなアップダウンはあるものの、ここまでは花を見ながらの快適な稜線歩きだ。
しかし、知床・東岳の分岐に登り着くと状況は一変する。 道は外輪山上に出て、典型的な稜線の痩せ尾根道となる。 知床・東岳や硫黄山とその下に広がるだだっ広い火口原など、辺りの眺望は素晴らしいものの、両サイドがスッパリと切れ落ちた幅わずか1m位の稜線上を伝わねばならない。 まず、難コースの序曲は、知円別岳の東面にある崩壊地を巻くようにトラバースする事から始まる。
この知円別岳の東面は頂上から崩壊が続いており、こちらから登るのは到底無理だろう。
また、反対側の西面は、ハイマツのブッシュ漕ぎを強いられるだろう。 まあ、苦労してまで登る程の山でもなさそうだし、ここは気軽に“パス”しよう。
さて、この崩壊地のトラバースだが、硫黄山の外輪山の一角らしく、硫黄の混じった粘土質の粉石砕土で、足を踏み出すごとにめり込んで崩れるのである。 そして、崩れていった砕土が、コロコロと東岳との谷の方へ転がり落ちていくのをまの当たりにすると、さすがに緊張する。
この崩壊地を何とか越えると、下に火口原のグラウンドが広がる、痩せ尾根地帯を通るようになる。
グラウンドを覗くと、吸い込まれそうな感じがする。 痩せ尾根上を伝っていくと、先を塞ぐかのように岩塊のドームが尾根上に立ちはばかっている。 当然、これを越えなければならない。 ただでさえ痩せ尾根上に立っているこのドームを、ハング気味に巻くようにトラバースせねばならない。 ここも、なかなかの難所である。
グラウンドを覗くと、吸い込まれそうな感じがする。 痩せ尾根上を伝っていくと、先を塞ぐかのように岩塊のドームが尾根上に立ちはばかっている。 当然、これを越えなければならない。 ただでさえ痩せ尾根上に立っているこのドームを、ハング気味に巻くようにトラバースせねばならない。 ここも、なかなかの難所である。
ドームの間をくぐり、この足が竦むトラバースを乗り越えると、しばらくは幅の広がった砂礫地の下りが続くが、程なく次の難所が待ち構えているのである。 それは、雪渓のトラバースである。
ただの雪渓のトラバースならいいのだが、雪渓を渡った先の道が不明瞭で、この雪渓を渡ったとしてもこの先の見当がつかない。 幾度か往復しても道は見当たらず、仕方なしに辺りを見渡すと雪渓の上部の岩ガレに小さな赤ペンキの丸印が見えた。 どうやら、あの上に登るみたいだ。 しかし、道が判ったとしても、この崖のような雪渓を登るのは到底不可能である。
本来の道は、雪渓で埋められているのであろう。 登山シーズンでこれなのだから、ほとんどこの雪渓は消えることはなさそうである。 この逆コースは、この崖のような雪渓の下降となり、雪渓装備一式を備えてもなお滑落の危険があり、単なる夏山装備では通過は不可能であろう。
従って、逆コースからの縦走は慎むべきであろう。 この難関中の難関を越えると、ようやく硫黄山の前衛の峰に立つことができる。 ここから、鎖付きの崖を100m程下り、火口原への分岐(現在通行禁止のグラウンドコースからの合流点)のある窪地に下り着く。 ここまで来ると、見上げる位置に硫黄山がドンと居座っている。 ちょっと上の下山道分岐に荷物を置き、硫黄山を往復してこよう。 硫黄山へは、崩れそうな岩の積み重なりを慎重に登っていく。 頂上まで、約20分である。
硫黄山頂は岩のドームだ
晴れた日の硫黄山 1563メートル 頂上からの眺めは、岬へ続く未開の知床の山なみの眺望は元より、“もしかしたなら、知床岬をも・・”という期待を抱かせるものなのだろうが、ワテが登った時は残念ながらガスに巻かれて視界は全くなかった。
硫黄山で“最果て”の雰囲気を充分に味わったなら、下山に取りかかろう。 頂上からの下りも、崩れやすいガレ場なので慎重に下ろう。 デポした荷物を回収して、道標の指し示す通り左手に下っていく。
急な沢筋の砂礫地を下っていくと、やがて雪渓に取り付くようになる。
ここからこの雪渓を下っていくのだが、この雪渓の長さは約3kmと長大で、沢筋の道のほとんどが雪渓下りである。 延々と続く雪渓の下りにうんざりする頃、ようやく雪渓が途切れて、雪解け水がそのまま沢の流水となる河原状の上を伝っていく。
硫黄川の下りはシレトコスミレではなく
キジムシロが満開だった
しばらく、この河原を下っていくと沢にロープが張ってあり、道は左側に迫る土手に上がるように促されている。 この土手の頂点まで急登し、尾根上の潅木樹林帯のトンネルを急下降していく。
この下降も距離が長く、先程の長大雪渓を含めて、とても1500m級の山を下っているとは思えない。
尾根の上部で見えた尾根の端まで下っていくと、ようやくこの潅木帯のトンネルから解放される。
トンネルから抜け出すと視界が開けて、眼前には荒涼とした火口原が広がる。
ここは《新噴火口》と呼ばれる所だ。 あるガイドでは、ここから下山目的地の『湯ノ滝バス停』まで、所要40分と記してある。 しかし、これはとんでもない事で、この《新噴火口》の岩ガレ場を下るだけで裕に40分はかかる。 このように、他のガイドが簡単に書き流しているのを鵜呑みにしてやってくると、“とんだ目”に遭うコースなのである。 《新噴火口》のガレ場を下りきると、待ちに待った《カムイワッカの湯滝》が下方に見えてくる。
ここは《新噴火口》と呼ばれる所だ。 あるガイドでは、ここから下山目的地の『湯ノ滝バス停』まで、所要40分と記してある。 しかし、これはとんでもない事で、この《新噴火口》の岩ガレ場を下るだけで裕に40分はかかる。 このように、他のガイドが簡単に書き流しているのを鵜呑みにしてやってくると、“とんだ目”に遭うコースなのである。 《新噴火口》のガレ場を下りきると、待ちに待った《カムイワッカの湯滝》が下方に見えてくる。
カムイワッカの滝
知床のパンフレットより
《カムイワッカの湯滝》では、観光客が沢の湯で沢遊びをしているのが見渡せる。 また、『知床林道』のダート道も見えてくる。 しばらく、カムイワッカ沢の右岸を伝っていくが、やがて樹林帯に入ってつづら折りの坂を下っていく。 これを下りきると、『知床林道』にある《硫黄山登山口》に飛び出るように着く。
以前は、この先の『知床大橋』(何の変哲もない橋である)までバスが通じていて、《硫黄山登山口》にもバス停があったのだが、ここ数年は《カムイワッカの湯滝》から先が通行止となっているので、『湯ノ滝バス停』まで1.5kmの林道歩きが必要だ。
なお、現在の知床林道は一般車の進入禁止で、知床五湖駐車場~カムイワッカ湯ノ滝入口はシャトルバスが運行している。 帰りはこれに便乗するが、恐らく押し寄せる観光客で満員状態で乗車待ちになるかもしれない。 だが、このバスに乗らないと帰れないので、バスの時刻をチェックして、できるだけ乗客が少ない昼間の便の発車時刻に合うように調節しながら下山しよう。
下山してから、《カムイワッカの湯滝》で山の疲れを癒したい所であるが、下山で疲れきって、とても湯ノ滝への沢登りをする気にはなれないだろう。
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